【永住権とは?】概要から申請方法、剥奪されないようにする方法はこちらで解説しています。
永住権の申請を行う際に、書類など様々なものを用意しなければなりませんが、申請の際に絶対に必要なのが、保証人です。ただ、保証人と聞いて身構える人が多く、お願いしても断られることも珍しくありません。永住権申請に必要な保証人になる条件や保証人になったらどんな責任が出てくるのか、また、保証人代行サービスとはどのようなものか、解説します。
永住権を取得するには必ず保証人が必要!
入管法では、「外国人の経済的保証及び法令の遵守等の生活指導を行う旨を法務大臣に約束する人」を保証人としており、これらのことを約束できる人物を保証人に据える必要があります。
永住権の取得を目指す際には保証人の存在が不可欠です。永住権取得を考える人は、日本に在留して10年前後の人たちがほとんどなので、これまでに出会い、信頼できそうな日本人の知り合いは少なくとも数人はおり、その人たちにお願いすれば引き受けてくれるだろうと一方的に考えています。
実は保証人の依頼という部分が一番大変で、身元保証人に関する書類を集める段階になって断られることが多々あります。保証人探しが難航し、申請に向けた動きが止まり、誰に保証人を引き受けてもらうかで立ち往生することも珍しくありません。
保証人と聞いて連帯保証人を思い浮かべる人がいますが、入管法で定める保証人とは別物です。しかし、何かあったら自分が責任を負わなければならないと考える人が多く、保証人の責任範囲を正しく認識していない、もしくは申請者に正しく教えられていないケースが目立ちます。
(参照:http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/zairyuu/qa.html)
保証人になるための条件は?
保証人は誰でも簡単に無条件でなれるわけではありません。どのような人物が務めるのか、それによって永住権の申請が許可されるかどうか左右することも考えられます。
日本人もしくは永住権を既に取得している外国人
保証人になれるのは原則として日本人、もしくは既に永住権を取得した外国人の2パターンです。例えば、職場の上司、長年の友人、同僚などに依頼することができます。また、配偶者が日本人の場合は、その配偶者を保証人に据えられます。保証人になれる人を日本人などに特定しているのは、永住権を申請する人よりも長く日本に住む人物がふさわしいためで、申請者より保証人の方が在留期間が短いという状況を避けるためとされています。
配偶者がおらず、身の回りにいる日本人を探しても保証人になってくれないという場合には、身元保証人が不在である理由書を入国管理局に提出して、説明を行います。ただ、理由書を提出し、その内容が認められる可能性は高いとはいえず、申請が不許可になっても不思議ではありません。よほどの理由がない限りは、日本人の配偶者や会社の上司などに依頼して保証人になってもらうしかないでしょう。
安定的な収入がある人
入管法における保証人の定義として、外国人の経済的保証というものがあります。永住権を申請する際に提出する身元保証書には、外国人の滞在費や渡航費用を保証する項目が存在します。この場合の渡航費用は万が一母国に帰らなければならない場合のものです。つまり、滞在費や渡航費用をしっかりと払える人物が保証人にならなければなりません。そのためには安定した収入が求められ、だいたい300万円程度の年収があれば安定した収入と判断されます。
これを証明するため、保証人になる人物の職業を証明する書類として、在籍証明書や登記簿謄本などを提出することになります。また、住民税の課税証明書で安定した年収があることを証明しなければならないので、これらも出します。
税金を滞納していない人
永住権を申請する人物は、納税義務を果たし、滞納がないことを証明しなければなりません。当然、保証人になる人物も同様に納税義務を果たした人でなければ示しがつかないため、納税義務を果たしているかどうか、滞納していないかが問われます。住民税の納税証明書を提出することで、税金を滞納していないことを証明します。ただ、永住権を申請する人物よりかは厳しく問われないため、納付期限に支払っていないなどの理由で咎められることはほとんどありません。
保証人が背負うべき責任とは?
永住権を取得した人物が万が一退去強制になるような事態を招いた場合、保証人はどんな責任を背負わされるのか、不安な人もいるでしょう。ここでは保証人が背負うべき責任についてまとめました。
3つの道義的責任を伴う
保証人は主に3つの道義的責任を伴います。1つ目は滞在費の支払い、2つ目は帰国費用の負担、3つ目は法令遵守です。永住権を申請した人物に何か問題があり、退去強制などで日本からでなくてはならない場合、道義的責任として滞在費や帰国費用を支払うことになります。
法令遵守については、入管法で定義されているように、法令遵守の生活指導を行うことが求められます。日本で住む以上は日本の法律は守らなければならない、そのことをしっかりと伝え、監督指導を行うようなイメージで、これに関しても道義的責任が生じます。
身元保証書は提出するが、法的な強制力はない
永住権を申請する際には必ず身元保証書を提出します。ここには保証人の氏名、印鑑、住所、職業、勤務先、国籍、永住権を申請した人物との関係などを記載します。これを証明するために、保証人になる人物の住民票や申請者との関係を示す書類も合わせて出さなければなりません。
(参照:https://continental-immigration.com/permanent-residency/reference/)
身元保証書では、先ほどの3つについて保証すると書かれているため、万が一の場合には滞在費などを支払わなければならないと思っている方も多いようです。しかし、この身元保証書に法的強制力は発生しません。
身元保証書に帰国費用を保証すると書いてあるから、今すぐ帰国費用を支払えと国などから命令を受けることはないです。ただ、保証事項を守っていない、約束したのに実行していない場合には入国管理局から約束を守るよう指導されることがあります。
永住権を取得した人物が何か問題を起こしても、連帯責任として保証人の責任が追及されることはありません。ただ、保証人を引き受けてしまったという責任を感じて、帰国費用を支払うケースはあります。そのあたりの判断はそれぞれで分かれます。
道義的責任を果たせないと、2度と保証人になれないことも
監督責任が追及され、費用を支払う義務もない保証人。一見するとノーリスクに思えますが、もし道義的責任が果たせなかった場合、別の外国人が永住権の申請を行う際、保証人になれない可能性が浮上します。
保証人として適格ではないと今後判断され、再び保証人になるのは難しいでしょう。かなり時間を空けて保証人になれば、認めてもらえるケースはあるかもしれませんが、大きな影響を受けるのは永住権の申請を行った本人なので、注意が必要です。
保証人代行サービスには要注意!
保証人を見つけないと、保証人不在の理由書を提出せざるを得ず、しかも許可される可能性は高くありません。だからこそ、保証人は絶対に必要ですが、かといって、なってくれそうな人は周りにいない、この場合にどうすればいいのか。そこで浮上するのが保証人代行サービスの存在です。誰もいないようなら自分が保証人になるという人物を紹介してくれるのが、保証人代行サービスですが、問題が見られる場合があります。
そもそも保証人がいない外国人へのサービスなので、立場は、代行サービスを展開する業者が常に上です。その中で、保証人になる人物と調整をしていない、その人物が何かしらの問題を抱えているなども十分に考えられます。また外国人がお金を出して、保証人になる人物を探すというのは健全ではないという声も出ています。審査で発覚した場合にマイナスになる可能性が高いためです。それが原因で不許可になっては大変なので、保証人代行サービスは利用するべきではないと主張する人たちもいます。
まとめ
実際に保証人になったとしても、厳しく責任を問われる心配はありません。連座制で責任を問わされ、損害が発生すればそれを立て替えるようなこともないです。ただ、この人なら大丈夫だと思ってた外国人に裏切られる行為は、道義的責任を負う以上にダメージは大きいかもしれません。それを知ってか知らずか、保証人になることをためらう日本人が多いです。
もし会社の同僚や上司に保証人になってもらうには、保証人の責任範囲やリスクを正しく伝えることが大切です。全くのノーリスクだと伝えるより、保証する項目や道義的責任についての説明を正しく行う事で、全てを理解してから保証人になってくれるでしょう。連帯保証人と同じ意味で捉える人が多いため、それとは全然違うことを伝えることも重要です。
意外と知られていないのは、一度保証人になっても辞退することができる点です。保証人になった時点では関係が良好だったのに、急に悪化するケースが存在します。その際に、もう保証人はやらないと辞任届を提出することで、保証人から降りられます。もし、永住権を既に得ているのであれば改めて保証人を選ぶ必要はありません。また、新たな保証人を選ぶよう、要求されることもないです。ノーリスクとは言いがたいですが、ハイリスクでもないというのが実情でしょう。
なかなか保証人が見つからない人は自ら根気強く保証人を探すか、知り合いに相談して立候補してくれる人を探してもらうのもいいでしょう。結局は申請者と保証人がお互いに理解することが大事であり、無理に保証人になることを求めないことも必要になります。
永住権に関する情報はこちらの資料をご覧ください。
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