日本が大好きで来日し、さらに好きになり、日本で長く住みたい、そのように考える外国人は国籍に関係なくいるものです。外国人であっても、住宅そのものを購入することは自由であり、実際に日本で住宅を購入する外国人は珍しくありません。
在留資格こそあるものの、永住権なし、こんな外国人でも住宅ローンを組めるのかどうか、そもそも永住権なしの外国人でも利用できる住宅ローンは存在するのか、気になる人も多いのではないでしょうか。永住権なしの外国人がもし住宅ローンを組むならどんな対策があるのか?を解説します。
現時点で、永住権の有無を重視する金融機関が多い
日本で住宅を手に入れるために一番手っ取り早いのは、住宅を現金で購入することですが、現金で数千万、場合によっては1億の買い物ができる外国人はごくまれ、かなりの少数派です。
住宅ローンは住宅購入になくてはならないものですが、日本の金融機関は永住権を持っていることを条件にすることがほとんどです。その理由は単純明快で、住宅ローンは35年など長期にわたって返済を行うものです。永住権以外の在留資格は3年や5年なので、35年も返済をし続ける可能性と在留資格の期間を考えれば、あまりにもリスクが大きいことが言えます。
住宅ローンを組んだにもかかわらず、組んでからわずか数年で帰国する、金融機関からすれば最悪の状況です。一方、永住権を取得していれば、日本で長く住むことは想定できます。そのため、金融機関では永住権の有無を重要視しており、カギを握るわけです。
今後外国人が増えていけば、金融機関の方針は変わるかもしれません。マイナス金利が続き、収益を確保しなければならない時に、永住権なしの外国人でもローンを組ませることを考える金融機関も出てくるでしょう。しかし、現時点では、永住権なしの外国人には非常に厳しい現実が突き付けられています。
永住権なしの外国人が住宅ローンを利用するには?
永住権なしの外国人は、住宅ローンを利用できないわけではありません。わずかながらでも住宅ローンを組める可能性はあります。金融機関の本音は、少しでも多くの外国人に住宅ローンを組んでもらって、金利で稼ぎたいというものです。とはいえ、融資したお金が丸々不良債権化するのは避けたいところでしょう。少しでも金融機関にとってリスクが軽減されれば、住宅ローンを組ませてもらえますが、その方策として何があるのか、まとめました。
日本人の配偶者の名義で住宅ローンを組む
男は働きに出て、女は家を守る、そんな時代は古く、共働きでなければ生活が大変な時代を迎えています。一方、共働きだからこそ住宅ローンも楽に組めて、新しく開発されたエリアに家を設けて、家族で住む人もいるでしょう。永住権なしの外国人も決して例外ではなく、働いている日本人の配偶者を表に出し、配偶者の名義で住宅ローンが組めれば問題はありません。あくまでも配偶者の安定した収入を担保にしているので、万が一帰国されたとしても、配偶者がいる以上、金融機関はどんな対策でもとれます。
例えば、三菱UFJ銀行では、配偶者が日本人で、日本での勤務年数が3年以上あれば、住宅購入金額の8割までは借り入れが可能です。(参照:https://www.plazahomes.co.jp/buy/loan-info/)
(https://fudo-satei.com/housing-loan/permanent-residency.html)
全てを住宅ローンで賄うことはできませんが、ある程度はカバーできます。住宅購入金額の7割や8割をカバーするやり方は金融機関で多く見られます。中には、普通の日本人と同じように頭金なしでも住宅ローンが組めるところもありますが、そちらはやや少なめです。
それに付随して、外国人の勤務状態が正社員であることやこれまでの勤務年数、会社での年収など様々な要件がチェックされます。しかし、一番チェックされるのは、永住権がない外国人に定住性があるかどうか。一般的に日本人の配偶者がいれば、日本で長く住もうと思う外国人は多いようですが、定住性があることを金融機関に分かってもらえるかどうかが、大きなポイントとなりそうです。
母国に存在する金融機関の支店で住宅ローンを組む
例えば中国や韓国などが母国の外国人であれば、日本に支店がある中国や韓国の銀行を活用すれば住宅ローンは組めます。もし母国に帰国をしたとしても、母国に本店があるため、いくらでも回収できるというわけです。ただ、日本の金融機関よりもシビアな部分もあります。
例えば、交通銀行東京支店では、年収が一定の金額以上なら住宅購入金額の8割、一定の金額以下なら7割と定められています。中国銀行は1982年以降の建物や融資期間最長25年、中国国内の支店に人民元を預けていれば住宅購入金額の8割まで借り入れできるけど、基本は7割となっており、頭金が必ず求められます。
また固定金利が少なく、変動金利のケースが多いので、もしインフレが発生し、金利が一気に上がり始めた時、返済が一気に苦しくなるリスクもあるでしょう。頼もしいといえば頼もしい母国の銀行ですが、何かと条件がつけられている状況はさほど変わりません。
頭金を多めに用意する
三菱UFJ銀行などメガバンクでも住宅購入金額の8割しか借り入れができない状況なので、3000万円の住宅であれば、残りの2割、600万円を頭金として準備しなければなりません。7割しかダメなら残りの3割、900万円を用意しなくてはならず、どれだけ高いハードルか、額面を見ればお分かりいただけるでしょう。現金で一括払いなら、簡単に住宅は手に入れられるという現実もありますが、少しでも頭金を用意することが求められます。
頭金を多く用意すれば、「1000万円近くのお金を捨ててまで帰国する可能性は少ない」と金融機関は考えるはずです。たくさん用意できれば、それだけ負担は減り、住宅ローンはより組みやすくなります。しかしながら、頭金を多めに用意するまでのハードルが高く、共働きとはいえ、そこまでにかなりの年数がかかるはずです。信用はしてもらいやすくなりますが、そこまでの道のりは大変です。
仕方なく永住権取得を目指す
頭金として1000万円を用意するとすれば、1年間に100万円貯めるなら10年かかります。永住権取得を目指すには日本に住んでだいたい10年以上は必要です。つまり、もう少し頑張って実績を重ね、永住権を取得した方がプラスなことは多く、不利な立場で契約をすることもなくなるでしょう。永住権を取得することでどんなメリットがあるかについては後述しますが、永住権なしにこだわるぐらいなら、永住権を取得した方が手っ取り早いことは言えそうです。
永住権を取得すれば日本人と同じ扱いになる!
住宅ローンを組むために永住権を取得するメリットとはなにか、それは日本人と同じ扱いになり、不利な立場で契約しなくて済む点です。具体的な部分を1つずつご紹介します。
永住権があれば、返済能力などが重視される!
永住権がなければ定住性を審査されますが、永住権があれば少なくとも定住性はクリアします。どれだけ返済能力があっても、定住性がなければ話にもならなかった状態から解放されるのは非常に大きな要素です。もちろん、永住権があれば誰でも住宅ローンが組めるわけではありませんが、そのあたりは日本人にも言えます。だいたい年収の3割前後が年間の返済額の上限とされ、それさえクリアすれば住宅ローンを組むことは十分に可能です。
金利も日本人と同じ利率に!
永住権がない、それでも住宅ローンを組みたい外国人に、手を差し伸べる金融機関があれば、永住権を持っていない外国人はありがたくその手をつかむでしょう。ところが、金利はリスクも考慮し永住権を持つ人に比べて利率が高い、そんなことも十分に考えられます。固定金利を選べず変動金利しか利用できないケースがあり、インフレが発生し一気に利率が跳ねあがる可能性は否定できません。永住権を取得すれば日本人と同じ扱いになるため、有利な状態で契約が行えます。外国人だから足元を見られるということは少なくなり、日本人と同じ利率で住宅ローンが組めるでしょう。
永住権があればフラット35を利用できる!
住宅を購入する際の強い味方になってくれるフラット35。インフレでたとえ金利が急上昇しても、借り入れ時点での金利が35年間ずっと適用されるため、インフレに怖がる必要がありません。繰り上げ返済にも手数料がかからず、保証人は不要、団体信用生命保険に加入していれば加入者が亡くなれば返済が不要になるなど、メリットがいくつもあることは明らかです。しかし、永住権がないとフラット35は利用できません。
永住権を取得すればフラット35は利用でき、金利負担も軽く、年1.110%で借り入れが行えます。永住権がない中で、この金利で借りることは非常に困難です。それを考えれば、永住権を取得してでもフラット35を利用する価値は十分にあります。
まとめ
永住権がない中で住宅ローンを組むことは、可能といえば可能であるものの、ハードルはそれなりに高いです。永住権を取得すれば頭金なしでもローンを組める可能性が出てくるため、頭金で1000万円近くを用意するようなこともしなくて大丈夫です。日本人の配偶者がいればその人を名義人にすればいいものの、正社員でなければならず、年収もそれなりにあることが要件になるので、ハードルの高さはそこまで変わりません。
日本人であっても住宅ローンを組むまでが大変で、組んでからも神経を使います。それが外国人ともなればより大変になる事は当然といえば当然でしょう。突発的に住宅ローンを組みたいと思っていても頭金も何もない中では門前払いがオチ。計画的な行動をしていくとともに、お金の準備や定住性の説明など、ハードルを飛び越えるために必要な準備は済ませておきましょう。
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