毎年在留資格を得て、数多くの外国人が日本にきます。なかでも日本で就業できる在留資格を取得し、日本が就業する人が増えています。業界によっては長年人手不足に悩まされており、さらに高齢化社会が続くことで、後継者不足が問題になっていることもあります。
そこで高度外国人材の受け入れを促進するために、新しく設立されたのが高度人材ポイント制です。
在留資格高度人材を説明
高度人材とはなかでも学歴や、職歴、年収などの評価が高い在留資格者にポイントをつけ、ポイントによって出入国管理上の優遇処置を与えているのが高度人材ポイント制です。
在留資格高度人材ができたきっかけ
高度人材とは「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり,「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。
日本は国際化社会を迎え、労働市場の発展が必要な時期です。そこで有能な外国人労働者を迎え入れ、生産の効率性を高め、さらに高齢化社会からくる人材難の問題をクリアしなければいけません。そこで日本で就業できる在留資格をもっている外国人の中でも、技術や学歴などを持っている外国人にさらに優遇しようということになったのです。
概要
高度外国人材の受け入れを促進するためにポイント制を活用することにより、出入国管理上の優遇処置をすることができるようになります。活動内容は、「高度学術研究活動」,「高度専門・技術活動」,「高度経営・管理活動」にわけて、それぞれ項目ごとの内容によりポイントをつけ、そのポイント合計が70点になった場合、出入国管理において優遇されます。
逆にいえば、優遇をしてでもぜひ日本にきていただきたい外国人といえます。では、具体的にどのように区別されているのか解説します。
・高度学術研究活動 「高度専門職1号(イ)
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究,研究の指導又は教育をする活動
・高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学又は人文科学の分野に属する知識又は技術を要する業務に従事する活動
・高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」
本邦の公私の機関において事業の経営を行い又は管理に従事する活動
例えば、優良企業の経営者、高度な研究を続けている技術者、博士号取得者、海外の一流大学を一流の成績で卒業している人などが該当します。上記のように3種類の活動にわけることができます。それぞれを詳しく説明します。
・高度学術研究活動 「「高度専門職1号(イ)」
高い技術を持ち、自分の研究だけでなく指導をしたり教授の資格がある人達です。
・高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」
生物学、化学、物理学といった自然科学、もしくは哲学、心理学、歴史学、社会学といった人文学にかかわるような知識や技術をもった人が対象となります。高度人材は3種類の項目があるのですが、この高度専門・技術活動「高度専門職1号(ロ)」が最も活動者が多いです。
・高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」
他の2種類の高度専門職が研究者、教育者であることと比べて、高度経営・管理活動「高度専門職1号(ハ)」は企業での経営者、役員などが対象になります。在留資格でいう「経営・管理」に該当しさらに職歴・学歴などでポイントが高い人ということになります。
優遇措置の内容
高度専門職1号と2号によって優遇内容が異なってきます。それぞれの高度専門職による優遇内容は以下の様になります。
「高度専門職1号」の場合
学歴や職歴、年収など様々な観点でそれぞれに点数をつけ一定以上の点数を取得した場合には、出入国管理において優遇されます。
-
1. 複合的な在留活動の許容
-
2. 在留期間「5年」の付与
-
3. 在留歴に係る永住許可要件の緩和
-
4. 配偶者の就労
-
5. 一定の条件の下での親の帯同
-
6. 一定の条件の下での家事使用人の帯同
-
7. 入国・在留手続の優先処理
「高度専門職2号」の場合
高度専門職2号に関しては在留期限はなく、高度専門職1号と比較しても活動できる範囲が広くなります。
-
a. 「高度専門職1号」の活動と併せてほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
-
b. 在留期間が無期限となる
-
c. 上記3から6までの優遇措置が受けられる
-
※「高度専門職2号」は「高度専門職1号」で3年以上活動を行っていた方が対象になります。
引用 法務局入国管理局
高度人材在留資格を取得するためのポイント計算方法
それでは、どのように高度人材を取得するためのポイントを計算するのでしょうか。それぞれを詳しくご紹介します。またポイント計算表の詳細は法務省入国管理局のリーフレットより引用しています。
学歴条件
大学卒業と修士号の取得でポイントが加算され、博士号や日本の大学を卒業している場合はポイントがさらに増えます。
高度学術研究分野と高度専門・技術分野の場合
内容 |
ポイント |
博士号(専門職に係る学 位を除く。)取得者 |
30 |
修士号(専門職に係る博 士を含む。)取得者 |
20 |
大学を卒業し又はこれと 同等以上の教育を受けた 者(博士号又は |
10 |
複数の分野において,博 士号,修士号又は専門職 学位を有している者 |
5 |
高度経営・管理分野の場合
内容 |
ポイント |
博士号又は修士号取得 者 |
20 |
大学を卒業し又はこれと 同等以上の教育を受けた 者(博士号又は修士号取 得者を除く。) |
10 |
複数の分野において,博 士号,修士号又は専門職 学位を有している者 |
5 |
職場の条件
3年以上の職歴が条件となりますが、5年、7年、10年以上の職歴がある場合はさらにポイントが増えます。
高度学術研究分野の場合
内容 |
ポイント |
7年~ |
15 |
5年~ |
10 |
3年~ |
5 |
高度専門・技術分野と高度経営・管理分野の場合
内容 |
ポイント |
10年~ |
25 |
7年~ |
15 |
5年~ |
10 |
3年~ |
5 |
年収の条件
年齢に応じた年収額となるのですが、高度経営・管理活動に関しては1,000万円以上ではじめてポイント加算となります。また300万円以上の年収がないと、高度人材としては認められません。
高度学術研究分野と高度専門・技術分野の場合
年齢区分に応じ,ポイント が付与される年収の下限 を異なるものとする。
|
~29歳 |
~34歳 |
~39歳 |
40歳~ |
1,000万円 |
40 |
40 |
40 |
40 |
900万円 |
35 |
35 |
35 |
35 |
800万円 |
30 |
30 |
30 |
30 |
700万円 |
25 |
25 |
25 |
ー |
600万円 |
20 |
20 |
20 |
ー |
500万円 |
15 |
15 |
ー |
ー |
400万円 |
10 |
ー |
ー |
ー |
高度経営・管理分野の場合
年収 |
ポイント |
3,000万円~ |
50 |
2,500万円~ |
40 |
2,000万円~ |
30 |
1,500万円~ |
20 |
1,000万円~ |
10 |
地位の条件
高度経営・管理活動に関しては、代表取締役や執行役といった地位でポイントがつきます。
地位 |
ポイント |
代表取締役,代表執行役 |
10 |
取締役,執行役 |
5 |
特別加算条件
上記の他に、様々な条件に達していればさらにポイントが加算されます。例えば経営者の場合、経営している会社がイノベーション創出促進支援処置を受けていれば10ポイント加算となります。
3つの分野で共通する項目
内容 |
高度学術研究分野ポイント |
高度専門・技術分野ポイント |
高度経営・管理活動ポイント |
イノベーションを促進する ための支援措置(法務大 臣が告示で定めるもの) を受けている機関におけ る就労 |
10 |
10 |
10 |
試験研究費等比率が3% 超の中小企業における就 労 |
5 |
5 |
5 |
職務に関連する外国の資 格等 |
5 |
5 |
5 |
本邦の高等教育機関に おいて学位を取得 |
10 |
10 |
10 |
日本語能力試験N1取得 者又は外国の大学 において日本語を専攻し て卒業した者 |
10 |
10 |
10 |
日本語能力試験N2取得 者 |
10 |
10 |
10 |
成長分野における先端的 事業に従事する者(法務 大臣が認める事業に限 る。) |
10 |
10 |
10 |
法務大臣が告示で定める 大学を卒業した者 |
10 |
10 |
10 |
法務大臣が告示で定める 研修を修了した者 |
5 |
5 |
5 |
この他にも、高度学術研究文野には職務に関連する日本の国家資格の保有(1つ5ポイント)、高度専門・技術分野には経営する事業に1億円以上の投資を行っている者には5ポイント加算されます。
研究実績
高度学術研究分野と高度専門・技術分野の場合は研究実績も、ポイント加算の対象となります。
研究内容 |
高度学術研究分野ポイント |
高度専門・技術分野ポイント |
特許の発明 1件~ |
20 |
15 |
入国前に公的機関から グラントを受けた研究に 従事した実績 3件~ |
20 |
15 |
研究論文の実績につい ては,我が国の国の機 関において利用されてい る学術論文データベース に登録されている学術雑 誌に掲載されている論文 (申請人が責任著者であ るものに限る。) 3本~ |
20 |
15 |
上記の項目以外で,上 記項目におけるものと同 等の研究実績があると 申請人がアピールする 場合(著名な賞の受賞歴 等),関係行政機関の長 の意見を聴いた上で法 務大臣が個別にポイン |
20 |
15 |
高度人材在留資格を取得するための申請
それでは高度人材在留資格を取得するにはどのようにすればよいのでしょうか。申請方法や申請する場所、申請時の注意点をご紹介します。
申請方法
申請方法は、これから入国する外国人と、すでに日本に在留している場合で異なります。
・これから日本に入国する場合
これから日本に入国する場合は在留資格証明書の交付申請が必要となります。地方出入国在留管理局の窓口で申請をする必要があり、審査が行われ在留資格該当・上陸条件適合となったら、在留資格認定証明書の交付がされます。
このあとの流れはすでに日本に在留している場合と同じです。
・すでに日本に在留している場合
地方出入国在留管理局の窓口で在留資格変更許可申請・在留期間更新許可申請をします。ここで高度人材該当性を審査されます。
ポイントは以下の3点です。
【ポイント】
行おうとする活動が高度外国人材としての活動であること
ポイント計算の結果が70点以上であること
在留状況が良好であること
引用 法務局
申請する場所
地方出入国在留管理局の窓口
高度人材制度は、在留資格を持っている外国人の中で、さらに技術や職歴などが高い人に対してポイントを計算し、出入国管理上の優遇措置をしています。このことにより、日本の産業にイノベーションをもたらし、生産性を高める目的があるのです。
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