日本には多くの韓国人が住んでおり、韓国人労働者も年々増えています。韓国人労働者を採用するにあたり、企業側は韓国人のどのようなことを知っておくべきか、そして、採用するメリットやデメリットはあるのか、今回は韓国人を採用する際に気をつけるべきことなどをまとめました。
日本で働く韓国人労働者は右肩上がり!
厚生労働省が発表した、平成29年10月末時点での外国人雇用状況によると、日本での韓国人労働者の数はおよそ5万6000人で、前年に比べて10%以上伸びており、この傾向は続いています。その理由は韓国の深刻な雇用問題にあります。若者の働き口が韓国になく、20代までの若者を対象にした青年失業率は10%の大台を超えており、高学歴でありながら仕事に就けない若者ばかりです。その活路を日本に求め、韓国の政府も後押しをします。(参考:https://global-saiyou.com/column/view/korean_recruitment)
現在も青年失業率の改善につながる材料に乏しいことを考えると、今後も日本に働き口を求めるケースは増えそうです。裏を返せば、韓国の優秀な才能を持つ人たちが日本にやってくるようになり、高度人材として働いてもらえます。日本の企業側にとっては大きなチャンスであり、この状況を利用しない手はありません。
韓国人を採用する上で知っておくべき、特徴・言語
韓国は日本よりも学歴主義の傾向が強く、受験に人生がかかっています。学校の授業も受験が優先、プライベートも何も関係なく、日々勉強。それが韓国人ですが、計画を立てて最後まであきらめない姿勢につながっています。無計画ですぐにあきらめるような人は受験で勝てません。優秀な大学を出た人ほど、マジメに、立てた計画を遂行し、粘り強く行動できるといえます。
自分の意見をはっきりと伝えるのも特徴で、自己主張は激しく、時に衝突することも。素直な人が多く、喜怒哀楽がはっきりした人が目立ちます。何を考えているか分からないということが少ないので、指導は比較的しやすいです。
韓国語は日本語と文法が同じで、しかも、昔に日本の言葉が韓国に持ち込まれ、それが定着するなど親和性があるのも特徴です。そのため、新たに日本語を学ぶ際には比較的習得しやすく、言葉の壁は中国人やベトナム人などのそれと比べれば低いでしょう。
韓国人を採用する上で知っておくべき、宗教・文化・歴史
韓国は儒教が有名ですが、日本も儒教の影響を受けています。ただ、影響の度合いを見ると明らかに韓国の方が強いです。儒教には、仁、義、礼、智、信の五常があり、これらを守ることで様々な人間関係を維持することを説いています。韓国は人を思いやる「仁」が、日本は忠誠心を示す「義」がそれぞれメインとなっており、親と会社なら親を選ぶ韓国、反対に会社を選ぶ日本の違いとなって出ているのは明らかです。
会社に対しても、韓国は自分で起業する人が多く、あまり会社に尽くすというイメージはありません。また、年齢を最優先するので、肩書きより年齢が重視されることも。その文化の違いには注意が必要です。
韓国の歴史は、朝鮮戦争やその後の独裁政権など暗いイメージが大きく、地域間の対立や差別、徴兵制、大規模なデモが絡み合っています。特に徴兵制は義務なので、30歳までにその義務を果たさなければなりません。ただ、就職してから兵役に行くことはほとんどなく、日本に働きに来る人は既に兵役を済ませたケースがほとんどです。企業側が徴兵制のことを考える必要はありませんが、40歳まで予備役として扱われ、年に1回2泊3日の訓練に参加しなくてなりません。韓国に戻ることを考慮すれば3日以上休むことになるので、その扱いをどうするか決めておかないと大変です。
韓国人を採用するメリットは何?
韓国人を採用することで企業側にどんなメリットがあるのか、ここではいくつかのプラスになりそうなことをご紹介します。
高いレベルの日本語を理解できる
在留資格として新設された「特定技能」の条件の1つである日本語能力。この日本語能力を測るための試験が日本語能力試験です。2017年度第1階の試験では、5段階あるレベルにおいて最も上のN1を、韓国で受けた人の数は1万人でした。中国は4万人近くおり、数で言えば3倍以上の差がありますが、元々の人口差は20倍以上あることを考慮すれば、高いレベルの日本語を理解する韓国人の多さが分かることでしょう。
先述したように、韓国語と日本語は文法が同じで、習得しやすい面や韓国の高校で第二外国語を指定する際、日本語を選ぶ学生が多い事情もあります。日本語を理解する韓国人が多く、言葉の壁が低いのも日本の企業側からすればプラスです。
日本の企業文化への理解度が高い
性質はやや異なれど、儒教の精神が行き届く日本と韓国。企業文化で見ても、年上を敬うという姿勢は日本も韓国も共通です。日本の場合、肩書きが優先されるため、そこが韓国と違う点ですが、韓国人は日本の企業文化を理解し、年功序列のやり方を受け入れようとします。完全な実力主義の会社は別ですが、日本本来の企業文化である年功序列型の会社であれば、それを受け止めて働いてくれます。
中国人などはそのあたりの理解度が高いとは言い切れず、欧米各国から見れば日本の働き方は様々な面でおかしいと感じることもあるでしょう。お隣の国だからこそ、相手の事情がよく分かり、根元の部分で変わらないからこそ、すんなりと溶け込めるようになります。
若くて優秀な即戦力が多い
日本にやってくる若い韓国人は、その多くが高学歴の持ち主、大学でもしっかりと勉強しています。優秀な学生ほど大企業で働こうとし、それが失敗しただけのことですので、実際は優秀な人材が多く、即戦力になり得る人ばかりです。それに加え、兵役を終えた人ばかりなので、精神的な強さもあります。日本の大学生にはないものをいくつも持っているのが若い韓国人労働者です。
韓国では、20歳から28歳までの間に入隊しなければならず、25歳までの若者で入隊していない人は海外への渡航制限もあります。1年半から3年が兵役期間となり、大学を休学して兵役に就く人がほとんどです。
韓国で何を学んだのか、どのような職種につきたいのかでも違いますが、生きていくために日本で働くことを選んだという姿勢がとても大きく、勉強熱心で向上心があるところは企業側からすれば頼もしいの一言に尽きます。
韓国人は変化に強い
皆さんは「パルリパルリ」という言葉をご存知ですか?パルリは早くという意味があり、とにかくせっかちで早く行動したがる人が目立ちます。とにかくスピード重視で、結論から話さないとイライラされるなど、江戸っ子ばりの気の短さを彷彿とさせます。だからこそ、様々な文化への対応が素早く、常に先手を打とうとする姿勢が垣間見えます。慎重に物事を見る前に行動を起こす、それが韓国におけるパルリパルリ文化です。
変化することに強く、早く行動することを良しとする文化であるため、とにかく仕事の手際がいいので、ある程度仕事を教えて、報連相を徹底させておけばやるべきことはきちんと、素早くやります。若い時からそれができるので、日本における指示待ち人間とは雲泥の差です。
韓国人を採用する上でのデメリット・気をつけるポイントは?
韓国人を採用するメリットが色々と見つかった一方、反対にデメリットも存在します。また、採用してから気を付けたいことを含めてご紹介します。
日韓関係の悪化に伴う心情的な対立
韓国では反日教育が熱心に行われているため、心情として日本を好かない人が多いです。それ自体は隣国に対するライバル意識のようなもので、日本と韓国だけに限らず、世界中で見られる光景です。しかし、日韓関係は近年悪化の一途を辿り、いまだに過去の戦争の清算が終わっていないような事態を招いています。何かあれば日本製品の不買運動や抗議活動が巻き起こり、日本バッシングが出てくる、それが最近の傾向です。
それを見て日本人もいい気分にはならず、韓国に対して何らかのペナルティを与えるべきだと息巻く日本人は増えていきます。すると、なぜ韓国人を採用しているのかと言ってくる人も。同じ企業の中でも韓国にいい感情を持たない人だっていないとは言えません。民間レベルでは熱心な交流が行われているものの、どこまでそれが続くかも不透明。お互いの経済に打撃を与えるような事態になれば、今以上に心情的な対立が見られるはずです。
韓国人の気質が招くトラブル
良くも悪くも素直で、感情を全面に出し、負けず嫌い。それが韓国人の気質ですが、血の気が多いことでトラブルになることも見られます。主張が強く、正義感があるので、噛みつく時はどんな相手にも噛みつきます。日本の企業だと、あまり角が立つことをすれば疎まれるだけですが、韓国人は気にしません。そのあたりの対策を立てないと、従業員同士のトラブルに発展する可能性も出てくることでしょう。
日本人は和を乱されることを嫌い、不平不満を言って、たとえそれが自分の労働環境を改善する素晴らしい提案でも、和を乱されることを問題視する傾向にあります。韓国人にはそのあたりの感覚が分かりません。雨降って地固まるということわざがあるように、後になってそれがいい効果をもたらすことも考えられますが、起こりやすいトラブルとして覚えておきましょう。
韓国と日本の文化の違い
韓国は親を大事にし、日本は仕事を大事にします。そのため、親が危篤状態という場合、韓国であればどんな状況でも駆けつけますが、日本はそれよりも仕事に励む方が美徳とされます。親の死に目に会えないことは韓国人からすれば一生の不覚、消えることのない後悔につながります。これを韓国人に押し付けた場合、猛烈な反発や極度のモチベーション低下につながるため、どれだけ繁忙期であっても送り出すことを覚悟しなければいけません。
あとは徴兵制の定期訓練の扱いです。韓国では毎年2泊3日の訓練がある場合、会社を普通に休みます。国防に関することなので、それをやめさせる権限はありません。日本では休暇を使って予備自衛官が訓練に参加するケースがありますが、韓国では休暇扱いにならないとか。義務であることが大きいようですが、どう取り扱うかも決めておくべきでしょう。
まとめ
韓国人を採用することでメリットもデメリットもそれなりにあります。ただ、いかに準備を進め、韓国人への理解を深めるかが重要であり、気質や文化などを知って対応していれば問題ありません。心情的に納得がいかないことも従業員の中にはあるかもしれませんが、異文化への理解は自問自答の末に身につくものです。安心して働いてもらえる環境を作ることが、企業側の責務であり、果たすべき義務と言えるでしょう。
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