永住権についての概要を知りたい方はこちらのお役立ち資料をご覧ください。
「永住権は一度取ってしまえば取り消されることはない」外国人のみならず日本人でもそのように考えている人はいるかと思います。しかし、実際は、苦労して取得した永住権があっさり取り消されてしまうことがあります。しかも、近年になって永住権が取り消しになるケースが増えていることをご存じですか? どんな場合に取り消しになるのか、取り消しにならないようにするには何をすればいいのか、詳しく解説します。
永住権が取り消しになる件数が年々増加!
平成29年時点で永住者数はおよそ75万人で、10年間で1.5倍になっています。中国人が永住権が取得するケースが増え、フィリピン人も同じように増える一方、それまで国別2位だったブラジル人は横ばいでフィリピンに抜かれました。
参照:永住者の在留資格について
日本に住む外国人のうち、3割が永住者とされる中、平成30年に永住者の資格が取り消された件数は25件と大きく伸びています。このうち、ベトナムイが8件、フィリピンが5件、中国が3件、その他が9件で、数としては少ないと感じるでしょうが、在留資格全体では平成29年と比べ倍増、永住者の資格取り消しで見れば平成26年の件数と比べ、実に5倍です。
在留資格に特定技能が追加され、事実上の移民政策と言われていますが、同時に厳しく取り締まる動きが見られます。永住者へのハードルを高くするだけでなく、少しでも怪しい動きを見せればマークされ、何かあれば取り消しになる、そのような時代を迎えたといっていいでしょう。だからこそ、どのようなことをすれば永住権が取り消しになってしまうのか、知らなければなりません。
永住権が取り消しになる5つのケース
そもそも永住権は、品行方正で信頼でき、日本に住み続けることで日本にとっていい働きをしてくれるであろう外国人に与えられます。永住権が実際に取り消されるケースには5つのことが考えられ、その原則を踏まえた上で、1つ1つを詳しく解説します。
永住権を得るための申請内容にウソがあった
永住権の申請を行う際には、申請理由書や納税証明書、預金通帳のコピー、身元保証の書類など様々なものを提出し、サラリーマンであれば在職証明書なども必要です。提出した書類に不正が見つかったり、虚偽申告があったりすると、品行方正ではないとみなされ、永住権が取り消されることがあります。
法務省が平成30年、実際に永住権を取り消したケースとして、永住許可をする際、日本人の配偶者と婚姻関係にないにも関わらず、同居をしていると偽り、申請書に書いて永住許可を受けていたというケースがあります。永住権の取得後、婚姻関係がないことが発覚し、永住権は取り消されました。
また、永住権の申請をする際に虚偽がなくても、その前に行った別の在留資格の申請の際にウソがあり、それが発覚した場合も遡って問題視し、永住権を取り消すケースも考えられます。要するに、永住権取得までに1回でもウソをつき、たとえそれがかなり昔のことだったとしても、発覚すればすべてが水の泡になってしまいます。
再入国許可を事前に申請していなかった
日本に滞在するために、在留資格が存在します。そのため、日本を出ればその時点で在留資格は必要なくなります。ところが、また日本に来る場合、毎回在留資格を取得するのは、取得する側も審査する側も大変なため、再入国許可という制度を設けています。1年以内に再入国をする場合は「みなし再入国許可」、1年を超える場合は「再入国許可」を申請します。
みなし再入国許可は申請が簡単で、再入国収入国記録の紙にある、「一時的な出国であり、再入国する予定です。」という項目にチェックをいれれば大丈夫です。とても簡単です。再入国許可は、出国する前日までに入国管理局に申請し、1回だけの入国を認めるシングル、何回でも入国できるマルチの2つから選びます。永住者であれば5年間再入国が認められ、出国しても永住権は消滅しません。
ところが、これを怠ったり、「再入国許可の有効期間内に再入国の予定はありません。」という項目にチェックを入れたりすると、出国したその時点でせっかくの永住権が消えてしまいます。事前に申請をしていたとしても、1年以内など、決められた範囲内で再入国をしなければ永住権は消滅します。永住権が消えれば、それまで積み重ねてきた実績もすべて白紙となり、ゼロから再び永住権を目指していくことになります。それがどれだけ辛い道のりであるか、永住権を取得した人にしか分かりません。
日本で犯罪を行い、懲役刑などを受けた
品行方正で信頼できる外国人であるかどうかが1つの目安とされる中、日本で犯罪行為を働いた時点で品行方正とは言えません。犯罪を犯して懲役刑や禁固刑を受けることで強制退去処分が下される可能性が出てきます。帰化をすれば日本人と同じ扱いなので強制退去にはなりませんが、永住権の時点では外国籍を有しており、強制退去処分の対象です。ちなみに執行猶予付きの有罪判決の場合も強制退去の対象となる場合があります。
ただ、略式起訴をされ、略式命令の罰金刑のようなことになれば、強制退去とはなりません。例えば、軽微な犯罪を犯し、罰金刑を1回だけ受けたからといって、それで強制退去にはならず、永住権の申請などでそれが致命的な問題になるとも言いがたいです。
在留カードの更新手続きをしなかった
基本的に永住権を持つ人の在留期間は、一生涯続きます。だからといって、在留カードの更新を一切しなくていいわけではなく、7年に1回は在留カードの更新が必要になります。更新自体は、在留カードの有効期限の2か月前から行えます。仮に、海外に出なければならず、更新ができない場合は申請書を出して判断を仰ぎます。
永住者は更新するのにさほど時間がかからず、日本人が運転免許の更新をするような感覚で大丈夫です。それでも、運転免許の更新を忘れる人がいるように、在留カードの更新を忘れて、せっかくの永住権が台無しになるケースも考えられます。
居住地登録をしていなかった
3か月以上日本にいる外国人は、日本に入国した際に、住まいのある市町村において住民登録をする必要があります。当然ながら永住者も済ませなければなりません。この居住地登録を忘れることで永住権が取り消されます。また、引っ越しをする際に転出届もしくは転入届を提出せず、90日を超えればその時点でも永住権は消えます。品行方正で信頼できる人は、そのあたりの手続きもきちんとするため、その部分を咎められた形です。
永住権が取り消しにならないための対策とは?
どの項目に関しても、注意深く観察をしていれば永住権が取り消されるような事態にはなりません。取り消しにならないための対策をまとめました。
申請の段階で正直に申告する
多くの永住希望者が日本におり、自分くらい不正をしてもバレやしないだろうと考えている人がいるかもしれませんが、そんなことはお見通しです。書類を照らし合わせ、本当に申請通りの状態なのかを徹底的に審査します。そのため、本当に婚姻関係があるのかどうか、実際に確認するケースも出てきます。
ちょっとしたウソは必ずバレます。ウソは絶対につかないと肝に銘じ、何か怪しいことがあってもそれを正直に申告しましょう。不許可になることもあるでしょうが、再チャレンジの機会も出てきます。ウソをつきバレれば、虚偽申請をしたということで在留資格等不正取得罪で罰せられます。3年以下の懲役を科せられ、在留資格は取り消し、退去強制の処分が下され、5年間は日本への上陸が拒否されます。この罪は平成29年1月1日に施行された改正入管法で設けられ、上陸拒否が解かれてから永住権を獲得できるのか定かではありません。
専門家に申請の代行を依頼する
ネットが発達すると、どのように永住権を申請すればいいのか、レクチャーしてくれるサイトもあります。ところが、自分で申請をする中で、ウソをつくつもりではなくても間違った資料を添付したり、理由書を誇張したりして、後になって虚偽と指摘されたり、不許可になったりすることが考えられます。帰化するのに比べれば永住権はハードルが低いものの、それでも専門家に申請代行を依頼した方が、確実に永住権は取得しやすくなるでしょう。理由書の書き方もフォーマットがないため、1人で考えるのは大変ですが、専門家はそのあたりも細かく教えてくれるので頼りになります。
税金などの滞納がないなど、全うに生活する
品行方正で信頼できる外国人であること、これが1つの要件なので、これを満たす外国人であれば大丈夫です。当然のことながら犯罪は犯さない、税金などの支払いは必ず行うなどを守れば、申請書類に不備さえなければ永住権は認められます。日本人のほとんどは税金で滞納することはなく、犯罪だって犯しません。日本人が当たり前のようにクリアすることを、日本で長く住み続ける以上は守ってもらいたい、そのような思惑もあります。堂々とマジメに生きる、これが永住権を取り消されないポイントと言えるでしょう。
永住権が取り消しになるケースのまとめ
年々永住権の取り消しの件数が増えているとはいえ、平成30年の1年間で25件しかありません。結論として、永住権の取り消しは虚偽やうっかりミスでしか起こり得ません。政治的な問題で永住権が取り消されることも、何も落ち度がないのに取り消されることももちろんありません。
在留資格として特定技能が創設され、日本で永住しようと考える外国人が一気に増える可能性があります。今は少なくても数年後、10年後にはケタが大きく変わっているかもしれません。永住権を得るまでに在留資格を取得する時に絶対にウソはつかない、資料をごまかさない、配偶者がいないのにいると偽らない、これらを守っていればそう簡単に取り消されることはありません。
永住権に関する情報のまとめはこちらのお役立ち資料をご覧ください。永住権についての説明から取得方法、取り消しになるケースまでわかりやすく解説しています。
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