永住権取得に関するまとめ資料はこちらのページをご覧ください。
日本に長く住み続けるために欠かせない永住権の取得。しかし、実際に取得を目指す際には、いくつかの条件をクリアしなければなりません。
永住権は帰化に比べて、そこまでハードルは高くないと言われてきましたが、2019年7月以降、永住権を取得するための基準が上がってきています。
厳正な審査が必要となった永住権取得のために絶対に外せない3つの条件について紹介します。
そもそも「永住権」とは?
永住権とは、在留資格の1つで「永住者」にあたるもので、日本の在留資格を持つ外国人の約3割が永住権を所有しています。
永住権を取得するメリットとしては以下が挙げられます。
・在留期間が無期になる
・就労制限がなくなり、自由に働ける
・在留資格の変更がなくなる
・配偶者などの在留資格の選択肢が広がる
これらのメリットを得られる永住権ですが、新規の取得が難化しているという現状もあります。
永住権取得の条件は厳しくなっている
2018年12月に改正入管法が成立し、在留資格として「特定技能」が創設されました。実はそのタイミングで永住権を申請する際に厳格な審査を行うよう、決議が行われました。
決議を受け、2019年5月31日には、永住許可に関するガイドラインが改訂され、決議に沿った内容に変更されました。
改訂されたガイドラインに基づき、2019年7月から永住権の審査が厳格化され、今まで以上に永住権の取得までの道のりが大変になっています。
参照:永住許可に関するガイドライン(令和元年5月31日改定)
ガイドラインが改訂されたことで大きく変わったのは公的義務についての部分です。
今までは納税義務が中心だったため、税金の支払いが滞っていないかどうかをチェックすれば大丈夫でした。
一方、改訂されたガイドラインには、税金に加え、年金や保険料の納付義務、出入国管理などの届け出義務も証明する必要があると記載されています。永住権取得のために用意すべき資料が今までよりも一気に増え、年金や保険料などの滞納も審査の際に厳しくチェックされるようになりました。
運用がガラッと変わったため、保険料などの滞納がある場合にはいち早く滞納の状況を改善させることが求められます。
元々難しいと言われてきた日本の永住権取得が、より難化しています。
参考:日本で永住権は難しいのか?理由も含めて詳しく解説します
永住権を取得するために必要な3つの条件
永住許可に関するガイドラインでは、法律上の要件として3つの条件を挙げられています。それぞれの条件について詳しく解説します。
素行が善良であること
法務省が定めたガイドラインには、「法律を遵守し日常生活においても住民として社会的に非難されることのない生活を営んでいること」と書かれています。日本に住む以上、日本の法律を守ることは当然で、真っ当に生活をすることが重要視されます。
犯罪を犯して懲役刑に処せられればその時点で退去強制の可能性が浮上しますし、交通違反などを数年間で何度も犯すと素行が善良ではないと判断されます。
独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること
ガイドラインには、「日常生活において公共の負担にならず,その有する資産又は技能等から見て将来において安定した生活が見込まれること」と記されています。この場合の公共の負担とは、生活保護などを受給していないことを示します。
「資産や職業をチェックし、長く安定した生活が見込めるかどうか」が判断基準です。ただし、実際に永住権を取得する外国籍の人物の年収だけでなく、配偶者なども含めて判断されます。
その者の永住が日本国の利益に合すると認められること
この条件については複数の項目が存在しており、それぞれに合致するかどうかが問われます。
1つ目は、引き続き10年以上日本に在留していることです。その10年の中で、5年以上は就労資格や居住資格で在留していることが条件になります。日本に10年以上居続けることが条件とされ、永住権を目指す人は10年の在留をし、10年が経過してから永住権取得に向け動き始めます。
2つ目が先ほどご紹介した公的義務の履行です。住民税の納税証明書はこれまで3年分で良かったものが5年分に、そして、証明書だけでなく、引き落としがあった通帳の写しなどを一緒に提出しなければなりません。他には国税の納付状況の確認、公的年金の納付状況の確認、公的医療保険の保険料に関する確認などが必要になりました。
3つ目は、現在の在留資格が最長の在留期間になっていることです。多くの在留資格では、最長の在留期間は5年となっているため、更新後の在留期間が5年になってから永住権を目指すことになります。
4つ目は、公衆衛生上の観点から有害となるおそれがないことです。要するに感染症に感染しているかどうかが問われ、過去に感染症にかかった人は、現時点では感染していないことを証明しなければなりません。
現時点で感染症を罹患している方は、永住権の取得どころではないため、そこまで重きを置くべきではないでしょう。
永住権の取得方法について
永住権の取得には以下の書類の提出が必要となります。
・申請書
・申請理由書
・写真
・在留カード
・立証資料
・資格外活動許可書(交付されている場合)
・旅券か在留資格証明書(提示できない場合はその理由を記載した理由書で代替可能)
・身分証明書(申請取次者が申請する場合)
・身元保証に関する書類
提出書類について詳しく知りたい方は以下をご覧ください。
また、申請書類の審査には4ヶ月かかるとされています。しかし、これは標準的な処理期間に過ぎず、実際には8ヶ月ほどかかるケースもあるようです。
永住権の条件「原則10年在留」には特例がある
永住権を取得するためには、原則として日本に10年以上在留しなければならないという条件があります。
しかし、この「原則10年在留」には特例があることをご存じでしょうか。その特例について詳しく解説します。
日本人と結婚している場合
配偶者が日本人もしくは永住権を持つ人物・特別永住者の人物だった場合、結婚3年以上かつ1年以上日本に在留していることが条件になります。書類上、婚姻関係にあればいいわけではなく、実体が伴った結婚かどうかが重要です。夫婦として3年以上過ごし、1年以上日本に暮らしていれば、10年以上の在留の必要はなくなります。
また、配偶者が日本人などの場合は、素行が善良であること、独立の生計を営むに足りる資産又は技能を有すること、2つの要件が適用されません。配偶者が日本人というだけで、永住に向けたハードルはかなり低くなります。
在留資格「定住者」の資格を持つ場合
日系人や難民、日本人の配偶者等と死別や離別をした外国人などを対象にした在留資格として、「定住者」という資格が存在します。この資格を5年以上継続し、日本に滞在している場合にも永住権は与えられます。
難民の認定を受けた場合
難民の認定を受けた人は、認定を受けてから5年以上継続して日本に在留していれば永住権の取得に向けた資格が与えられます。
平成30年には難民認定の申請者数はおよそ1万人とほぼ半減し、最終的に難民として在留が認められた外国人は40人程度です。このルートで永住権を取得する人は非常に少なく、レアケースの1つと言えそうです。
外交や社会、経済などの分野で日本への貢献があったと認められた場合
様々な分野で日本に貢献した人物は、5年以上日本に在留することで永住権の取得を目指せます。では、日本への貢献とは具体的にはどういったものがあるのでしょうか。
ガイドラインを見ると、ノーベル賞やフィールズ賞といった、権威ある賞を受賞した人は日本へ貢献があったとして認められます。
他にも日本政府から国民栄誉賞や文化勲章などをもらった人、政府や自治体から委員として任命を受け、3年以上公共の利益を目的とする活動を続けた人、地域活動の意地や発展に貢献した人も対象です。
他には、外交分野や、経済産業分野、文化芸術分野、教育分野、研究分野、スポーツ分野などで日本に貢献できれば、永住権が認められる可能性があります。
しかし、申請の際には「貢献」の具体的な内容を伝えなければなりません。学会誌などに登場した場合はその名称や発刊日、活動を明らかにする資料などを永住権の申請書と一緒に提出します。
高度人材外国人として日本に来た場合
替えがきかない良質な人材の外国人は、高度人材外国人として扱われます。
高度人材外国人には「高度学術研究分野」、「高度専門・技術分野」、「高度経営・管理分野」の3つがあり、それぞれの項目にポイントが決められています。
このポイントが70点以上だった場合、高度人材外国人として3年以上継続して日本に住んでいれば、10年在留していなくても取得申請が可能です。また、ポイントが80点以上になれば、条件である在留期間が1年以上に短縮されます。
高いポイントを狙うには、学歴や職歴が長いこと・若いこと・年収が高いこと・日本語能力などをクリアしてポイントを稼ぐ必要があります。現時点で何点なのか確認し、その点数を目指すのもいいでしょう。
参照:ポイント計算表
まとめ
永住権の取得について、法務省は厳格化を推し進めており、外国人は苦戦を強いられていくでしょう。
しかし、永住権は取得できればメリットも多い在留資格です。
今後の動向を踏まえ、永住権の条件や厳格化の流れは把握しておきましょう。
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