不法滞在を行う事で強制送還になるまでのプロセスは?

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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就労ビザがないのに日本に滞在して就労する、観光ビザなのに長く日本に住むなど、不法滞在をする外国人は基本的に強制送還を行います。とはいえ、いきなり強制送還をするわけではなく、いくつかの段取りが存在します。どのようなプロセスで強制送還を行うのか、また強制送還を拒むことは可能なのか、とても気になるところです。今回は強制送還のプロセスについてまとめました。

 

不法滞在により、強制送還された外国人は1万人ほど

2019年1月1日時点で、日本における不法残留者はおよそ7万人となっており、2018年1月1日と比べ、およそ8000人近く増えています。不法残留は観光ビザで入国したものの、それを過ぎても不法に滞在にする状態です。急増しているのはベトナム人やインドネシア人で、実に60%以上の伸びです。人数では韓国が最も多いですが、年々不法滞在者の数を減らしており、東南アジアの外国人に不法滞在者が多くみられる時代を迎えています。

(参照:http://www.moj.go.jp/content/001289212.pdf

 

その中で強制送還をされた外国人はどれだけいるのかですが、平成30年中に強制送還をされたのはおよそ1万人弱です。この数は1000人ずつ年々増えており、やはりベトナムが大きな伸びを見せ、国籍別では1位となっています。

(参照:http://www.moj.go.jp/content/001289758.pdf

 

不法滞在による強制送還はどのように行われるのか

 

不法滞在と思われる外国人を発見し、即刻強制送還ということはできません。いくつかの段階を経ないと強制送還にはなりません。ここではどのようなプロセスがあるのか、詳しくご紹介します。

 

1.入国警備官による調査が行われる

 

市民の情報や以前強制送還になった外国人の情報など、入管法違反の可能性がある人物に関する調査を、入国警備官が行います。入国警備官は各エリアにある入管に配属されており、そのエリア内の外国人が対象となります。一般的には任意での調査を行っていきますが、裁判所の令状を得た上で強制的な調査をすることも可能です。

 

この調査の結果、問題がないとジャッジすることで放免という扱いになり、在留は続きます。問題があれば、そのまま収容され、入国審査官の違反審査を受けます。出国命令対象に該当するケースも同じで、入国審査官の違反審査が待っています。実際に収容されるのは地方入国管理局の収容施設で、身柄拘束から48時間以内に入国審査官に引き渡さなければなりません。ただ、刑務所などに外国人が入っているケースでは、入国警備官が出向いて調査を行い、その後、入国審査官に引き継がれます。

 

2.入国審査官による違反審査が行われる

 

入国審査官は在留資格の審査、出入国審査などを行う国家公務員です。不法滞在と思われる外国人を審査する役割も担いますが、結果や理由などを書面で外国人に伝えます。違反審査を行い、対象ではなければ放免、在留は続きます。対象者となることで、特別審理官の口頭審理、また、そのまま強制送還になるケースもあります。これは外国人側が口頭審理の請求をするかで分かれ、入国審査官の決定に異議がなければ、強制送還まで一気に進みます。出国命令対象者に当てはまれば、出国命令書が出されて出国という流れです。

 

3.特別審理官の口頭審理が行われる

 

入国審査官で経験を重ね、法務大臣から指定された人物が特別審理官となります。外国人が、強制送還になるのはおかしいと異議申し立てを行う場合に、速やかに口頭審理が行われます。この口頭審理では許可を得た形で親族などを1人立ち会わせることが可能です。前の段階での判断はあっていたどうか、その部分を判断します。認定が間違っていて、実際は該当していないとなれば在留は継続、間違っていたが出国命令に該当する方ならそちらに、誤りがなければその次に進み、決定に異議がなければ強制送還です。

 

4.法務大臣の裁決が行われる

 

先ほどの審理に対しても異議がある人は法務大臣に異議申し立てが行えます。ここが最終的な判断の場となり、異議の申し出に理由があるかないか、それがジャッジされます。理由があるとなれば在留は継続、理由がない場合、在留を許可せざるを得ない事情があれば在留特別許可、なければ強制送還です。法務大臣は、本来なら強制送還の外国人に在留許可を与える権限があります。何段階も重ねて強制送還をすべきかどうかが判断されていることが分かるはずです。

 

5.送還先を決める

 

強制送還をする場合、その外国人の国籍がある国に送るのが一般的です。しかし、事情によってその国へ強制送還ができない場合があります。その場合は外国人に希望がとられ、日本に入国する直前まで住んでいた国、以前に住んだことがある国などに送られます。一方、本人が希望してもその国が受け入れを拒否するケースが存在します。この場合には収容施設に留まることになってしまいますが、半年以上長期収容される外国人は急増しており、今後の大きな課題です。(参照:https://www.asahi.com/articles/ASL9G7CZ5L9GUHBI01Q.html

 

強制送還を拒むことって出来るの?

 

何段階も経て行われる強制送還までの道のり。異議を言い続ければ強制送還までの日数は稼げますが、そもそも強制送還を拒むことは出来るのか、解説していきます。

 

1.収容者の大半は強制送還を避けようとしている

 

強制送還をされるはずなのに理由をつけて避けようとする人物たちを「送還忌避者」と法務省では呼んでいます。令和元年10月1日にまとめられた発表では、強制送還の対象でありながらも収容されている人物は1100人ほどおり、そのうちの4分の3が忌避しています。すでに何度も審査が行われて決定されたにもかかわらず、これだけの多くの人たちが日本から出ていこうとしません。犯罪を行った人物たちが多く含まれ、仮放免中に犯罪を行ったケースもあります。(参照:http://www.moj.go.jp/content/001306626.pdf

 

2.強制送還を拒む人の中には強制送還を複数回受けた人も

 

送還忌避者の状況を見ていくと、過去に強制送還を受けた人物が再び同じ状態になっているケースがあります。忌避する人たちの2割がそうで、国別でみればイランが多く該当します。割合で言えばブラジルやナイジェリアも多く、不法滞在者が急増するベトナムやインドネシアなどは上位ではありません。入管では、日本で犯罪を行った人物や強制送還を経験した人物たちを仮放免することは良くないと主張しています。(参照:http://www.moj.go.jp/content/001306626.pdf

 

3.難民申請をして強制送還を逃れるケースもある

 

避けるための最後の手段となっているのが難民認定申請です。忌避者のおよそ7割が申請を行い、その中で7割の人たちが、強制送還が決まってから申請する人たちです。ここでもイランが人数の上でトップとなる一方、スリランカやトルコ、ナイジェリアも目立っています。難民認定の申請が行われている間はいったん送還は止まります。これを利用し、何度も申請する人物がいるなど、制度上の不備を突かれた格好です。

 

4.送還したくても引き取りを拒否する国が存在する

 

日本からいくら出したくても受け入れてくれなければどうしようもないのが実情です。令和元年6月の時点では2000人以上が仮放免状態にあり、送還したくてもできない状況にあります。イランを中心に送還が難しいところがあり、これを利用して留まろうとする人たちが出てきます。中には、仮放免を求め、収容施設で飲み食いを一切しない状況が発生し、実際に亡くなるケースも存在します。

 

それを避けるため、仮放免許可を出すと、全員が飲み食いを再開し、仮放免された外国人が逃げ出す事例が複数発生しています。現在の状況では強制的な治療が行えるような体制にはなく、体調が著しく悪化すれば仮放免せざるを得ない状況に追い込まれるか、収容施設で死なせてしまうかという究極の選択が迫られます。何が何でも日本に居続けたいという強い気持ちが飲食を一切しない行動に走らせますが、それにうまく対応できていないのが実情です。

 

不法滞在による強制送還まとめ

不法滞在も立派な強制送還の1つの要因であり、うっかりオーバーステイになってしまえば、様々な取り調べを受けることになります。専門家と相談し、在留特別許可が出るように持っていくことが求められますが、家族が日本にいて子供がまだ小さいなど特別な事情がない限りはなかなかその許可は出ません。

 

送還忌避者の多くは有罪判決を受けた人物で、仮放免の件数も年々減っています。ところが、逃亡者は増え、逃亡者を確保するための手配件数は右肩上がり。平成30年度末で328人だったものが、令和元年6月末でもう332人と超えています。速やかに不法滞在者を強制送還しないことには、仮放免の際に事件を起こし、日本の安全安心に大きな影響を与えかねないと入管では考え、10月のプレスリリースではことあるごとにそのことに触れています。現状では明らかに不備が放置され、その不備を突かれているのが実情で、収容施設で亡くなったことに対して入管への批判も巻き起こっている状況です。

 

何度も審理を重ねて強制送還の判断が下されても、それから先にまだ粘り続けることができる現状をどのように捉えるのか、1人1人が考えなければ問題であり、誰に対しても平等に、公平な運用が行われるよう、願うばかりです。

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著者 アドミン

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