不法滞在にはどんな罰則が待っている?罰則の中身から実例までを徹底解説!

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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観光ビザを手にしてそのまま居続けた人から、長年日本で働く中でうっかりビザの更新を忘れてしまった人まで、不法滞在には様々なケースがあります。とはいえ、理由に関係なく、不法滞在者には罰則が科せられます。罰則の中身や実際にあったケース、そして不法滞在に関する新たな罪などをご紹介します。

 

これだけあった!不法滞在の罰則

不法滞在には、いくつかの罪が存在しますが、罰則に関してはどれもさほど変わりません。ここでは大まかな罰則の中身についてまとめました。

 

1.3年以下の懲役もしくは禁錮刑、300万円以下の罰金

 

オーバーステイの場合は不法入国罪等に該当し、不法入国という扱いを受けます。3年以下の懲役もしくは禁固刑、300万円以下の罰金が科せられます。不法滞在をした人物が働いていた場合にも同じ罪が科せられることになっています。懲役1年以上の有罪判決を受けた時点で強制送還の対象となることから、これらの罪に問われ、裁判にかけられた時点で強制送還になる可能性がかなり高まると思って良さそうです。

 

罰金300万円は、2004年に施行された改正入管法によりその 金額に引き上げられています。以前は不法入国罪等でもその罰金は30万円と安く、無許可資格外活動罪も罰金は20万円と軽微なものでした。これが10倍に引き上げられ、現在では300万円や200万円の罰金に定められています。

 

2.懲役刑と罰金が併科されることも

 

不法滞在に関する罪において、懲役刑と罰金刑が一緒に科せられる状態、併科になることがあります。悪質性のあるもの、そうでないものを判断する際、悪質性があれば懲役刑、軽微なものなら罰金刑と司法の場では柔軟に適用されることが多いです。併科ということはそれだけ罪が重く、かなりの厳罰志向であることが分かります。司法の場における併科は、経済的に割に合わない罪であることを印象付けるようなものとされています。

(参照:https://toyokeizai.net/articles/-/4612

 

3.退去強制処分を受ける

 

外国籍を持つ人間が日本で罪を犯し、有罪判決を受けると退去強制処分、いわゆる強制送還の憂き目を見ます。1年を超える懲役刑となれば退去強制事由を満たすので、手続きを経た上で強制送還となります。ただ、オーバーステイなどの場合は罪に問われなかったとしても、正当な理由でオーバーステイになってしまった場合を除き、退去強制事由に該当してしまいます。つまり、不法滞在を指摘された時点で、正当な理由、在留特別許可が出るような理由でない限りは、強制送還は免れないというわけです。

 

4.退去強制後、5年間は日本への入国ができない

 

先ほど紹介した2004年に施行された改正入管法では、他にもいくつかの見直しや制度の新設などが行われました。1つは出国命令制度と在留資格取り消し制度の新設、もう1つは上陸拒否期間の見直しです。上陸拒否期間は、退去強制処分を受け、その後また日本にやってきた外国人の入国を拒否する期間を指します。入管が指摘して結果的に退去強制となった場合には5年、上陸拒否期間となります。不法滞在が発覚すれば、5年は日本へ来ることはできません。

 

過去に1度以上同様の処分を受けた場合、2回目以降は10年と長くなります。不法滞在を厳しく取り締まり、何度も同じことをする人間はできるだけ入国させない姿勢の表れです。しかし、これにはある救済策があります。それが出国命令制度の活用です。不法滞在をした人物は、日本から出る意思を持った上で入管に出頭する、他に退去強制に該当することをしていない、罪を犯していない、日本から出ることが確実であると判断された場合などに出国命令が出されます。そうなれば、わずか1年で入国が可能になります。

 

在留資格が取り消されたにもかかわらず、日本に居続ける人なども当然これらの罪の対象になるため、速やかに帰国して、改めて入国を目指した方が、上陸拒否期間が相当短くなるため、仕切りなおした方が賢明です。

実際に不法滞在で有罪判決を受けたケースは?

不法滞在のケースは年々増えていますが、実際に有罪判決を受けたケースがあるのか気になるところです。実際に有罪となったケースをご紹介します。

 

1.27年の不法滞在で懲役刑に

 

2019年7月、熊本県警でシンガポール国籍の女性が逮捕されました。1992年に入国し、今年4月まで27年間不法滞在をしていた罪に問われます。日本各地を転々とし、内縁の夫と出会い、その夫の地元で暮らしていたという女性。夫の介護を積極的に行う姿や過疎化が進む田舎町で精力的に活動する様子を近所の人は見ており、過去には司法書士などにも相談しますが、どうにもならず、そのために入籍もできず、今に至ります。不法滞在であることを知っていた近所の人もいた中、悪さはしないと思われており、通報もありませんでした。

 

その後、裁判が行われ、懲役2年6か月、執行猶予5年の判決が言い渡されます。執行猶予がついても強制送還の対象となりますが、入管はこの女性に在留特別許可を与えます。家庭を築いている点や住民との観点が良好だったという事情を評価しての判断でした。1年間の在留許可が与えられ、毎年更新手続きが必要となります。多くの嘆願書も決め手の1つとされ、有罪判決を受けても強制送還を免れる事例となりました。

 

2.8か月程度のオーバーステイでも有罪に

 

2019年、北海道の倶知安町に住んでいた中国人9人が逮捕されました。短期ビザや技能実習生の在留資格で入国し、最大2年間の不法滞在、人によっては8か月程度のオーバーステイで捕まりました。1人は不起訴処分となりましたが、残りの8人は懲役2年もしくは1年6か月、執行猶予3年の有罪判決が出ました。執行猶予が出ても強制送還の対象になることから、近いうちに日本からの出国が余儀なくされそうです。

 

3.不法滞在を助けた罪で無罪になったケースも

 

不法滞在を犯した人物は当然ダメですが、不法滞在を助けるような行為も問題です。2019年、東京高裁において在留資格が切れた韓国人の男性を匿ったとして罪に問われた日本人女性に対して無罪判決が言い渡されました。在留資格が切れて2年間、日本人女性の家に済ませていた行為が問題視された形でしたが、オーバーステイになる際、男性から特に何かを言われたわけではなく、普通に住ませていただけで在宅起訴に。1審では罰金10万円の有罪判決が出ました。

 

ところが、これまでオーバーステイの外国人が捕まっても、在留資格がある側はお咎めなしとされ、日本人も同じ扱いだった中、今回は異例の判断を検察側がしたことになります。韓国人の男性は執行猶予付きの有罪判決で強制送還となりましたが、不法滞在をした人物を自然に住まわせていたのであれば、罪には問われないという判断が裁判所によって指名された画期的な事例です。

 

これら3つの案件はすべて2019年の同じ時期の報道によるものです。執行猶予がつきやすいこと、執行猶予でも強制送還の対象になる事、場合によっては免れるケースもあることなど、様々なことが分かる3つの案件です。

(参照:https://www.daily.co.jp/society/life/2019/07/16/0012518542.shtml

 

在留資格等不正取得罪の成立と不法滞在の罰則

 

平成29年1月からスタートした改正入管法では、在留資格等不正取得罪などが新設されました。ウソをつくなどして在留資格の更新などを図った外国人を罪に問えるというものです。この場合も3年以下の懲役もしくは禁固刑、300万円以下の罰金という罰則になっています。これがなかった時代、不法就労の証拠や事実をつかみ、それを立証する必要があり、公文書偽造など別の罪に問わないと逮捕できませんでした。

 

新設されたことで、在留資格を取得する際に不正をした時点で処罰が行えます。絶対に不法滞在はさせない、認めないという明確な姿勢が打ち出されたものと言えそうです。これにより、申請の手伝いをした行政書士も対象になってしまう場合があるので、軽々しくアドバイスを行い、それによって不正に在留資格の更新をしたとすれば、そのアドバイスを送った人物まで立件されるということも今後出てくるかもしれません。

 

日本人と偽装結婚をするケースもこれに該当する可能性があり、今まで以上に厳しくなることは明らか。ただ、恣意的な運用も不安視されており、なんの悪意もなく、申請を行い、結果的に間違っていた場合に、不正取得をしようとしたとして逮捕されることもあり得ます。今まで以上に在留資格を得ることに慎重でなければならず、不法滞在をしているわけではないのにその疑いをかけられ、下手をすれば罪に問われて前科がついてしまうなんてことも。そうならないためにも、慎重な申請が求められます。

(参照:https://www.japan-law.net/compliance/499/

 

不法滞在罰則のまとめ

懲役3年という罰則は軽く感じる人もいるでしょうが、結局のところ、懲役刑が出た時点で強制送還になる以上、懲役刑を重くする必要はさほどないのが実情です。むしろ罰金など金銭的な罪を重くした方がいい場合もあり、昨今の不法滞在の急増に伴い、今後入管法が再び改正される可能性もあります。移民政策をとらない限り、人手不足で日本は大変なことになると盛んに言われていますが、不法滞在の問題を蔑ろにすることは許されません。今の罰則が適正なのかどうか、今後の状況や在留資格の運用方法などを踏まえた上で、今後様々な動きがみられることが考えられます。

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著者 アドミン

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