通常、外国人が日本国外へ出ると、改めて在留資格を取ってもらいます。ところが、仕事で頻繁に日本と海外を行き来する等、その都度、手続きをすべき状況が出てきてしまいます。これでは大変なので、改めて日本に入国する気持ちを前もって示す事により、簡単な手段で済む、再入国許可という手段が登場します。再入国許可の申請はオンラインで完了するなど、時代は変わりましたが、申請の際に何に気を付けるべきか、まとめました。
再入国許可の申請がオンラインで可能な時代だが…
時代は21世紀、行政機関でもオンラインで申請が可能なモノが増えていきました。2019年7月25日から在留申請に関する手続きがオンラインで可能になり、24時間の申請ができます。再入国許可の申請もオンラインでできるので、一見便利に思えますが、実は色々と制約がありました。
1.届け出を行える人が限られる
正式名称の「在留申請オンラインシステム」は、再入国許可をしたい人なら誰でも申請可能なモノではないです。実は、このシステムを使える人は最初から限られています。システムを用いれるのは、外国人の所属機関の職員と、その所属機関から依頼された弁護士や行政書士だけです。所属機関とは、早い話が雇用主の会社、学生として所属する教育機関であり、この場合の職員は人事担当者等が該当します。人事担当者や弁護士、行政書士がオンラインでの申請が行えますが、例えば本人がオンラインで手続きを行う事はできません。
実際に対象となるのは、在留期間の更新や許可、再入国許可申請、資格外活動許可申請です。必要になれば、職員等に依頼を出し、在留期間の更新手続き等をしてもらいます。利用を申し出る側はいくつかの条件が求められており、出入国の事で法に触れ、罰則を受けていない事や外国人の受け入れを適切に行っている事などが挙げられます。誰でも簡単に行える訳ではない事を知っておきましょう。
2.利用の際に1回は入管を訪れなければならない
オンライン手続きは最初から利用できるわけではありません。一番最初に行うべき事として、職場や学校があるエリアを管轄する入管に出向いて申請を行います。申請を行ってもその時点では利用できません。承認すべきかどうかを審査し、指定したメールアドレスにその結果が届きます。承認されれば、メールの本文中にあるURLをクリックし、IDやパスワードを入力すれば、オンラインシステムを利用できます。
ですので、必ず1回は入管を訪れ、申請を行って、しばらく経過してから動き出す形になります。オンライン化した割には随分アナログです。ちなみに、不承認の場合は、ちゃんとした理由があります。過去に不承認になった方は、その理由をなくす努力が求められます。
3.1年間システムが使えるものの、それ以降は定期報告が必要
新規利用に関する申し出が承認されると、承認された日から1年間はシステムが使えます。しかし、1年ごとに定期報告をしなくてはならず、いわば毎年利用できるかどうかの承認作業が入ります。この定期報告は人事担当者や弁護士、行政書士が行います。定期報告では、定期報告書やシステムの利用者リスト、その機関に所属する外国人リスト、追加の場合は簡易書留で郵送、もしくは窓口に持参する事になります。
定期報告の結果、承認されない可能性もあれば、提出がない事で利用停止になる恐れもある等、利用し続けるのは色々大変です。
4.手続きの流れが意外と面倒
このように一般の人が簡単に利用できる訳ではなく、意外と手続きの流れが面倒である事はこれまでの説明からでも分かります。しかも、在留カードの受領は郵送でも行えますが、再入国許可だけでなく、在留期間の更新も一緒に申請すれば郵送はできません。入管の窓口で受領する事になるので、その場合、オンラインのメリットは限定的です。2019年に始まったばかりで、定期報告がどうなるかもまだ分かりません。まだ始まったばかりです。
再入国許可申請は、有効期間と日本に戻る時期で判断しよう!
一般の外国人にはあまり関係のない再入国許可のオンライン申請、実際に再入国許可の申請を行う際には、色々と注意を踏まえた上で申請をする事が大切です。
1.期限が短いビザの人は必ず再入国許可を
期限がそろそろ切れる、だけど海外に行かなくてはならない場合は、再入国許可が必要です。みなし再入国許可は、期限が3か月以下の在留資格は、対象ではないです。その資格を持つ人は再入国許可の申請が必要になります。再入国許可は1回の出入国のみのシングル、許可した期間なら何回でも再入国可能なマルチの2つが存在します。より適した方で申し込みを行います。
日本を出て1年以上は戻らないという人も申請が必要です。シングルだと3000円、マルチは6000円がかかります。入管に赴いて申請をするため、面倒に感じる人がいても不思議ではないですが、より確実でしょう。
2.期限に余裕があり、すぐに日本に戻る人はみなし再入国許可で十分
日本を出て1年以内に再入国する等、頻繁に手続きを行う人物は、一定の条件をクリアすればみなし再入国許可で済むようになっています。再入国許可が入管にわざわざ赴き、手数料を支払う必要がありましたが、みなし再入国許可だと、空港で出国の手続きを行う際にできるので、審査官にその場でみなし再入国を求める事ができます。しかも、手数料は必要ありません。もちろん入管でも行えますが、断然空港の方が便利でしょう。
3.在留期間が再入国の有効期間に
再入国許可の場合は、最長5年、特別永住者は6年が期限です。例えば、2019年11月に出国をすれば、2024年11月まで再入国ができる形ですが、実際はその人の在留期間によって変化します。例えば、国から外に出る時点で1年ぐらいしか在留資格がなければ、残りの期間が有効期間です。最長5年だから大丈夫と思っていると、実際は在留資格が残っている時期でしか適用されません。
みなし再入国許可も同じで、こちらは1年、特別永住者は2年です。非常に短いため、いつまでに戻らなければならないのかを確認しましょう。特に、最初はすぐに戻る予定だったのに、何らかの理由で結構現地で滞在する場合は、うっかり過ぎてしまう事があるので注意です。
4.海外で病気をした場合は有効期限の延長を
再入国許可とみなし再入国許可、一見すると同じであり、単に手続きの違いだけと思われるかもしれません。ところが、決定的に違う点があります。それは有効期限の延長ができるかどうかです。この再入国許可、永住者もしなければならず、万が一再入国許可の期限を超えれば、せっかくの永住権が水の泡です。病気ではなくても、どうしても国から出られない事情を抱えている場合もあるでしょう。
再入国許可であれば、有効期限の延長が行えますが、みなし再入国許可はそれができません。すぐに戻るだろうと、みなし再入国許可の申請をして、後になって有効期限の延長を求めても時すでに遅しです。有効期限の延長が必要であれば、速やかな延長の申請が求められます。
再入国許可申請を怠るとせっかくの永住権が台無しになる場合も
永住権を取得すれば、在留カードの更新など一応の手続きはありますが、在留期限の変化に不安がる必要もなくなり、制約が一気になくなるので、永住権を取得している現状が幸せに感じる事でしょう。しかし、永住権を取得したとはいえ外国籍を持つ人間である事に変わりはありません。再入国許可申請は外国籍の人間に対して平等に行われ、永住者だから優遇される事はないです。
再入国許可の申請を怠った場合は出国の時点で、有効期限内に戻れない場合は有効期限の満了の時点で、それぞれ永住権が失われます。やむを得ない事情があったと主張しても、改めて永住権が付与される事はありません。経験と実績、信頼を勝ち取って積み重ねてようやく手にできた永住権、申請を怠ったという出来事だけですべてが台無しになる、考えただけで恐ろしいですが、国を出る際には毎回許可をもらうぐらいの姿勢が必要です。
再入国許可申請のまとめ
もし誰もがオンラインでの申請が行えるようになれば、わざわざ入管まで行く必要がなくなり、より便利になる事でしょう。現状はかなり利用者を制限しており、定期報告など未知数な部分も見え隠れします。なにせ制度がスタートして半年も経過していないわけですから、どのように転ぶのかなんて誰にも分かりません。
ただ、どんな場合にも言えるのが、自分で判断して自分なりの解釈で行動を起こすべきではないという事です。これくらい大丈夫だろうとか、どうにかなるだろうとかで判断をするのは危険です。特に、再入国許可は申請を怠った時点、期限が切れた時点でせっかくの在留資格が失われてしまいます。取り返しがつかない事になりやすいだけに、国を出る際はちゃんと許可の申請をしたかどうか、本当にすぐに戻ってこられるのか等をはっきりさせて、やるべき事をやってから手続きを行いましょう。
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