外国人労働者が日本で仕事をするためには、仕事内容や滞在期間が記載された滞在ビザが必要となります。その中でもより日本に貢献をしてくれる技術や経験を持った労働者には、高度人材向けのビザを取得することができます。
高度外国人材とは、「国内の資本・労働とは補完関係にあり,代替することが出来ない良質な人材」であり,「我が国の産業にイノベーションをもたらすとともに,日本人との切磋琢磨を通じて専門的・技術的な労働市場の発展を促し,我が国労働市場の効率性を高めることが期待される人材」とされています。
引用 法務省
それでは、高度人材向けのビザを申請するにはどのようにすればよいのでしょうか。詳しくご紹介します。
高度人材向けのビザの申請方法とは
高度人材向けのビザの申請手続きの流れや必要書類、申請する場所や出入国在留管理庁における審査などご説明します。
手続きの流れ
手続きの流れですが、高度人材向けのビザを習得するには、入管法別表第1の2の表の高度専門職の項の下欄の基準を定める省令第1条の規定を適用して計算したポイントの合計が70点以上である必要があります。
このポイントを証明する書類など、まずは必要な書類を準備することが大切です。書類が欠けていると、審査に通ることはないのでご注意ください。書類に関しては事項で詳しくご説明します。
書類を揃えたあとは、地方出国在留管理局の窓口での申請となります。申請をしたあとは、祝入国在留管理庁における審査となります。このあと、在留資格が該当し、上陸条件が適合となった場合は、在留資格認定証明書が交付されます。
しかし不適合となった場合は、在留資格認定証明書は不交付となります。不許可となった場合でも在留資格変更許可申請の場合,現在の在留資格による在留期間があれば,当該在留資格による在留を継続可能です。在留資格認定証明書が発行されれば、日本に入国し在留をすることができる流れとなります。
必要な書類
高度専門職1号イや高度専門職1号ロ、高度専門職1号ハなどに応じて、いずれかの分野のポイント計算表が必要となります。またこのポイントに関する内容を証明する資料が必要になります。
このポイントを証明する書類は以下のようなものがあります。
・該当する学歴の卒業証明書及び学位取得の証明書
・入管法別表第1の2の表の高度専門職の在留資格をもって在留する
外国人
・年収(契約機関及び外国所属機関から受ける報酬の年額)を証す
る文書
・発明者として特許を受けた発明が 1 件以上を証する文書(例えば,申請人の 氏名が明記されている特許証の写し)
・入 国 前 に外 国 政 府から補助金,競争的資 金 そ の他 の金 銭の給付を受けた研究に3回以上従事を証する文書(例えば,申請人の 氏名が明記されている交付決定書の写し)
・従 事 しよ う とす る業務に関連する日本の国家資格 (業務独占資 格 又 は名 称 独 占資格 )を保有 ,又 はIT 告示に定める試験に合格 し若 し くは資格を保有を証する文書(例えば,申請人の氏名が明記されている交付決定書の写し)
・資本金の額が分かる書類
・試験研究費等及び売上高等が記載された財務諸表の写し
以上の他にも必要な書類が発生するケースがあります。高度人材のビザを申請するには、このポイントを取得することが必要であり、証明する書類を揃えるのに力を入れる必要があります。
その他にも以下のような書類を揃えることが必要です。
・写真(縦4cm×横3cm) 1葉
申請をする3か月以内に撮影をしている必要があり、無帽や無背景である必要があります。
・返信用封筒
宛先を記入して、392円分の切手を貼ってください。
・在留資格認定証明書交付申請書
地方入国管理官署に用意しています。また法務省のホームページからダウンロードする事も可能です。
申請する場所
申請する場所は地方出入国管理局での窓口となります。
出入国在留管理庁における審査
出入国在留管理庁にて、以下のような審査が行われます。
・入管法第7条第1項第2号に掲げる「上陸条件への適合性」の審査
高度人材申請をして日本に入国する際、入管法第7条第1項第2号に掲げる「上陸条件への適合性」の審査が行われます。
一 その所持する旅券及び、査証を必要とする場合には、これに与えられた査証が有効であること。
二 申請に係る本邦において行おうとする活動が虚偽のものでなく、別表第一の下欄に掲げる活動(二の表の高度専門職の項の下欄第二号に掲げる活動を除き、五の表の下欄に掲げる活動については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定める活動に限る。)又は別表第二の下欄に掲げる身分若しくは地位(永住者の項の下欄に掲げる地位を除き、定住者の項の下欄に掲げる地位については、法務大臣があらかじめ告示をもつて定めるものに限る。)を有する者としての活動のいずれかに該当し、かつ、別表第一の二の表及び四の表の下欄に掲げる活動を行おうとする者については我が国の産業及び国民生活に与える影響その他の事情を勘案して法務省令で定める基準に適合すること(別表第一の二の表の特定技能の項の下欄第一号に掲げる活動を行おうとする外国人については、一号特定技能外国人支援計画が第二条の五第六項及び第七項の規定に適合するものであることを含む。)。
三 申請に係る在留期間が第二条の二第三項の規定に基づく法務省令の規定に適合するものであること。
引用 出入国管理及び難民認定法
< h2>高度人材のビザを申請できる基準
高度人材のビザを申請する前に、基準を確認するようにしてください。
・「高度専門職1号イ」,「高度専門職1号ロ」,「高度専門職1号ハ」
の活動のいずれかに該当すること。
高度専門職1号は、「高度専門職1号イ」,「高度専門職1号ロ」,「高度専門職1号ハ」
の3種類があります。このいずれかに該当している必要があります。
・「高度専門職1号イ」,「高度専門職1号ロ」,「高度専門職1号ハ」の基準を満たす
「高度専門職1号イ」,「高度専門職1号ロ」,「高度専門職1号ハ」の仕事に該当しているだけでなく、基準にすべて適合している必要があります。細かく項目がわかれているので、前もってしっかりと確認をするようにしてください。
・日本語力が必要となる
「日常的な場面で使われる日本語に加え,論理的にやや複雑な日本語を含む幅広い 場面で使われる日本語を理解することができる能力」と高度人材ビザに申請するために必要な日本語力に関して記載されています。
具体的には、「日本語能力試験N1のレベルに合格する能力がこれにあたります。したがって,日本
語能力試験N1に合格した者はもちろんですが,そのほかにも他の日本語能力に関する
試験でこれと同等の能力を有していると考えられるもの,例えば,BJTビジネス日本
語能力テストにおいて 480 点以上を得点した者がポイント付与の対象となります。」
となります。
引用 法務省
・日本国に利益をもたらす
高度人材ビザを取得するためには、日本に長期滞在をすることにより日本国に利益をもたらすことが必要となります。そのため素行が善良である、日本の産業や国民生活に良い影響を与えるなどの条件があります。逆に日本に利益をもたらさない場合は高度人材ビザは却下になる可能性もあります。
高度人材ビザを取得していると、以下のような大きなメリットがあります。
高度専門職1号の場合
・複合的な在留活動の許容
・最長の在留期間「5 年」の決定
・在留歴に係る永住許可要件の緩和
・入国・在留手続の優先処理
・配偶者の就労
・親の帯同
・高度外国人材に雇用される家事使用人の帯同
高度専門職2号の場合
・「高度専門職1号」の活動に併せて、ほぼ全ての活動をすることができます。
・在留期間がの期限がなくなります。
・その他高度専門職1号と同じ優遇処置となります。
さらにはグリーンカードの創設が現在検討されています。
○ 70点以上のポイントで高度外国人材として認められた者について,永住許可申請に要する在留 期間を現行の5年から3年に短縮する。
○ 高度外国人材の中でも特に高度と認められる者(80点以上のポイントで認められた者)について は,永住許可申請に要する在留期間を現行の5年から大幅に短縮し,1年とする。
引用 法務省
通常の在留資格ではあり得ないようなメリットも多く、それだけ高度人材ビザを取得するためには基準が高くなるのです。ほとんど永住権を取得した場合と同じ権利であるといえます。
高度人材向けのビザを申請するタイミング
高度人材向けのビザを申請するにはどのようなタイミングでするべきなのでしょうか。高度人材向けのビザを取得するための条件を満たすようであれば、申請するべきでしょう。通常の在留資格と異なり、複合的な在留活動の許容や在留期間5年の付与、配偶者の就労、親の帯同など、他には永住権を持っていないとありえないようなメリットがあるのです。
高度人材向けのビザとは、「高度専門・技術活動」「高度学術研究活動」「高度経営・管理活動」といった分野で知識や技術、また企業での経営者や役員など、多くのメリットを提供してでも日本に来て欲しいと考えた外国人労働者向けのビザとなります。
日本にとって大きな利益をもたらすことが条件となります。申請後は審査があり、細かい項目を全て足して70ポイント以上取得する必要があります。そのため、70ポイントを超えるような条件を満たしているか、またそれらを証明する書類を揃えられるかが高度人材ビザの申請において最も大切なことになるのです。
また高度外国人材の中の中でも高度と認められると、グリーンカードを取得できるよう日本版高度外国人材グリーンカードの創設を検討するなど、今後様々なメリットが期待されています。
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