日本で留学や就職などで長期間滞在する外国人が増えています。しかし在留資格であればできることは限られており、期間も決められています。そこで外国人であっても日本国籍を取得することで、日本人扱いとなりメリットは多くあります。ここでは日本国籍を取得する方法や条件、メリットまた注意点などをご紹介致します。
日本国籍を取得するためには
日本国籍を取得するためには、以下の全ての条件を満たしている必要性があります。
条件
日本国籍を取得するためのは、以下のような条件を満たしている必要があります。この条件を満たしていないと帰化が許可されることはありません。それぞれの条件については国籍法にも以下の様に記されています。
・住宅条件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「引き続き五年以上日本に住所を有すること。」
引用 国籍法
日本に5年以上住んでいる必要があるのですが、この5年のうち3年は就労ビザを取得し正社員や派遣社員などで就労経験が必要となります。
・能力条件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「二十歳以上で本国法によつて行為能力を有すること。」
引用 国籍法
20歳以上であり、現在の国籍がある場所で成人年齢に達している必要があります。例えばアメリカの場合は成人が21歳であるため、20歳であっても条件を満たしません。
・素行条件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「素行が善良であること。」
引用 国籍法
犯罪をしていたり、納税状況が良くない場合はこの素行条件を満たしているとはいえません。特に税金は知らない間に滞納になっていることもあるので、国籍を申請する間に税務署で確認するとよいでしょう。配偶者の分もかならず確認をしてください。
・生計条件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「自己又は生計を一にする配偶者その他の親族の資産又は技能によつて生計を営むことができること。」
引用 国籍法
給与で考えると、毎月安定して手取りで18~20万であれば要件を満たしていると考えてください。扶養家族が増えると、この目安の金額はあがります。借入があっても、滞納がなければ問題ありません。
・喪失条件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「国籍を有せず、又は日本の国籍の取得によつてその国籍を失うべきこと。」
引用 国籍法
日本国籍を取得すると、今取得している国籍は失うことになります。これまでの母国に入る時はビザが必要になることもあり、外国人扱いされます。このため日本で国籍を取る場合は覚悟が必要になります。
・思想要件
国籍法第5条に以下のように記載されています。
「日本国憲法施行の日以後において、日本国憲法又はその下に成立した政府を暴力で破壊することを企て、若しくは主張し、又はこれを企て、若しくは主張する政党その他の団体を結成し、若しくはこれに加入したことがないこと。」
引用 国籍法
子供が生まれた場合
日本国籍を取得すると、子供が生まれた時にも大きなメリットがあります。父親もしくは母親がすでに日本国籍を持っている場合は、生まれてくる子供も日本国籍の取得が可能です。特に母親が日本国籍を持っている場合は、法律上の婚姻関係になくても問題ありません。父親のみが日本国籍を持っている場合は胎児認知が必要となります。
必要書類
状況にもよりますが、国籍取得を申請する際に主に必要な書類は以下のものとなります。日本の役所でとるもの、母国でとらないといけないもの(大使館や領事館の場合もあります)また自分で作成しないといけない書類もあります。
それぞれ揃えるのは時間がかかる上に、日本語訳が必要となります。また書類に不備があると審査は通らないので十分に気を付けてください。
・帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
・親族の概要を記載した書類
・帰化の動機書
・履歴書
・生計の概要を記載した書類
・事業の概要を記載した書類
・住民票の写し
・国籍を証明する書類
・親族関係を証明する書類
・納税を証明する書類
・収入を証明する書類
・在留歴を証する書類
引用 法務省
日本国籍取得が難しいといわれる理由
日本国籍取得は一般的に難しいと言われています。世界中の国と比較をしても、国籍取得が難しい5カ国に日本は入ります。ここではなぜ日本国籍取得が難しいのかご説明します。
必要書類が多い
日本国籍を取得するためには、必要な書類が多くあります。条件などにより必要書類は異なってくるのですが、主な書類は以下のようなものがあります。書類によっては母国で取得するものがあり日本語訳をする必要があります。また履歴書や動機書など自分で作成する書類もあり、時間がかかるのです。
・帰化許可申請書(申請者の写真が必要となります。)
・親族の概要を記載した書類
・帰化の動機書
・履歴書
・生計の概要を記載した書類
・事業の概要を記載した書類
・住民票の写し
・国籍を証明する書類
・親族関係を証明する書類
・納税を証明する書類
・収入を証明する書類
・在留歴を証する書類
引用 法務省
書類が不十分であれば、審査に通ることはありません。書類作成に自信がない場合は行政事務所などに依頼をする方法もあります。
条件が厳しい
上記に説明しているように、さまざまな要件を満たしていないと帰化の許可がおりることはありません。
特に世界と比べて厳しい条件だといえるのは居住年数の長さです。日本では5年以上日本の住所を持っている必要があるのですが、これはオーストリアの15年、スイスの10年、ドイツの8年についで長い期間となっており、アメリカと同じ期間です。
帰化申請が許可されないこともある
法務省民事局にて帰化許可申請者と許可された人数を発表しています。
年数 |
帰化許可申請者 |
帰化許可者数 |
平成26年 |
11,337 |
9,277 |
平成27年 |
12,442 |
9,469 |
平成28年 |
11,477 |
9,554 |
平成29年 |
11,063 |
10,315 |
平成30年 |
9,942 |
9,074 |
参考 法務省民事局
以上のように、毎年1,000人から2,000人の申請者が許可を得られていないことになり、だいたい申請者の10%の割合となっています。しかしこの数の中には、審査が下りるまえに取り下げをした人や許可の判断が翌年に持ち込んだ人はこの数に入っていません。
そのため実際には、この数よりも許可が下りていない状況だといえます。平成30年度は申請者が1万人をわったのですが、それでも許可が下りなかった人は900人以上と減っていません。このことからも不許可の率はあがっているといえます。
さまざまな理由が考えられるのですが、これまでは在日韓国人や中国人が帰化をするケースが多かったのですが、最近では他の国の外国人も申請をあげています。しかし他の国の人達にとって、書類を揃えるだけでも大変な作業であることがわかります。
日本国籍をとるためには、5年以上の居住があるなど条件が揃っていれば後は書類を揃えることが重要なので、どうしても特に欧米の人達にとってはこの点がネックになります。
日本国籍を取得するメリット
日本国籍を取得するということは、日本人でない人が法律上では日本人になることです。外国人が日本に長期間滞在をする場合は在留資格が必要なのですが、在留資格に記された期間や就業内容など全て守らなければいけません。
また永住ビザを取得すると、滞在期間は無限となるのですがルールを守らなかった場合など、ビザが無効になることがあります。また期間は無限であっても、就業内容はまもらなければならず、例えば仕事を辞めてしまえば永住ビザが無効になることもあります。
日本国籍を取得するためにも条件は色々とあるのですが、取得をすると日本人と同じ扱いになるのです。例えば年金の受け取りや銀行の融資などを受け取ることができたり、日本人と結婚する時でも日本人夫婦と同じように、市役所などに婚姻届を出せばいいのです。
永住ビザのように国籍が外国にある場合は、両方の国で手続きが必要であるなど手間がかかります。
しかし日本は二重国籍は認めていないので、日本国籍を取得するということはこれまでの国籍を捨てるということになります。そのため日本国籍を取得するためには覚悟が必要であり、審査をするときの面接でもこの意思を確認されるのです。
日本国籍を再取得する方法
日本国籍の再取得とは、例えば日本人の両親の子供が外国で生まれた場合出世届の時点で日本国籍を留保する手続きをしなければ、日本国籍を失うことにんります。しかし日本の住所があり、現在の国籍を失うことに納得し、届け出の時が20歳未満であれば日本国籍の再取得が可能となります。
日本国籍を取得した後の注意点
日本国籍を取得したあとも、いくつか注意点があります。よく確認をするようにしてください。
母国の国籍を失う
日本は二重国籍の取得が不可能であり、日本の国籍を取得するということは母国の国籍を失うことになります。
日本国籍の喪失
日本国籍を取得したあと、海外で生活をしていて自分の意思で外国籍を取った場合は日本の国籍を喪失することになります。一度日本の国籍を喪失すると、再び帰化申請を必要とします。
日本国籍を喪失すると、喪失したとわかった日から1か月以内に日本大使館や最寄りの市役所などに届け出る必要があります。
日本国籍取得に関するまとめ
日本の国籍を取得するためには、決まった条件を満たしており書類を揃える必要があります。この条件は世界と比較しても厳しい内容となっています。日本国籍を取得すると、日本人と同じ扱いになり、永住ビザでもできないような自由に就業できるなど様々なメリットがあります。
日本は二重国籍を取得することを認めておらず、日本国籍を取得すると現在の国籍を失う必要があることを覚悟する必要があります。
【日本国籍取得より難しい?】永住権の取得方法に関する情報はこちらの資料をご覧ください。
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