入社直後の新入社員研修で意識を高める
社会人スタートとなる入社日。晴れて入社日を迎えた新入社員は組織の一員として向かうべき方向を確認し、 社会人としての自覚と意識を高めて新しい一歩を踏み出します。
入社後、企業によって教育内容や実施方法は異なりますが、新入社員は研修やOJT等を受けることになります。 初めて社会に出る新入社員にとって、ビジネスマナーや商習慣、企業文化やルールは新しく学ぶことばかりです。
社会人としての基本的なビジネスマナーや社会人としての意識、挨拶のしかたや身だしなみ、業務知識や ビジネスコミュニケーションなど、日本人にとっても外国人にとっても社会人として最低限知っておくべきことであり、それはこれから企業で活躍していくための土台となるものです。
何も知らないまま仕事を任されてしまうと、後でトラブルになったり職場内やお客様に対して迷惑をかけてしまいかねません。未然にトラブル を防ぐという意味でも、初期の教育は不可欠だと言えるでしょう。
社会人として働く上で身に着けておくべきビジネスマナーは日本人にとっても外国人にとっても必要な知識です。しかしながら、日本人にとっては当たり前のことでも外国人にとってはそうでないことも多いため、外国 人の考え方や価値観、文化を理解しながら説明を加えるなどフォローすることは必要です。
外国人社員たち は、入社後の早い時期に日本人のものの考え方やビジネス文化の違いなども事前に認識しておくことで、外国 人社員たちの仕事への不安やストレスも軽減されるでしょう。そして、日本人においても外国人たちの考え方や 価値観を理解することで相互に異文化理解を深めることができると考えます。
外国人の離職率は日本人より高い?
現在、人手不足が問題となっている日本での外国人労働者数は年々増加しています。厚生労働省によると平成 30年10月の時点での日本国内の外国人労働者は1,460,463人となり、前年から14.2%増加しています。しかしながら、外国人の離職率の高さに悩む企業もあります。
厚生労働省の雇用動向調査から中小企業・小規模事業者における労働者全体の離職率を見てみると、新卒入社3年間の離職率は4割を超えています。*1
半数近くが3年間で離職している実態が明らかになっています。外国人留学生の入社 3 年後の離職率を日本人の新卒者と比較した調査については、株式会社ディスコが実施した「外国人留学生/高度外国人材の採用に関する企業調査」*2から、規模が大きい企業(従業員1000人以上)では、日本人よりも離職率が高いと回答した企業が3割強(32.3%)であったことがわかっています。
離職率については、いろいろな原因があり一概には言えませんが、「言葉の壁による意思疎 通面でのトラブル」と「文化・価値観、考え方の違いによるトラブル」は改善していかなくてはならない問題です。これについては外国人社員だけでなく、日本人社員にも異文化コミュニケーション力をつけていかなくてはいけませんが、言葉の壁を感じ苦労をするのは組織においてマイノリティである外国人社員たちです。
殆どの企業は、共通語を日本語とし、マニュアルや書類などすべて日本語で作成していますので、外国人社員は仕事をする上で日本語力が求められます。そのため、外国人留学生を採用する際、留学生は日本語検定2級以上をとっていることを条件とする企業が多いのです。
資格を取得していることを応募条件と する企業は多く、留学生は日本語検定2級以上を持っていないと面接の機会がもらえないこともあります。コ ンサルテイング会社など日本語でクライアント対応をしなければならない企業では、日本語検定1級、もしくは それ以上の日本語力が求められます。
たとえ日本語ができる外国人でも、仕事を理解し覚えるまでに大変な努力と負担がかかります。日本人社員と同じような教育や指導方法・期間では、外国人社員が十分に理解できていないこともあります。
そのような意味でも言葉の壁は大きい為、採用条件として日本語力が求めるだけでなく、採用後も外国人社員の日本語教育をサポートするなど、企業側が日本語教育支援をしていけたら良いでしょう。
一方、2の「文 化・価値観・考え方の違いによるトラブル」については、単に日本語力の問題だけではありません。外国人たちに日本人の考え方や美徳、価値観、そして日本人にとって常識的なことを理解してもらう必要があります。
同時に、日本人も異文化を理解する力を身につけなくては解決しない問題でもあります。外国人社員が日本の 文化を理解するだけでなく、企業側や日本人社員も他の国の文化や価値観、宗教等理解し、グローバル視野で 受け入れる体制を整えていくべきなのです。
先にも紹介しましたが、株式会社ディスコの調査によると、規模の大きい企業のほうが、日本人よりも外国人の離職率が高いと回答した企業が多いという結果がでています。
それに対して、従業員300人未満の企業で は日本人よりも外国人の離職率が高いと回答したのは1割未満でした。
それについては、内定後のフォローの 方法の違いが明らかで、従業員300人未満の企業では「日本人と異なる方法」で外国人留学生に特化したフ ォローを行っていたのに対し、従業員1000人規模の企業で「日本人と異なる方法」で外国人をフォローし ていた企業は1割未満でした。
このことから、「入社時の不安軽減や組織への順応が促されることで、早期離 職の抑揚に繋がっている可能性がある」と、同調査で述べられています。
ではどのように外国人に特化した「日本人と異なるフォロー」をしたらよいのか?
まずは、「教育プログラム」です。日本語教育のサポート含め、日本の文化や商習慣、マナー、 ビジネス知識(ビジネス会話、ビジネス文書の書き方)など、ある程度時間をかけて教育していくことで、外国人が安心して仕事ができるようになります。
弊社が提供しているビジネス研修や授業では、日本人と外国人一緒に研修を受けてもらうこともあります。 その際は日本人も外国人もお互いの文化や習慣を理解できるような研修にすること、そして、外国人が躓くところを理解して外国人留学生や外国人社員のフォローも行うことを欠かさないようにしています。
例えば、外国人にとってはストレートに物事を言った方が簡潔でわかりやすいことでも相手を配慮した言葉遣 いをすることで人間関係も良くなるということ、言葉の前後や間に「恐れ入りますが」「お手数ですが」とい ったクッション言葉を適宜入れることで協調性や相手を思いやる気持ちを表すことができるなど、説明します。
何か相手に話しかける際に、「お忙しいところ申し訳ありません」「只今、少しお時間宜しいでしょうか。」 「恐れ入りますが」と相手を気遣う一言があると、そのあとのコミュニケーションが取りやすい雰囲気になる ということ、また、退社する際には、まだ仕事中の人がいれば「お先に失礼いたします。」とひとこと言うこと。そして、その場の雰囲気や状況に応じて「何かお手伝いすることはありますか。」と声をかける気遣いも 日本では大事であることなど、その言葉の効果も合わせて説明することで、外国人も実践しやくなるのです。
また、成果や能力を重視する国では自分の仕事が終わったら自己責任で退社する人も多いのですが、日本では 「K.Y.」という言葉が使われるように「空気を読む」ことも時には必要です。さらに、「断り方」一つでもマナーがあります。
上司から飲みに行こうと誘われたけど、用事があっていかれない場合、どのように断ってよ いのか。「今日はいかれません。」だけでシンプルに会話を終えようとすると、あまり良い印象ではありません。「申し訳ありません。残念なのですが、今日は予定を入れてしまっていて伺えません。
また次回お声がけください。」「お誘いありがとうございます。」など感謝の気持ちを伝えながら丁寧にお断りすることで、人間関係やその場の雰囲気を悪くすることなく自分の意思や状況を伝えることができるのです。 もちろん、これは外国人に限ったことではないかもしれませんが、相手を気遣う気持ちや言葉は日本人との付 き合いの中で大事なマナーなのです。
日本人と異なるフォローは、教育以外にも沢山あります。日々の業務の中でも、できることはあります。例え ば、日本人のネットワークに入りやすいよう声掛けをしたり、仕事を教える際にはゆっくりとわかりやすい言 葉で話す、専門用語を使って話す際には予めその言葉の意味を伝えておく、など、小さなフォローだけでもい いのです。こういうフォローが自然にできるような企業風土にしていくことも、外国人の定着化に繋がってい くのではないでしょうか。
外国人たちは日本企業の「人材育成」によって自己成長できることを期待している。
外国人留学生に「何故日本で働きたいのですか」という質問をした際、「私は日本人の働き方や勤勉さは素晴らしいと思います。私も日本人から色々学びたいです。」と言っていた学生がいました。
「平成26年の外国人 留学生の就職及び定着状況に関する調査」*3の調査でも、何故日本企業に就職したいのですか?という質問に対して「日本企業の人材育成は充実しているから」と回答した留学生は39%もいたという結果が出ています。 外国人たちは、自分のキャリアパスを描きそこで成長したいという思いがあります。
それが実現できないと思 ったときに、働き甲斐や目的を失ってしまうのかもしれません。外国人の成長と活躍の裏には充実した教育と 外国人に特化したフォロー体制づくりが大切であり、そのような企業側の理解と長期的なサポートが欠かせな いのです。
参考文献:
*1 人材の定着
*3 平成26年の外国人 留学生の就職及び定着状況に関する調査
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