在留資格「特定技能」を取得するためには特定技能試験を受験する必要があります。試験は主に2種類があり、さらに特定技能14業種毎に受験する試験が異なります。また、特定の業種分野では追加で試験を受けなければなりません。
今回dnusでは、2020年4月以降の特定技能試験の動向について、試験の概要から特定技能の全14業種別の試験の詳細まで詳しく解説していきます。
特定技能とは
そもそも在留資格「特定技能」とは、中小企業や小規模事業者を中心として加速する人手不足を解消するために作られた制度です。
ひとことでいうと、人材不足解消のために「労働力」確保を目的に定められた制度です。
特定技能は2018年12月8日に「出入国管理及び難民認定法及び法務省設置法の一部を改正する法律」が可決・成立され、2019年4月1日に施行されてから、ちょうど1年が過ぎようとしています。
今後、在留資格「特定技能」を持った外国人が増加することが予想されますが、在留資格「特定技能」を取得するには試験に合格する必要があります。
しかし、試験を受けなくても在留資格「特定技能」を取得する方法はあります。
技能実習生は試験を受けなくてもいい?
結論から言うと、2年10ヶ月以上の実習経験がある技能実習生は、同じ業種に限り試験を受けずに在留資格「特定技能」を取得することができます。
また、在留資格「特定技能」を取得するために、まずは取得予定の外国人が以下の要件を満たす必要があります。
・18歳以上であること
・特定技能1号で通算5年以上在留していないこと
・その他適正な条件のもと働くことができること
これらの要件を全てクリアしてから、次のステップへと進みましょう。
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特定技能の試験について
特定技能の試験では、各業種で外国人が労働力の即戦力として活動するために必要な知識や技能を持っているのか測ることが目的とされています。
なお、法務省によると、令和2年4月1日以降の国内試験から受験資格が拡大されることが発表されました。
これまで(令和2年3月31日まで)は、日本国内での受験対象者が、「中長期在留者または過去に中長期在留者として日本に在留経験のある外国人」に限られていました。
しかし令和2年4月1日以降、在留資格を有し日本に在留する全ての外国人が受験可能になりました。
詳細につきましては、法務省のこちらのページをご覧ください。
特定技能の試験を14業種別に紹介
それでは、特定技能の試験について詳しくご紹介します。
特定技能は全部で14業種存在します。
先ほどご紹介したとおり、在留資格「特定技能」を取得するためには、
①技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格する
②技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する
2つの方法があります。
ほとんどの場合、技能実習2号を修了した外国人は無試験で特定技能へ移行することが可能です。しかし、特定技能1号の全14業種のうち、外食業と宿泊業の2種類は技術実習制度で認められた業種ではありません。
そのため、特定技能の「外食業」と「宿泊業」の2業種は、所轄省庁の定める特定技能評価試験を受験し、合格する必要があります。
それでは特定技能の試験について、業種別に解説していきます。
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特定技能1号14業種|①介護
特定技能1号の①介護と②ビルクリーニングは、厚生労働省が所管行政機関となっています。
まず、特定技能1号「介護」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「介護技能評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
③「介護日本語評価試験」
特定技能「介護」では、通常「特定技能」の14業種で定められている「特定技能評価試験」と「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に加え、「介護日本語評価試験」に合格する必要があります。
「介護日本語評価試験」は、介護業務に関する日本語を話せる能力があるか試験するためのテストです。
詳しくはこちらの記事をご覧ください。
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特定技能1号14業種|②ビルクリーニング
特定技能「ビルクリーニング」は、特定技能「介護」と同様に厚生労働省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「ビルクリーニング」を取得するためには、以下の試験を受ける必要があります。
①「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
詳しく解説していきます。
①「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」は、公益社団法人全国ビルメンテナンス協会が実施している試験です。
また、ビルクリーニング職種の技能実習2号を修了している外国人は、「ビルクリーニング分野特定技能1号評価試験」を受験する必要はありません。
詳しくは「公益社団法人全国ビルメンテナンス協会」の在留資格「特定技能」についてをご覧ください。
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特定技能1号14業種|③素形材産業
特定技能1号の③素形材産業、④産業機械製造業、⑤電気・電子情報関連産業は、経済産業省が所管行政機関となっています。
まず、特定技能1号「素形材産業」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「製造分野特定技能1号評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
それぞれ解説していきます。
まず、①製造分野特定技能1号評価試験では、経済産業省が指定する19試験区分(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装)を、学科試験及び実技試験で実施します。
そして②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験します。
詳細については、「経済産業省:製造分野特定技能1号評価試験実施要領」をご確認ください。
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特定技能1号14業種|④産業機械製造業
特定技能「産業機械製造業」は、特定技能「素形材産業」や特定技能「電気・電子情報関連産業」と同様に、経済産業省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「産業機械製造業」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「製造分野特定技能1号評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
それぞれ解説していきます。
①製造分野特定技能1号評価試験では、特定技能「素形材産業」や特定技能「電気・電子情報関連産業」と同様に、経済産業省が指定する19試験区分(鋳造、鍛造、ダイカスト、機械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリント配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装)を、学科試験及び実技試験で実施します。
そして②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験します。
詳細については、「経済産業省:製造分野特定技能1号評価試験実施要領」をご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑤電気・電子情報関連産業
特定技能「電気・電子情報関連産業」についても、特定技能「素形材産業」や特定技能「産業機械製造業」と同様に、経済産業省が所管行政機関となっています。
特定技能1号14業種「電気・電子情報関連産業」を取得するためには、以下の試験を受ける必要があります。
①「製造分野特定技能1号評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①製造分野特定技能1号評価試験では、特定技能「素形材産業」や特定技能「産業機械製造業」と同様に、経済産業省が指定する19試験区分を、学科試験及び実技試験で実施します。
そして②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験します。
詳細については、「経済産業省:製造分野特定技能1号評価試験実施要領」をご確認ください。
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【259 番の記事が挿入されます】
特定技能1号14業種|⑥建設
特定技能1号の⑥建設、⑦造船・船用工業、⑧自動車整備、⑨航空、⑩宿泊は、国土交通省が所管行政機関となっています。
まず、特定技能1号「建設」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「建設分野特定技能1号評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「建設分野特定技能1号評価試験」の詳細については、国土交通省:「建設分野特定技能1号評価試験」試験実施要領をご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑦造船・船用工業
特定技能「造船・船用工業」は、特定技能1号の⑥建設、⑧自動車整備、⑨航空、⑩宿泊と同様、国土交通省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「造船・船用工業」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「造船・舶用工業分野特定技能1号試験」は、ClassNKが実施する試験です。
造船・舶用工業分野特定技能1号試験では、主に溶接、塗装、鉄工、機械加工、仕上げ、電気機器組立てに関する問題が出題されます。
造船・舶用工業分野特定技能1号試験の詳細については、こちらもご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑧自動車整備
特定技能「自動車整備」は、特定技能1号の⑥建設、⑦造船・船用工業、⑨航空、⑩宿泊と同様、国土交通省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「自動車整備」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「自動車整備分野特定技能評価試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「自動車整備分野特定技能評価試験」は、国土交通省自動車局整備課が実施する試験です。
自動車整備分野特定技能評価試験では、主に自動車のシャシやエンジンに関する問題が出題されます。
また、自動車整備分野特定技能評価試験は、学科試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
自動車整備分野特定技能評価試験の詳細については、「国土交通省:自動車整備分野特定技能評価試験実施要領」もご確認ください。
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【261 番の記事が挿入されます】
特定技能1号14業種|⑨航空
特定技能「航空」は、特定技能1号の⑥建設、⑦造船・船用工業、⑧自動車整備、⑩宿泊と同様、国土交通省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「航空」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「特定技能評価試験(航空分野:航空ハンドリングもしくは航空分野:航空機整備)」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「特定技能評価試験(航空分野:航空ハンドリングもしくは航空分野:航空機整備)」は、公益社団法人 日本航空技術協会が実施する試験です。
航空分野技能測定試験は、「空港グランドハンドリング」と「航空機整備」の2種類があり、それぞれ空港グランドハンドリング業務と航空機整備業務に関する専門性や技能を持っているか確認します。
また、特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)は、筆記試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)の詳細については、「「航空分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」に係る運用要領」もご確認ください。
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【262 番の記事が挿入されます】
特定技能1号14業種|⑩宿泊
特定技能「宿泊」は、特定技能1号の⑥建設、⑦造船・船用工業、⑧自動車整備、⑨航空と同様、国土交通省が所管行政機関となっています。
特定技能「宿泊」は、外食業と共に技能実習制度で認められた業種ではないため、技能実習2号を修了して無試験で特定技能へ移行することができません。
そのため、特定技能1号「宿泊」では以下の試験を受ける必要があります。
①「宿泊業技能測定試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「宿泊業技能測定試験」は、一般社団法人宿泊業技能試験センターが実施する試験です。
宿泊業技能測定試験では、宿泊業務のうち ①フロント業務 ②企画・広報業務 ③接客業務 ④レストランサービス業務 の4業務の基礎的な知識や対応についての知識に関する問題が出題されます。
また、宿泊業技能測定試験は、学科試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
宿泊業技能測定試験の詳細については、「一般社団法人宿泊業技能試験センターホームページ」をご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑪農業
特定技能1号の⑪農業、⑫漁業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業は、農林水産省が所管行政機関となっています。
まず、特定技能1号「農業」では、以下の試験を受ける必要があります。
①「農業技能測定試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「農業技能測定試験」は、一般社団法人全国農業会議所が実施する試験です。
農業技能測定試験では、耕種農業全般に関する問題と畜産農業全般に関する問題に分かれており、それぞれ学科試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
また耕種農業全般に関する問題と畜産農業全般に関する問題の両方で、業務上必要な日本語能力があるか聴き取り試験もあります。
農業技能測定試験の詳細については、一般社団法人全国農業会議所:「農業技能測定試験」試験実施要領をご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑫漁業
特定技能「漁業」は、特定技能1号の⑪農業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業と同様、農林水産省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「漁業」では以下の試験を受ける必要があります。
①「漁業技能測定試験(漁業または養殖業)」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「漁業技能測定試験(漁業または養殖業)」は、農林水産省の選定した民間事業者が主体となり実施する試験で、漁業と養殖業の2種類があります。
漁業技能測定試験(漁業)では、漁業分野(漁業)における一定程度の業務に関する問題が出題されます。
同様に漁業技能測定試験(養殖業)でも、漁業分野(養殖業)における一定程度の業務に関する問題が出題されます。
漁業技能測定試験(漁業と養殖業)では、それぞれ筆記試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
漁業技能測定試験(漁業または養殖業)の詳細については、以下の外部リンクをご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑬飲食料品製造業
特定技能「飲食料品製造業」は、特定技能1号の⑪農業、⑫漁業、⑭外食業と同様、農林水産省が所管行政機関となっています。
特定技能1号「飲食料品製造業」では以下の試験を受ける必要があります。
①「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験」は、農林水産省の選定した民間事業者が主体となり実施する試験です。
飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験では、それぞれ学科試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験では、HACCP等による一般的な衛生管理、労働安全衛生に関する問題が出題されます。
飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験の詳細については、「飲食料品製造業特定技能1号技能測定試験実施要領」をご確認ください。
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特定技能1号14業種|⑭外食業
特定技能「漁業」は、特定技能1号の⑪農業、⑬飲食料品製造業、⑭外食業と同様、農林水産省が所管行政機関となっています。
特定技能「外食業」は、宿泊業と同様に技能実習制度で認められた業種ではないため、技能実習2号を修了して無試験で特定技能へ移行することができません。
そのため、特定技能「外食業」では以下の試験に合格する必要があります。
①「外食業特定技能1号技能測定試験」
②「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」
①「外食業特定技能1号技能測定試験」は、農林水産省の選定した民間事業者が主体となり実施する試験です。
外食業特定技能1号技能測定試験では、それぞれ学科試験と実技試験の2種類の試験が行われます。
外食業特定技能1号技能測定試験では、衛生管理、飲食物調理及び接客全般に係る知識及び業務上必要となる日本語能力を問われる問題が出題されます。
外食業特定技能1号技能測定試験の詳細については、「外食業特定技能1号技能測定試験実施要領」をご確認ください。
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特定技能の試験のまとめ
以上、特定技能の全14業種の試験について1つ1つ説明してきました。
在留資格「特定技能」は業種毎に管轄機関が異なり、特定技能14業種それぞれ異なる試験を受ける必要があることが理解できたのではないかと思います。
さらに、特定技能14業種の中には、特定技能評価試験と日本語評価試験に加えて、追加の試験を受ける業種があったり、技能実習2号を修了して無試験で特定技能へ移行することのできない業種があることも理解できたのではないのでしょうか?
しかし在留資格「特定技能」制度は今後も改正や制度の変更などが行われると思うので、引き続き特定技能の試験や概要について調べていく必要があるでしょう。
特定技能について簡潔にまとめをご覧になりたい方はこちらの資料をどうぞ。
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