日本語試験:日本語能力試験(JLPT)とは?
日本語能力試験は、日本語を母語としない人の日本語能力を測定し認定する試験です。 国際交流基金と日本国際教育支援協会が共催で実施しており、1984年から全世界で開催されています。
開始当初の受験者数は全世界で7000人ほどでしたが、2018年には100万人を超えるなど、世界最大規模の日本語の試験となっています。
図:日本語能力試験の実施都市(2018年)
(出典:日本語能力試験公式サイト)
試験は年に2回開催されていて、指定の都市へ赴いて受験する仕組みです。 海外の都市では年に1度しか受験できない都市もあるようなので、海外で受験する際は公式サイトでの確認が必要です。
試験内容とレベル
試験内容は、受ける試験のレベル(N1~N5)によって異なります。そのため、自分の能力に合わせたレベルを受験する必要があります。英語の試験でいう『英検』のようなものです。
図:日本語能力試験 認定の目安(出典:グローバルパワーユニバーシティ 日本語能力試験で「会話力」は測れない!)
実際にどのような試験問題が出されるのかは、日本語能力試験の公式サイトで例題をチェックすることができます。
[N1:例題] 「読解・情報検索」からの例題です。 上記は、ある大学の留学生が応募できる奨学金のリストです。 インドネシア出身で農学部2年生の男子学生、アリ君(20歳)が応募できる奨学金はいくつあるか。
このような問題のほかにも、長文を読んで答えたり、音声を聞いて答えたりする問題が出題されています。
日本語試験:ビジネス日本語能力テスト(BJT)とは?
ビジネス日本語能力テスト(BJT)は、日本漢字能力検定協会が主催する日本語の試験です。ビジネス社会における日本ならではの言葉遣い・行動を使ったコミュニケーションの能力を測ることを目的としてつくられています。
都合に応じて日時と会場(テストセンター)を選ぶことができます。ほぼ毎日受験することができるようですが、空席状況によっては受験できないこともあるそうです。 1度受験したら、3か月開ければ再度試験を受けることができます。
試験内容とレベル
テストは800点が満点となっています。合格・不合格がなく、獲得したスコアに応じた6段階のレベル(J5~J1+)で評価されます。
実際にどのような試験問題が出されるのかは、ビジネス日本語能力テスト公式サイトで例題をチェックすることができます。
第3章「読解部門」からの例題です。4つの選択肢の中から正解を選ぶ問題となっています。 他にも、資料と音声を活用して考える「聴読解部門」や、読み上げられた選択肢の中から正解を選ぶ「聴解部門」があります。
日本語試験同士の関連:JLPTとBJTの関係
日本語能力試験(JLPT)とビジネス日本語能力テスト(BJT)にはそれぞれに特徴があります。
日本語能力試験(JLPT)では読む・聞くなどの、情報を受け取る能力が主に測られていて、ビジネス日本語能力テスト(BJT)ではビジネス上でのコミュニケーション能力が主に測られています。
試験の方法や測っているものについては異なっていますが、それぞれの試験のレベルには相関があるとされています。
また、試験からわかる日本語能力の評価に関しては、どちらの試験にも異なる良さがあります。
日本語能力試験(JLPT)は世界の幅広い国と地域で開催されていること、年間で100万人を超える受験者がいることからも、最もスタンダードな試験であることがわかります。
進路のためであったり、自らの力試しであったりとさまざまな受験目的を持った、幅広い年代の人々が試験を受けています。
2019年4月からスタートした在留資格「特定技能」の審査のうち、日本語能力の指標に関しての要件が、日本語能力試験(JLPT)を基準に定められています(N4以上)。
一方ビジネス日本語能力テスト(BJT)は、あくまで「ビジネス日本語」についての試験なので、日本語能力試験(JLPT)に比べ受験人数は多くありません。
しかし就職活動での需要や法務省の入国管理局から証明基準として認められたこともあり、受験者数は年々増えています。2018年度には4000人を突破しました。
外国人採用の現状と課題
国内中小企業の現状
日本では少子高齢化が進んでいることもあり、有効求人倍率が年々上昇しています。
有効求人数とは、求職者が選択できる求人の数です。有効求人倍率の増加は、企業側から見ると「自分のところに求職者がやってこない確率が高まる」と同義です。2018年上半期には、働き手の数が確保できず収益の悪化で倒産した企業が、前年同期に比べて4割増しました。
そんな「働き手不足」という課題を解決できる一手として挙げられるのが外国人採用です。 景気が回復してきた2013年ごろから、外国人労働者の数は中小企業を中心に増えています。
厚生労働省が2019年10月に発表した国内の外国人労働者数は約166万人にのぼり、過去最多を更新しています。
外国人採用の課題
そんな「外国人採用」ですが、課題もあります。多くの中小企業が懸念している理由の1つに、外国人雇用者の受け入れ体制をつくることが難しいことが挙げられています。
外国人採用の課題や対策については、以下の記事で詳しく解説しています。
【202 番の記事が挿入されます】
採用の際考えたい日本語レベルとは?
「受け入れ体制をつくることが難しいのなら、すでに日本語を扱える外国人を採用すればよいのでは」。
ここまで読んでくださった方の中には、そう考える方も多くいらっしゃるのではないでしょうか。
「日本語を扱える外国人かどうか」という判断の指標になり得るのが、日本語の試験資格です。この日本語試験として、本記事では日本語能力試験(JLPT)とビジネス日本語能力テスト(BJT)を紹介しました。
では、外国人採用を考える際、試験の結果と実際の業務内容はどうつなげて判断していけばよいのでしょうか。ここでは日本語能力試験(JLPT)のうち、3レベルを例に説明していきます。
N3保持者ができること
N3合格のために必要な漢字数は350字程度で、単語数は2,250語ほどです。短文の理解や言い換え表現(どんどん=次々に)など、日常的な場面での日本語が理解できます。
仕事で言うと、レストランのホールでの接客やオフィスでの簡単な電話の取り次ぎ、ゆっくりとしたスピードの会議なら参加する事が可能です。ある程度は、日本語のみで日本人と一緒に働くことが可能であると言えます。
N2保持者ができること
N2に合格するために必要な漢字は約1000字ほどで、単語数は6,000語ほどです。N3と比べて必要な語彙が大幅に多くなっており、日常的な場面以外にも対応できるようになっています。
N2の試験問題では、新聞から抜粋された記事に関する問題などが出されています。そのためN2の合格者は、新聞など高度な読み物を読む能力が備わっていると言えるでしょう。
また、聞く能力も高く、自然に近いスピードのまとまりのある会話でも、話の内容の理解や要旨の把握をすることができます。
N1保持者ができること
JLPTのN1は難易度が一番高い試験です。合格するのに必要な漢字数は2000字、単語数は10,000語と言われています。N2と比較すると合格するのに必要な漢字数は2倍となっています。
日本人男性がJLPTのN1を受験したところ、日本語がネイティブの日本人ですら時間をかけて解かなければ理解できない問題が多かったため、1問間違えて満点が取れなかったというほど難易度は高めです。
N1を合格した外国人は、新聞の論説や評論文などの複雑な文章を理解することができます。また、幅広い話題の会話を自然なスピードで理解することができます。 [参照:https://global-saiyou.com/column/view/JLPT]
日本語試験と採用
日本語能力が高い(保有資格のレベルが高い)ほどできることは多いですが、N3などであってもゆっくりとしたスピードなら問題なくコミュニケーションを取ることが可能です。ゆっくりと話したり、会話につまずいていたらフォローに入るといった配慮が可能な業種・職種であれば働けるのではないでしょうか。
また、日本語が使えなくても、技術や能力を持った外国人はたくさんいます。働く中でコミュニケーションの部分をフォローしていくことができれば、日本語が使える最強の社員が誕生します。一概にここというレベルで考えすぎずに、あくまで「指標」として試験結果を見ることをおすすめします。
日本語能力試験(JLPT)を受験していない外国人も少なくないので、「資格は持っていないが日本語の扱いには慣れている」という存在もいます。保有資格のレベルで足きりをせず、実際に会って話してみることが大切です。
まとめ
この記事では、2つの日本語試験「日本語能力試験(JLPT)」と「ビジネス日本語能力テスト(BJT)」について、詳しく紹介しました。
「日本語を扱える外国人かどうか」という判断の指標になり得るのが、日本語の試験資格です。そしてもちろん、そのレベルが高いほうが採用するほうも安心です。実際に「日本語能力試験(JLPT)N1以上」という基準を設けている企業も見られます。
しかし試験のレベルだけを考えすぎると、優秀な人材を逃してしまうことにも繋がってしまいます。あくまで判断の指標の1つと考えましょう。
ともに働く仲間とのコミュニケーションについては不安もあると思いますが、新たな視点や価値観を取り入れることは大切なことです。外国人採用で社内に新たな風を取り入れていきましょう。
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