外国人労働者を雇用するためには、どのようなことが必要になるのでしょうか。必ず必要な書類は存在するのでしょうか。グローバル化が進み、社内の公用語が英語になるなど、外国人を受け入れる企業は増えています。特に日本は少子高齢化が進み、労働力が減少している今、能力のある外国人を雇いたい会社は多いです。
日本国籍を持たない外国人を採用するためには、在留資格が必要です。その他にも揃えなければならない書類が多くあります。ここではその中でも大切な外国人雇用時に必要な、外国人雇用状況の申告の内容や届け出の仕方、注意点など紹介します。
外国人雇用状況の届け出とは
それでは外国人雇用状況の届け出とはどのような書類なのでしょうか。内容と、作成方法、記載する必要事項、届出をする場所をご紹介します。
1-1.概要
それぞれの事業所における外国人労働者の雇用状況を把握し、外国人に対する適切な雇用管理を行うことを目的としています。外国人雇用状況の届け出は、外国人の雇い入れまた離職の際に必ず必要な書類です。事業主の義務となっており、届け出をしないと30万円以下の罰金となります。
外国人雇用状況の届出内容としては、雇用対策法施行規則第十条では以下の様に定められています。
「第十条 法第二十八条第一項の厚生労働省令で定める事項は、新たに外国人を雇い入れた場合における届出にあつては次の各号(第五号を除く。)に掲げる事項と、その雇用する外国人が離職した場合における届出にあつては第一号から第三号まで、第五号及び第六号に掲げる事項とする。
一 生年月日
二 性別
三 国籍の属する国又は出入国管理及び難民認定法第二条第五号ロに規定する地域
四 出入国管理及び難民認定法第十九条第二項前段の許可(以下「資格外活動の許可」という。)を受けている者にあつては、当該許可を受けていること。
五 住所
六 雇入れ又は離職に係る事業所の名称及び所在地
七 賃金その他の雇用状況に関する事項」
引用 雇用対策法施工規則
1-2.対象となる人
外国人雇用状況の届け出が必要となるのは、日本の国籍を保持していなくて日本で就業する人です。しかし以下の在留資格を持っている人は対象外となります。
・外交
外国の政府や機関を代表して日本を訪問する外国人が保持しているのが外交となります。
・公用
日本国内で外国政府や機関(アメリカ大使館など)の職員として日本を訪問する外国人が保持できるのが公用です。
またこれらに該当する外国人と同一の世帯を形成する夫や妻、子ども、両親にも付与されます。在留カードを携帯する必要もありません。
・特別永住者
在日韓国人、朝鮮人、台湾人やその子孫が日本で生活をするための資格となります。
上記に該当しない日本国籍を持たない外国人を雇う場合は、外国人雇用状況の届け出が必要となります。また就業する時の雇用形態ですが、正社員の他にもアルバイトや派遣社員でも対象となります。留学生がバイトをする場合でも必要になるので注意をしてください。
1-3.書式の違い
外国人雇用状況の届出の方法は、2種類あります。雇用保険に加入しているかどうかによって、届け出書類が変わるのです。
1-4.作成方法
上記のように、該当する外国人労働者が雇用保険の被保険者であるかどうかによって書類が異なります。
・雇用保険の被保険者である場合
雇用保険の被保険者である場合は、届け出る場合は取得届、離職する場合は喪失届が必要になります。
いずれも雇用保険に備考欄に、在留資格、在留期間、国籍・地域などを記載することで作成可能です。これらの書類はハローワークで受け取ることもできますし、厚生労働省のホームページからダウンロードすることも可能です。
参考 厚生労働省
・雇用保険の被保険者ではない場合
届出様式(第3号様式)に氏名、在留資格、在留期間、性別などを記載してます。同じように、これらの書類もハローワークで受け取ることもできますし、厚生労働省のホームページからダウンロードすることも可能です。
参考 厚生労働省
1-5.必要な書類
外国人雇用状況の届け出をする場合は、該当する外国人労働者の氏名や、在留資格、在留期間がわかる書類が必要となります。いずれも外国人雇用状況を届出する時に、記載をする必要があります。
1-6.提出する場所
外国人雇用状況を届けるのは、ハローワークで届け出をします。またハローワーク以外にも「外国人雇用状況届出システム」と呼ばれるオンラインを利用することもできます。一度ハローワークに届出をした場合は、WEB上ではユーザーIDやパスワードを取得することができないため、ハローワークに問い合わせる必要があります。
24時間365日ほぼ利用することができますが、毎週日曜日の22時~翌日の8時はメインテナンスをするため利用することができません。
外国人雇用状況の届け出をしなかった場合どうなる
外国人を採用する時に必要な外国人雇用状況の届け出ですが、もし届け出をしなかったらどうなるのでしょうか。外国人を雇用している事業主にとって、外国人雇用状況の届け出は義務です。届け出をしていないことが発覚すると、30万円以下の罰金が科されます。
また他にも雇用対策法、第四十条に記載されているのですが、虚偽の届出をした場合も同じ罰金30万円が科せられるので注意が必要です。
「第四十条 次の各号のいずれかに該当する者は、三十万円以下の罰金に処する。
一 第二十七条第一項の規定に違反して届出をせず、又は虚偽の届出をした者
二 第二十八条第一項の規定による届出をせず、又は虚偽の届出をした者
三 第三十四条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又は同項の規定による当該職員の質問に対して答弁せず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくは同項の規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者
四 第三十六条の規定による報告をせず、又は虚偽の報告をした者」
引用 雇用対策法
外国人雇用状況の届け出に関する注意点
外国人雇用状況の届け出に関して、注意したい点をそれぞれ詳しくご説明いたします。
3-1.離職の場合
外国人雇用状況の届け出は採用の時だけでなく、外国人労働者が離職の際も必要となります。離職の場合は、雇用保険被保険者資格喪失届が必要になります。該当の外国人労働者が退職をした、翌月の10日までに提出するようにしてください。
3-2.資格外活動許可が必要な場合
資格外活動とは、在留資格に定められた範囲以外の活動をすることにより、収入を得ることをいいます。つま在留資格に定められた業務内でも活動は資格外活動とはなりません。在留資格に定められた業務をする場合は、たとえ週末だけのバイトであっても資格外活動許可が必要となります。
いくつか禁止事項があり、資格外活動をすることにより、在留資格の活動の妨げになってはいけません。まして資格外活動をすることで、在留資格の活動が中止になってしまうのはもっての他です。
また資格外労働の内容として、特別な知識や技術を必要としない労働も基本的に認められていません。しかし在留資格が留学や文化活動などの場合は認めれています。つまり在留資格が労働の場合は、資格外労働として単純作業は認められないのです。
3-3.雇い入れをする時に、名前や言葉などから外国人と判断できない場合
雇い入れをする時に、名前や話す言葉などから外国人と判断できない場合は、仮に労働後に外国人と判明しても違反とはなりません。
3-4.派遣社員でも同様に外国人雇用状況の届出が必要
就業形態が派遣社員であっても、派遣元の企業は日本の国籍を持たない外国人が就業する場合は、正社員同様外国人雇用状況の届出が必要になります。派遣先が仕事内容が変更になった場合は、都度雇い入れの届出が必要となります。
外国人労働者を雇い入れる時に困ったら
外国人労働者を雇い入れる時、また外国人雇用状況の届出の作成などで困った時は、ハローワークで助言や指導を受けるようにしてください。また離職する予定の外国人労働者の再就職支援も行っているので、是非ご相談ください。
外国人労働者を迎え入れる時は、必要な手続きが書類が多く、どれか一つでも抜けてしまうと雇用ができなくなるだけでなく、罰金につながることもあります。そのような状況になる前に、ハローワークに相談することをおすすめします。
外国人雇用状況のまとめ
外国人雇用状況とは、日本国籍を持たない外国人が日本で就業する際の、就業環境、適正な賃金の支払いをされているかなどを把握するために実施されています。そのため、正社員、バイト、派遣社員などの就業形態に係らず事業者は外国人雇用状況を提出する必要があります。
異動などにより、業務内容が大幅に変更になった場合も再度届出が必要となります。また離職の際も必要となります。偽りの申請をしたり、外国人労働者とわかっていて申請しなかった場合は、30万円以下の罰金となります。
外国人を雇用する場合は、事業主は外国人雇用状況届がかならず必要だと認識しておいてください。
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