2019年4月から在留資格「特定技能」制度が開始しました。今回dnusでは、なぜ在留資格「特定技能」が誕生したのか、「特定技能」追加に伴う変化、これまでの在留資格と特定技能の違い、外国人受入れが簡単になるか等、背景から技能実習との違いまで「特定技能」制度を徹底解説していきます。
この記事で分かること
・どうして特定技能は誕生したのか
・特定技能で何が変わるのか
・特定技能とこれまでの在留資格は何が違うのか
・特定技能で外国人受入れが簡単になるか
『特定技能』はなぜ誕生したのか
在留資格「特定技能」が誕生した背景には、中小企業の人手不足があります。
有効求人倍率や失業率がバブル時代と同水準まで回復した一方、働く人が不足している状況も同様に、バブル期時代と同じ水準になっています。多くの国内企業が人手不足の状況に苦しんでいる中、中小企業はより一層人手不足による経営の厳しさを感じています。
もし今の状況が続けば、技能技術を後世に伝えることが難しいだけでなく、国内の労働力は年々減少し、数少ない労働力で経営することは困難になることが予想されます。
国内の日本人労働者の数が年々減少する一方で、国内で働く外国人労働者の数は年々増加しています。2017年10月の時点で国内の外国人の約130万人が、何かしらの在留資格を取得して働いており、その数は前年に比べておよそ20%近く増えています。
政府はこの日本で働く外国人労働者の数の増加に着目しました。特定技能という新たな在留資格を創設することで、外国人労働者の拡大を促進することが目的です。これにより、今後国内で、技術やスキルを持った外国人労働者の数が増えることが期待されています。
また、 もう1つの狙いとして、技能実習制度からの移行があります。特定技能の資格を取得する際、技能実習2号を修了した外国人は、在留資格「特定技能」を取得するために必要な試験が免除され、移行という形で在留資格「特定技能」を獲得することができます。
2022年までに受け入れられる外国人労働者の、実に半分近くが技能実習2号からの移行であると試算され、特に建設業や農業などは9割以上が技能実習生からの移行になる見込みです。
特定技能が在留資格に追加されて何が変わる?
特定技能が施行される前、日本に住む外国人向けの在留資格は約30種類ありました。今回、特定技能が追加されることでこれまでと何が変化するのでしょうか?詳しく見ていきましょう。
特定技能が在留資格に追加されることで、主に3つの変化が起きます。
1つずつ解説していきます。
1.就労ビザの範囲が拡大
特定技能が施行される前、日本に住む外国人向けの在留資格は30種類ありました(外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・営利、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習1号2号3号、文化活動、短期滞在、留学、研修、家族滞在、特定活動、永住者、日本人の配偶者等、永住者の配偶者等、定住者)。
この中で就労が認められる在留資格は18種類(外交、公用、教授、芸術、宗教、報道、高度専門職、経営・営利、法律・会計業務、医療、研究、教育、技術・人文知識・国際業務、企業内転勤、介護、興行、技能、技能実習1号2号3号)でしたが、今回新たに追加される特定技能により、就労可能な在留資格が19種類になります。
特定技能の創設に伴い、特に人手不足が顕著である14業種での外国人労働者の就労が可能になりました。14業種の中には、外食業や宿泊業、建設業、介護、ビルクリーニングなどがあり、現在人手不足に深刻な状態な業種が選ばれています。
特定技能1号は通算5年までの期間限定で働くことが可能です。さらに、特定技能2号に移行すれば、日本の滞在期間の制限が撤廃され、家族を連れてくることが可能になります。
詳しくは以下の記事でも紹介しています。
【253 番の記事が挿入されます】
以上のように、特定技能の追加により、日本での就労可能範囲が拡大されたのが1つめの変化です。
2.技能実習生やアルバイトに頼らずに済む
2017年の時点で130万人近い外国人労働者が日本で働いていますが、その中で技能実習生と資格外活動で働く外国人労働者の割合は40%を超えています。基本的に外国人籍の方が在留資格を得ると、その在留資格に基づく活動が認められ、それ以外の活動は認められません。
しかし、留学生のようにアルバイトをしなくては生活ができない場合があります。その場合、1週間で28時間以内の就労時間でアルバイトを行うことが可能です。これを「資格外活動」と言い、現在30万人の日本に住む外国人が資格外活動を行っています。
技能実習は、元々開発途上国に日本の技能を移転させることで国際協力につなげる目的で創設された在留資格です。技能を得るために就労が許可されるのが大前提なのに、実情は単純労働ばかり、賃金も最低賃金以下で働かせるところが出てくるなど、安い労働力として扱われてきました。これらの問題が最近増えており、それに伴うトラブルが発生しています。
28時間以内のルールがありながら平然と破る事業所も存在し、もしそれが発覚すれば留学生本人は強制退去などの厳しい処分が下る可能性もあります。最近では、ダブルワーク(2つ以上の職場で2つ以上の仕事を掛け持ちする働き方)で、結果的に就労時間が28時間を超えるケースもあることから、資格外活動はとてもシビアです。
しかし、特定技能の資格が開始されたことで、外国人労働者を、正規の理由で雇うことが可能になります。そのため技能実習生や資格外活動を行うアルバイトの留学生を無理に雇わずに済むようになります。また、特定技能の資格を取得した外国人なら、時間制限を気にせずに雇用することが可能になります。
技能実習生に関する記事はこちら
【79 番の記事が挿入されます】
3.海外で直接採用活動が行える
企業が技能実習生を受け入れる場合は、外国人の求人票を監理団体に提出する必要があります。現地の送り出し機関は、提出された求人票の中身を踏まえ、実技テストや日本語試験などで選考活動を行って候補者を選び、企業との面接に入ります。現地の送り出し機関が介入する形だったのがこれまでの技能実習制度でした。
しかし、在留資格「特定技能」ができたことで、企業は現地の送り出し機関を通さずに、直接採用活動が行えるようになりました。
自社のホームページで採用活動が行えるようになっただけでなく、既存の職業紹介事業者から外国人を紹介されるケースや海外の送り出し機関が日本法人を立ち上げて職業紹介を行うケースなどが現在現れています。
自社で有望な人材を探したい場合には今回の在留資格「特定技能」の創設で大きなチャンスを得ることになります。しかし、それが難しい場合は、今まで通り現地の送り出し機関の日本法人に依頼する形に落ち着きそうです。
これまでの在留資格と特定技能の違いは?
今までの在留資格と今回の特定技能の決定的な違いですが、まず特定技能の資格を得る時点で一定の日本語能力が求められます。
求められる日本語能力は、日本語能力試験におけるN4レベル(基本的な日本語を理解することができるレベル)です。これは、日本語でゆっくり話しかけられたときに内容が理解できるぐらいのレベルとされています。これとは別に、国際交流基金日本語基礎テストと呼ばれる試験があります。
詳しくは以下の記事で紹介しています。
【254 番の記事が挿入されます】
これに加え、在留資格「特定技能」は、各業種で創設されている試験に合格する必要があります。
例えば特定技能「介護」を取得して介護職で働く場合、「介護日本語評価試験」に合格する必要があります。これらの評価試験では、介護業務に就く中で想定されるシチュエーションに対応できる日本語能力があるかが試されます。
それぞれの業種で作られた試験があり、その中で一定の技能を有する人物かどうかが問われ、これをクリアすることで初めて特定技能の資格が得られるという流れです。
また技能実習制度では技能実習2号をクリアしないと認められなかった転職が、特定技能では可能になります。ただし転職は同じ業種の中でのみ行えます。
技能水準の共通性がある場合のみ転職が可能なため、いきなり別業種に乗り換えることはできません。それでも1つのスキルを身につけていれば、待遇や人間関係などでソリが合わなければ、会社を辞めて別の会社でお世話になることも可能です。
外国人の受け入れは特定技能で簡単になる?
在留資格『特定技能』が創設されることで、確かな労働力を確保できるようになることから、受け入れ自体は簡単になります。技能実習制度では、監理団体などにいくらか資金を渡す必要がありました。しかし特定技能の場合その必要はありません。
また日常生活レベルの日本語能力を有しているため、言葉の壁もさほど高くはありません。
ただ、住宅の確保や生活の面倒など、様々な支援はこれまでと同様に会社が負担する必要があります。そのため、支援のノウハウがない企業は大変です。
企業側は外国人労働者を受け入れる環境を整えることが求められます。
dnusでは、現在外国人を受け入れる際に、受け入れサポートしてくれる企業を紹介しています。詳しくは以下のボタンよりご覧ください(詳細ページへ移動します)。
新しい在留資格である特定技能のまとめ
日本の慢性的な人手不足は、少子化や高齢化が続く限り、今後も続き、より深刻化することが予想されます。その中で、特定技能の資格創設は少しでも人手不足を解消させるために必要であるとともに、施行開始後まだ1年ということもあり、今後の見通しが立ちません。
しかし、特定技能の開始に伴い、今後も外国人の受入れは加速すると思います。国内の人手不足が解消され、多様な文化が今後の日本社会に広がっていくのではないでしょうか?
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