インドネシア人を採用する上で知っておくべき、特徴・言語
ハラールという言葉も日本においてかなり浸透し、ヒジャブというムスリムの女性が髪を見せないために頭に巻いている布をまとった方も日本で一般的に見られるようになりました。ここ最近のインドネシアの経済は著しく発展しており、2030年にはGDPが世界第5位にまでなるだろうと予測されています。
また、インドネシア人の日本好きのレベルも非常に高く、留学や就労で日本に渡航するインドネシア人は増加の一途を辿っています。
ゆえに、採用においてもムスリムのことをしっかりと理解することが必要不可欠です。
特に数年前の「ISのテロ=イスラム教」というイメージが非常に強く、多くの日本人がイスラム教に対してネガティブな印象を持っているように思えます。それは双方にとって不利益であり、今後の労働力人口激減の手助けとしての外国籍の受け入れの加速に悪影響となってしまいます。
ムスリムの働き手は、今後インドネシア人だけではなく、パキスタン、バングラデシュ、エジプトなど、他のムスリムの外国籍も受け入れが盛んになるはずです。日本企業がムスリムの代表であるインドネシア人を受け入れる上でどんなことを知っておくべきかまとめます。
「インドネシア」という国について
インドネシアは東南アジア南部に位置し、東西に伸びた赤道にまたがっている1万4000を超える島々が集まった島国です。陸上にて隣接している国は、ティモール島の東ティモール、カリマンタン島のマレーシア、そしてニューギニア島のパプアニューギニアです。
首都はジャカルタ、最大の都市も同じくジャカルタです。日本人にとってのインドネシアの印象は、バリが最も知られている場所ではないかと思います。神々が住む島として知られて、観光、サーフィン、ダイビングなどのレジャースポットして人気が高い聖地です。
インドネシアの人口は2018年において約2億6600万人、世界の中で人口数第4位にランクする大きな国です。ちなみに人口の増加数ですが、2015年から2018年までの3年間で、1000万近くの人口が増えています。
注目すべきインドネシアの中央年齢ですが、約28歳になります。
つまり、全体の人口数の半分にあたる約1億3300万人が28歳以下という計算になるので、日本の人口を超える人口が28歳以下であるという、若さに活気溢れている国であることがわかります。
また、インドネシア政府は近い未来、首都をジャカルタからジャワ島以外の別の場所に移転する予定です。これは首都圏に人口が集中し過ぎていることに対しての対策で、かつジャカルタは地盤沈下が激しく洪水の被害を大きく受けるので、それを避けたい理由もあるようです。
インドネシアは、言うまでもなく多民族国家です。インドネシアに住む民族グループは数多く存在し、軽く300を超える多民族国民が存在するそうです。
中でも。もっともインドネシアで多い民族と言われているのが、ジャワ島を中心に暮らしているジャワ人で全体人口の40%を占めます。
公用語はインドネシア語で、インドネシアの国語になります。さらにインドネシアには地方語と呼ばれる言語が存在し、その数は500を超えるそうです。
そもそも500を超える方言があり、1万4000を超える島々がある国なので、言語を統一することは容易ではありませんでした。そこで、共通言語を制定させるために作られたのがインドネシア語なのです。
ちなみに、インドネシア人の英語力はというと、特筆して優れているというわけではないようです。
もともと母国語はインドネシア語ですので、日常で英語を使う機会は多くはないのが実情でしょうし、使う機会があったとしても現地人との会話は、簡単な英語しか伝わらないくらいのレベル感です。かつ、インドネシア語の訛りが英語に影響します。ただし、ジャカルタのような国際都市やバリのような観光スポットにおいては、他国の方との必須コミュニケーションツールになりますので、話せる方が多いですしレベルも高いです。
インドネシア人を採用する上で知っておくべき、宗教・文化・歴史
インドネシアを語る上で欠かせないのは宗教です。インドネシアはイスラム教が象徴となる国で宗教のマジョリティになります。
ちなみに世界の人口で見ると、第1位はキリスト教で約22億5400万人、世界人口の約33%にあたります。
第2位はイスラム教で約15億人、世界人口の約22%、第3位はヒンドゥー教で約9億1500万人、世界人口の約13%、第4位が仏教で約3億8400万人、世界人口の約6%と続きます。
つまり、世界には約15億人のイスラム教徒がいるわけです。
インドネシアで国として認められている宗教は、イスラム教、プロテスタント(キリスト教)、カトリック(キリスト教)、ヒンドゥー、仏教、儒教の6つらしいのですが、インドネシアの人口の宗教の割合は、イスラム教が全体の約87%、プロテスタントが約7%、カトリックが約3%、ヒンドゥー教、仏教、儒教は数%らしく、インドネシア全人口のほとんどがイスラム教徒であることがわかります。
2018年時点での人口数が約2億6600万人、そのうちの約2億3100万人がイスラム教徒になので、世界にいる約15億人のイスラム教徒のうち、約15%のイスラム教徒はインドネシア人という計算になります。
ちなみに世界で最もイスラム教徒が多いのがインドネシアであり、次いでパキスタン、インド、バングラデシュ、エジプトになります。
各国によってイスラム教の掟も厳しいところもあれば、割とゆるいところもありますが、一般的にイスラム教においては守らなければならない5つの義務があります。
1、信仰告白(シャハーダ)・・・イスラム教徒であることを認め、「アッラーを唯一神とし、ムハンマドはその使徒である」と唱えること。
2、礼拝(サラー)・・・明け方、午前、午後、日没後、就寝前の1日5回のお祈りをメッカに向かってお祈りをしなければならない。金曜日の午後はモスクに集まって祈ること。
3、喜捨(ザカート)・・・豊かな人が収入の一部を恵まれない人に惠むこと。そしてムスリム同士である助け合うこと。
4、断食(サウム)・・・1年に1回、4週間の間(ラマダン期間)断食を行うこと。ラマダン期間中は、日の出から日没まで一切の飲食を断つこと。また、喫煙、性行為を慎むこと。
断食を行う理由は、飢えのつらさを味わうことによって、日々の当たり前に感謝の気持ちを持てるようにするため。
5、巡礼(ハッジ)
イスラム暦第12月はメッカの巡礼の月で、経済的、肉体的に可能な限りメッカに巡礼すること。
また、これ以外の掟として、
①不浄の左手を使用しないこと(左手は汚いものとされているため)
②豚と犬が不浄の動物とされているため食さない・触れない(ハラール)
③アルコールは飲まない
というイスラム教徒が守らなければならないルールがあります。
さらに特殊なのが、インドネシアでは、全ての妻を平等に愛せることを条件に、4人まで妻を持つことが可能である一夫多妻制らしいです。
このように、無宗教が多い一般的な日本人からすると掟が多過ぎてイスラム教徒の日常の生活に弊害が多いように見えますが、そもそもイスラム教では「弱きを救う!」という考え方が重視されていることを日本人は忘れてはいけません。
イスラム教は喜捨が掟の中に入っているので、「進んで自ら貧しい人々を救いなさい!」と教えられている宗教です。
しかし、メディアでは過激派組織のニュースが前面に取り沙汰されているので、日本人にはイスラム教徒が怪しい信者にしか見えないようです。
これは日本人だけでなく、世界的に見てもそのような風潮があります。世界に15億人のイスラム教徒がいる中で、過激派はごく一部であり、その他大多数のイスラム教徒は、ホスピタリティ精神溢れる素晴らしい人々であることを勘違いしないで欲しいものです。
日本企業がインドネシア人を採用すべき理由とメリット
日本企業がインドネシア人を採用することには多くのメリットがあります。まず、インドネシア人は日本が大好きであり、日本人に対して強い憧れを持っています。その理由は、日本のアニメがインドネシアで人気が高いためです。
このブームにより、インドネシア人の中で日本語を勉強する人が増加しており、「将来は日本の企業で働きたい!」という意欲的な声も聞かれます。
また、インドネシア人は性格がフレンドリーでオープンマインドであり、誰とでも気軽に話し、すぐに打ち解けることができます。さらに、困った人を助ける精神を持っているため、ホスピタリティ精神が強いことが特徴です。
これらの性格から、日本の観光産業やサービス業、ホスピタリティ系の仕事に適していると言えます。日本企業がインドネシア人を採用することで、より多様な人材を得ることができ、グローバルなビジネス展開にもつながります。
インドネシア人採用で気をつけるポイント・注意点
インドネシア人を採用する際には、まず宗教に対する配慮が必要です。イスラム教徒が多いため、礼拝時間を職務中に設けたり、礼拝室を用意するなどの配慮が必要になるでしょう。また、豚肉を食べることができないため、ハラール対応のレストランを探すなど、食事についても考慮が必要です。
また、インドネシア人は時間におおらかで、ルーズな傾向があります。そのため、マネジメントする際には、時間に余裕をもって指示を出し、その都度確認をする必要があります。また、インドネシア人は家族との絆を重んじる傾向がありますので、家族との関係にも十分に配慮する必要があります。
さらに、インドネシアには多くの宗教が存在します。一部の人々は仏教やキリスト教徒であり、また、インドネシア人の中にはムスリムであっても、厳格に信仰を守っていない人々もいます。したがって、採用前に宗教について確認することは大切です。
これらのポイントを踏まえると、インドネシア人の文化や宗教を尊重し、十分な配慮をすることができます。採用する人材によっては、会社の成長や成功に大きく貢献することができるかもしれません。
インドネシア人材の起用を考えている方はこちらの資料もぜひお役立てください。
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