特定技能「宿泊」とは?職種・業務内容から取得方法、試験科目、外国人籍の受入れ方法までを徹底解説

執筆者 8月 6, 2019ニュースコメント0件

  1. Home
  2. /
  3. ニュース
  4. /
  5. 特定技能「宿泊」とは?職種・業務内容から取得方法、試験科目、外国人籍の受入れ方法までを徹底解説

近年日本に訪れる外国人が増加しています。その多くは観光目的で、観光地周辺の飲食業及び旅館やホテルなどの宿泊業の需要が拡大しています。

 

そんな中、日本は現在あらゆる業種で人手不足が深刻化されています。

 

宿泊業も人手不足が深刻で、今後東京オリンピックや大阪万博などで訪日外国人観光客はさらに増加し、宿泊業も需要が増えることが予想されます。

 

日本政府が人手不足の解決策として施行した「特定技能」の14業種のひとつ「宿泊」とは一体何なのでしょうか?

 

今回dnusでは、観光業・宿泊業の現状、特定技能「宿泊」とは何か、特定技能「宿泊」の職種、業務内容、特定技能「宿泊」の外国人籍の雇用形態、特定技能1号「宿泊」の宿泊技能測定試験の試験科目、特定技能「宿泊」の外国人籍の方の受入方法から企業の活用事例まで徹底解説します。

 

この記事で分かること

・観光業・宿泊業の現状

・特定技能「宿泊」の職種・業務内容

・特定技能「宿泊」の取得方法

・宿泊技能測定試験の試験科目

・特定技能「宿泊」の外国人籍の受入れ方法

観光業の現状について

0 

(出典:観光庁「観光や宿泊業を取り巻く現状及び課題等について」p.3)

 

現在、訪日外国人観光客が増加しています。

訪日外国人旅行者数の推移を見てみると、2018年(平成30年)の訪日外国人旅行者数は、3,119万人と初めて3,000万人を突破し、過去最高を記録しました。外国人旅行者受入数はアジアで3位に相当し、世界で見ても11位となっています。

日本が「観光先進国」として、国際競争力のある生産性の高い観光産業に変わっていく一方で、ホテル業界などの従業者数は横ばいの状態が続いています。

 

総務省統計局「労働力調査」によると、従業員数は2019年の直近10年で300万人から400万人の増加で、上の画像で分かるように、訪日外国人観光客の増加と比べても、観光客の宿泊需要に対して従業員が不足していることが分かります。

 

宿泊業の現状について

こうした中で、宿泊業では人材不足の解消が必要不可欠となっています。

 

政府は2030年に訪日外国人観光客を6,000万人まで増加させることを目標としており、今後の宿泊需要に対応するために、人材を確保する必要があります。

観光庁によると、現在約3万人の人手不足が発生しており、今後の訪日外国人観光客の増加等に伴い、2023年までに全国で約10万人の人手不足が生じると推定されています。

 

有効求人倍率

0

(出典)厚生労働省「職業安定業務統計」

 

平成29年度の宿泊分野における有効求人倍率は、「旅館・ホテル支配人」が2.26倍、「飲食物給仕係」が7.16倍、「旅館・ホテル・乗物接客員」が4.01倍で、宿泊分野の合計有効求人倍率は6.15倍となるため、全業種の有効求人倍率が1.38倍と比較しても、有効求人倍率がかなり高い結果となっています。

 

特定技能1号「宿泊」について

そもそも特定技能とは?

そもそも特定技能とは何でしょうか?

 

dnusでは特定技能に関する情報をひとつひとつ分かりやすく解説しています。

 

合わせてこちらの記事をご覧下さい。

 

【253 番の記事が挿入されます】

特定技能は全部で14業種あり、特定技能1号と特定技能2号の2つに区分されます。

 

14業種ある特定技能のうち、特定技能2号に指定されている業種は現在(2020年7月10日時点)で建築業造船・船用工業の2業種です。特定技能「宿泊」は現時点ではその特定技能2号の2業種の1つに指定されていません。

 

特定技能「宿泊」の受入れ見込数

特定技能「宿泊」分野において、今後5年間の受入れ見込数は最大2万2,000人とされています。

 

特定技能「宿泊」を取得した外国人を受け入れると共に、毎年2.8%の生産性向上と、国内人材の確保による労働効率化、また国内人材の確保を行っても、なお不足すると見込まれています。

特定技能「宿泊」の業務内容について 

次に、特定技能「宿泊」で行われる業務について説明します。

 

特定技能「宿泊」の対象となる業務は以下のとおりです。

1.フロント業務

ホテルや旅館でのフロント業務は、お客様の受付やチェックイン、チェックアウト、予約管理、お問い合わせ対応などを行う重要な業務です。フロントスタッフは、お客様と最初に接するスタッフとして、接客やサービスの質によってお客様の満足度を左右する重要な役割を担っています。また、問題やトラブルが発生した場合には、適切な対応が求められます。

2.企画・広報業務

ホテルや旅館の企画・広報業務は、宿泊プランの企画や販売促進のためのキャンペーン、宿泊施設のイベント企画、SNSや広告媒体の活用、ウェブサイトの更新や運営などを行います。そのため、多岐にわたる業務があり、マーケティングやコミュニケーション能力が必要となります。

3.接客業務 

接客業務は、お客様と直接対面し、滞在中のおもてなしやサポートを提供する業務です。お客様の要望やニーズに合わせたサービス提供が求められます。また、お客様の状況や雰囲気を察し、きめ細やかな気遣いやコミュニケーションをとることで、快適な滞在をサポートします。

4.レストランサービス業務

 ホテルや旅館内にあるレストランでのサービスは、フロント業務や接客業務と同様に、お客様に直接対応する業務です。レストランサービスでは、お客様の受付、席への案内、注文取り、食事の提供などを行います。また、食材やメニューの知識、料理の美味しさや彩りなどの配慮も求められます。レストランサービスは、お客様の滞在の中での食事体験に大きな影響を与えるため、高いサービス品質が求められます。

また、関連業務で想定される業務では、 

・ホテルや旅館施設内の売店での販売業務

・ホテルや旅館施設内の備品の点検や交換業務

などが挙げられます。

 

雇用形態は?

直接雇用に限ります。

特定技能「宿泊」の取得方法

0では、特定技能1号「宿泊」を取得するにはどうすればいいのでしょうか?

通常、在留資格「特定技能」を取得するには、2つの方法があります。 

1つは、技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで在留資格「特定技能」を取得する方法です。

もう1つは、技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する方法です。

 

ほとんどの場合、技能実習2号を修了した外国人は無試験で特定技能へ移行することが可能です。しかし、これまで特定技能1号の全14業種のうち、外食業宿泊業の2種類は技術実習制度で認められた業種ではありませんでした。

 

そのため、特定技能の「外食業」と「宿泊業」の2業種は、所轄省庁の定める特定技能評価試験を受験し、合格しなければ取得できなかったのですが、技能実習2号の対象職種に新たに「宿泊業」が追加されました

 

これにより、これまでは特定技能評価試験でしか特定技能「宿泊」を取得できませんでしたが、改正が施行されたことで、技能実習2号から特定技能に移行が可能になりました。

 

1.「特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格

特定技能評価試験について

まず、特定技能1号「宿泊」を取得する手段の1つ目として、特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する方法があります。

 

特定技能評価試験は、特定技能全14業種それぞれ異なる試験となっており、特定技能「宿泊」では国土交通省の定める「宿泊業技能測定試験」を受けなければいけません。

 

特定技能14業種それぞれの試験について知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

【254 番の記事が挿入されます】

 

「宿泊業技能測定試験」について

宿泊業技能測定試験は、一般社団法人宿泊業技能試験センターが主体となって実施する特定技能評価試験です。

 

2019年4月に在留資格「特定技能」が施行されてから、現在(2020年7月10日時点)までに3回実施されており、累計1,140名の外国人が試験に合格しています。

 

「宿泊業技能測定試験」の試験科目

試験科目は以下のとおりです。

 

1.学科試験

学科試験では宿泊業務のうち、①フロント業務 ②企画・広報業務 ③接客業務 ④レストランサービス業務 の4業務の基礎的な知識や対応についての知識を問われます。また、4つの業務に関して、安全衛生を確保するための知識を有するかについても問われます。

さらに、宿泊業務に従事するに当たっての一般的な知識として、以下に関する知識を有しているか問われます。 

①心構え

②身だしなみ

③言葉使い

④立居振る舞い

⑤接遇(マナー)

 

試験の出題数は30問程度で、○か×かの2択式で答える形式となっています。

2.実技試験

宿泊業務のうち、①フロント業務 ②接客業務 ③レストランサービス業務 の3業務に関し、宿泊施設利用者の要求に応じ、適切な対応をとることができるか試験します。

特定技能「宿泊」を取得する際に、国内で受験する場合と国外で受験する場合の2種類の受験方法があります。

 

日本国内で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。

 

①在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること 

②退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持すること

※注意事項についての詳細は一般社団法人宿泊業技能試験センターホームページをご覧下さい。

日本国外で受験する際は以下の条件を満たす必要があります。

①試験日において満17歳以上であること

宿泊分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針に係る運用要領をご覧ください。

 

日本語試験について

次にもう一つ、日本語試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。

 

この試験では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験するものです。

2.技能実習2号から特定技能「宿泊」へ移行

特定技能「宿泊」を取得する2つ目の方法として、技能実習2号を修了して無試験で在留資格「特定技能」へ移行する方法があります。

 

これまで特定技能1号の全14業種のうち、外食業宿泊業の2種類は技術実習制度で認められた業種ではありませんでした。

 

そのため、特定技能の「外食業」と「宿泊業」の2業種は、所轄省庁の定める特定技能評価試験に合格しなければ取得できなかったのですが、2020年2月25日に「宿泊業」が技能実習2号の対象職種に新たに追加されました

 

これにより、これまでは特定技能評価試験でしか特定技能「宿泊」を取得できませんでしたが、改正が施行されたことで、技能実習2号から特定技能に移行が可能になりました。

技能実習2号を修了した外国人は、試験を受けることなく在留資格「特定技能」へ移行することが可能です。これにより、これまで日本に滞在していた技能実習生は、特定技能を得ることで追加で最長5年日本に滞在できるため、在留期間を伸ばすことができます。

 

技能実習生に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。

 

関連記事 

【79 番の記事が挿入されます】

特定技能「宿泊」の外国人籍の受入方法

前章では、外国人労働者が特定技能「宿泊」を取得する方法について詳しく紹介しました。

 

次に、特定技能「宿泊」資格を持った外国人労働者の雇用(受入れ)を検討している企業が、どうすれば特定技能「宿泊」の外国人労働者を雇うことができるか説明します。

 

まず、特定技能「宿泊」のビザを申請には以下のような義務が課せられています。

1.旅館業法第2条第2項に規定する「旅館・ホテル営業」の許可を受けた者であること。

2.「風俗営業法」第2条第6項第4号に規定する「施設」に 該当しないこと。

3.特定技能「宿泊」を取得した外国人労働者に対し、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」を強要しないこと。

4.国土交通省の設置する「宿泊分野における外国人材受入協議会」の構成員になること。

5.宿泊分野における外国人材受入協議会に対し、必要な協力を行うこと。

6.国土交通省又はその委託を受けた者が行う調査又は指導に対し、必要な協力を行うこと。

7.登録支援機関に1号特定技能外国人支援計画の実施を委託する場合、④~⑥の条件を全て満たす登録支援機関に委託すること。

宿泊業での外国人材活用の事例

国土交通省観光庁が、宿泊業で企業が実際に特定技能「宿泊」を取得した外国人材を活用した事例を資料として紹介しています。

 

外国人材の活用状況や、外国人材の今後の展望について、実際の声を参考にしたい方は、是非ご覧ください。

宿泊分野における特定技能外国人の受入れ事例

また、現在観光庁が日本ではじめて働く外国人に向けて「宿泊業における生活・業務マニュアル」を発行しています。

 

宿泊業で外国人雇用をしている又は予定している企業様は、こちらも合わせてご覧ください。 

「宿泊業における生活・業務マニュアル」

 

特定技能の申請や発給は、上記に記載した条件以外にも、細かい条件や手続きが必要になります。

 

特定技能ビザの申請・発給について詳しく知りたい方は、法務省または出入国在留管理庁までお問い合わせください

特定技能「宿泊」のまとめ

0この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「宿泊」について詳しく紹介しました。

 

観光業及び宿泊業は、人手不足が今後も深刻化することが予想されます。しかし、特定技能「宿泊」の外国人労働者の受け入れが増えていくことで、少しでも状況がよくなればと思います。

 

訪日外国人観光客の増加とともに、日本が今後観光先進国となるよう、外国人労働者と企業の共創に期待していきたいです。

合わせて読みたい関連記事のご紹介

『特定技能全14業種・職種(法務局・担当省庁)のお問い合わせ先の一覧』

著者 アドミン

0コメント

コメントを提出

メールアドレスが公開されることはありません。 が付いている欄は必須項目です

その他の興味深い記事

日本の人手不足問題の原因と解決策!外国人雇用が解決の鍵

日本の人手不足問題の原因と解決策!外国人雇用が解決の鍵

日本の人手不足問題の現状と原因日本における人手不足とは、必要な人材が集まらず業務が円滑に進まない状況を指します。この問題は、少子高齢化や団塊世代の大量退職、非正規雇用に対する待遇の不足などが背景にあり、深刻化しています。現在、様々な業界でこの問題に対処する必要性が高まっています。また、過去のように終...

続きを読む
2021年資料請求ランキング(企業資料・お役立ち資料編)

2021年資料請求ランキング(企業資料・お役立ち資料編)

弊社、DOC株式会社が、一社でも多くの企業様の外国人雇用・活躍・定着に役立てていただけるように、ご提供しているお役立ち資料の中でも2021年により多く資料請求(企業資料・お役立ち資料編)されたTOP 10の資料をご紹介いたします。資料請求ランキング 第1位外国人材活用事例集...

続きを読む