近年日本に訪れる外国人が増加しています。その多くは観光目的で、観光地周辺の飲食業は多くの人で賑わっています。
一方、現在約8割の飲食系企業が人手不足に苦しんでいます。このような企業の中には、外国人を採用したいと考える方もいるのではないでしょうか?
そこで今回紹介するのは、特定技能1号の「外食業」です。特定技能「外食業」について職種から取得方法まで徹底解説します。
外食業の現状について
現在、外食業は深刻な人手不足の状態となっています。
政府は人手不足の解消のために、生産性の向上や国内人材の確保の取り組みを実施してきましたが、このままでは完全に人手不足が解消されることはないと推定しています。
有効求人倍率
(参照元:農林水産省「外⾷業分野における新たな外国⼈材の受⼊れについて」)
平成30年度の外食業の有効求人倍率は、外食業全体の平均が4.40倍となっています。
内訳は、「飲食店主・店長」が9.25倍、「飲食物給仕係」が7.68倍、「調理人」が3.52倍です。全業種の有効求人倍率が1.62倍であるのに対し、外食業の有効求人倍率は全産業の2.7倍以上の水準になっています。
また、欠員率も、宿泊業・飲食サービス業が5.5倍と、全産業計の2.7倍と比較しても2倍以上と高水準となってることが分かります。
現在、特に人手不足が顕著な地域が、大都市圏の他に北陸地方や中四国地方が挙げられ、このような現状を解決するために国が考えた対策が、「外国人雇用の拡大」です。
詳しく知りたい方はこちらもご覧ください。
「外食業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針」
特定技能1号「外食業」の職種・業務内容
そもそも特定技能とは?
そもそも特定技能とは何でしょうか?
dnusでは特定技能に関する情報をひとつひとつ分かりやすく解説しています。
合わせてこちらの記事をご覧下さい。
【253 番の記事が挿入されます】
外食業における外国人材の受入れ状況
(参照元:農林水産省「外⾷業分野における新たな外国⼈材の受⼊れについて」)
現在、外食業で働く外国人籍の方は約18.4万人存在します。外食業の在留資格のうち、永住者を除いてほとんどが「留学生」や「専門的・技術的分野」となっています。
特定技能「外食業」の業務内容について
次に、特定技能「外食業」での業務について説明します。
特定技能1号「外食業」を取得した外国人労働者は、外食業全般の業務に従事することが可能です。具体的には、飲食物調理、接客、店舗管理などが挙げられます。
また、特定技能1号の外国人籍の方は、当該業務に従事する日本人が普段従事する関連業務に付随的に従事しても問題ありません。
例えば、店舗における物品の販売や、店舗で売る飲食料品の原材料の生産に付随的に従事することは問題ありません。
特定技能「外食業」の職種について
対象となる職種
①食堂、レストラン、料理店
②喫茶店 カフェ
③ファーストフード店(マックなど)
④テイクアウト専門店(店内で調理した飲食料品をお渡しするもの、ケーキなど)
⑤宅配専門店(店内で調理した飲食料品を配達するもの、宅配寿司、ピザなど)
⑥仕出し料理店
対象外
調理や接客を行わない場合は対象外
レストランで皿洗いや床掃除のみ
飲食店以外の仕事をする
宅配専門店で宅配だけする
雇用形態は?
直接雇用に限ります。また、フルタイムで就労する必要があります。(フルタイムは、週5日以上30時間以上で、かつ年間217日以上の就労のことを意味します。)
特定技能「外食業」に求められる人材とは
特定技能「外食業」で求められる人材についてご紹介します。
特定技能「外食業」を管轄している農林水産省によると、「外食業」で想定している外国人従業員は、「国内の飲食店等でアルバイトとして経験を積んだことがある外国人留学生」、「海外の調理師学校を卒業した外国人学生」、「海外のホテルやレストランで働いたことのある従業員」、「食品工場で勤務経験のある外国人従業員」等が挙げられます。
特定技能「外食業」の受入れ見込数
特定技能「外食業」分野で今後5年間の受入れ見込数は、最大5万3000人とされています。
先ほど外食業は深刻な人手不足であると説明しましたが、ここ5年間で人数として29万人程度の人手不足が予想されています。
特定技能「外食業」の取得方法
外国人籍の方が特定技能「外食業」を取得するにはどうすればいいのでしょうか?
通常、在留資格「特定技能」を取得するには、2つの方法があります。
1つは、技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで在留資格「特定技能」を取得する方法です。
もう1つは、技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する方法です。
ほとんどの場合、技能実習2号を修了した外国人は無試験で特定技能へ移行することが可能です。しかし、特定技能1号の全14業種のうち、外食業と宿泊業の2種類は技術実習制度で認められた業種ではありませんでした。
そのため、特定技能の「外食業」と「宿泊業」の2業種は、所轄省庁の定める特定技能評価試験を受験し、合格しなければ取得できなかったのですが、技能実習2号の対象職種に新たに「宿泊業」が追加されました。
これにより、現在は外食業のみ技術実習制度の対象外となっています。
それでは詳しく解説していきます。
特定技能評価試験について
まず、特定技能評価試験では「外食業特定技能1号技能測定試験」を受ける必要があります。
「外食業特定技能1号技能測定試験」の目的は、飲食物調理や接客、店舗管理の業務を行う際に必要な能力を測るためとされており、具体的には、
食品衛生に配慮した飲食物の取り扱い、調理及び給仕に至る一連の業務を担当、管理できる知識や技能があるかを確認するためとされています。
また、令和2年4月1日に「外食業分野における特定技能の在留資格に係わる制度の運用に関する方針」に係わる運用要領が一部改正されました。
詳細につきましてはこちらをご覧下さい。
「外食業特定技能1号技能測定試験」の受験資格について
特定技能「外食業」を取得する際に、国内で受験する場合と国外で受験する場合の2種類の受験方法があります。
日本国内で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。
①在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること
②退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持すること
※注意事項についての詳細は「外食業特定技能1号技能測定試験 国内試験案内」のP.4をご覧下さい。https://otaff1.jp/img/file/g_sihkenannai_jp.pdf
日本国外で受験する際は以下の条件を満たす必要があります。
①試験日において満17歳以上であること
「外食業技能測定試験」の試験科目・問題数・配点について
(出典:農林水産省)
詳しく知りたい方はこちらをご覧ください。
農林水産省:外食業特定技能1号技能測定試験実施要領
日本語試験について
次にもう一つ、日本語試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。
この試験では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験するものです。
さらにdnusでは、特定技能全14業種に必要な試験を全て解説しています。
こちらの記事もご覧ください。
特定技能全14業種で必要な試験を全部まとめた記事はこちら
【254 番の記事が挿入されます】
特定技能「外食業」の現在の合格者数
現在(2020年7月11日時点)では、4,949人が特定技能評価試験に合格しています。
特定技能「外食業」の外国人籍の受け入れに関して
特定技能「外食業」の外国人籍に対して、風俗営業などの規制及び業務の適正化等に関する法律(以下「風俗営業法」という。)第2条第1項目に規定する「風俗営業」及び同条第5項に規定する「性風俗関連特殊営業」を営む営業所で就労をさせることは禁止されています。
また、特定技能「外食業」の外国人籍に対して、風俗営業法第2条第3項に規定する「接待」もさせてはいけません。
風俗営業や性風俗関連特殊営業を営む営業所は、外食業に関する「飲食物調理」、「店舗管理」、「接客」が業務でも、彼らに働いてもらうことは不可能となっています。
特定技能「外食業」のまとめ
この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「外食業」について詳しく紹介しました。
外食業分野では、今後の人手不足の解消のために外国人雇用が増加することが予想されます。2020年度のオリンピックは、新型コロナウイルスの感染拡大に伴い、2021年に延期になりましたが、新型コロナウイルスが落ち着いてくると、再び訪日外国人観光客が増加することが予想されます。
大都市圏や地方での人手不足が解消するために、特定技能「外食業」を取得した外国人を雇用してみるのはいかがでしょうか?
また、特定技能の申請や発給は、上記に記載した条件以外にも、細かい条件や手続きが必要になります。
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