近年のエンジニア採用事情
近年のエンジニア採用事情は多岐にわたります。例えば、ITエンジニアだけでもシステムエンジニアやプログラマなど専門分野が存在します。
建築・土木業界においてもCAD設計士がエンジニアの一員とされます。特に最近では、IoT、ビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどの新しい技術を駆使できるエンジニアや、機械系エンジニア、ブリッジエンジニアのニーズが高まっています。これらの分野に精通している人材の採用が求められており、企業側も採用にあたっては技術的スキルだけでなく、コミュニケーション能力やチームワークも重視する傾向にあります。
また、採用面接や試験だけでなく、ハッカソンやコンペティションなどの技術的な能力を競う場も増えています。
日本と海外のエンジニア人口
IT人材不足が叫ばれ続ける日本ですが、そもそも日本と海外にはどのくらいエンジニアがいるでしょうか。
IPA(情報処理推進機構)が毎年発行している「IT人材白書」によると、日本のIT人材は現在100万人ほどいるとされています。一見、十分な人数がいるように思える数字ですが、2015年時点で既に17万人ほどが不足しており、2030年には最悪80万人ものエンジニアが不足すると言われています。
実はこのIT人材不足に悩まされているのは日本だけではありません。アメリカや中国ではすでに300万人以上のエンジニアがおり、国をあげてエンジニア教育に力を入れているため人口の割合は増えているものの、アメリカでは2020 年までに100 万人が不足すると言われているように、人材不足の状況が続いています。
外国人エンジニアの採用が増えている理由と傾向
日本では少子高齢化が進み、人口減少の勢いも止まらないため、IT人材不足が深刻化しています。
そのため、多くの企業が外国人エンジニアの採用を検討しています。2019年4月の入管法改正も相まって、外国人エンジニアの採用が一層増加しています。
このような中、人材紹介会社も採用支援に乗り出し、外国人エンジニアの存在感は高まっています。経済産業省の調査によると、情報通信業に就労している外国人の数は2008年から2015年の7年間でおよそ2倍に増加しており、中国、韓国、アメリカ、ベトナムなどの国籍のエンジニアが増えています。
特に、IoT、ビッグデータ、AI、ブロックチェーンなどの新しい技術を駆使できるエンジニアや、プロダクトに携わる機械系エンジニア、言語や文化を熟知したうえで業務指示ができるブリッジエンジニアのニーズが高まっており、外国人エンジニアの採用がますます増加することが予想されています。
外国人エンジニアを採用するメリット
IT企業を中心に注目を置かれる外国人エンジニア。人材不足解消に不可欠な存在である彼らを採用すると、どんないいことがあるでしょうか。
1.低コストでのリソースの確保
まずはリソース確保の点です。日本人エンジニアは人材不足が進んでおり、採用単価も高騰化。優秀な人であればあるほど支払う報酬は高く、1,000万プレーヤーも少なくありません。その点、ベトナムなどの若年層エンジニアが多い東南アジア諸国の人材を採用できれば、日本人エンジニアよりも低コストでリソースを確保できます。
2.優秀なエンジニアの確保
次に、優秀なエンジニアと出会えるチャンスが広がる点です。もともとベトナムなどの東南アジア諸国は開発コストを下げるために現地へアウトソースするオフショア開発拠点として注目されれいましたが、今では中国などのエンジニア人材の技術力は向上。日本人と大差ないレベルの人材を日本人より安く採用できると人気です。近年ではIT大国インドの優秀なエンジニアが日本企業で活躍するケースも増えています。
3.海外進出へのチャンス
外国人エンジニアを採用すると、その採用した社員の出身国とのリレーションが形成されます。その社員によるリファラルリクルーティングはもちろん、その国の文化やトレンドといったリアルな情報が入手しやすくなります。海外進出を視野に入れている国があれば、その国のエンジニアを社員として採用することで、参入障壁が格段に下がるため、海外進出の大きなチャンスとなるでしょう。
4.多様な文化や経験を持つ人材の採用
外国人エンジニアを採用することで、日本国内では得られない多様な文化や経験を持つ人材を採用できる可能性があります。多文化環境の中で働くことで、日本国内では得られない知見や視点を得られることもあります。
5.多様な人材採用による人材流出防止
日本国内の企業には、若者が海外へ流出する問題があります。外国人エンジニアの採用は、多様な人材採用による人材流出防止の一つの手段として捉えられることもあります。また、外国人エンジニアの採用は、多様な人材の受け入れ文化を醸成することで、日本国内の人材流出を防ぐことにもつながるかもしれません。
外国人エンジニアを採用する際の注意点
日本企業が外国人エンジニアを採用する際には、以下の点に注意する必要があります。
1.ビザや在留資格の取得に時間がかかることがある
外国人エンジニアを採用する際には、ビザや在留資格を取得する必要があります。しかし、ビザや在留資格の取得には時間がかかる場合があります。特に、日本語能力試験や職務経歴書の翻訳など、日本人エンジニアには必要のない手続きもありますので、事前に充分な時間を確保しておく必要があります。
2.コミュニケーションの壁がある
外国人エンジニアとのコミュニケーションには壁がある場合があります。言語や文化の違いがあり、意思疎通が難しいことがあります。そのため、コミュニケーション能力の高い日本人スタッフや翻訳者が必要になる場合があります。
3.法律や税金の問題がある
外国人エンジニアを採用する際には、労働法や税法の問題が発生する可能性があります。例えば、労働契約書や給与支払いに関する法的なルールが日本と外国で異なる場合があります。また、外国人エンジニアの給与に関する税金の扱いについても留意する必要があります。
4.文化や価値観の違いがある
外国人エンジニアとの文化や価値観の違いが問題となる場合があります。例えば、日本では朝礼や年末年始の休暇がありますが、外国人エンジニアにとっては馴染みのない文化かもしれません。また、ビジネスマナーや意思決定のプロセスにも違いがあるため、互いに理解を深めることが必要です。
これらの点に留意し、外国人エンジニアを採用する際には、十分な準備と注意が必要です。また、採用後にも、適切なフォローアップや教育研修などを行うことで、円滑なコミュニケーションと業務遂行ができるようになるでしょう。
外国人エンジニア採用時の2つのポイント
ここまで外国人エンジニアを採用するメリットや難しさをお伝えしました。最後は、採用時の2つのポイントです。
労働環境の見直し
労働基準法では、国籍や性別などの違いを理由に賃金等の労働条件で差別的な扱いをすることが禁じられています。本人が納得・安心して働ける環境を整える第一歩として、母国語で労働条件を明示してあげたり、適正な賃金を支払ったり、日本人社員と同様の労働時間管理をしたりといった労働環境の見直しを徹底しましょう。
評価システムのグローバル化
評価システムなど、社内で使用するシステムが日本語や英語のみだと、国籍によっては作業できない・理解できない外国人エンジニアもいます。問題なく入力できるよう多言語対応を進めましょう。また、人事制度といった内容自体も精査する必要があります。グローバル人材だからこそ期待するワークライフバランスのあり方や、どんな国籍の人も公平に評価できる仕組みづくりなど、様々な視点からグローバル化を進めていきましょう。
まとめ
外国人エンジニアのような専門職かつ異文化で育った人材を採用できること。また彼らが社内外で活躍し、会社に定着すること。それは、外国籍のグローバル人材が増えていくだけでなく、日本国籍のグローバル人材を獲得することにも繋がります。あらゆるバックグラウンドを持った人材が集まる企業となることは、企業の成長スピードをぐんと高めてくれることでしょう。
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