外国人エンジニア採用の注意点とポイントを2026年3月の最新情報で解説。IT人材不足の現状、在留資格「技術・人文知識・国際業務」の要件、採用メリット・注意点から育成就労制度など外国人材政策の最新動向まで、人事担当者必見の情報を網羅します。
近年のエンジニア採用事情【2026年3月現在】
近年のエンジニア採用事情は急速に変化しています。ITエンジニアひとつをとっても、システムエンジニア、プログラマ、インフラエンジニアなど多数の専門分野が存在し、建築・土木業界ではCAD設計士やBIMエンジニアもエンジニアの一員として位置づけられています。
特に2026年現在では、AI(人工知能)、IoT、ビッグデータ、クラウド、ブロックチェーン、サイバーセキュリティなどの先端技術を扱えるエンジニアへのニーズが急激に高まっています。また、機械系エンジニアや、海外拠点と日本拠点の橋渡し役を担うブリッジエンジニアの需要も拡大しています。
企業側も採用にあたっては技術的スキルだけでなく、コミュニケーション能力やチームワーク、さらにはDX(デジタルトランスフォーメーション)推進への適応力も重視する傾向が強まっています。採用手法も多様化しており、従来の面接・試験に加えて、ハッカソンやプログラミングコンテスト、技術ブログの発信力を評価する企業も増えています。
IT人材不足の現状と将来予測
日本のIT人材不足は深刻な状況にあります。経済産業省が公表した「IT人材需給に関する調査報告書」によると、2030年には最低でも約16万人、最大で約79万人ものIT人材が不足すると予測されています(2026年3月現在)。
IT人材不足の主な原因としては、DX推進によるIT需要の急拡大、少子高齢化による労働人口の減少、そしてAI・クラウド・データ分析などの先端技術に対応できる人材の供給不足が挙げられます。特に、先端IT人材(AI・IoT・ビッグデータ等の第4次産業革命に対応できる人材)の不足は顕著であり、企業間の人材獲得競争は年々激しさを増しています。
こうした背景から、国内の採用市場だけでは十分な人材を確保することが困難になっており、外国人エンジニアの採用に目を向ける企業が増えているのです。
日本のIT人材の現状
経済産業省の「IT人材需給に関する調査報告書」(2019年3月公表)によると、2018年時点の日本のIT人材は約103.2万人とされています。しかし、IT関連市場の拡大に人材供給が追いついておらず、慢性的な不足状態が続いています。
IT人材不足は日本に限った課題ではなく、世界的にもデジタル人材の争奪戦が激化しています。各国がSTEM教育(科学・技術・工学・数学)やIT人材育成に力を入れている中、日本企業が国内だけで人材を確保し続けることは今後ますます困難になると考えられます。
こうした状況を受け、海外のIT教育が充実した国々から優秀なエンジニアを採用する動きが活発化しています。東南アジアや南アジアの新興国では、若い世代がプログラミングやソフトウェア開発を早い段階から学ぶ環境が整いつつあり、日本企業にとって有力な採用市場となっています。
外国人エンジニアの採用が増えている理由と最新動向
日本では少子高齢化による人口減少が続く中、IT人材不足とDX需要の拡大が重なり、多くの企業が外国人エンジニアの採用を積極的に検討しています。エンジニア採用で中心的な在留資格である「技術・人文知識・国際業務」の在留者数は、出入国在留管理庁の統計によると2025年6月末時点で458,109人に達しており、在留資格別でも上位に位置しています。こうした数字からも、外国人エンジニアの存在感が年々高まっていることがわかります。
外国人労働者数は約257万人で過去最多
厚生労働省が2026年1月に公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、日本国内の外国人労働者数は2,571,037人となり、過去最多を更新しました。前年比で約26.8万人増加し、増加率は11.7%と3年連続で10%超の伸びが続いています。
外国人を雇用する事業所数も371,215所と過去最多を記録しています。国籍別ではベトナムが約60.6万人(全体の23.6%)で最多、次いで中国が約43.2万人(16.8%)、フィリピンが約26.1万人(10.1%)と続いています。近年はインドネシアやミャンマーからの労働者の増加が顕著であり、外国人材の多様化も進んでいます。
専門的・技術的分野の在留資格が急増
在留資格別では「専門的・技術的分野の在留資格」の保有者が865,588人と前年比20.4%の大幅増を記録しています。この中にはITエンジニアや機械・電気系エンジニアを含む「技術・人文知識・国際業務」の在留資格保有者が多数含まれており、エンジニア人材としての外国人の存在感がますます高まっています。
IT業界は言語の壁が比較的低い業界であり、プログラミング言語は世界共通であるため、外国人エンジニアが活躍しやすい土壌があります。今後も外国人エンジニアの採用は増加傾向が続くと見込まれています。
外国人エンジニアを採用する5つのメリット
IT企業を中心に注目を集める外国人エンジニア。人材不足の解消に不可欠な存在である彼らを採用することには、多くのメリットがあります。
優秀なエンジニアの確保
外国人エンジニアを採用することで、優秀な人材と出会えるチャンスが大きく広がります。ベトナムや中国、インドなどのIT大国では、若年層を中心に高い技術力を持つエンジニアが多数輩出されています。日本国内だけでの採用に比べ、グローバルに採用の間口を広げることで、より優秀な人材を確保できる可能性が高まります。
特にインドやバングラデシュなどの新興国では、若い世代が早い段階からプログラミングやソフトウェア開発を学ぶ環境が整っており、即戦力として期待できる人材が豊富です。
コスト面での優位性
日本人エンジニアの採用単価は高騰を続けており、特に優秀な人材を獲得するためには相応の報酬が必要です。その点、ベトナムをはじめとする東南アジア諸国の若手エンジニアを海外から直接採用できれば、採用コストを抑えながらリソースを確保できる可能性があります。
ただし、労働基準法では国籍を理由とした賃金等の差別的扱いが禁じられているため、あくまで日本人と同等以上の報酬を支払うことが前提です。コスト面の優位性は、採用市場での競争緩和という点に求められるでしょう。
海外進出へのチャンス
外国人エンジニアを採用すると、その社員の出身国とのリレーションが自然に形成されます。現地の文化やトレンドといったリアルな情報が入手しやすくなるほか、リファラル採用による追加人材の獲得も期待できます。海外進出を視野に入れている企業にとっては、参入障壁を下げる大きなチャンスとなるでしょう。
多様な文化・経験による社内の活性化
異なる文化的背景を持つエンジニアが加わることで、日本人だけのチームでは生まれにくい新しい視点やアイデアが生まれます。多様な価値観を持つメンバーがいることで、議論が活性化し、イノベーションが促進されることが期待できます。
外国人エンジニアの多くは、異国の地で働くという決断をしているだけあり、ハングリー精神や成長意欲が旺盛です。こうした姿勢が社内全体の士気向上につながるケースも少なくありません。
多様な人材採用による組織力の強化
外国人エンジニアの採用は、組織の多様性を高め、あらゆるバックグラウンドを持った人材が集まる企業へと成長するきっかけになります。多様な人材を受け入れる文化を醸成することで、グローバル人材にとっての企業の魅力が向上し、日本人・外国人を問わず優秀な人材が集まりやすい組織になるでしょう。
外国人エンジニアを採用する際の4つの注意点
外国人エンジニアの採用には多くのメリットがある一方で、日本企業が留意すべき注意点もあります。
在留資格(就労ビザ)の取得に時間がかかる
外国人エンジニアを採用する際には、在留資格(いわゆる就労ビザ)の取得が必要です。在留資格(ざいりゅうしかく)とは、外国人が日本に滞在し、一定の活動を行うための法的な資格のことです。エンジニアの場合は主に「技術・人文知識・国際業務」の在留資格を取得します。
在留資格の取得・変更には審査期間が必要であり、通常1〜3か月程度かかります。海外からの採用の場合は在留資格認定証明書の取得、ビザの発給、渡航準備などがあり、採用決定から就業開始まで半年以上かかることもあります。事前に十分なスケジュールを確保しておくことが重要です。
コミュニケーションの壁がある
外国人エンジニアとのコミュニケーションには、言語や文化の違いによる壁が生じることがあります。エンジニアの業務では技術的なやり取りが中心となるため、プログラミング言語という共通言語がある分、他の職種よりもコミュニケーションの壁は低いとされています。
しかし、仕様の確認や顧客との折衝、社内のミーティングなどでは日本語力が求められる場面もあります。翻訳ツールや社内通訳の配置、英語でのドキュメント整備など、コミュニケーションを円滑にするための仕組みを整えることが大切です。
法律・税金に関する対応が必要
外国人エンジニアを採用する際には、労働法や税法に関する追加的な対応が発生します。たとえば、労働条件の明示にあたっては、本人が内容を理解できるよう多言語で説明・明示することが望ましいとされています(厚生労働省は外国人向けモデル労働条件通知書を多言語で公開しています)。また、外国人雇用状況の届出(ハローワーク)が法律で義務づけられており、届出を怠った場合は30万円以下の罰金の対象となります。
税金面では、租税条約による免税措置が適用されるケースや、非居住者と居住者で課税方法が異なるケースがあるため、経理・税務部門との連携が必要です。
文化や価値観の違いへの配慮が必要
外国人エンジニアとの間では、文化や価値観の違いが課題になることがあります。たとえば、日本特有の朝礼文化や残業慣行、意思決定プロセスの違いなどは、外国人エンジニアにとって馴染みがない場合があります。
宗教上の配慮(食事、礼拝の時間など)や祝日の取り扱い、ビジネスマナーの違いなどについても、互いに理解を深める努力が必要です。異文化理解研修やダイバーシティ&インクルージョン(D&I)の取り組みを進めることで、円滑な職場環境を構築できるでしょう。
外国人エンジニアの在留資格(就労ビザ)の基礎知識
外国人エンジニアが日本で就労するためには、適切な在留資格を取得する必要があります。ここでは、エンジニア採用に関連する主な在留資格について解説します。
「技術・人文知識・国際業務」の概要と要件
「技術・人文知識・国際業務」(通称:技人国)は、外国人エンジニアが日本で就労する際に最も多く利用される在留資格です。出入国在留管理庁の統計によると、2025年6月末時点で「技術・人文知識・国際業務」の在留者数は458,109人に達しており、就労系の在留資格の中でも上位に位置しています。
この在留資格で認められるのは、理学・工学などの自然科学分野の知識・技術を要する業務、または法律学・経済学などの人文科学分野の知識を要する業務です。エンジニアの場合は「技術」の分野に該当し、ソフトウェアエンジニア、システムエンジニア、機械設計エンジニア、CADエンジニアなどが対象となります。
主な取得要件は以下のとおりです。
- 従事する業務に関連する科目を大学(短期大学を含む)または日本の専門学校で専攻していること
- または、従事する業務について10年以上の実務経験があること
- IT分野のエンジニアの場合、法務大臣が告示で定める情報処理技術に関する資格や試験に合格していれば、学歴・職歴の要件が免除される場合がある
- 日本人と同等以上の報酬を受けること
在留期間は「5年・3年・1年・3か月」のいずれかが付与されます。
「高度専門職」ビザの活用
「高度専門職」は、高度な専門知識や技術を持つ外国人に付与される在留資格で、「高度人材ポイント制」によって審査されます。学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などの項目ごとにポイントが加算され、合計70ポイント以上で取得可能です。
高度専門職ビザには以下のような優遇措置があります。
- 複合的な在留活動の許容(本業以外の関連活動も可能)
- 在留期間「5年」の付与
- 配偶者の就労許可
- 永住許可要件の緩和(通常10年→最短1年)
- 親や家事使用人の帯同許可(一定条件あり)
優秀な外国人エンジニアにとっては魅力的な制度であり、企業としても積極的に活用を検討する価値があります。
在留資格の申請手続きの流れ
外国人エンジニアの在留資格取得の流れは、海外から採用する場合と国内に在留する外国人を採用する場合で異なります。
海外から採用する場合は、まず企業側が出入国在留管理局に「在留資格認定証明書交付申請」を行います。審査には通常1〜3か月程度かかります。認定証明書が交付されたら、本人に送付し、本人が在外日本大使館・領事館でビザ(査証)を申請する流れです。
国内に在留する留学生等を採用する場合は、「在留資格変更許可申請」を行います。在留資格の変更手続きには、2025年4月の手数料改定により、窓口申請の場合6,000円、オンライン申請の場合5,500円が必要です(2026年3月現在)。
不明な点がある場合は、最寄りの地方出入国在留管理局、または外国人在留総合インフォメーションセンター(電話:0570-013904)に問い合わせることができます。
外国人の就労ビザに関する詳細は、以下のビザマネメディアの記事もあわせてご参照ください。
外国人の就労ビザの期間は?在留資格別の在留期間一覧と更新手続きを詳しく解説(ビザマネメディア)
外国人エンジニア採用を成功させる3つのポイント
外国人エンジニアの採用を成功させ、定着・活躍につなげるためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
労働環境の整備と見直し
労働基準法では、国籍や性別などの違いを理由に賃金等の労働条件で差別的な扱いをすることが禁じられています。外国人エンジニアが安心して働ける環境を整えるためには、母国語での労働条件の明示、適正な賃金の支払い、日本人社員と同様の労働時間管理が不可欠です。
また、ワークライフバランスに配慮した柔軟な働き方(リモートワーク、フレックスタイム制度など)の導入は、外国人エンジニアにとって企業選びの重要な判断基準となります。働きやすい環境を整備することは、外国人エンジニアだけでなく日本人エンジニアの採用・定着にも良い影響をもたらします。
評価システムのグローバル化
人事評価システムや社内ツールが日本語のみに対応している場合、外国人エンジニアが十分に能力を発揮できない可能性があります。評価システム、社内コミュニケーションツール、業務マニュアルなどの多言語対応を進めることが重要です。
また、人事評価の基準についても見直しが必要です。成果主義をベースにした公平な評価制度、国籍に関係なく能力と貢献度に基づいた昇進の仕組みなど、グローバルな視点での制度設計が求められます。
在留資格の管理体制の構築
外国人エンジニアを雇用する企業にとって、在留カードの期限管理や偽造チェック、各種届出の管理は欠かせない業務です。在留資格の管理を怠ると、不法就労助長罪(3年以下の拘禁刑若しくは300万円以下の罰金、又はその併科)に問われるリスクがあるため、確実な管理体制の構築が求められます。
採用時には以下の点を必ず確認しましょう。
- 在留カードの有効性(出入国在留管理庁の在留カード等読取アプリケーションで確認可能)
- 在留資格の種類と就労制限の有無
- 在留期限が切れていないか
- 業務内容が在留資格の活動範囲内であるか
2027年施行「育成就労制度」と外国人材政策の動向
2024年6月に改正入管法が公布され、現行の技能実習制度を廃止し、新たに「育成就労制度」が2027年4月1日に施行されることが決定しました。技能実習制度(ぎのうじっしゅうせいど)とは、開発途上国の人材に日本の技術を移転することを目的とした制度ですが、実態として労働力確保の手段となっていたことが課題とされていました。
育成就労制度は、従来の技能実習制度が掲げていた「国際貢献」という目的を改め、「人手不足分野における人材の確保と育成」を明確な目的としています。原則3年間の育成期間で特定技能1号の水準まで育成し、特定技能制度へスムーズに移行できる設計となっています。対象分野は特定技能の16分野と原則一致しており、エンジニア採用で中心的な「技術・人文知識・国際業務」とは別系統の制度です。
ただし、この制度改正は日本の外国人材政策全体の大きな見直しの一環であり、間接的にエンジニア採用市場にも影響を及ぼす可能性があります。たとえば、育成就労制度では外国人の「転籍(転職)」の余地が広がるため、外国人材の流動性が高まり、日本全体として外国人材の受け入れ意識が変化することが見込まれます。
企業としては、制度の対象・非対象にかかわらず、外国人材が働きやすい環境の整備や待遇の改善を通じて人材の定着を図ることがこれまで以上に重要になるでしょう。
育成就労制度の対象職種に関する詳しい情報は、以下のビザマネメディアの記事もご参照ください。
育成就労制度の対象職種とは?16分野の業種一覧と技能実習との違いを徹底解説(ビザマネメディア)
まとめ
外国人エンジニアの採用は、IT人材不足が深刻化する日本において、企業の成長を支える重要な戦略のひとつです。優秀な人材の確保、社内の活性化、海外進出へのチャンスなど、多くのメリットがあります。
一方で、在留資格の取得手続き、コミュニケーションの壁、法律・税金の対応、文化の違いへの配慮など、注意すべき点もあります。これらの課題に適切に対応するためには、事前の準備と社内体制の整備が不可欠です。
外国人エンジニアの採用を検討している企業は、まず在留資格の基礎知識を正しく理解し、受け入れ体制を整えたうえで、採用活動に臨むことをおすすめします。適切な管理と支援を行うことで、外国人エンジニアが最大限の力を発揮できる環境を実現しましょう。
在留資格の管理にはビザマネの活用がおすすめ
外国人エンジニアを複数名雇用する企業にとって、在留カードの期限管理や偽造確認、就労可否の判定は大きな業務負担となります。特にエンジニアの場合は「技術・人文知識・国際業務」の在留資格で採用することが多く、在留期間の更新時には職務内容と在留資格の適合性を正確に管理する必要があります。
「ビザマネ」は、外国人雇用に特有の管理業務を一元化できるクラウドサービスです。在留カードの期限が近づくと本社・事業所・従業員本人に自動でアラートが送信されるため、期限管理漏れによる不法就労リスクを防止できます。また、在留カードのICチップを活用した偽造チェックや就労可否判定もシステム上で簡単に行えるため、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。
外国人エンジニアの採用拡大を検討している企業は、在留資格の管理をシステム化しておくことで手続きの抜け漏れを防ぎ、コンプライアンスを確保できます。外国人雇用の管理にお悩みの企業様は、ぜひビザマネの導入をご検討ください。


