2026年4月13日以降、特定技能「外食業分野」の新規受入れが原則停止される予定です。在留者数が上限5万人に到達する見込みとなったことが理由で、4月13日以降に受理された申請は原則不交付・不許可となります。本記事では、停止措置の背景、4月13日以降の各申請の取扱い、例外ルート、企業への影響と実務対策を詳しく解説します。
特定技能「外食業分野」で新規受入れが停止された背景
2026年3月27日、出入国在留管理庁は「特定技能『外食業分野』における受入れ上限の運用について」を公表しました。これは、外食業分野における特定技能1号(2019年に創設された在留資格で、人手不足が深刻な特定産業分野で即戦力の外国人を受け入れる制度)の在留者数が急増し、制度上の受入れ上限に達する見込みとなったことを受けた措置です。
在留者数が上限5万人に到達する見込み
外食業分野の特定技能1号在留者数は、2026年2月末時点で約4万6千人(速報値)に達しています。2024年3月の閣議決定で設定された2024年度から2028年度までの5年間の受入れ見込数(受入れ上限)は5万人ですが、このまま推移すると2026年5月頃には上限を超える見通しとなりました。
この急増の背景には、コロナ禍後のインバウンド需要の急回復に伴う飲食業界の深刻な人手不足があります。都市部を中心に留学生からの在留資格変更が活発化したことも、在留者数の急増に拍車をかけました。
外食業分野の特定技能1号在留者数の推移
| 時点 | 在留者数 | 備考 |
| 2022年6月末 | 約3,199人 | コロナ禍からの回復期 |
| 2024年6月末 | 約20,317人 | 急増フェーズ |
| 2025年6月末 | 約35,771人 | さらに加速 |
| 2026年2月末 | 約46,000人(速報値) | 上限5万人に迫る |
出入国管理及び難民認定法に基づく停止措置の仕組み
今回の停止措置は、出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)第7条の2第3項および第4項に基づくものです。同法では、特定技能の在留者数が受入れ見込数(受入れ上限)を超えることが見込まれる場合、在留資格認定証明書の一時的な交付の停止措置を講じることが定められています。
農林水産省および出入国在留管理庁は、この規定に基づき、2026年4月13日に同措置をとる方針を決定しました。
2026年4月13日以降の在留諸申請の取扱い
受入れ停止に伴い、外食業分野の特定技能1号に関する在留諸申請の取扱いが大きく変わります。以下、申請の種類ごとに整理します。
在留資格認定証明書交付申請(海外からの新規呼び寄せ)
2026年4月13日以降に受理された申請は、原則として不交付となります。海外にいる外国人を新たに特定技能1号(外食業分野)として呼び寄せることは、実質的にできなくなりました。
4月13日より前に受理された申請については、審査のうえ、受入れ見込数の範囲内で順次交付されます。ただし、国内に在留している方からの在留資格変更許可申請が優先的に処理されるため、交付までに相当な遅延が見込まれます。
在留資格変更許可申請(国内での資格変更)
2026年4月13日以降に受理された申請は、原則として不許可となります。たとえば、留学生が卒業後に特定技能1号(外食業分野)へ在留資格を変更しようとしても、原則として認められません。
ただし、一部の例外があります(後述の「4月13日以降も認められる例外ルート」を参照)。4月13日より前に受理された申請は、審査のうえ、受入れ見込数の範囲内で順次許可されますが、許可時点の在留者数の状況によっては、特定技能1号ではなく「特定活動(特定技能1号移行準備)」への変更を案内される場合もあります。
特定活動(特定技能1号移行準備)への変更申請
外食業分野に係る「特定活動(特定技能1号移行準備)」への在留資格変更許可申請も、原則として不許可となります。
ただし、以下に該当する場合は通常どおり審査されます。
・外食業分野で特定技能1号として在留する方からの申請(転職等に伴うもの)
・技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した方からの申請
・4月13日より前に受理された申請で、3月27日までに食品産業特定技能協議会への加入申請を行っているもの
在留期間更新許可申請
すでに外食業分野の特定技能1号として在留している方の在留期間更新許可申請は、従来どおり通常の審査が行われます。今回の停止措置の影響を受けることはありません。この点は、現在雇用中の特定技能外国人を抱える企業にとって重要なポイントです。
4月13日以降も認められる例外ルート
すべての受入れが完全に停止されるわけではありません。4月13日以降も、以下の条件に該当する方からの申請は審査の対象となり、受入れ見込数の範囲内で順次許可されます。
外食業分野内での転職に伴う申請
すでに外食業分野で特定技能1号として在留している方が、同じ外食業分野内で転職する場合の申請は、通常どおり審査されます。企業にとっては、国内で既に特定技能1号(外食業分野)の在留資格を持つ人材の中途採用が、最も現実的な採用手段となります。
技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)修了者からの移行
技能実習(医療・福祉施設給食製造作業)を修了した方が、特定技能1号(外食業分野)に移行する場合は、引き続き審査の対象です。なお、このルートは優先的に処理されるとされています。
特定活動(特定技能1号移行準備)からの移行
すでに外食業分野に係る「特定活動(特定技能1号移行準備)」の許可を受けている方が、特定技能1号(外食業分野)に移行する場合も、審査の対象です。ただし、許可時点の在留者数の状況によっては、特定活動の更新(1回まで)を案内される場合もある点に留意が必要です。
4月13日以降の申請取扱い一覧(2026年4月現在)
| 申請の種類 | 4月13日以降の原則 | 例外 |
| 在留資格認定証明書交付申請(海外呼び寄せ) | 不交付 | なし |
| 在留資格変更許可申請(国内変更) | 原則不許可 | 転職・技能実習修了者・移行準備者 |
| 特定活動(移行準備)への変更 | 原則不許可 | 転職・技能実習修了者等 |
| 在留期間更新許可申請 | 通常どおり審査 | ― |
技能測定試験の停止と今後の見通し
農林水産省は、受入れ停止の方針を受けて、外食業の特定技能1号技能測定試験の実施を国内外ともに停止するよう、試験実施機関であるOTAFF(一般社団法人外国人食品産業技能評価機構)に指示しました。これにより、再開の指示があるまで、同試験の予約手続も停止されています。
試験再開の時期は2026年4月現在、農林水産省から示されていません。なお、特定技能2号の技能測定試験、および飲食料品製造業分野の特定技能1号・2号試験は、停止の対象外です。従来どおり受験の申込みが可能です。
今後の焦点は、受入れ見込数(上限)の再設定です。閣議決定による上限の引き上げがなされない限り、停止措置は継続される見通しです。上限の再設定に向けた議論がいつ行われるかは不透明であり、企業は停止の長期化を視野に入れた対策を進めておく必要があります。
受入れ停止が外食業の企業に与える影響
海外からの新規採用が実質不可能に
在留資格認定証明書の交付が停止されたことにより、海外に在住する外国人を新たに特定技能1号(外食業分野)として採用するルートは実質的に閉ざされました。海外での面接費用やビザ申請費用など、すでに投じたコストが回収できなくなるケースも想定されます。
特定技能人材の着任を前提に出店計画を立てていた企業では、開業の延期やシフト体制の見直しを余儀なくされる場合もあるでしょう。
留学生からの在留資格変更ルートも原則不可に
これまで外食業では、専門学校や大学に通う留学生をアルバイトとして雇用し、卒業後に特定技能1号へ在留資格を変更して正社員として採用するケースが多くありました。しかし、今回の停止措置により、このルートも原則として利用できなくなっています。
留学生が卒業後も引き続き外食業で就労を希望する場合、特定技能1号以外の在留資格を検討する必要がありますが、選択肢は限られています。
採用コスト・人材確保コストの上昇
短期的に即効性のある代替策は限られているため、国内で既に特定技能1号の在留資格を持つ人材の転職採用が中心となります。しかし、転職可能な人材の数には限りがあり、業界全体で人材の獲得競争が激化することが見込まれます。賃金水準の上昇や、採用に要するコストの増大は避けられないでしょう。
不法就労リスクへの注意:受入れ停止で高まるコンプライアンスリスク
受入れ停止という制度環境の変化は、企業の外国人雇用管理における不法就労リスクを高めます。人事・総務担当者は、以下の点に特に注意してください。
留学生の卒業後の就労に関する注意点
留学生は「資格外活動許可」により、教育機関に在籍中に限り週28時間以内のアルバイトが認められています。しかし、卒業(または退学)後は、在留カードに記載された在留期間が残っていたとしても、資格外活動許可は失効し、就労はできなくなります。
「特定技能への変更ができないから、当面はアルバイトとして働いてもらおう」と判断して卒業後も就労を継続させると、不法就労に該当します。企業側も不法就労助長罪に問われる可能性がありますので、十分にご注意ください。
「技術・人文知識・国際業務」での代替採用は要注意
特定技能1号(外食業分野)での採用ができなくなったことを受けて、「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)の在留資格で外国人を採用し、飲食店のホールや調理業務に従事させようとする発想は危険です。
「技術・人文知識・国際業務」の在留資格は、専門的な知識・技術を活かした業務に従事するためのものです。一般的な飲食店の調理・接客・配膳といった現場業務を主たる業務とする雇用は、同在留資格の活動範囲に該当しないおそれが高いとされています。在留資格の範囲外の業務に従事させた場合も不法就労となり、企業には不法就労助長罪が適用されるおそれがあります。
不法就労助長罪の厳罰化を踏まえた対策
2024年6月に成立した改正入管法(出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律)により、不法就労助長罪の罰則が「5年以下の拘禁刑(懲役・禁錮)または500万円以下の罰金(または併科)」へと引き上げられました。従来は「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」でしたので、大幅な厳罰化となっています。
重要なのは、企業が「知らなかった」としても、在留カードの確認不足などの過失があれば処罰の対象となる点です。特定技能外国人を雇用する際は、在留資格・在留期間・就労制限の有無を必ず確認し、記録に残してください。
不法就労助長罪について、より詳しくは以下の記事で解説しています。
不法就労助長罪とは?罰則・対象や在留カードの確認方法を解説(ビザマネ)
企業がとるべき実務対策
受入れ停止が長期化する可能性も見据え、外食業の企業は短期・中長期の両面で対策を講じる必要があります。
既存の特定技能1号人材の定着・在留期限管理の徹底
新規採用が困難になった今、最も重要なのは既存の特定技能外国人を「手放さない」ことです。待遇改善や職場環境の整備を通じて定着率を高めましょう。
また、在留期限の管理を徹底し、更新手続きの漏れが生じないようにすることが不可欠です。在留カードの期限切れは不法就労に直結します。多数の外国人従業員を抱える企業では、システムを活用した一元管理が効果的です。
特定技能2号への移行支援
中長期的に有力な選択肢が、既存の特定技能1号人材を特定技能2号へ移行させることです。特定技能2号には以下のメリットがあります。
・受入れ見込数(上限)の制限がない
・在留期間の更新に上限がなく、長期就労が可能
・配偶者・子の家族帯同が認められる
・1号で義務付けられていた支援計画の実施が原則不要
ただし、外食業分野の特定技能2号には、外食業特定技能2号技能測定試験の合格に加え、日本語能力B1相当以上(日本語能力試験〔JLPT〕N3等)の取得が必須条件となっています。企業は、日本語学習や試験対策の支援体制を整えることが求められます。
特定技能制度の全体像については、以下の記事もあわせてご参照ください。
特定技能制度の全業種(16業種)・職種を一挙解説(ビザマネ)
身分系在留資格を持つ人材の採用
永住者・定住者・日本人の配偶者等・永住者の配偶者等といった「身分に基づく在留資格」を持つ方は、就労に関する制限がありません。職種・労働時間を問わず、日本人と同じ条件で採用できます。特定技能の受入れ停止の影響を受けない採用チャネルとして、積極的に活用を検討してください。
育成就労制度(2027年施行予定)への備え
2027年4月に施行が予定されている「育成就労制度」は、従来の技能実習制度を発展的に解消し、外国人材の育成と確保を目的とした新たな制度です。外食業が対象分野に含まれるかは今後の議論に委ねられますが、制度の動向を注視し、施行後に速やかに対応できるよう準備を進めておくことが重要です。
在留カード管理の重要性と効率化
受入れ停止を受けて、既存の外国人従業員の在留資格・在留期限管理の重要性はこれまで以上に高まっています。特に外食業では、多数のアルバイトスタッフを含む外国人従業員を複数の店舗で雇用しているケースが多く、在留カードの期限管理を店舗ごとに手作業で行うことは大きな負担となります。
特定技能「外食業」の制度概要について詳しくは、以下の記事で解説しています。
特定技能「外食」とは?業務内容、雇用形態、試験科目、受入方法など徹底解説!(ビザマネ)
ビザマネは、外国人雇用管理をクラウドで一元化できるサービスです。在留カードのICチップ読み取りによる偽造チェック、就労可否判定、在留期限のアラート自動送信など、外国人雇用に必要な管理機能を網羅しています。多くの外国人従業員を抱える外食業の企業様に、管理工数の大幅削減とコンプライアンスリスクの低減をご提供します。
まとめ
2026年4月13日以降、特定技能「外食業分野」の新規受入れが原則停止される予定です。在留者数が上限5万人に到達する見込みとなったことが理由であり、海外からの新規呼び寄せや国内での在留資格変更に関する申請は、4月13日以降に受理されたものについて原則として不交付・不許可となります。
ただし、外食業分野内での転職や、技能実習修了者からの移行など一部の例外ルートは引き続き認められています。また、既存の特定技能1号人材の在留期間更新は通常どおり行われます。
企業の人事・総務担当者がとるべき対策としては、以下が挙げられます。
・既存の特定技能外国人の定着支援と在留期限管理の徹底
・特定技能2号への移行支援(日本語学習・試験対策)
・身分系在留資格を持つ人材の採用チャネル拡大
・不法就労リスクの再点検(在留カード確認の徹底)
・育成就労制度(2027年施行予定)への情報収集
受入れ停止が解除される時期は不透明です。制度の動向を注視しつつ、既存人材の定着と管理体制の強化に注力することが、外食業の企業に求められる最優先課題です。


