高度人材ポイント制は、学歴・職歴・年収などをポイント化し、70点以上で優遇措置を受けられる制度です。本記事では2026年1月現在の最新情報をもとに、ポイント計算方法、優遇措置の内容、2023年導入のJ-Skip制度、申請方法までを詳しく解説します。
高度人材ポイント制とは
制度の概要
高度人材ポイント制とは、高度な専門性を持つ外国人材の受け入れを促進するため、学歴・職歴・年収などの項目ごとにポイントを付け、合計70点以上に達した外国人を「高度外国人材」として認定し、出入国在留管理上の優遇措置を講ずる制度です。
この制度は2012年5月に導入され、2015年には新たな在留資格「高度専門職1号」「高度専門職2号」が創設されました。さらに2017年4月には永住許可要件の緩和が行われ、80点以上で最短1年、70点以上で最短3年での永住申請が可能となりました。
制度導入の背景と目的
日本政府は「専門的・技術的分野の外国人労働者は積極的に受け入れる」という基本方針のもと、特に経済成長やイノベーション創出に貢献が期待される高度な能力を持つ外国人材を優遇的に受け入れる仕組みを整備しました。
高度人材ポイント制の主な目的は以下のとおりです。
- 日本経済の国際競争力強化とイノベーション創出
- 専門的・技術的分野における人材不足の解消
- 日本人労働者のスキルアップと生産性向上
- 国際的な人材獲得競争における日本の魅力向上
高度人材ポイント制の3つの活動類型
高度人材ポイント制では、外国人が日本で行う活動内容に応じて3つの類型に分類されます。それぞれの類型に応じたポイント計算表が用意されており、各自の状況に合わせて計算を行います。
高度学術研究活動(高度専門職1号イ)
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う研究、研究の指導または教育をする活動が該当します。大学の教授、准教授、研究機関の研究者などがこの類型に分類されます。
高度専門・技術活動(高度専門職1号ロ)
本邦の公私の機関との契約に基づいて行う自然科学または人文科学の分野に属する知識または技術を要する業務に従事する活動が該当します。企業で新製品の開発を行う技術者、ITエンジニア、データサイエンティスト、国際弁護士などがこの類型に含まれます。この類型は申請件数が最も多く、「技術・人文知識・国際業務」ビザからの変更も多く見られます。
高度経営・管理活動(高度専門職1号ハ)
本邦の公私の機関において事業の経営を行いまたは管理に従事する活動が該当します。グローバルな事業展開を行う企業の経営者、役員などがこの類型に分類されます。なお、この類型および高度専門職1号ロでは、年収が300万円以上であることがポイント認定の前提条件となります。
ポイント計算の仕組みと評価項目
高度人材ポイント制では、学歴、職歴、年収、年齢、研究実績などの項目ごとにポイントが付与され、合計70点以上で高度外国人材として認定されます。以下に主な評価項目を解説します。
学歴に関するポイント
学歴は最大30点(高度経営・管理分野は20点)が付与されます。
| 学歴 | イ・ロ | ハ |
| 博士号取得者 | 30点 | 20点 |
| 修士号取得者(専門職学位を含む) | 20点 | 20点 |
| 大学卒業またはこれと同等以上の教育を受けた者 | 10点 | 10点 |
| 複数分野で博士・修士・専門職学位を有する者(追加) | 5点 | 5点 |
職歴に関するポイント
従事しようとする業務に係る実務経験年数に応じてポイントが付与されます。
| 実務経験年数 | イ | ロ・ハ |
| 10年以上 | - | 20点 |
| 7年以上 | 15点 | 15点 |
| 5年以上 | 10点 | 10点 |
| 3年以上 | 5点 | 5点 |
年収に関するポイント
高度学術研究活動と高度専門・技術活動では、年齢に応じて年収ポイントの基準が異なります。若年層ほど低い年収でもポイントが付与される仕組みになっています。高度経営・管理活動では、年齢に関係なく年収に応じたポイントが付与されます(1,000万円以上で10点〜3,000万円以上で50点)。
特別加算(ボーナスポイント)
上記の基本項目に加え、以下のような特別加算(ボーナスポイント)が設けられています。
- 日本の高等教育機関で学位を取得:10点
- 日本語能力試験N1取得者または日本語専攻で大学卒業:15点
- 日本語能力試験N2取得者:10点
- 法務大臣が告示で定める大学(世界ランキング上位校等)を卒業:10点
- イノベーション促進支援措置を受けている機関での就労:10点
- 職務に関連する日本の国家資格保有:各5点(最大10点)
- 研究実績(特許発明、論文、グラント受給等):各15〜25点
ポイント計算表は出入国在留管理庁のウェブサイトからダウンロードできます。Excel形式のものを使用すると、自動計算が可能で便利です。
高度人材ポイント制による優遇措置
高度外国人材として認定されると、出入国在留管理上のさまざまな優遇措置を受けることができます。
高度専門職1号の優遇措置
1. 複合的な在留活動の許容
通常、外国人は許可された1つの在留資格で認められている活動しかできませんが、高度外国人材は複数の在留資格にまたがる活動を行うことができます。例えば、大学での研究活動と併せて関連する事業を経営する活動を行うことが可能です。
2. 在留期間「5年」の付与
高度外国人材には、法律上の最長の在留期間である「5年」が一律に付与されます。この在留期間は更新することができます。
3. 永住許可要件の緩和
通常、永住許可には10年以上の在留が必要ですが、高度外国人材は70点以上で3年、80点以上で1年の在留で永住許可申請が可能となります。
4. 配偶者の就労
高度外国人材の配偶者は、学歴・職歴等の要件を満たさなくても、「教育」「技術・人文知識・国際業務」等の在留資格に該当する活動を行うことができます。
5. 親の帯同
世帯年収800万円以上などの条件を満たす場合、7歳未満の子の養育や妊娠中の配偶者の介助のために、本人または配偶者の親を日本に呼び寄せることができます。
6. 家事使用人の帯同
世帯年収1,000万円以上などの条件を満たす場合、外国人の家事使用人を帯同することができます。
7. 入国・在留手続の優先処理
高度外国人材に対する入国・在留審査は優先的に処理されます。入国事前審査は申請受理から10日以内、在留審査は5日以内を目途に処理されます。
高度専門職2号の優遇措置
高度専門職1号で3年以上活動を行った方は、高度専門職2号への変更が可能です。高度専門職2号には以下の優遇措置があります。
- 高度専門職1号の活動と併せて、ほぼ全ての就労資格の活動を行うことができる
- 在留期間が無期限となる
- 高度専門職1号の優遇措置(3〜6)が引き続き適用される
特別高度人材制度(J-Skip)とは
2023年4月から、従来の高度人材ポイント制とは別に「特別高度人材制度(J-Skip)」が導入されました。この制度では、ポイント計算を行わず、学歴または職歴と年収が一定の水準以上であれば「高度専門職」の在留資格が付与されます。
【高度学術研究活動・高度専門・技術活動の場合】
- 修士号以上取得かつ年収2,000万円以上
- 実務経験10年以上かつ年収2,000万円以上
【高度経営・管理活動の場合】
- 事業の経営または管理に係る実務経験5年以上かつ年収4,000万円以上
特別高度人材として認定されると、通常の高度人材ポイント制による優遇措置に加え、大規模空港のプライオリティレーン使用が可能となります。また、高度専門職2号への移行が1年(通常は3年)で可能となり、永住許可までの在留期間も1年に短縮されます。
高度専門職の申請方法
新規入国の場合
これから日本に入国する外国人が高度専門職の在留資格を取得する場合、以下の流れで申請を行います。
- 受入れ機関(企業等)が地方出入国在留管理局で在留資格認定証明書交付申請を行う
- 出入国在留管理庁における審査を経て、在留資格認定証明書が交付される
- 外国人本人が在外公館(日本大使館・領事館)で在留資格認定証明書を提示して査証申請を行う
- 日本入国時に上陸審査を受け、高度専門職として在留開始
在留資格変更の場合
すでに日本に在留している外国人が高度専門職への変更を希望する場合、地方出入国在留管理局で在留資格変更許可申請を行います。
【主な必要書類】
- 在留資格変更許可申請書
- 写真(縦4cm×横3cm)
- パスポートおよび在留カード
- 高度専門職ポイント計算表
- ポイント計算の各項目を証明する疎明資料(学位証明書、在職証明書、年収を証する書類等)
- 活動内容に応じた在留資格の項の下欄に掲げる資料
なお、高度専門職の在留資格が不許可となった場合でも、「技術・人文知識・国際業務」等の他の就労資格の条件を満たしていれば、その在留資格での許可を受けることが可能です。
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まとめ
高度人材ポイント制は、学歴・職歴・年収などの項目をポイント化し、合計70点以上の外国人材に対して出入国在留管理上の優遇措置を講ずる制度です。在留期間5年の付与、永住許可要件の緩和、配偶者の就労許可、親や家事使用人の帯同など、多くのメリットがあります。
2023年4月には特別高度人材制度(J-Skip)も導入され、一定の学歴・職歴と高年収を有する外国人材は、ポイント計算なしで高度専門職の在留資格を取得できるようになりました。
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【参考】
出入国在留管理庁「在留資格『高度専門職』(高度人材ポイント制)」
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