コンビニ店員といえば、高校生などがアルバイトで行うものというイメージがあり、現在もその傾向にありますが、それ以上に外国人の店員が増えていると実感している人も多いのではないでしょうか。自宅近くのコンビニの店員が外国人だった、そんなことはもう珍しいことではありません。
もし自分が事業主だった場合、人手不足なので外国人をアルバイトで雇うとしたら何に注意をすればいいのか、行うべきケアとは何か、など今回はまとめました。
外国人のアルバイトが急増する業種とは?
コンビニで働く外国人アルバイトは果たしてどれくらいいるか、皆さんはご存知ですか?大手のコンビニチェーンだけで数えると5万人を超えたとされ、全国にあるコンビニのお店の数とほとんど同じというデータが出ています。つまり、コンビニの店舗に1人必ず外国人のアルバイトがいる計算です。外国人のアルバイトの定番はコンビニであることは紛れもない事実です。
東京労働局の調査では、外国人を雇用する事業所は5万か所を超えたと言われています。東京のコンビニで働くアルバイトの2割が中国やネパール、ベトナムの外国人というデータもあるなど、都市部を中心にその光景は強まっています。飲食店も顕著であり、外国人を採用した飲食店は全体の半数近くに及び、日本人のスタッフが採用しにくいという答えが多数を占めます。
現在は採用をしていないところも、その機会がたまたまなかっただけという答えが多く、条件や手続きが分からないなどの答えが続き、協調性や離職への不安は少数派です。機会があれば雇う事業者は潜在的に見ても多く、人手不足とされる業種に外国人が流れ込む構図は今後も続きそうです。
雇用主側が注意したい外国人のアルバイトに関する問題
初めて外国人を採用する機会が生じた場合、日本人を採用するのと同じように採用手続きをしてしまう人がいますが、これではいけません。注意すべきポイントをまとめました。
うっかり週28時間を超えている
1週間で28時間以内、これが外国人留学生が資格外活動で働ける労働時間となります。28時間に関する起算日は特に設定されておらず、週の初めの月曜からなのかどうかは関係ありません。ただどの1週間をとっても28時間以内であることが条件なので、月曜を起算日にして28時間以内だったとしても、火曜を起算日にしたら28時間を超えていたというのでは違反です。うっかり28時間を超えている可能性は十分に考えられます。
もう1つ、この28時間はあくまでも労働時間全体のもので、残業をすることがあれば残業時間も28時間の中に含まれます。例えば28時間丸々働いたとして、3時間程度残業時間があれば週31時間働いたことになり、摘発を受ければ刑事罰を受ける可能性が生じます。たかだか3時間のために、雇用主は捕まり、留学生は日本の企業で働く夢を絶たれる、そんなことになってはあまりにも可哀想ですが、これが日本でのルールです。
最低賃金を守らない
各都道府県には最低賃金が設定され、それを下回って雇用することは法律違反です。その一方、外国人には最低賃金は適用されないと考えている事業者がいるようですが、結論から言えば、たとえ外国人であっても最低賃金は適用されます。日本人だろうが外国人だろうが、日本の労働に関する法律で定められていることは外国人にも適用されます。ですので、外国人だから最低賃金を守らなくていいし、どうせ分からないからごまかしちゃえという発想は絶対にいけません。
在留カードを確認しない
信じがたいことですが、事業者によっては在留カードを確認せず、そのまま雇い入れてしまうところが存在します。在留カードを確認しないデメリットはあまりに多く、在留資格に反していること、在留期間が過ぎていることなどが考えられ、不法就労ということになってしまいます。この瞬間、雇用主が書類送検などになり、刑事罰を受ける可能性が考えられます。
在留カードを確認しないデメリットは違法かどうかだけに限りません。在留資格が留学ではなく、日本人の配偶者など身分系のものだった場合、週28時間の制限などに引っかからずに済みます。日本人と同じように働いてもらえるのに、在留カードを確認しないがために、週28時間で制限を加えることになれば、お互いに不幸です。その逆は、週28時間を忘れて日本人と同じように働かせるケースですが、悪質と判断されかねないので注意が必要です。
ワーキングホリデーで、特定活動の在留資格でやってくる外国人もいるので、確認をしておきましょう。
4.年末調整などをしていない
12月になると、どこの会社でも年末調整で経理担当の方はてんてこ舞いになります。年末調整をすることで確定申告をしなくて済むわけですが、日本人だけがするものではなく、外国人のアルバイトにもしなければなりません。その方法は基本的に日本人と同じですが、外国人だから別にしなくていいだろうと思っていると痛い目を見ることになります。まず日本の居住者に該当するか、非居住者に該当するかで税率が異なります。
もう1つ気を付けたいのは、国によってその国の租税条約が違う点です。例えばベトナムは日本での給料は課税対象、中国人留学生は日本で済むために必要なものに支払った給料は免税、韓国人留学生などは一定の範囲内で免税など、国によって異なります。ネパールのように日本と租税条約を結んでいないと課税対象になりますが、租税条約を結んでいる国は何かしらの条項があります。
年末調整はどんなことであれしておくべきですが、自分の判断で全部を決めようとしないことも大事になっていきます。
社会保険などへの加入をしていない
留学生の場合、日本の学生と同じ扱いになることから社会保険への加入は必要ありませんが、労災保険には加入しなければならず、その保険料を支払う必要があります。例外として、夜間の大学に通う留学生だった場合、雇用保険の対象になるなど、留学生の学ぶ場所によっては社会保険への加入が必要になることがあります。
一方、身分に関する在留資格で働くアルバイトの場合、フルタイムで働くことになり、その他の条件を満たして入れば、社会保険への加入は必要、いわゆる義務が生じます。義務が生じているのにそれを履行しなければ、違法行為ですから、注意しなければなりません。
外国人のアルバイトを雇う際に雇用主側が行うべきケア
様々なことに注意しなければならない雇用主ですが、雇う前にやっておきたいこと、ケアすべきことは何か、いくつかまとめました。
外国人を指導する教育係の選任
コンビニで働く留学生に多いのは、日本語を知らない、お店の人がお客さんに挨拶をする習慣がない、おでんなどの食べ物が分からないなど、日本人の学生に指摘しないようなことを指摘しなければならない場面があります。そんな時に日本人と同じように接してしまえば、場合によっては不快に感じ、あの店の店員、店長は鬼だと色々なことを吹聴され、評判を落とすことにもなります。
丁寧に教える教育係の存在や、外国人に指導する際のマニュアル、取り決めを整備し、外国人スタッフに対応するのがおすすめです。
オーバーワークにならないためのシフト作り
週28時間以内、長期休暇であれば1日8時間以内、週40時間以内を守ることになりますが、起算日によってオーバーワークになるようなシフトは避けるべきです。できるだけ出勤日を連続させない、残業がありそうでも別の日本人スタッフがカバーする、ダブルワークはしていないという誓約書を出させるなどの対策を打ち立て、その中でシフト作りを行うことでオーバーワークにならない形を作れます。
知り合いの外国人をあえて入れない
単身で日本にやってきた外国人がほとんどで、同じ国の人や同じ学校の人を見つけるとその人とおしゃべりを始めるケースが見られ、その外国人の知り合いを職場で働かせて、仕事中に談笑するようになれば、周囲のお客さんはあまりいい気持ちにはなりません。ある程度雇用主は、外国人スタッフをコントロールしなければなりません。そのためにも知り合いの外国人は入れさせない、今働いている外国人スタッフの紹介は受けないなどの対策を立て、徒党を組まれるような展開は避けましょう。
在留カードは定期的に確認する
雇用主側が怖いのはオーバーステイの恐怖です。雇用した時点では在留期限内だったけど、実はあと数か月しかなく、半年後にはオーバーステイ状態だったということがあり得ます。うすうすオーバーステイに気付くも、あえて触れなかった雇用主が結果的に処罰を受けることになるので、最初に在留カードは確認し、期限はいつまでかを記録しておき、常に確認するようにしましょう。期限が近付けば更新するように求めていき、場合によっては代理で雇用主が手続きを済ませるというのもアリです。
税務対策などは怠らない
日本国内の居住者か非居住者、租税条約の確認など、税務対策は何かと必要です。自分で判断して決めることは結果的に判断ミスにつながり、税務署に目を付けられる可能性が出てきます。この場合は税理士や社会保険労務士など専門家に相談し、税務対策や社会保険対策などを行っていくのが一番です。お金はかかるかもしれませんが、万が一問題が生じ、それがきっかけに制裁を受けることになれば大変です。万全には万全を、その姿勢さえあれば、問題になることはないでしょう。
まとめ
外国人留学生や身分に基づく在留資格を持つ外国人、ワーキングホリデーでやってきた外国人など、アルバイトを希望する外国人は多種多彩です。それぞれにルールがあり、ルールの中で働いてもらいます。そのルール自体を日本人の雇用主が知らないのはあまりに危険であり、自らが刑事罰に問われかねません。初めて外国人を雇い入れる際に、ありとあらゆる想定を行って、対策はしっかりと立てて、満を持して受け入れられる態勢を作ってから留学生などを受け入れていきましょう。
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