技能実習生が奴隷だといわれる理由とは?その現状とは

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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日本は長年技能実習生を海外から受け入れています。主に発展途上国の人達に技術や知識を教えることにより、母国に戻りその技術や知識を使うことにより国際協力をするといった内容です。

 

しかし技能実習生が奴隷だといわれるようになり、海外でも悪いニュースが流れています。それにはどのような理由があるのでしょうか。また技能実習生の現状をご紹介します。

 

技能実習生が奴隷といわれる仕事場の環境の悪さ

技能実習生が奴隷をいわれる理由のひとつに、仕事場の環境の悪さがあります。賃金や時間外労働などさまざまな理由があります。

 

賃金の低さ

技能実習生にも日本の労働法が適応されるため、最低賃金は守られているべきです。しかし最低賃金よりも大きく下回る賃金で仕事をしている場合があるのです。

 

最低賃金額に関しては、雇用する側は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければなりません。

 

厚生労働省にて以下のように定められています。

 

(最低賃金額)

第三条 最低賃金額(最低賃金において定める賃金の額をいう。以下同じ。)は、時間によつて定めるものとする。

(平一一法一六〇・一部改正、平一九法一二九・旧第四条繰上・一部改正)

(最低賃金の効力)

第四条 使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。

2 最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。

3 次に掲げる賃金は、前二項に規定する賃金に算入しない。

一 一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの

二 通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの

三 当該最低賃金において算入しないことを定める賃金

4 第一項及び第二項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかつた場合において、労働しなかつた時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない。

(平一一法一六〇・一部改正、平一九法一二九・旧第五条繰上)

 

引用 厚生労働省

 

また最低賃金は都道府県によって、設定されています。たとえば東京都は2019年に時給で1,013円に引き上げられました。また他の件でも地域別最低賃金の改定がされています。他にも神奈川県が1,011円と1,000円を越え、改定額の全国加重平均額は901円(昨年は874円となりました。)

 

しかし、この最低賃金に満たない金額で就業をしていた技能実習生もいたのです。

 

以下の「経済産業省の繊維業界における下請取引実態調査結果概要」にて記された技能実習生へのアンケートには以下のように、日本人と同じもしくは高い給与の実習生もいれば、残業時の割増料金が規程よりも低かったり、最低賃金以下である場合もあります。しかし受け入れ企業だけの問題ではなく、送り出し機関にも問題がある可能性あります。

 

・日本人と同じ給与設定としている(日本人より高い給与の実習生もいる)。

 ・グループの班長となる実習生には手当をつけている。

 ・最低賃金は維持しているが、残業時の割り増し賃金は40%程度だった。 

・最低賃金以下しか払っていなかったが、それは送り出し側で決めた賃金だった

 

引用 経済産業省

時間外労働

賃金の低さは時間外労働にもあてはまります。本来時間外労働に対する賃金は労働法にて定められています。

 

時間外労働をさせる場合、割増賃金の支払が必要になります。時間外労働に対する割増賃金は、通常の賃金の2割5分以上となります。例えば、通常1時間当たり1,000円で働く労働者の場合、時間外労働1時間につき、割増賃金を含め1,250円以上支払う必要があります。

 

引用 労働基準局

 

原則1日8時間、1週間40時間が法定労働時間でありこれを超える場合は上記のように時間外労働が発生します。深夜業が発生する場合(午後10時~翌日午前5時)も通常の2割5分以上の賃金支払いが必要となります。

 

しかし、時間外労働をしていてもこれらの賃金が支払われていない状況が続いたのです。さらに時間外労働にも限度があり、1か月45時間、1年360時間を超えてはなりません。労働基準局で決められているこのルールも守られていないこともあったのです。

 

このような状況は、受け入れ企業が外国人実習生を使うことでコストダウンになると間違えた考え方が原因の可能性もあります。また技能実習生は日本の労働者と同じ権利(最低賃金や時間外手当など)があることを理解する必要があります。

 

時間外労働は時にエスカレートをし、月に100時間以上の残業が続き、過労死に至ることもあったのです。国際研修協力機構によると、1992年から2011年までに85人が脳や心臓疾患で亡くなっており、26人が自殺をしているのです。この中に多くの過労死が含まれていることが想像できます。

 

セクハラやパワハラ

外国人技能実習生がセクハラやパワハラ、時には暴力をうけているという実例があがっています。このような場合、訴えを起こすと時間外労働などの訴えは勝訴しているケースが多いのですが、セクハラやパワハラに関しては棄却されているケースが多いようです。

 

明確にすることが難しく、感じ方によっても変わってくるのでしょうがいずれもあってはならないことです。技能実習者にとっては、精神的に追いつめられていくのです。

 

技能実習生が奴隷のように使い捨てをされているという報道について

技能実習生が奴隷のように使い捨てにされているという報道が多くされています。ある縫製工場で働いているベトナム人技能実習生からNHK宛に携帯動画が送られてきたのですが、それは工場から抜け出した女性が体験した、驚くべき実態だったのです。

 

ほとんど休みがない状態で、窓がないような部屋に閉じ込めて働きづめにしていたのです。またベトナムで75万を支払ってやっと日本にきて1年間働いて、それでもこの借金が返せない状態です。

 

ワシントンポストでも日本に来る技能実習生について取り上げられています。時には週7日の労働や上司からの怒号に耐え続けての実務となっていたのです。朝7時から夜10時まで働いて、週100時間で月6万円、週7日勤務もあったのとのことです。

 

参考 COURRIER

 

このように世界中でも、技能実習生が奴隷にように使い捨てをされている報道がされています。さらに監理団体も受け入れ先も対応してくれないことも多いのです。

 

技能実習制度は改正され、良くなった点は多く、しっかりと賃金などの面で法令を守っている受け入れ企業も多いのですが、実際はこのような状況であることが現状です。

 

奴隷をいわれる技能実習生の疾走事件について

技能実習者は本国で借金をして日本に来ていることが多いです。また技能実習中に途中で辞めてしまうと違約金をとられることもあり、どれだけ辛いことがあってもなかなか言えないケースがあります。

 

しかし、どうしても我慢できずに、もしくは体調をこわしてしまって失踪へとつながるケースが多くなっているのです。失踪した技能実習者の中には自殺者もおり、それだけ追いつめられているのです。

 

本当に技能実習生は奴隷のように扱われているのか

技能実習生に関して、裁判にて技能実習生が勝訴しているケースが多くなっています。これは時間外労働に対して支払いをしなかったケースです。

 

元技能実習生が茨城県の農家に対し、未払い賃金などの支払いを訴えていた裁判で、水戸地裁(岡田伸太裁判長)は11月9日、約200万円を支払うよう命じる判決を言い渡した。セクハラなどの請求については棄却した。原告は控訴する方針だ。

 元技能実習生の中国人女性は、2013年10月から約1年間、日中は大葉栽培に従事。夕方以降は深夜近くまで大葉を10枚ずつ束ねる作業を行っていた。農家は束ねる作業を技能実習の労働契約とは別の請負業務として、1束当たり2円しか払わなかった。

 裁判所は雇用契約上の労働と認め、未払い賃金と付加金の支払いを命じた。

 

引用 機関紙連合通信社

 

実際に裁判にまでいき、このように技能実習生が勝訴しているケースも多くなっており、奴隷の様に扱われているケースもあることは事実といえるでしょう。また多くの技能実習生は、なにか問題を起こしては帰国させられる、借金を返せなくなると我慢をしているケースも多くあることでしょう。また上記の件でも、セクハラなどの請求に関しては棄却されています。

 

日本でも難しい問題なので、技能実習生だけの問題とはいえないのですが、技能実習生に対して奴隷のような扱いをしている受け入れ先があることは間違いないでしょう。

 

技能実習生が奴隷だといわれる理由まとめ

 

技能実習制度は、日本の技術を覚えてもらって母国での発展に結び付けるといった大きな目的があります。また日本企業としても、社内が活性化し国際化社会にもつなげていく良い機会となっています。

 

実際に技能実習者にとっても、企業にとっても大きなメリットがあり長く日本に滞在できるための技能実習3号とよばれる法案も設定されました。

 

しかし、裏側では、奴隷扱いともいえるようなニュースや裁判が上がっていることも事実です。想像もできないような世界ではないでしょうか。監理団体が相談窓口を作っていても、このようなニュースは減らないのです。入管法や外国人技能制度の改定などを考える前に、考えるべき問題が多く残っているのが現状です。

 

あまり考えたくはないのですが、発展途上国に対して差別をしている人もいるのも事実です。根本的に考え方を変えないと解決しない問題ではないでしょうか。

 

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著者 アドミン

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