技能実習制度の改正とは?どの点が変更されたのか

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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日本は長年技能実習制度を取り入れていますが、就業環境や賃金、またその他の問題により技能実習制度自体に問題を抱えていました。そこで、政府間の取り決めをする、責任をはっきりとさせるなどの技能実習制度の改定を行いました。

 

ここでは技能実習制度の改定とは?またどの点が変更されたのかをご紹介します。

 

改正前の技能実習制度

政府間の取り決めがない

改正前の技能実習制度は、政府間の取り決めがなく、送り出し機関が不適正に保証金を徴収しているなど不正がありました。しかし、それぞれの国と二国間取り決めをすることにより、それぞれの国と技術などの移転を適正かつ円滑に行い、さらに国際協力を推進することにつなげていきます。

 

二国間取り決めの内容には、目的の他に連絡窓口や協力の枠組み、問題があった時の解決法などが書かれています。ここで日本の連絡窓口は外国人技能実習機構となっています。これは技能実習制度の改定が行われる前はなかった窓口です。さらに覚書に関する窓口は法務省入国管理局及び厚生労働省職業能力開発局となります。

 

二国間の責務

二国間取り決めには、それぞれの国の省の責任をはっきりとさせています。例えば日本とベトナムの取り決めの場合は以下の様になります。

 

(1)技能実習制度の実施において、在ベトナム日本国大使館及び総領事館並 びにベトナムの省と協力すること。 

(2)技能実習生を日本に送り出すことを意図するベトナムの送出機関であっ て、を 満たすとしてベトナムの省が認定したもの(以下「認定送出機関」という。) に係る情報を日本の省がベトナムの省から受領した場合は、当該情報を日 本国において公表すること。 (3)ベトナムの省により任命を受けた機関である海外労働局によって承認さ れたリスト(別添3に記載。)にある技能実習生についてのみ、別添6に記 載する書類を検討し、技能実習計画を認定すること。 

(4)技能実習計画の不認定により日本への入国が拒否された技能実習生につ いて、ベトナムの省に通知すること。 

 

引用 【日本国法務省、外務省及び厚生労働省とベトナム労働・傷病兵・社会問題省

との間の技能実習制度に関する協力覚書】

 

またベトナム省の責務は以下の様になっています。

 

(1)技能実習制度の実施に際し、在日ベトナム大使館など日本の省と協力をする必要があります。

(2)技能実習生の団体管理型技能実習への申し込みをする際に、べトナムの省以外の公的機関が送り出し機関の推薦を行うことはできません。

(3)技能実習生を日本に送り出す際に、ベトナムの送り出し機関が認定基準を満たしているかどうかの審査をして、基準を満たしている場合は認定を与えることが必要です。

(3)ベトナムの認定送り出し機関の名前を公表し、日本の省に提出をすることが必要です。

 

以上のようにお互いの国でそれぞれ技能実習生に関して情報提供を行うことが主な目的となっています。またなにか問題があった時に双方の国で対応できるような仕組みを作ることによって、様々な不正に対応することができるようになります。

 

送り出し機関のリストは、法務省のホームページにて確認をすることができます。随時更新をしているので新しい情報を見ることができます。

参考 法務省 

責任が不明確

技能実習者の就業内容や契約内容などにおいて、監理団体や実習実施者の義務や責任が不明確となっており、賃金などで不正をしていてもわからない状態でした。国際研修協力機構が巡回指導はしていたのですが、法的な権限があるわけではなく、実習生の保護体制が不十分となっていました。

 

そのため業所管省庁等の連携体制が十分であったとは決していえません。

 

技能実習制度の改正

上記の内容を踏まえて、平成29年11月1日に技能実習制度の施工が行われました。

 

基本理念

技能実習制度の改定前は上記のような課題があり、平成29年に施工された制度では主に技能実習制度の適正化が行われました。

 

①技能実習の基本理念や関係者の責務規定を定め、基本方針を設定しました。

②技能実習やあくまで発展途上国への国際協力であり、労働力の受給の手段として使ってはいけません。つまりその場しのぎの人材不足の解消のために利用はできません。

 

国の責務

実習生の送り出しをする国との間で、政府間取り決めをすることにより、保証金を徴収するなど不適切な行為をする送り出し機関の排除を進めていくこととなりました。技能実習制度の改正の目的を達成するために、技能実習生を保護するのに必要な政策を推進していく必要があります。

 

実習実施者の責務

技能実習者を保護する必要がある責任を自覚し、国や地方自治体などが技能実習者のために施した方策に強力をする必要があります。

 

監理団体の責務

技能実習者を保護する責任を自覚し、実習監理の責任を果たし国や地方自治体などが技能実習者のために施した方策に強力をする必要があります。

 

技能実習者の責務

技能実習をすることに専念し、日本で技術や知識を得て、本国へ持ち帰り本国の発展のために努力しなければいけません。

 

改正された技能実習制度の技能実習計画とは

技能実習制度の改定では、あらたな技能実習計画を発表しています。それぞれの内容を詳しくご紹介します。

 

対象職種の拡大

技能実習生の対象となる職種は、随時追加をしていきます。なかには地域限定の職種や業種によって独自の職種など様々なでありこれらの拡大を進めていきます。

 

外国人技能実習機構

あらたに外国人実習機構を創設することにより、以下のような業務にあたります。

 

・技能実習計画の認定

・実習実施者の届出の受理

・実習実施者・監理団体に報告を求め、実地に検査する事務

・監理団体の許可に関する調査

・技能実習生からの相談への対応

・技能実習調査研究業務

 

参考 厚生労働省

 

外国人技能実習機構では、実習実施者が作成した技能実習計画を確認をし認定をします。確認内容は以下の様になります。

 

・NGの内容がないこと

一定の前科がない

5年以内に認定取り消しとなっていない

5年いないに法令などを守らず不当な行為をしていない

 

・認定基準に達しているか

監理事業を適正に行うことができるのか、また外部役員を設置しているかなどの許可基準に達しているかどうかの確認をします。

技能実習制度を改正したことによる技能実習制度の拡充とは

優良な実習実施者や監理団体に対して、新しい技能実習制度では技能実習制度の拡充を行っております。

 

技能実習3号

技能実習3号を新しく創設することにより、優良な実習実施者や監理団体に対して拡充を認めています。所定の技能評価試験の実技試験などに合格すると、技能実習の期間が3年から5年に伸ばすことができます。一旦1か月以上の帰国をしたあと再来日し最大2年間の技能実習となります。また適正な技能実習が実施できる範囲ではありますが、技能実習生の人数枠を2倍程度まで増やすことができます。

技能実習生として日本来る外国人の数は年々増えています。しかし賃金や就業環境など様々な問題があり、技能実習生の失踪の数が年々増えていました。

 

①失踪技能実習生の人数

②前年末の在留時脳実習生の人数

③:①の②に対する割合

平成26年

4,847人

155,206人

約3.1%

平成27年

5,803人

167,626人

約3.5%

平成28年

5,058人

192,655人

約2.6%

平成29年

7,089人

228,588人

約3.1%

平成30年

9,052人

274,233人

約3.3%

 

引用 法務省

 

また前年末の在留技能実習生と、新しく入国した技能実習生の合計人数に対する比較で割合の推移を見てみましょう。

 

①失踪技能実習生の人数

②前年末の在留時脳実習生の人数

③:①の②に対する割合

平成26年

4,847人

237,739人

約2.0%

平成27年

5,803人

264,630人

約2.2%

平成28年

5,058人

298,786人

約1.7%

平成29年

7,089人

356,276人

約2.0%

平成30年

9,052人

424,394人

約2.1%

 

引用 法務省

 

技能実習制度を改正してからの数字は以下のような数字になっています。

 

平成29年中に入国した技能実習生(旧制度)127,657人中1,163人 0.9%

平成30年中に入国した技能実習生(新制度)130,699人中658人 0.5%

 

平成30年2月、3月に入国した新旧両制度の1号技能実習生 10,626人

旧制度 4,758人 うち失踪が158人 失踪率3.3%

新制度 5,868人 うち失踪が85人 失踪率1.4%

参考 法務省

 

技能実習制度の改正まとめ

このように技能実習制度の改正は、失踪数が減っていることからも効果がでているといえるのです。このような改正の効果は受け入れ企業や技能実習生がより技能実習制度に対して理解を深めることにつながり、本来のそれぞれの国への国際協力へとなるのです。

 

また日本の企業にとってみても、国際化されることは社内の活性化へとつながり、海外拠点へのとっかかりになるともいえるのです。

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著者 アドミン

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