「特別永住許可」とは!普通の永住許可との違いや特別永住権について解説!

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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皆さんは特別永住許可をご存じでしょうか?永住許可とは違い、ある特定の条件を満たした外国人のみを対象とした制度です。今回は、特別永住許可と従来の永住許可では何が違うのか、双方の特徴や最近の状況などを解説していきます。

【通常の永住権についてはこちら

 

そもそも「特別永住許可」とは

特別永住許可とは、「平和条約国籍離脱者」とその子孫だけが取得対象となる特殊な永住許可です。

 

背景として、1952年にサンフランシスコ講和条約が発行された際、当時日本に住んでいた韓国人・朝鮮人・台湾人は日本国籍を失いました。

 

そういった国籍を失った外国人の在留を制度化するため、1965年に韓国人のみを対象に「協定永住」の在留資格が発行。その後、数度の制度変更により現在「特別永住許可」・「特別永住権」になっているというわけです。

 

永住者の中でも在留資格が異なる

外国籍を持つ永住者は例にもれず全員同じ在留資格だ、と考える方も珍しくありません。しかし、一見同じに見えても、特別永住許可を得た人物と従来の永住許可を得た人物では、在留資格が異なります

 

従来の永住許可を得るためには、就労が可能な資格を得て、実績を重ねることが求められます。

 

しかし、特別永住許可にはその仕組みがありません。

 

法務省で掲載されている在留資格一覧に、定住者の項目はありながら、特別永住者の項目が存在しないことからもその事実が読み取れます。

(参照:http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf

 

「特別永住許可」と通常の「永住許可」の違いとは?

 

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特別永住許可と従来の永住許可で何が違うのか。それぞれで異なる部分について、1つずつ解説していきます。

 

入管法とは別の法律で資格が定められている

 

従来の永住許可の場合、入管法において様々な要件が決まっています。

 

一方、特別永住許可では、入管法とは別で、通称「入管特例法」と呼ばれる制度あります。入管特例法では、特別永住者の対象者や退去強制など、様々な特例が定められています。

 

先にも述べたように、第二次世界大戦で敗れた日本はサンフランシスコ講和条約に調印し、1952年に発効されました。これにより、当時の在日韓国人や在日朝鮮人、在日台湾人が日本国籍を失うことになってしまいました。

 

当時、韓国併合の影響で、朝鮮半島や台湾は日本の植民地でした。その際に、韓国や台湾在住の人々が日本に移住しており、そういった方々が国籍を失った当事者にあたります。

 

その後、国籍を失った韓国人等は、在留資格が決まるまでは在留資格なしで日本にとどまれることが決まります。1965年に日韓基本条約が締結された際、韓国人のみを対象に、「協定永住」の在留資格が与えられ、資格が2代目まで継承できることが定められました。

 

そして、1991年韓国人だけが対象だった資格は朝鮮人、台湾人も含まれるようになり、特別永住許可に生まれ変わったのです。

 

戦時中から続く歴史的な背景が大きく影響していることが分かります。

 

永住権を申請する際の窓口が違う

 

従来の永住許可は、申請を行う窓口は入国管理局であり、基本的にエリアを統括する入管に行き、事前相談を受けて申請に進みます。

 

ところが、特別永住許可では入管には行かず、住民票がある自治体の窓口で申請をします。両親の一方が特別永住者で、要件を満たした人は、自治体を通じて特別永住許可の申請が可能です。

 

また、特別永住許可の申請を行わない場合、もしくは親が日本国籍を保有し、その人自身が日本国籍を取得しない場合、従来の在留資格の申請を入管で行うこともできます。

 

日本で生まれた子は生まれてから60日以内、日本国籍を離脱した人は離脱日から60日以内に、子供の親権者が申し込みます。申請期限が過ぎた場合にはその自治体では受付ができないので、入国管理局に出向くことになります。詳しくは、お住まいの自治体などに問い合わせるのがオススメです。

 

永住権を得る際の審査基準が違う

 

在留資格「永住者」を取得する人は、「10年以上の日本在留」「素行が良好」「自分自身で生計を立てるだけの資産」「日本にとって有益か」という要件で審査されます。

 

一方で、特別永住許可の場合、素行が良好かどうかや、自分自身で生計を立てるだけの資産があるか、などの審査基準がありません。

 

両親のいずれかが特別永住者で、1年以上日本に在住していれば認められます。特別永住者の配偶者の場合も、実体のある婚姻関係を3年以上継続させた上で1年以上日本に在留していれば対象となります。

 

永住者の場合は出入国管理及び難民認定法のみに基づいて審査が行われますが、これに加えて入管特例法が存在します。入管特例法があることで、審査基準が異なっているのです。

 

特別永住許可は、通常の在留資格ではない

 

そもそも在留資格とは、外国人が日本に在留できる資格を指します。基本的には出入国在留管理庁のホームページにある在留資格一覧表にあるものが全てです。

 

しかし、この中には特別永住許可、特別永住者の項目はなく、永住者の項目を見ると「特別永住者は除く」と書かれています。永住者は入管法に基づく在留資格、そうではないのが特別永住者ということです。(参照:http://www.immi-moj.go.jp/tetuduki/kanri/qaq5.pdf)

 

退去強制の条件が異なる

 

入管法では禁固刑以上の刑罰を受けることで、退去強制になってしまいます。

 

しかし、特別永住者に関しては、国益をかなり損ねるような行為をしなければ、たとえ禁固刑上の刑罰を受けても退去強制にはなりにくいです

 

では、この場合の国益を損ねる行為とはどういったものが挙げられるのでしょうか。例としては、内乱罪や日本での武力テロに関わった罪、7年以上の禁固刑または懲役刑を受け、かつ法務大臣の認定があった場合などが該当します。

 

7年以上の懲役刑を受けた特別永住者は過去にいたものの、日本の利益が損なわれたと認定されたケースはなく、特別永住者の退去強制は行われていません。ただ、日本に二度と入国しないことを条件に韓国に戻って、特別永住許可が失効したケースはあります。

 

永住者の外国人が罪を犯し、1年以上の禁固刑などに処せられれば、その時点で退去強制となります。しかし、特別永住者はそれに当てはまらないため、特別永住者が退去強制される確率が限りなく低いことも違いの一つです。

 

再入国許可の年数が違う

 

特別永住者であっても、出国して再入国する際には、再入国許可が必要になります。上陸拒否事由が審査され、これに抵触すれば特別永住者の資格があっても上陸が拒否されます。

 

ところが、特別永住者はパスポートが有効かどうかしかチェックされません。その他、再入国の有効期限にも違いが見られます。通常再入国の有効期限は5年となっていますが、特別永住者は6年が上限です。

 

また、みなし再入国許可の場合、通常の永住者などが1年のところ、特別永住者は2年となっています。歴史的な背景があるとはいえ、この部分でも特例が存在しました。

 

特別永住許可を受ける人は年々減っている

 

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平成30年末の在留外国人数は、前年の同時期に比べておよそ17万人増の約273万人となり、過去最高です。これを在留資格別でみると、永住者がおよそ3割、留学、技能実習と続き、ようやく特別永住者が出てきます。構成比こそ留学や技能実習にわずかに及ばないだけですが、去年より3%近く減らしている状況です。

参照:平成30年末現在における在留外国人数について

 

特別永住許可が設定された1991年には全体で69万人、在留外国人全体でおよそ6割にも昇る数でした。

 

しかし、そこから年々減っていき、2007年には一般の永住者よりも少なくなります。また、技能実習や留学といった在留資格でやってくる人が増えたことで、全体の比率は10%前半まで落ち込んでいます。

 

80歳以上の特別永住者が多い中、若い世代で特別永住者の資格を持つ人がかなり少ないというのも実情としてあります。

 

元々は1950年代に日本国籍から離脱させられた人に与えられた権利のため、年々減っていくのは当然であり、帰化をする人や永住者の資格に切り替えた人、日本人と結婚して日本人の配偶者の在留資格に切り替わったこと等も要因です。

 

特別永住許可のまとめ

サンフランシスコ講和条約が発効されたことで日本国籍が失われた韓国人や朝鮮人に対して与えられた特別永住者の権利。

 

素行が善良ではなくても、自分自身で生計が立てられる資産がなくても問題ない点や退去強制の範囲も狭いことで、さも特権のように感じ取る日本人がいるのも事実です。

 

しかし、特別永住者の数は様々な要因もあって、減少傾向にあります。特別永住者の実に3割が高齢者であり、日本で生まれた二世も高齢者へと突入していく状況です。

 

また、韓国では特別永住者に対してあまり寛容的とは言えず、特別永住者の扱いがあまり良くありません。そのため、韓国に戻っても仕方ないと感じた人が日本国籍を取得するケースも出てきています。特別永住許可のあり方は年々対象者が減っていくことで、より適したものに変えるべきではないかという議論につながっていくことになりそうです。特に永住許可が厳しくなっており、特権のように見える特別永住許可に何らかの指摘が入ることも十分に考えられます。今後どのような展開を見せるのか、目が離せません。

 

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著者 アドミン

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