日本は現在、あらゆる業種で人手不足が深刻化されています。
産業機械製造業も人手不足が深刻な産業の一つであり、2023年には7万5000人が不足すると予想されています。そんな中日本政府は人手不足の解決策として特定技能「産業機械製造業」を施行しました。
今回dnusでは、特定技能「産業機械製造業」について職種から取得方法まで徹底解説します。
産業機械製造業の現状について
産業機械製造業とは?
産業機械製造業とは、工場や事務所内で使用される機械を製造する産業のことです。主に建設機械、農業機械、工業機械、木工機械など、あらゆる産業において必要とされる機械を製造します。これらの機械は、生産性向上や労働力の削減、省エネルギー化など、様々な目的に使用されます。
日本の産業機械製造業は、社会基盤整備の重要な役割を果たしています。例えば、交通や通信インフラの整備、医療機器の製造、自動車工場での生産ラインの構築など、幅広い分野で必要とされる機械を提供しています。また、日本の製造業の中でも、高度な技術力を要する分野の一つであり、海外からの需要も高く、輸出も盛んに行われています。
産業機械製造業は、生産性や製品品質の向上など、様々な課題に直面しています。そのため、高度な技術力や研究開発能力を持った企業が求められており、競争が激しい分野でもあります。しかし、日本の産業機械製造業は、技術革新や研究開発に注力し、多くの分野で世界トップクラスのシェアを維持しています。
産業別外国人雇用事業所の割合
厚生労働省「外国人雇用状況」の届出状況まとめによると、全事業所における外国人労働者の割合が最も多かった事業は製造業の21.4%となっています。
製造業では、外国人労働者数が年々増加しており、上の図表のように外国人を雇用している事業所数も年々増加しています。
産業機械製造の課題
産業機械製造業分野において、工作機械やロボット等の産業機械に対する需要が国内外問わず高まっています。
需要が高まる一方で、産業機械製造業における労働力は年々不足しており、早急に改善できる見通しが立っていません。
日本政府は、産業機械製造業の人手不足の解消に向けて、生産性の向上や国内人材の確保に取り組んできました。
しかし人手不足が完全に解消されるのは難しく、経済産業省によると産業機械製造業における人手不足の見込み数は、2023年までに7万5000人となっています。
日本の産業機械製造業には、以下のような課題が存在しています。
-
1.人手不足
産業機械製造業は、高い技術力と熟練労働者の手によって成り立っていますが、近年、若年層の減少や高齢化により、労働力不足が深刻化しています。このため、製造工程の自動化や省力化が求められますが、一方で、高度な技術が必要な作業や機械設計など、自動化が難しい分野もあり、人手不足の問題が深刻化しています。
-
2.技術力の維持・向上
日本の産業機械製造業は、高い品質と信頼性が求められており、製品の開発・設計・製造において高度な技術力が必要です。しかし、技術革新の進展やグローバル競争の激化により、常に最新の技術を維持・向上する必要があります。このため、継続的な技術研究や人材育成が求められています。
-
3.海外競争とグローバル化への対応
産業機械製造業は、グローバルな市場で競争を行っており、高品質な製品を低コストで提供する必要があります。しかし、海外企業の進出や競合製品の低価格化により、国内企業の競争力が低下する傾向があります。また、グローバルな市場でのビジネスには言語・文化・法律などの異なる問題があり、国際的なビジネスマインドを持つ人材やグローバルなネットワークの構築が求められます。
-
4.環境負荷の低減
産業機械製造業は、製品を製造するだけでなく、製造過程においても多くのエネルギーを消費しています。また、製品の使用や廃棄により、環境負荷を生むこともあります。そのため、環境に配慮した製品開発や省エネルギー技術の開発が必要とされています。
有効求人倍率
平成29年度の産業機械製造業に関連する職業分類における有効求人倍率は、2.89倍となっています。
職種における有効求人倍率は、例でいうと金属溶接・溶断工が2.50倍、プラスチック製品製造工が3.70 倍、金属プレス工が2.97 倍となっています。
全業種の有効求人倍率が1.46倍なので、全業種の有効求人倍率と比較しても大きく上回る結果となっています。
特定技能1号「産業機械製造業」について
そもそも特定技能とは?
そもそも特定技能とは何でしょうか?
特定技能は一言で言うと、「一定の知識や経験を持った即戦力となる外国人が持つ在留資格」のことです。
dnusでは特定技能に関する情報をひとつひとつ分かりやすく解説しています。合わせてこちらの記事をご覧下さい。
特定技能は全部で14業種あり、特定技能1号と特定技能2号の2つに区分されます。
14業種ある特定技能のうち、特定技能2号に指定されている業種は現在(2020年4月20日時点)で建築業と造船・船用工業の2業種です。特定技能「産業機械製造業」は現時点ではその特定技能2号の2業種の1つに指定されていません。
特定技能「産業機械製造業」の受入れ見込数
特定技能「産業機械製造業」分野において、2023年までの受入れ見込数は最大5,250人とされています。
特定技能「産業機械製造業」を取得した外国人を受け入れると共に、毎年約1%の生産性向上と、国内人材の確保による労働効率化(2023年までに6万2,000人程度)、また国内人材を2023年までに約7,500人~8,500人確保しても、なお不足すると見込まれています。
特定技能「産業機械製造業」の対象となる業務は?
次に、特定技能「産業機械製造業」で行われる業務について説明します。特定技能「産業機械製造業」の対象となる業務は全部で18業務あります。
対象となる業務は以下のとおりです。
1.鋳造
2.鍛造
3.ダイカスト
4.機械加工
5.金属プレス加工
6.鉄工
7.工場板金
8.めっき
9.仕上げ
10.機械検査
11.機械保全
12.電子機器組立て
13.電気機器組立て
14.プリント配線板製造
15.プラスチック成形
16.塗装
17.溶接
18.工業包装
それぞれの業務内容を説明します。
1.鋳造
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で溶かした金属を型に流し込み製品を製造する作業に従事
鋳造とは、金属を一定の形状に加工する方法の一つで、溶かした金属を型に流し込んで製品を製造する製造方法です。鋳造作業には、金属溶解、型取り、型枠組立、鋳造、冷却、取り出し、仕上げ加工等の工程が含まれます。
鋳造業務は、指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断力を活かして、金属を型に流し込む作業を行います。そのため、鋳造作業には、型による製品の形状決定や、金属の溶解温度管理、金型の選定や型枠の組み立て、流し込みのタイミングや流量調整、製品の冷却時間や温度管理、取り出し作業や仕上げ加工等の熟練技能が必要です。
鋳造は、自動化された機械による生産もありますが、一部の製品においては手作業による製造が求められます。例えば、高精度な大型製品や少量生産品等は手作業での生産が適している場合があります。
鋳造業務は、安全に留意しながら、高い技能と熟練度が求められる作業です。そのため、鋳造業に従事する者には、長期間の訓練が必要であり、現場での経験や技能習得によって能力が向上していきます。
2.鍛造
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で金属を打撃・加圧することで強度を高めたり、目的の形状にする作業に従事
鍛造は、金属を加工する技術の一つで、指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断で、金属を打撃や加圧することで、強度を高めたり、目的の形状に加工する作業を行います。
鍛造では、熱い金属を鍛造機によって成形する「熱間鍛造」と、常温の金属を成形する「冷間鍛造」の二つの方法があります。熱間鍛造は、高温で金属を柔らかくした状態で成形するため、材料が酸化しやすく、表面が荒くなる傾向がありますが、材料の強度が高く、内部の組織も均一になります。
一方、冷間鍛造は、高精度な加工が可能で、金属の寸法精度や形状精度を高めることができます。鍛造は、自動車部品や建築用の金物、農業機械など幅広い製品に使われる加工方法であり、高い技術力を要する分野の一つです。
3.ダイカスト
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で溶融金属を金型に圧入して高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する作業に従事
ダイカストとは、高圧下で溶融金属を金型に注入し、高い精度の鋳物を短時間で大量に生産する製造方法のことです。
ダイカストの業務内容は、指導者からの指示を理解し、自身の判断力を活かして溶融金属を金型に圧入する作業です。この際、高圧下で金属を注入することで、金型の細かい部分や複雑な形状でも正確に再現することが可能です。
また、鋳物の表面に凹凸やシワ、気泡などができることを防ぐため、金型の表面に塗布された特殊な塗料を使用することもあります。ダイカストは、自動車部品や家電製品、建築資材など、様々な製品の製造に利用されています。
4.機械加工
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で旋盤、フライス盤、ボール盤等の各種工作機械や 切削工具を用いて金属材料等を加工する作業に従事
機械加工の業務内容は、指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断で旋盤、フライス盤、ボール盤などの各種工作機械を使い、金属材料等を加工することです。
具体的には、金属材料を削ったり、穴を開けたり、加工したい形状に削り出すなどの加工を行います。また、機械の操作や加工条件の設定などを行い、加工品質の向上や生産性の改善に努めます。機械加工には高い技術力と経験が必要であり、加工に失敗すると大きな損害をもたらすため、高い精度と正確性が求められます。
また、最近では、CNC(コンピュータ数値制御)による自動化や、3Dプリンターを用いた加工など、新しい技術も導入されています。
5.金属プレス加工
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で金型を用いて金属材料にプレス機械で荷重を加えて、曲げ、成形、絞り等を行い成形する作業に従事
金属プレス加工は、指導者からの指示を理解し、自己判断力を駆使して、金属材料にプレス機械を使用して荷重を加え、曲げ、成形、絞り等を行って製品を成形する作業である。
この業務には、金型の準備や修理、プレス機械の操作や保守、加工後の製品の検査などが含まれる。金属プレス加工は、自動化されたライン生産にも適しているため、大量生産が可能である。
また、様々な金属材料に対応できるため、自動車部品や電子部品、家電製品のケースなど、多岐にわたる製品を生産することができる。金属プレス加工の技術は、工場の生産性を向上させるために、継続的に改善されている。
6.鉄工
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で鉄鋼材の加工、取付け、組立てを行う作業に従事
鉄工とは、鉄鋼材料を用いて製品を作り出す職人のことです。彼らは、指示書や図面を理解し、自己判断力を駆使して鉄鋼材料の切削、穴あけ、曲げ、組み立て、取り付けなどを行います。
鉄工は、建築や造船、橋梁、自動車、鉄道車両、重機などの製造現場やメンテナンスに必要な技術を持っていることが求められます。鉄工の業務には、手作業での切削、溶接、バルブ加工、鋲打ち、研磨、塗装、検査、修理、メンテナンスなどが含まれます。彼らは、品質、安全性、生産性を確保しながら、要求される形状、寸法、材料に合わせて製品を作り出します。
7.工場板金
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で各種工業製品に使われる金属薄板の加工・組立てを行う作業に従事
工場板金の業務内容は、工業製品の外観を整えるための板金加工や、製品の性能向上を目的とした部品の製造を行うことが挙げられます。
指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断により、金属薄板を切断、曲げ、溶接、接着などの方法で加工し、部品や製品を組み立てます。この作業には、板金専用の機械や工具を使用し、金属加工技術や製品の設計図面の読解能力が求められます。
また、金属薄板の種類や厚さによって加工方法や使用する工具・機械が異なるため、多岐にわたる知識が必要です。製品の外観や性能が大きく左右されるため、高い精度と確実な作業が求められることがあります。
8.めっき
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で腐食防止等のため金属等の材料表面に薄い金属を被覆する作業に従事
めっきとは、金属を化学反応によって金属イオンの溶液に変換し、そこに電気を流すことにより金属イオンを金属の原子に還元して金属を被覆する技術のことです。
めっき業務では、まず材料表面を清掃し、酸やアルカリ等の溶剤で汚れを落とします。その後、めっき液中に金属イオンが含まれた電解質を準備し、電極を用いて材料表面に電流を流して金属イオンを還元し、金属を被覆します。被覆する金属は、亜鉛、ニッケル、クロム、銅などが一般的です。
めっきには、腐食防止だけでなく、装飾的な目的で行われる場合もあります。
9.仕上げ
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で手工具や工作機械により部品を加工・調整し、精度を高め、部品の仕上げ及び組立てを行う作業に従事
「仕上げの業務内容」とは、指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断で手工具や工作機械を用いて、部品を加工・調整し、精度を高め、部品の仕上げ及び組立てを行う作業です。
具体的には、切削機、研磨機、研削機、溶接機などの工作機械を使用し、部品を加工・調整する作業や、手工具を使い、部品の表面を研磨・研削する作業を行います。また、部品の塗装や表面処理、組立て作業も担当することがあります。
この作業には高い技術が必要であり、精密な作業を要することが多く、熟練した技術者が必要とされます。さらに、品質管理や安全管理にも注意を払い、正確性と安全性を確保することが重要です。
10.機械検査
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で各種測定機器等を用いて機械部品の検査を行う作業に従事
機械検査は、指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で、機械部品の正確性を確保するために各種の測定機器や工具を使用して行われる重要な作業です。
この業務には、部品の測定、寸法の確認、形状の比較、表面仕上げの視覚検査などが含まれます。また、検査結果を記録し、不具合があった場合には改善策を考え、修正を行うことも業務の一部です。機械部品の品質管理に欠かせない業務であるため、正確性と効率性が求められます。
11.機械保全
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で工場の設備機械の故障や劣化を予防し、機械の正常な運転を維持し保全する作業に従事
工場において、機械の故障や劣化を未然に防ぎ、設備機械の正常な運転を確保するための業務が機械保全です。
指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断により、設備機械の点検、清掃、修理、メンテナンスなどを行い、機械の故障を予防します。
また、機械の性能や動作状況を把握するため、各種測定器具や診断機器を使用し、正確な検査を行います。
さらに、予定されたメンテナンス計画に従って、必要な部品の交換や修理を行うことも重要な業務の一つです。
12.電子機器組立て
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で電子機器の組立て及びこれに伴う修理を行う作業に従事
電子機器組立ての業務では、指導者からの指示を理解し、自分自身の判断で様々な種類の電子機器を組み立て、補修することが求められます。
具体的には、基盤部品の実装や配線、検査、動作確認、トラブルシューティング等の作業を行います。
また、使用する部品や材料の管理や記録の作成も重要な業務です。これらの作業を通じて、高品質な製品の生産に貢献します。
13.電気機器組立て
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で電気機器の組立てや、それに伴う電気系やメカニズム系の調整や検査を行う作業に従事
電気機器組立ての仕事は、指導者の指示を理解して、電気機器の部品を組み立て、配線を行い、動作を確認する作業に従事します。
また、機器の仕様書を理解し、電気系やメカニズム系の調整や検査を行うこともあります。電気機器組立ての業務には、さまざまな機器の組立てが含まれます。
例えば、パソコンやネットワーク機器、産業用機械、電子機器、家電製品などです。また、コンピューターソフトウェアやドキュメントの作成、保守、修理も行うことがあります。電気機器組立ての作業は、高い技術力や正確性が求められるため、正確で綿密な作業が必要です。
14.プリント配線板製造
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で半導体等の電子部品を配列・接続するためのプリント配線板を製造する作業に従事
プリント配線板製造とは、指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で、半導体やその他の電子部品を正確に配列・接続し、機能的なプリント配線板を製造する作業です。
具体的には、基板にパターンを描き、銅箔を薄く削り出して配線を形成したり、印刷技術を用いてパターンを形成したりします。この作業は、高い精度と技術力が求められるものであり、製品の品質に大きく影響します。
15.プラスチック成形
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断でプラスチックへ熱と圧力を加える又は冷却することにより所定の形に成形する作業に従事
「プラスチック成形」とは、指示書に従い、労働者がプラスチックに熱と圧力を加えたり冷却したりすることで、所定の形に成形する作業です。
この作業には、成形機の操作や型の設定、プラスチック原料の投入、成形品の品質検査などが含まれます。プラスチック成形は、様々な製品や部品の製造に用いられています。
また、成形品の用途によっては、色や質感の調整、表面加工、接着剤の使用などが必要となる場合があります。
16.塗装
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で塗料を用いて被塗装物を塗膜で覆う作業に従事
塗装は、指導者からの指示を理解し、労働者自身の判断で、塗料を使って被塗物に塗膜を形成する作業です。
塗料を塗る前に、被塗物の表面を適切に下処理することもあります。また、塗料の種類や塗布方法によって、塗膜の質や外観が変わります。
塗装の目的は、外観の美しさや耐久性、防錆、保護などさまざまであり、素材や用途に応じて塗装の種類や条件を選択する必要があります。また、塗装作業は、塗料の扱いや健康・安全面にも配慮する必要があります。
17.溶接
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で熱又は圧力若しくはその両者を加え部材を接合する作業に従事
溶接とは、金属部品を加熱して溶かし、一定の圧力を加えて接合する方法である。労働者は指導者からの指示を理解し、加熱方法や圧力の調整などを自身の判断で行い、部材を接合する作業に従事する。
溶接方法には、アーク溶接、ガス溶接、レーザー溶接などがある。溶接は、自動車や建築物など、さまざまな産業分野で広く利用されている。
18.工業包装
指導者の指示を理解し、労働者自身の判断で工業製品を輸送用に包装する作業に従事
工業製品を輸送する際に、輸送中に発生する振動や衝撃から製品を保護するための包装を行う作業を工業包装と呼びます。
労働者は指導者の指示を理解し、製品の特性や目的に合わせて適切な包装材料を選定し、加工や組立てを行い、製品を包装します。
また、梱包物の重量や形状、輸送方法に応じて、梱包箱のサイズや形状を決定することも重要です。作業中は、安全な梱包のために包装材料の扱い方や梱包方法、適切な保護具の着用などに気を配ります。さらに、輸送先や関連する法規制に応じたラベルの貼付や必要書類の作成なども行います。
製造業「素形材産業」と異なる業務は、⑥鉄工、12電子機器組み立て、⑬電気機器組立て、⑭プリント配線板製造、⑮プラスチック成形、⑱工業包装が製造業「産業機械製造業」に含まれ、⑧アルミニウム陽極酸化処理が業務に含まれないことです。
素形材産業の詳細や、特定技能「素形材産業」について知りたい方はこちらもご覧ください。
また、上記に当てはまる業務に従事する日本人が普段従事する関連業務に、外国人労働者が付随的に従事することが可能です。
例えば、関連業務として、以下のものが予想されます。
・原材料や部品の調達・搬送作業
・各職種の前後における工程作業
・クレーンやフォークリフトなどの運転作業
・清掃や保守管理作業
産業機械製造業の業務の1つである鋳造で例を挙げると、加工品の切削、ばり取り、検査業務、型の保守管理等に従事することができます。
雇用形態は?
直接雇用のみ可能です。
派遣は認められていません。
外国人が特定技能「産業機械製造業」を取得するには?
では特定技能1号「産業機械製造業」を取得するにはどうすればいいのでしょうか?
通常、在留資格「特定技能」を取得するには、2つの方法があります。
1つは、技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで在留資格「特定技能」を取得する方法です。
もう1つは、技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する方法です。
ではそれぞれの方法について詳しく説明します。
特定技能「産業機械製造業」の取得方法|①「特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する
特定技能評価試験について
まず、特定技能1号「産業機械製造業」を取得する手段の1つ目として、「特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する方法があります。
特定技能評価試験は、特定技能全14業種それぞれ異なる試験となっており、特定技能「産業機械製造業」では経済産業省の定める「製造分野特定技能1号評価試験」を受けなければいけません。
特定技能14業種それぞれの試験について知りたい方は、こちらをご覧ください。
【254 番の記事が挿入されます】
「製造分野特定技能1号評価試験」について
製造分野特定技能1号評価試験は、外国人が来日する前に素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業の3つの分野における技能や知識を確認・評価するための試験です。
製造分野特定技能1号評価試験は、2019年4月に在留資格「特定技能」が施行されてから、経済産業省が選定した機関が実施している試験です。
製造分野特定技能1号評価試験は、経済産業省が指定する19の業務区分毎に試験があります
19の業務区分は以下の通りです。
鋳造、鍛造、ダイカスト、機 械加工、金属プレス加工、鉄工、工場板金、めっき、アルミニウム陽極酸化処 理、仕上げ、機械検査、機械保全、電子機器組立て、電気機器組立て、プリン ト配線板製造、プラスチック成形、塗装、溶接、工業包装
産業機械製造業における「製造分野特定技能1号評価試験」の試験科目
上記でも述べたように、製造分野特定技能1号評価試験は全部で19業種の試験があります。
産業機械製造業では、その中の18業務で試験が実施されます。
産業機械製造業の18業務は以下のとおりです。
①鋳造
②鍛造
③ダイカスト
④機械加工
⑤金属プレス加工
⑥鉄工
⑦工場板金
⑧めっき
⑨仕上げ
⑩機械検査
⑪ 機械保全
⑫電子機器組立て
⑬電気機器組立て
⑭プリント配線板製造
⑮プラスチック成形
⑯塗装
⑰溶接
⑱工業包装
産業機械製造業における「製造分野特定技能1号評価試験」では、学科試験と実技試験があります。
学科試験は100満点のうち65点以上で合格とし、実技試験では100点満点で60点以上が合格基準となります。
レベルは技能検定3級と同じくらいです。技能検定3級は、技能実習2号修了に相当します。
また、特定技能「産業機械製造業」を取得する際に、国内で受験する場合と国外で受験する場合の2種類の受験方法があります。
日本国内で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。
①在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること
②退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持すること
日本国外で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。
①試験日において満17歳以上であること
※詳細は経済産業省の「製造分野特定技能1号評価試験実施要領」をご覧下さい。
産業機械製造業分野における特定技能の在留資格に係る制度の運用に関する方針
日本語試験について
次にもう一つ、日本語試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。
この試験では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験するものです。
特定技能「産業機械製造業」の取得方法|②技能実習2号から特定技能「産業機械製造業」へ移行する
特定技能「産業機械製造業」を取得する2つ目の方法として、技能実習2号を修了して無試験で在留資格「特定技能」へ移行する方法があります。
技能実習2号を修了した外国人は、試験を受けることなく在留資格「特定技能」へ移行することが可能です。これにより、これまで日本に滞在していた技能実習生は、特定技能を得ることで追加で最長5年日本に滞在できるため、在留期間を伸ばすことができます。
技能実習生に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。
関連記事
技能実習生 no.79
【79 番の記事が挿入されます】
特定技能「産業機械製造業」の外国人を受け入れるために
前章では、外国人労働者が特定技能「産業機械製造業」を取得する方法について詳しく紹介しました。
次に、特定技能「産業機械製造業」資格を持った外国人労働者の雇用(受入れ)を検討している企業の方が、どうすれば特定技能「産業機械製造業」の外国人労働者を受入れることができるか説明します。
特定技能「産業機械製造業」の外国人を受け入れるために、特に以下の2項目に注意する必要があります。
①業務
②協議会への加盟
それぞれ説明します。
特定技能「産業機械製造業」の外国人を受入れるために|①業務
1つ目に、特定技能「産業機械製造業」を取得した外国人労働者が行う作業内容が、産業機械製造業に該当する業務である必要があります。
産業機械製造業の対象業務となる範囲は以下のとおりです。
(出典:経済産業省「製造業における特定技能外国人材の受入れについて」)
また、特定技能「産業機械製造業」を取得した外国人労働者が業務する事業場は、上記の産業内において、直近1年間で「製造品出荷額等」が発生している必要があります。
製造品出荷額等とは、直近1年間の製造品出荷額、加工賃収入額、くず廃物の出荷額およびその他収入額の合計のことで、消費税、酒税、たばこ税、揮発油税及び地方揮発税を含んだ額のことを言います。
詳細は、法務省の「特定の分野に係る特定技能外国人受入れに関する運用要領」をご覧ください。
特定技能「産業機械製造業」の外国人を受入れるために|②協議会への加盟
2つ目の注意点として、経済産業省が組織する「製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会」に加入する必要があります。
製造業特定技能外国人材受入れ協議・連絡会には必ず加入する必要があり、協議・連絡会では、以下の活動を行い、構成員の連携強化や事業者の情報把握などを目的としています。
活動内容
・特定技能「産業機械製造業」の外国人を受け入れる制度の趣旨や優良事例の周知
・ 特定技能所属機関等に対して法令遵守の啓発を行う
・就業構造の変化や経済情勢の変化に関する情報把握及び分析
・ 地域別の人手不足の状況の把握及び分析
・特定技能外国人受入れに必要なその他の情報・課題等の共有・協議
また、出入国在留管理庁へ以下の誓約書の提出が必要になります。
特定技能「産業機械製造業」のまとめ
この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「産業機械製造業」について詳しく紹介しました。
産業機械製造業は、人手不足が今後も深刻化することが予想されます。しかし、技能実習生の受け入れ増加とともに、特定技能「産業機械製造業」の外国人労働者の受け入れが増えていくことで、外国人労働者が増え、人手不足の状況が少しでもよくなればと思います。
0コメント