特定技能「航空」とは?職種から受け入れ方法まで詳しく解説

執筆者 4月 28, 2020ニュースコメント0件

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日本は現在、あらゆる業種で人手不足が深刻化されています。

 

航空も人手不足が深刻な産業の一つであり、2023年には8000人が不足すると予想されています。そんな中日本政府は人手不足の解決策として特定技能「航空」を施行しました。

 

今回dnusでは、特定技能「航空」について職種から取得方法まで徹底解説します。

航空分野の現状について

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(出典)国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)」

 

近年、訪日外国人観光客の増加に伴い、海外から日本に来るために飛行機を利用する人が増えています。しかし、2020年に新型コロナウイルスの世界的流行が始まったことにより、航空業界は大きな影響を受けています。国際線旅行客及び飛行機の着陸回数も激減し、航空産業の需要は一時的に落ち込みました。

また、LCC(Low Cost Carrier:格安航空会社)の普及により、平成25年から平成30年の5年間で国際線旅行客及び飛行機の着陸回数はそれぞれ約1.6倍、約1.5倍に増加しましたが、コロナ禍によりこの増加傾向は一時的にストップしました。政府は2030年に訪日外国人観光客を6,000万人まで増加させることを目標としていますが、現在は感染対策の影響で外国人観光客数が減少しているため、航空産業にとって今後の見通しは不透明です。

有効求人倍率

厚生労働省によると、平成29年度の航空に関連する職業分類における有効求人倍率は、4.97倍(陸上荷役・運搬作業員など)となっています。また、平成28年度の雇用動向調査では職業別の欠員率は運輸業・郵便業が3.4倍となっています。

 

全業種の有効求人倍率が1.54倍なので、全業種の有効求人倍率と比較しても大きく上回る結果となっています。

 

日本政府は、航空の人手不足の解消に向けて、生産性の向上や国内人材の確保に取り組んできました。

 

そのための施策として、作業効率向上に向けたIT技術や新型機器の導入や、シミュレーションーによる支援車両操作訓練の導入、さらに新型航空機の導入による作業工数の削減などを行ってきました。

 

しかし、航空専門学校への入学者数の定員割れが常態化していたり整備士が高齢化等で多く退職していたりなど、人手不足が完全に解消されるのはますます難しい状況となっています。

 

国土交通省によると航空における人手不足の見込み数は、2023年までに8000人となっています。

 

特定技能1号「航空」について

 

そもそも特定技能とは?

 

そもそも特定技能とは何でしょうか?

 

特定技能は一言で言うと、「一定の知識や経験を持った即戦力となる外国人が持つ在留資格」のことです。

 

dnusでは特定技能に関する情報をひとつひとつ分かりやすく解説しています。

 

合わせてこちらの記事をご覧下さい。

 

【253 番の記事が挿入されます】

特定技能は全部で14業種あり、特定技能1号と特定技能2号の2つに区分されます。

 

14業種ある特定技能のうち、特定技能2号に指定されている業種は現在(2020年4月20日時点)で建築業造船・船用工業の2業種です。特定技能「航空」は現時点ではその特定技能2号の2業種の1つに指定されていません。

特定技能「航空」の受入れ見込数

特定技能「航空」分野において、2023年までの受入れ見込数は最大2,200人とされています。

 

特定技能「航空」を取得した外国人を受け入れると共に、毎年約1%の生産性向上と、国内人材の確保による労働効率化(2023年までに2,500人程度)、また国内人材を2023年までに約3,500人~4,000人確保しても、なお不足すると見込まれています。

特定技能「航空」の対象となる業務は?

0次に、特定技能「航空」で行われる業務について説明します。

 

特定技能「航空」の対象となる業務は、「空港グランドハンドリング業務」と「航空機整備業務」の2種類があります。

 

それぞれ解説します。

空港グランドハンドリング業務

 

航空分野において、外国人材が従事する業務の1つに「空港グランドハンドリング業務」があります。現在、航空産業におけるグローバル化の進展に伴い、日本でも外国人材の需要が高まっています。そこで、外国人材の受入れ枠組みの1つである特定技能「航空」において、グランドハンドリング業務に従事する外国人材の需要が高まっています。

空港グランドハンドリング業務では、地上走行支援業務や手荷物・貨物取扱業務などを行います。この業務は、航空機の安全運航に不可欠な役割を担っています。具体的な業務内容は以下の通りです。

0(出典)国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)」

1.航空機地上走行支援

航空機を駐機場へ誘導させたり移動させたりする業務です。この業務は、航空機の駐車場所の確保や、定刻通りの発着を実現するために欠かせません。

2.手荷物・貨物取扱

手荷物・貨物の仕分けを行い、ULDへの積付、取り降ろし、解体などを行います。航空機の貨物を扱うため、正確でスピーディな作業が求められます。

3.手荷物・貨物の搭降載取扱

手荷物・貨物を航空機へ搭降載する業務のことです。航空機が定刻通りに運航されるためには、正確でスピーディな取扱いが必要です。

4.航空機への貨物等の移送

手荷物・貨物を航空機へ移送する業務のことです。スムーズで迅速な作業が求められます。

5.航空機内外の清掃設備業務

航空機の客室内の清掃を行ったり、遺失物などの検索、航空機用品の補充や機体の洗浄を行う業務のことです。

航空機整備業務

航空機整備業務は、特定技能「航空」の外国人材が従事するもう1つの業務です。航空機整備業務では、以下の3つの業務を行います。

0(出典)国土交通省「航空分野における新たな外国人材の受入れ(在留資格「特定技能」)」

1.運航整備

空港に到着した航空機に対して、次のフライトまでに必要な整備を行います。これには、油の補充や消耗品の交換、基本的な点検などが含まれます。運航整備は、短時間で行われることが一般的です。

2.機体整備

機体整備は、航空機の安全性を確保するために行われる、より詳細な整備作業です。機体の隅々まで点検し、修理や交換が必要な部分を見つけ、修理を行います。通常、1年から1年半ごとに実施されます。

3.装備品・原動機整備

装備品・原動機整備は、航空機から取り外された部品や機器の整備を行います。これには、脚部や動翼、計器類、エンジンなどが含まれます。航空機整備士は、機械や電子機器の修理や調整、部品交換などを行う必要があります。整備の際には、安全性が確保されるように、厳密な手順と規格に従って作業を行います。

また、上記に当てはまる業務に従事する日本人が普段従事する関連業務に、特定技能の外国人労働者は付随的に従事することが可能です。

 

例えば、関連業務として、以下のものが予想されます。 

・事務作業

・作業場所の整理整頓や清掃

・積雪時における作業場所の除雪作業

・保守管理作業

航空で求められる人材は?

航空分野で求められる外国人材の特徴とは何でしょうか?

外国人材には、航空業務において資格保持者等の指導者やチームリーダーの指導・監督の下で、空港内での作業に従事することが求められます。

また、航空機用の特殊な機材や工具を用いて作業を行い、一定の専門性や技能を有することが必要です。これらの知識や技能を持つ外国人材が、航空機整備業務や運航整備、機体整備、装備品・原動機整備などの航空分野で働く外国人材に求められています。

特に、航空分野においては高い安全性が求められるため、適切な知識と技術を持ち、誓約を理解していることが求められます。

 

雇用形態は?

直接雇用のみ可能です。

 

派遣は認められていません。

外国人が特定技能「航空」を取得するには?

では特定技能1号「航空」を取得するにはどうすればいいのでしょうか?

 

通常、在留資格「特定技能」を取得するには、2つの方法があります。

 

1つは、技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで在留資格「特定技能」を取得する方法です。

もう1つは、技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する方法です。

 

ではそれぞれの方法について詳しく説明します。

1.「特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格

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特定技能評価試験について

まず、特定技能1号「航空」を取得する手段の1つ目として、特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する方法があります。

 

特定技能評価試験は、特定技能全14業種それぞれ異なる試験となっており、特定技能「航空」では国土交通省の定める「航空分野技能測定試験」を受けなければいけません。

 

特定技能14業種それぞれの試験について知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

【254 番の記事が挿入されます】

 

「航空分野技能測定試験」について

航空分野技能測定試験は、外国人が就労のため来日する前に、航空分野における技能や知識を確認・評価するための試験です。

 

航空分野技能測定試験は、2019年4月に在留資格「特定技能」が施行されてから、国土交通省が選定した機関である公益社団法人日本航空技術協会が実施している試験です。

 

航空分野技能測定試験は、「空港グランドハンドリング」「航空機整備」の2種類があり、それぞれ空港グランドハンドリング業務と航空機整備業務に関する専門性や技能を持っているか確認します。

 

航空分野における特定技能評価試験は、筆記試験と実技試験があります。学科試験と実技試験では、それぞれ正答率が65%以上で合格となります。

特定技能「航空分野:空港グランドハンドリング」について

それではまず、航空分野における特定技能の「空港グランドハンドリング」の試験の詳細について説明します。

 

「空港グランドハンドリング業務」では、社内資格を有する指導者やチームリーダーの指導や監督のもとで、空港内での航空機の誘導、けん引の補佐、貨物・手荷物の仕分けや荷崩れを起こさない貨物等が適切に行うことができる技能・スキルを持っている必要があります。

 

試験科目については以下のとおりです。

 

筆記試験の試験科目

「空港グランドハンドリング業務」の筆記試験では、次の5つの分野において基礎的な知識を有しているか、また現場において適切な対応をとるために必要な知識を有しているかを測ります。

 

①ランプエリア内での安全・セキュリティー確保

②貨物のハンドリング

③手荷物のハンドリング

④客室内清掃

⑤誘導作業

実技試験の試験科目

「空港グランドハンドリング業務」実技試験では、次の4つの分野における基本技術に関して、実務能力を有しているかを測ります。

 

①ランプエリア内での安全・セキュリティー確保

②貨物のハンドリング

③手荷物のハンドリング

④客室内清掃

特定技能「航空分野:航空機整備」について

次に、航空分野における特定技能の「航空機整備」の試験の詳細について説明します。

 

「航空機整備業務」では、整備の基本技術を有しており、国家資格整備士等の指導・監督のもとで、機体や装備品等の整備業務のうち基礎的な作業(簡単な点検や交換作業等)が適切に行うことができる技能・スキルを持っていることです。

 

試験科目については以下のとおりです。

 

筆記試験の試験科目

「航空機整備」の筆記試験では、次の3つの分野において基礎的な知識を有しているか、また現場において適切な対応をとるために必要な知識を有しているかを測ります。

 

①航空機の基本技術(締結、電気計測)

②作業安全・品質

③航空機概要

実技試験の試験科目 

「航空機整備」実技試験では、次の2つの分野における基本技術に関して、実務能力を有しているかを測ります。

①締結:適切な工具を使用して、ボルト・スクリュー及びナットの結合、回り止めが正確にできること

②電気計測:適切な計測器を使用して、電気計測が正確にできること。

また、特定技能「航空技能測定試験」を取得する際に、国内で受験する場合と国外で受験する場合の2種類の受験方法があります。

 

日本国内で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。

・在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること

・退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持すること

日本国外で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。

 ・試験日において満17歳以上であること

※詳細は公益社団法人日本航空技術協会の「特定技能評価試験(航空分野:航空機整備)

試験案内 」をご覧下さい。

日本語試験について

次にもう一つ、日本語試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。

 

この試験では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験するものです。

2.技能実習2号から特定技能「航空」へ移行

特定技能「航空」を取得する2つ目の方法として、技能実習2号を修了して無試験で在留資格「特定技能」へ移行する方法があります。

 

技能実習2号を修了した外国人は、試験を受けることなく在留資格「特定技能」へ移行することが可能です。これにより、これまで日本に滞在していた技能実習生は、特定技能を得ることで追加で最長5年日本に滞在できるため、在留期間を伸ばすことができます。

 

技能実習生に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。

 

関連記事

【79 番の記事が挿入されます】

特定技能「航空」の外国人を受け入れるために

前章では、外国人労働者が特定技能「航空」を取得する方法について詳しく紹介しました。

 

次に、特定技能「航空」資格を持った外国人労働者の雇用(受入れ)を検討している企業の方が、どうすれば特定技能「航空」の外国人労働者を受入れることができるか説明します。

 

特定技能「航空」の外国人を受け入れるために、以下の点に注意する必要があります。

 

①空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者であること

②航空分野特定技能協議会に入会すること

 

詳しく説明します。

 

①空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業場であること

 まず、特定技能の外国人を受け入れるまでに、受け入れ先の企業は空港管理規則に基づく構内営業承認等を受けた事業者である必要があります。もしくは、航空法に基づく航空機整備等に係る認定事業場を有している事業者でなければいけません。

②航空分野特定技能協議会に入会すること

もう一つ、特定技能「航空」を取得した外国人労働者を雇う際、外国人の受け入れ事業者である特定技能所属機関は、「航空分野特定技能協議会」に入会しなければいけません。

 

「航空分野特定技能協議会」は、2019年4月に特定技能外国人を適切に受入れるために設置されました。

 

航空分野特定技能協議会は、国土交通省、学識者、登録支援機関、航空事業者及び団体、その他の関係者で構成されており、受け入れ事業者は、航空分野特定技能協議会に対して、必要な協力を行う必要があります。

 

航空分野特定技能協議会に関する詳しい情報は、国土交通省ホームページ「航空分野特定技能協議会の開催状況」をご覧ください。

特定技能「航空」のまとめ

0この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「航空」について詳しく紹介しました。

 

航空は、人手不足が今後も深刻化することが予想されます。しかし、技能実習生の受け入れ増加とともに、特定技能「航空」の外国人労働者の受け入れが増えていくことで、外国人労働者が増え、人手不足の状況が少しでもよくなればと思います。

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『特定技能全14業種・職種(法務局・担当省庁)のお問い合わせ先の一覧』

著者 アドミン

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