外国人が日本で就労するには、原則として就労ビザが必要です。
しかし、2020年現在、なんと約30種類以上もの在留資格が存在しています。このビザの種類によって労働条件が大きく変化しているのです。
今回dnusでは、「知らないうちに不法就労者に…」というリスク回避のために、就労ビザの申請から取得までを詳細に解説します。
就労ビザとは?
日本国内で報酬を得る活動をする際には就労ビザが必要です。
必要な在留資格は仕事内容によって様々であり、許可条件にあったものであればきちんと申請を行えば許可が受けられます。しかし、無許可で仕事(報酬が発生する活動)を行ってしまうと不法就労となってしまうケースがあります。
したがって、日本の就労資格制度をきちんと把握した上で、入念に準備をしていくことが必要です。
増え続ける外国人労働者のニーズ
加速し続ける日本の人口減少と少子高齢化の流れを受けて、外国人労働者の需要が高まっています。
(内閣府政策統括官「政策課題分析シリ-ズ 18 企業の外国人雇用に関する分析 ―取組と課題について―」令和元年9月 を元にdnusが作成)
内閣府政策統括が調査したデータによると、同じ調査条件で遡ることができる2008年からのわずか10年で、外国人労働者が就業者全体に占める割合が、0.8%から2.2%へと上昇していることがわかります。
ここから、企業にとって外国人労働者の雇用機会が圧倒的に増えてくる可能性が見て取れますされています。
就労ビザの種類と違い
就労ビザは大きく分けて7つの区分があります。
高度専門ビザ
高度専門ビザは、「高度学術研究活動」、「高度専門・技術活動」、「高度経営・管理活動」の3つに分類されています。
高度学術研究活動 (例:大学教授、教員、調査員など)
高度専門・技術活動 (例:理工系技術者、IT技術者、通訳など)
高度経営・管理活動 (例:会社社長、役員など)
それぞれの特性に応じて、高度専門職ポイント表に基づき「学歴」、「職歴」、「年収」などのポイントの合計値を出します。
ポイントの合計が規定値(70点)に達した場合、以下のような緩和等の優遇措置を多く受けることができます
・在留期限
・審査期間
・配偶者の就労制限や親の帯同
・永住許可申請
就業ビザ
教授 (例:大学教授、助教授、助手など)
芸術 (例:作曲家、作詞家、画家、彫刻家、工芸家、写真家など)
宗教 (例:僧侶、司教、宣教師等の宗教家など)
報道 (例:新聞記者、雑誌記者、編集者、報道カメラマン、アナウンサーなど)
経営・管理 (例:会社社長、役員など)
法律・会計業務 (例:日本の資格を有する弁護士、司法書士、公認会計士、税理士など)
医療 (例:日本の資格を有する医師、歯科医師、薬剤師、看護師など)
研究 (例:研究所等の研究員、調査員など)
教育 (例:小・中・高校の教員など)
技術・人文知識・国際業務 (例:理工系技術者、IT技術者、外国語教師、通訳、コピーライター、デザイナーなど)
企業内転勤 (例:同一企業の日本支店(本店)に転勤する者など)
介護 (例:介護福祉士の資格を有する介護士など)
興行 (例:演奏家、俳優、歌手、ダンサー、スポーツ選手、モデルなど)
技能 (例:外国料理の調理師、調教師、パイロット、スポーツ・トレーナー、ソムリエなど)
特定技能 (特定産業分野に属する相当程度の知識または経験を必要とする技能/熟練した技能を要する産業に従事するもの)
技能実習 (例:海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる)
技能実習生 (例:海外の子会社等から受け入れる技能実習生、監理団体を通じて受け入れる技能実習生)
一般ビザ
文化活動 (例:無報酬のインターンシップ、茶道・華道の研究者など)
留学 (例:日本の大学・短期大学、高等学校、中学校、小学校等への留学生、日本語学校の学生など)
研修 (例:企業・自治体等の研修生、実務作業を伴わない研修)
家族滞在 (例:長期滞在外国人の扶養を受ける配偶者及び子)
特定ビザ
日本人の配偶者等 (例:日本人の配偶者、日本人の実子)
永住者の配偶者 (例:永住者の配偶者)
定住者 (例:日系人、定住インドシナ難民、中国残留邦人の配偶者・子など)
特定活動 (例:外交官等の家事使用人、ワーキングホリデー入国者、報酬を伴うインターンシップ、EPAに基づく看護師、介護福祉士候補者など)
特定活動 (観光・保養を目的とするロングステイ)
起業(スタートアップ)ビザ
起業 (経済産業省の定める告示に沿って地方公共団体から起業支援を受ける起業家)
外交ビザ
外交 (例:外交使節団の構成員、外交伝書使など)
公用ビザ
公用 (例:外交使節団の事務及び技術職員並びに役務職員など)
さらに詳しい情報はこちらの記事も併せてご覧ください。
【80 番の記事が挿入されます】
就労ビザ取得までの流れ
それでは就労ビザ取得までの流れについて詳しく見ていきましょう。
実は就労ビザ取得の流れは二つに分かれています。
1. 外国人を海外から呼び寄せて雇用する場合
2. 既に日本にいる外国人を雇用する場合
今回はこの二つのケースに分けて、取得までの流れを詳細にお伝えしたいと思います。
1 外国人を海外から呼び寄せて雇用する場合
1. 日本への渡航計画を立てる
初めに日本への渡航計画を立てていきます。具体的には、いつ出発するのか?いつまで滞在(就労)するのか?などの日程を決めてから航空券の用意をはじめます。
2. 必要書類を準備する
必要になる書類は申請人の国籍、渡航目的によって異なります。
しかし、共通して必要になものとして以下は最低限揃える必要があります。
・旅券
・査証証明書
・写真
その他種類別で必要な書類に関しては、外務省が発表している【就労や長期滞在を目的とする場合】をご確認ください。
3. 居住地最寄りの日本大使館/総領事館にて審査する
必要に応じて、日本大使館/総領事館から連絡を受け取り、面接や追加書類の提出を行います。
4. 審査終了後、旅券を取りにいく
5. 査証発行
※発行がされた場合は3ヶ月以内に日本へ入国してください。
2 既に日本にいる外国人を雇用する場合
1. 地方入国管理局へ『在留資格認定証明書』の交付を申請
地方入国管理局へ行き、在留資格認定証明書の交付申請を行ってください。この際の不明点は、各地方の入国管理局へ直接問い合わせると詳細に教えてもらえます。
2. 『在留資格認定証明書』を申請人に送付する
3. 居住地最寄りの日本大使館/総領事館にて審査する
必要に応じて、日本大使館/総領事館から連絡を受け取り、面接や追加書類の提出を行います。
4. 審査終了後、旅券を取りにいく
5. 査証発行
※発行がされた場合は3ヶ月以内に日本へ入国してください。
不法労働になってしまうケース
外国人にも日本人と同様に労働基準法や社会保険制度、そして税制が適用されます。しかし、個別の「就労ビザ(在留資格)」で許可された範囲内で活動しなければならないという決まりが存在します。それに違反することを不法労働と言います。
不法労働には2つのパターンがあります。
1. 日本に不法に入国・上陸した、または在留期間を超えて不法に残留したりしたなどして、正規の在留資格を持たない外国人が行う収入を伴う活動
2. 正規の在留資格を持っている外国人でも、与えられた在留資格以外の収入を伴う事業を運営する活動又は報酬を受ける活動
知らなかったでは済まされない、雇う側のリスク
労働していた本人が罪に問われることはもちろんですが、実は雇用した経営者の皆様も「不法就労助長罪」になってしまう恐れがあります。
もし仮に違反してしまった場合は、不法就労助長罪として懲役3年以下または300万円以下の罰金が課せられることになります。
就労ビザに関するトラブル
複雑な就労ビザに関する制度が存在するため、様々なトラブルが発生しています。ここでは具体的な事例を挙げていきますので、これを参考に適切な状況判断をしてください。
Q. 在留カードを無くしてしまった…
A. 在留カードの再交付申請を行いましょう。再交付申請を行えば、原則として即日交付してもらえます。
Q. アルバイトで雇う場合は必要だったの?
A. 無報酬のボランティアで仕事は可能です。また臨時の単発のアルバイトについては、報酬や謝礼といったものを受け取れます。
留学のビザ(在留資格)で入国している学生は、原則アルバイトができません。しかし、資格外活動許可を取得すれば、留学生でもアルバイトが可能になります。
就労ビザ(在留資格)を申請し、日本での就労を許可された外国人であっても、継続的なアルバイトをすることは原則できないことになってます。
Q. 就労ビザを入管に申請したが不許可になってしまった…再申請をして許可を得ることはできるのか?
A. 申請が認められなかった場合でも申請内容を訂正して、再度改めて申請をやりなおすことは可能です。
その際に初めにやることとして、今回の申請がどうして不許可になったのかを把握しましょう。詳しい理由は申請した入国管理局の入国審査官との面談において把握することができます。
就労ビザについてのまとめ
この記事では、就労ビザについて詳しく紹介しました。
外国人労働力のニーズが高まっている現在、実際に採用に至るまでにはわからないことが様々あると思います。
外国人の雇用を考えている方は、是非この記事を参考に就労に必要な書類や資格を確認してみてはいかがでしょうか?
また、ビザの申請は、申請者の国籍や就労内容によって、上記に記載した条件以外にも、細かい条件や手続きが必要になります。
特定のビザの申請・発行について詳しく知りたい方は、法務省または出入国在留管理庁までお問い合わせください。
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