外国人が日本で就労するには、原則として就労ビザが必要です。本業に加えて、就労時間外に副業としてアルバイトなどを検討する外国人労働者も少なくありません。
また、知り合いなどの繋がりで臨時的に仕事が舞い込んでくることもよくあることですよね。
そこで、今回は就労ビザでアルバイト可能な職種について確認していきましょう!
就労ビザ(就労系在留資格)とは
在留資格と就労ビザの関係
外国人が日本に中長期滞在するためには「在留資格」が必要です。在留資格とは、外国人が日本で行う活動の種類に応じて法務大臣から付与される資格で、2025年1月現在、29種類が定められています。
このうち、報酬を得る活動が認められている在留資格を一般的に「就労ビザ」と呼びます。ただし、「就労ビザ」は法律上の正式名称ではなく、就労が認められた在留資格の総称である点に注意が必要です。
就労ビザで働く場合、許可された在留資格の範囲内でのみ就労が認められます。この条件に反して就労した場合、不法就労となり、外国人本人だけでなく雇用主も罰則の対象となります。
就労ビザの種類と区分
就労ビザは、就労できる業務内容によって以下のような種類に分かれています。
・高度専門職(高度専門職1号イ・ロ・ハ、高度専門職2号)
・教授、芸術、宗教、報道
・経営・管理
・法律・会計業務
・医療
・研究
・教育
・技術・人文知識・国際業務
・企業内転勤
・介護
・興行
・技能
・特定技能(1号・2号)
・技能実習(1号・2号・3号)
これらの在留資格では、それぞれ従事できる業務内容が明確に定められています。例えば「技術・人文知識・国際業務」であれば、理工系技術者、IT技術者、通訳、デザイナー、マーケティング業務などが該当します。
また、「永住者」「日本人の配偶者等」「永住者の配偶者等」「定住者」といった身分に基づく在留資格は、就労活動に制限がないため、どのような業種・職種でも自由に働くことができます。
就労ビザ取得者がアルバイトできるケース
就労ビザを持つ外国人がアルバイト(副業)として働けるケースは、主に以下の3つです。
就労ビザの範囲内でアルバイトする場合
現在保有している就労ビザで認められている業務の範囲内であれば、副業としてアルバイトをすることができます。この場合、資格外活動許可を取得する必要はありません。
例えば、「技術・人文知識・国際業務」の在留資格でIT企業のエンジニアとして働いている外国人が、週末に別の会社でプログラマーとして副業する場合は、同じ在留資格の範囲内の業務であるため、問題なくアルバイトが可能です。
同様に、「技能」の在留資格で調理師として働いている方が、休日に別の飲食店で調理のアルバイトをすることも認められます。
ボランティア(無報酬)の活動
報酬を受けない無償のボランティア活動については、在留資格の制限を受けません。就労ビザの種類に関係なく、自由に参加することができます。
単発・臨時の報酬を受ける場合
入管法第19条の3では、以下のような「臨時の報酬」については、資格外活動に該当しないと定められています。
・講演に対する謝金
・日常生活に伴う臨時の活動に対する謝礼
・親族や知人の依頼による臨時的な翻訳、通訳などの報酬
ただし、これらは単発的・臨時的なものに限られます。継続的・反復的に報酬を得る場合は、資格外活動許可が必要となる可能性があるため注意が必要です。
就労ビザ取得者がアルバイトできないケース
就労ビザを持つ外国人がアルバイトできないケースについて解説します。
就労ビザの範囲外の業務に従事する場合
現在保有している就労ビザで認められていない業務にアルバイトとして従事することは、原則として認められません。
例えば、「介護」の在留資格を持つ方が、通訳のアルバイトをすることはできません。通訳は「技術・人文知識・国際業務」の範囲に該当するため、別の在留資格の活動となります。
このような場合にアルバイトを行うには、後述する「資格外活動許可」を取得する必要があります。
単純労働・肉体労働への従事
就労ビザを持つ外国人が以下のような単純労働・肉体労働に従事することは、資格外活動許可を取得しても認められません。
・飲食店でのキッチン・ホール業務
・コンビニエンスストアの店員
・工事現場の作業員
・引越し業者の作業員
・ホテルの清掃・ベッドメイキング
・工場でのライン作業
これらの業務は、就労系の在留資格で認められる「専門的・技術的分野」には該当しないためです。留学生であれば資格外活動許可を取得することで上記の業務に従事できますが、就労ビザ保持者には認められません。
特定技能・技能実習での副業
「特定技能」および「技能実習」の在留資格では、副業やアルバイトは一切認められていません。これらの在留資格は、特定の受入れ機関のもとで定められた業務に専念することが前提となっているためです。
特定技能・技能実習の外国人を副業としてアルバイト雇用した場合、不法就労となりますので、採用時には必ず在留カードで在留資格を確認してください。
資格外活動許可とは
資格外活動許可とは、現在保有している在留資格で認められていない活動について、出入国在留管理庁から特別に許可を受けることで就労可能となる制度です。
資格外活動許可の種類(包括許可と個別許可)
資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。
包括許可は、勤務先や業務内容を特定せず、週28時間以内という条件で幅広い活動が認められる許可です。主に「留学」「家族滞在」の在留資格を持つ方が対象となります。
個別許可は、勤務先の名称・所在地・業務内容などを具体的に指定して許可されるものです。就労ビザを持つ方が在留資格の範囲外でアルバイトをする場合は、この個別許可を申請する必要があります。
就労ビザ保持者の資格外活動許可申請
就労ビザを持つ方が資格外活動許可を申請する場合、以下の要件を満たす必要があります。
・申請する活動が本業の遂行を妨げないこと
・現在の在留資格に係る活動を行っていること
・申請する活動が法別表第一の在留資格に該当すること(特定技能・技能実習を除く)
・法令に違反する活動でないこと
・風俗営業等に従事する活動でないこと
・素行が不良でないこと
・勤務先企業が副業を同意していること
申請先は住居地を管轄する地方出入国在留管理局です。個別許可の場合、アルバイト先が変わるたびに許可を取り直す必要がある点にご注意ください。
https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/16-8.html
資格外活動許可で禁止されている業務
資格外活動許可を取得しても、以下の業務には従事できません。
・風俗営業(キャバレー、スナック、パチンコ店、ゲームセンター、麻雀店など)
・店舗型性風俗特殊営業
・無店舗型性風俗特殊営業
・映像送信型性風俗特殊営業
・電話異性紹介営業
これらの業務は、風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律(風営法)に該当するため、たとえ清掃など直接営業に関わらない業務であっても就労は認められません。
就労ビザでアルバイトする際の注意点
本業への影響がないこと
就労ビザでアルバイトをする大前提として、本業に支障をきたさないことが求められます。副業収入が本業の収入を大幅に上回るような場合、次回の在留資格更新時に「本来の活動を行っていない」と判断され、不許可となるリスクがあります。
また、勤務先企業によっては就業規則で副業を禁止している場合がありますので、アルバイトを始める前に必ず確認しましょう。
退職後のアルバイトについて
就労ビザを持つ外国人が本業を退職した場合でも、在留期限が残っていれば在留資格自体は有効です。ただし、退職後3ヶ月以上、正当な理由なく在留資格に係る活動を行っていない場合は、在留資格取り消しの対象となります。
退職後に就職活動を行いながらアルバイトをしたい場合は、以下の条件を満たすことで資格外活動許可(包括許可)を取得できます。
・就職活動を行う意思があること
・雇用先企業の都合による退職であること
この場合、週28時間以内であれば単純労働を含むアルバイトが可能となります。
在留カードの確認方法
外国人をアルバイトとして雇用する際は、必ず在留カードを確認してください。在留カードには以下の情報が記載されています。
・在留資格の種類
・在留期間(有効期限)
・就労制限の有無
・資格外活動許可の有無(裏面に記載)
在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に「許可:原則週28時間以内・風俗営業等の従事を除く」などの記載があれば、資格外活動許可を取得していることが確認できます。
また、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を使用すると、ICチップに記録された情報を読み取り、在留カードの偽造チェックも可能です。
外国人雇用における在留カードの確認方法については、以下の記事でも詳しく解説しています。
不法就労になった場合のリスク
就労ビザの範囲外でアルバイトを行った場合や、資格外活動許可なく働いた場合は不法就労となります。不法就労は外国人本人だけでなく、雇用した企業にも重大なリスクをもたらします。
外国人本人への罰則
不法就労に該当した場合、当該外国人には以下の罰則が科される可能性があります。
・刑事処分:3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金
・行政処分:在留資格の取り消し、退去強制(強制送還)
退去強制処分を受けた場合、原則として5年間は日本への再入国が認められません。過去に退去強制歴がある場合は10年間の上陸拒否期間が適用されます。
企業への罰則(不法就労助長罪)
外国人を不法就労させた企業には「不法就労助長罪」が適用されます。2025年6月施行の改正入管法により、罰則が大幅に強化されました。
【改正前】3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはこれらの併科
【改正後】5年以下の懲役もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科
重要なポイントとして、不法就労助長罪は「知らなかった」では免責されません。在留カードの確認を怠るなど、過失があった場合も処罰の対象となります。
外国人を雇用する際は、必ず在留カードで在留資格・在留期間・就労制限の有無・資格外活動許可の有無を確認し、適法な雇用であることを確認してください。
不法就労助長罪の詳細については、以下の記事で解説しています。
外国人のアルバイト管理はビザマネで効率化
多数の外国人労働者を雇用している企業にとって、在留資格や在留期限の管理は大きな負担となります。特にアルバイトとして雇用する場合、在留カードの確認や資格外活動許可の有無確認など、煩雑な作業が発生します。
「ビザマネ」は、外国人雇用に必要な在留資格管理を効率化するクラウドサービスです。
・在留カードのICチップ読取による偽造チェック
・就労可否の自動判定
・在留期限アラートによる更新漏れ防止
・資格外活動許可の有無確認
これらの機能により、不法就労リスクを軽減し、適正な外国人雇用管理を実現できます。
外国人雇用でお悩みの企業様は、ぜひビザマネの導入をご検討ください。
まとめ
本記事では、就労ビザを持つ外国人のアルバイトについて解説しました。
就労ビザ保持者がアルバイトできるケースは以下の3つです。
・就労ビザの範囲内での同種業務
・ボランティア(無報酬)の活動
・単発・臨時の報酬を受ける活動
これ以外のアルバイトを行う場合は、資格外活動許可の取得が必要です。ただし、就労ビザ保持者は単純労働への従事が認められないため、コンビニや飲食店のホール業務などは許可されません。
また、「特定技能」「技能実習」の在留資格では副業・アルバイト自体が認められていないため、採用時には必ず在留カードで在留資格を確認してください。
2025年6月からは不法就労助長罪の罰則が強化され、5年以下の懲役または500万円以下の罰金となっています。「知らなかった」では免責されませんので、外国人を雇用する企業は在留カードの確認を徹底し、適正な雇用管理を行うことが重要です。


