日本でも多くの外国人が暮らすようになった今、もはや日本人だけを相手に商売を行うことは難しく、海外での活動を視野に入れた企業活動が必要とされています。そんな時に戦力になってくれるのがグローバル人材です。海外で活躍するということは、英語ができる日本人を雇えばいいと考える経営者がいるかもしれませんが、それだけでは不十分。
活躍するグローバル人材にどのような資質が求められるのか、今回はそのあたりをまとめました。
グローバル人材とはただ英語が喋れる人材のことをいうか?
そもそもグローバル人材とはどのような人材を指すのか、勘違いをしている方が目立ちます。海外で活躍できる人材がグローバル人材だとざっくりと解釈する人がほとんどです。実際、経済産業省や文部科学省がそれぞれで定義するグローバル人材は、微妙に違いがあり、結論として「世界で活躍できる人」になっていきます。
一方、企業側が考えるグローバル人材ですが、海外で活躍できる人、外国人と連携して結果を出せる人などが挙げられます。日本政府としては世界中で活躍できる人をグローバル人材と定義するものの、一般企業では中国や韓国などアジアだけで活躍したとしてもグローバル人材という認識になります。
国に関係なく、どこでも活躍できる人材こそがグローバル人材であり、英語だけできればグローバル人材になれるとは限らないことは明らかです。
英語だけじゃない!グローバル人材に欠かせない4つの要素
英語を知っているだけではグローバル人材にはなれません。では、グローバル人材になるために何が求められるのか、ここでは、4つの要素について解釈します。
1.語学力
英語ができるだけではグローバル人材として不十分ではあるものの、さすがに語学力は必要であり、それなしには成立しません。英語の場合、TOEICのスコアがだいたい700点が最低水準とされています。英語を聴き取り、日本語に訳さずに理解できるギリギリのラインであり、ビジネスで用いる英語も大部分は理解できる状態です。ただ700点でもまだ足りないと言われており、800点以上はいずれマークしたいところです。
英語だけに限らず、あともう1つか2つ、別の言語を習得することも問われます。英語さえできれば世界中で仕事ができますが、プラスアルファで中国語や韓国語、フランス語、スペイン語などを習得していればかなり重宝します。どの分野で働きたいかにもよりますが、英語だけで満足せず、更なる言語習得に励むことができる人がグローバル人材になれます。
2.コミュニケーション能力
就職活動で必ず出てくるのがコミュニケーション能力です。当然、グローバル人材に求められる資質にコミュニケーション能力がありますが、同じ日本人同士のコミュニケーションと、外国人とのコミュニケーションでは難易度がかなり違います。日本人の場合、暗黙の了解などがあって阿吽の呼吸でコミュニケーションが成立するものですが、異文化で何から何まで違う外国人に阿吽の呼吸は成立しません。
グローバル化した社会では、はっきりとした結論が求められ、話し合いの中で結論を出さなければならず、議論=口喧嘩レベルの発想しかない人には厳しいです。論理的に話を組み立て、根拠のある数字などを並べ、感情に訴えかけないやり方でコミュニケーションができるかどうか、そこが大きなポイントであり、グローバル化に慣れていない日本人が最初に苦戦する部分です。
3.チャレンジ精神
グローバル人材を採用する企業が最も優先するものとしてチャレンジ精神があります。この後に紹介する、異文化に対する理解とチャレンジ精神の2つがなければグローバル人材ではないと考える企業が結構多いのが特徴です。
グローバル社会ではオリジナリティとスピードが重要視され、常識にはないことに挑戦することはむしろ当たり前です。多くの日本企業には、失敗だけはしちゃいけないという空気が根強く、常識からかけ離れたチャレンジに難色を示す光景が様々なオフィスで見られます。失敗をしてもそれでくじけず、得るものを得て次に活かす、それこそが重要であり、チャレンジ精神なしには成立しません。
もちろん何度もチャンスがあるわけではなく、ダメなら容赦なく追いやられてしまうのも怖いところですが、チャレンジ精神があることで乗り越えることができ、企業活動を支えます。こちらも日本人が最初に躊躇をする部分と言えます。
4.異文化に対する理解
海外は多様性を重視しており、それをいかに受け入れ、価値観を認めてあげられるかが問われます。一番わかりやすいのが食文化で、こんなにおいしいものをなぜ食べないのか、ありえない!と一刀両断にしては多様性を理解しているとは言い難いです。様々な生き方、考え方があることを知り、決して否定はせず、得られるものは得ていく姿勢が重要です。
特に海外で仕事をする場合、現地の人たちとの交流などがあります。その際に現地の文化などに一切興味を持たず、日本に戻りたいと常に思っていれば、とてもグローバル人材とは言えません。多様性を認め、共に分かち合って成長する、その考えを持てるかどうか。多様性を含め、日本人にはやや欠ける要素であり、同じ価値観を優先し、違う価値観の人を排除する動きがあるため、注意が必要です。
グローバル人材は社内で育てられるか
ここ最近の若者は内向き志向で、海外留学などをしない人が増えていると言われています。ここでポイントになるのが、このような内向き志向な人をグローバル人材に育てるとして、何が必要になるかです。
最初に、グローバル人材になりそうな人を採用する、もしくは選抜することになります。その後、それぞれの能力を見極め、武器になりそうな部分や不足している部分などを洗い出し、それぞれに教育を施します。この計画を立てるには、不足する能力を埋めるには何が一番効率的かを事前に把握し、どれくらいの期間で水準に達するかをあらかじめ確認します。育成中の社員はこれにプラスして一般の業務もこなすことから、細かく目標を設定するなどしてモチベーションを維持する仕組みを設けないといけません。
計画を立てれば、あとはPDCAサイクルに基づいて改善や成長を促進させていきます。ようやく水準に達したと判断された時に、晴れてグローバル人材として送り出します。ここまでのことを社内ですべて行えるかどうかと考えた場合、経営的な体力に余裕があるところでないと厳しいのは明白。
そこに多様性や論理性など、日本人に欠けやすい部分を埋める作業を行うというのは大変です。なぜ多様性が必要なのか、そこから教えなければ理解できないどころか、教えても理解しない社員もいることでしょう。ですので、10人程度をピックアップするのでは不十分で、数十人程度もしくはそれ以上で育成していかないと、誰1人グローバル人材になれないということになっても不思議ではありません。
中小企業で仮にグローバル人材が欲しいとなった場合、社内で育てようというのは非常に厳しいです。なので、オススメは、日本人より外国人を雇用することです。
日本人の中でグローバル人材を育成するなら、留学経験者などダイバーシティとは何かを理解する人を最初から選ぶことをおすすめします。
グローバル人材の活用には高度人材制度の活用が急務
高度な知識や技能を持つ人を高度人材と言います。特に高度外国人材は、世界中で需要があり、国家間での争奪戦が熾烈を極めている状況です。在留資格を取得し、決められた期間で働くというのが基本的なルールですが、永住を視野に入れ長く日本で働いてもらいたいと考えた場合に、そのハードルは結構高く、面倒に感じる外国人もいます。
そんな中で積極的な活用が望まれるのが高度人材制度です。最初から在留期間が5年とされ、配偶者も就労でき、条件が整えば親なども呼び寄せることができ、手続きも優先的に行ってくれる他、永住許可要件も緩和されます。永住許可に必要だった在留期間が場合によっては1年に短縮されるのはかなりのメリットです。
高度人材制度を活用できるかどうかは、事前に決められたポイントが重要で、学歴や職歴、年収、年齢などが問われます。そこで70点をクリアすれば高度人材制度を活用できます。例えば、高度経営・管理分野に当てはまる人材の場合、博士号を取得し、職歴が10年以上の時点で45点がもらえます。あとは、日本語能力試験で優秀な成績を収めるなどの条件をクリアすれば70点は確実。この中には「成長分野における先端的事業に従事する者」、「試験研究費等比率が3%超の中小企業における就労」が含まれるなど、チャレンジ精神あふれる中小企業でも活用は可能です。
ただ残念なことに、日本の企業側はこの制度を活用できていないどころか、あまりその中身を把握していないが見られます。これまで通りの在留資格でいいならそれで問題はないと企業側は考えますが、高度外国人材である当人はむしろこの制度の活用がなされるかどうかをかなり気にします。受け入れる以前に、高度人材制度を活用するかしないかで今後に影響を与える可能性も考えられます。
グローバル人材として高度外国人材を活用することが重要であり、日本人を育て上げるよりも効率的です。だとすれば、高度人材制度を積極的に活用しないと、高度外国人材はこちらを振り向いてくれません。人材は貴重な資源であることを認識しておきましょう。
グローバル人材のまとめ
グローバル化が進む社会において、グローバル人材は、会社に必ず在籍させなければならない存在です。日本人を育てるなら、最初からその資質があるかを見抜くことが求められますが、ノウハウがない企業にそれを見抜く力があるとは言えません。それならば外国人の中でグローバル人材を探す方が効率的であり、高度人材制度を活用できるなら、そちらがプラスです。
英語など求められる語学力は高く、それ以上にコミュニケーション能力やチャレンジ精神、異文化への理解が求められていることを、グローバル人材になろうとする日本人は知るべきであり、企業側は最も感じ取るべきと言えます。グローバル人材を採用する際にはそのあたりをしっかりと考えてアクションを起こしましょう。
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