なぜ日本人は、外国人とのコミュニケーションがうまくいかないのか?
「外国人とのコミュニケーションがうまくいかない・・・」
そう思っている日本人の方はきっと多いのではないかと思います。
特に日本では世界的に最も難しい、かつ習得にかなりの長い年月がかかると言われている日本語という言語を、ネイティブの言語として使っています。
そのため、いざ英語を含めた外国の言語でのコミュニケーションとなると、極端に苦手意識を持っている日本人が多いです。
しかし、本当に言語の違いだけが、コミュニケーションがうまくいかない理由なのでしょうか?
むしろ、外国籍の方とうまくコミュニケーションが取れないのを言語の違いのせいにしているだけなのではないでしょうか?
実はそこに、ユニークな日本の文化があり、外国籍とのコミュニケーションのギャップを生み出しています。
世界的にみてオンリーワンであるこの日本の文化が、アニメやマンガのような世界から賞賛される素晴らしい産物を生み出している一方で、ビジネス上では
「日本人 = 発言が少なく自分の意見を言わないから何を考えているのかわからない!」
なんて思われがちです。そう思われてしまう所以には、日本が作り上げてきた日本文化そのものが、外国籍の方とのコミュニケーションに壁をつくっているのかもしれません。
今回は、「コミュニケーション」という部分にフォーカスを当てて、なぜ日本人は外国人とのコミュニケーションがうまくいかないのかを紐解いていきたいと思います。
完璧な英語が出来ないとコミュニケーションできないと思い込んでいる
昨今のグローバル化社会において、海外進出が盛んになり、日本企業内に外国籍人財が職場に入ってきたりと、急に英語習得を仕事上で求められている方もきっと多いかと思います。
しかし、その英語習得において、なかなか上達出来ずに、モチベーションが上がらない日本人の方が多いように思えます。義務教育から英語を学んでいると言えど、そんな簡単に習得できるようなものではないのも事実です。
ですが、日本人は果たしてどこまで使えたら英語習得がゴールだと思っているのでしょうか?
この質問をすると、おそらく
「ネイティブみたいにペラペラ喋れるくらい!」
「ビジネス上でペラペラ交渉ができるくらい!」
「英語で冗談が言えるくらい!」
なんていう答えが返ってくるでしょう。この曖昧で途方も無いゴール設定が自らモチベーションを下げている大きな要因でしょう。
さて、ここで考えて頂きたいのは、世界のイングリッシュスピーカーの数です。
2017年6月に国連が発表した世界人口の数は、約76億人らしいのですが、そのうちのイングリッシュスピーカーは約15億人と言われています。
世界人口の約20%の人口が、英語が使える計算です。
そして、その世界のイングリッシュスピーカーのうち、ネイティブと言われているイングリッシュスピーカーはなんとたったの約3億9千万人くらいと言われており、世界のイングリッシュスピーカーの約26%にしかすぎないのです。
残りの約11億1千万人は、非ネイティブのイングリッシュスピーカーです。
つまり、世界の約74%のイングリッシュスピーカーは、日本人と同じように第二言語として英語を使っている人口になるわけです。
もっと噛み砕いて表すと、
「世界のほとんどのイングリッシュスピーカーは、完璧な英語を使っていない!」
ということになるわけです。
さらにもっと噛み砕いて表すと、
「世界のほとんどのイングリッシュスピーカーだって、英語を間違えるのである!!」
ということなんです。
にも関わらず、
大半の日本人が完璧な英語を使わないと伝わらないっと思い込んでいる。
間違えることを恐れてアウトプットをしない。
これがコミュニケーションがうまくいかない理由の1つでしょう。
これは日本の文化がそうさせている要因かもしれませんが、高度経済成長期における日本企業の教えは、パーフェクトに仕事ができる人を目指すことだったように思いますし、そのような人財を育てる教育を日本そのものが行ってきたように思えます。
しかし、時代も変わり変化が絶えない現代において、パーフェクトな答えがない世界観において、
間違ってもいいからアクションしてみること、
トライアンドエラーすること
これらに、そもそも日本人が慣れていないのだと思われます。
しかしながら、そもそも世界の外国籍の方が、日本人に対してパーフェクトな英語なんて求めていません。
さらに、彼らは日本人が英語が苦手であることをよく知ってます。間違うことが自然なのです。
大事なことは、完璧な英語ではなく、伝えようとする気持ちであり、単語を並べるだけでも意思の疎通はできてしまうものなのです。そして、語学の習得にゴールは存在せず、一生学びです!
不思議な日本人のノンバーバルコミュニケーション
仕事の場面において、例えば以下のようなやりとりが日常にあるかと思います。
営業担当「・・・・○○△△でして、このご提案がきっと御社の売り上げアップに貢献できると思います。いかがでしょうか?」
クライアント「うーーん、そうですか。。。確かに面白そうなご提案ですが・・・。」
営業担当「是非是非、いかがでしょう?」
クライアント「うーーん、うーーん、うーーーーーん、、、、、、検討します!!」
日本のビジネスのシーンとして、よくある光景かと思いますが、このやり取りをみて、一般的な日本人の方であれば、おそらくここで営業担当の方は、『おそらくこの提案は脈はないな』とネガティブな解釈するでしょう。
しかし、このシーンを外国籍の方であれば、『検討するって仰ってたので可能性大だな』とポジティブに解釈するかと思います。
なぜこんな大きなギャップが日本人と外国籍との間に生まれるのでしょうか?それは、ユニークな日本の文化が大いに関係しているからでしょう。そう、つまり「空気を読む」という日本独特の文化です。これが外国籍の方にとっては意味不明であり、理解不能なわけです。
例えば、北米などの欧米人は個性を重んじる文化であり、自己主張や自分の意見を述べることが大事とされている文化です。
しかし、日本はおもてなしの文化であり、自分の意見よりも周りとの協調性を重んじ、はっきりと自己主張をすることを控えて、場の流れを読んで同調することが大事とされている文化です。
それが故にチームワークや結束力という部分においては世界的に賞賛もされるのですが、国によっては移民で成り立っている国もありますし、色々な人種、バックグラウンドを持った方が1つの国の中で共存しています。
そんな国の中では、空気を読むなんていう概念は存在せず、「言ったことが全て!」であって、むしろお互い違う人種・文化なのであるから「言葉を発しないとお互い何を考えているのかわからないではないか?」となるわけです。
そんな国で育った外国籍の方であれば、クライアントが発した「検討します!」という言葉は、その言葉の通りに「検討してくださるんだな!」と捉えるわけです。
この文化の違いによって生じる解釈の違いが、コミュニケーションの大きなギャップを生み出しているということになります。そして、多くの外国籍の方が日本の「空気を読む」という文化に苦戦を強いられているわけです。
コミュニケーションで見えてくる日本人と外国籍人財との仕事スタイルの違い
こんな上司と部下との仕事上の場面も日常にあるかと思います。
日本人の上司「この○○の企画の提案書作成、一週間後までにやっておいてね!来週プレゼンがあるからね!できそうかな?」
外国籍の部下「わかりました。」
一週間後……
日本人の上司「先週お願いした○○の企画の提案書作成、できたかな?」
外国籍の部下「はい、こちらです!」
日本人の上司「ええええええ?70%しかできてないじゃないか??プレゼンに間に合わないぞ。。。どうするんだ??」
さてさて、なぜこんなコミュニケーションのミスが起きるのでしょうか?ここにも日本人が当たり前だと思っている日本の仕事スタイルの文化と外国籍人財の仕事スタイルの文化の違いが存在するわけです。
日本人の多くは、仕事はパーフェクトの状態で期日までに完成させるものだと思っていますし、そのように日本社会の中で教育もされてきています。
しかし、外国籍の方にとっては、一週間後までにと言われたので一週間後までにやることに集中しており、クオリティの部分は優先順位としては低いのです。(もちろんこれは個人差がありますので、一概にそうとは言えない外国籍の方もおります)
この理由・背景には、日本人はPDCA(割り算の考え方)がお好みであり、外国籍の方はトライアンドエラー(足し算の考え方)がお好みであることが考えられます。
PDCAの感覚で指示を与えた日本人の上司からしたら、トライアンドエラーの感覚で指示を受けた外国籍との間に、ミスコミュニケーションが生まれることは当然のことであり、上司が求めていた成果に至らないのも自然です。
この感覚値を全く知らないで外国籍の方と一緒に仕事をしている日本人の方はかなり多いように感じますし、もしこのような傾向値を事前に知っていたとしたら、マネジメントの仕方は大きく違っていたのではないかと思います。
また、昨今の変化が絶えず急速に時代が進んでいる背景において、日本人のPDCA・パーフェクトな状態を目指す仕事のスタイルが、時代にマッチしなくなってきているのは紛れも無い事実です。
その理由は、Planingしている間に時代が変わってしまうご時世であるということです。
特に新興国や発展が凄まじい国出身の外国籍の方であれば、自国内においてリープフロッグ現象(既存の社会インフラが整備されていない新興国において、新しいサービス等が先進国が歩んできた技術進展を飛び越えて一気に広まること)が生じ、トライアンドエラーで次から次へと新しいものが生み出されていきます。そんな環境で育ってきた外国籍の方にとっては、そもそもPDCAという概念が存在しません。
上記のようなミスコミュニケーションは、どっちが正しい、どっちが正解というものはありませんが、世界的な時代の急速な流れから鑑みると、時代はPDCAではなくトライアンドエラーの方に向かっていると感じます。そう言った意味でも、日本人がトライアンドエラーの仕事の仕方を取り入れるタイミングに差し掛かっていると思います。
日本人はフィードバックというコミュニケーションがお嫌い?
これは私の実体験をお話ししたいと思いますが、私のキャリア上で日本企業で勤めていた際に、上司から仕事の指示を受け、タスクを終え、報告・提出した際に、ほとんど仕事に対するフィードバックを受けたことはありません。
中には「ありがとう!」という言葉すら出てこない上司もいました。褒められたことはまず無いですし、仕事にミスがあった時だけ怒鳴られる、そんな印象しか残っていません。
一方で、海外で仕事をしていた時は、指示された仕事を終えると必ずと言って良いほど上司や先輩などからフィードバックをもらってました。さらに、褒めてくださる部分と「もっとこうしたら良くなるよ!」という改善点も指摘してくださいました。
それと同時に、仕事をしながら
「〇〇が得意なんだね〜!素晴らしいね!そしたら△△の仕事もお任せしても良いかな?君だったらきっとできるよ!」
と自分自身の得意分野やストロングポイントを発見し、個性を思いっきり引き出させてくださったことを今でもはっきりと覚えています。
さて、どちらの方が人はモチベーションが上がるでしょうか?
言うまでもなく、後者の方だと思います。
私の外国籍の友人から良く、「日本人はフィードバックが少な過ぎる」と聞きます。
人はお金のためだけに仕事をしているわけではなく、仕事は人生を豊かにするためのツールでしかありません。気持ちよく仕事をするためのモチベーション作りっという意味では、日本はまだまだ課題が多いように感じますし、このシンプルで即実行可能な「フィードバック」すら現場に足りないように思えます。
まとめ
コミュニケーションという概念を調べると、人間の間で行われる知覚・感情・思考の伝達、そして、人間と人間の間での意思の疎通、心や気持ちの通い合い、互いに理解し合うことなどと出てきます。
そこには日本人も外国籍の方も隔たりはありません。ただ、文化や言語が違うことによる勘違いがミスコミュニケーションを生み出しているだけであり、本質はどんな文化であろうがどんな言語であろうが、相手を理解しようとする気持ちが大事なことにように思えます。
もしかしたら、普段日常で使っている「コミュニケーション」という言葉の本質を、我々は理解していないですし、理解しなくてはならないのかもしれません。
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