外国人採用後の想定外の雇用トラブルを未然に防ぐために知っておくべきこと

執筆者 7月 29, 2019ニュースコメント0件

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外国人社員の採用時や入社後は、予期せぬ想定外のトラブルが起こります。大切なのは先を見越して先手を打っておくことです。今回は私の失敗体験から

「宗教」

「パスポート事情」

「ビザ申請」

「言語の壁」

にまつわる四つのエピソードを紹介します。

宗教を把握すべし

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突然ですが、私の会社にはイスラム教徒の社員が4名います。イスラム教徒は全世界に16億人いると言われており、主な出身国はインドネシア、パキスタン、バングラデシュなど、アジア地域が中心です。一方でヨーロッパにも4千万人以上、中国にも2千万人以上が暮らしており、全世界に広がっているといえます。日本にも10~20万人のイスラム教徒がいるといわれています。

イスラム教の特徴の1つと言えば「豚肉を食べない」ことです。会社からお弁当など食事を提供する際には十分な配慮が必要です。

私の会社では一度うっかり豚丼を出してしまい、イスラム教徒の社員は食事がとれなかったことがありました。申し訳ないことをしてしまったと猛反省しています。現在は、イスラム教徒の社員に別の食事を手配するなどの配慮をしています。豚肉以外の肉についても育てられ方や調理の仕方など、イスラム教の決まりに則ったものでないと食べない場合もあります。

また、「アルコールを摂取しない」という決まりもあるので、会食にいく際は同行する社員も事情を把握してサポートすると良いでしょう。また、料理にアルコールが含まれていることもあるので気を付けましょう。

採用担当者や入社後に外国人社員のメンターとなる社員は、イスラム教についての知識があるとコミュニケーションがスムーズです。

参照:一般社団法人ハラル・ジャパン協会ホームページ

イスラム教の気を付けることリスト

ラマダン(断食月

約1カ月間、日の出から日没まで飲食が禁じられる。時期は、イスラムの暦で9番目の月を指し、一年ごとに11日ほど期間が早まる。水を飲むことも許されない。喫煙や性行為も禁止。対象は心身が健康な成人の男女。

毎年、いつからいつまでがラマダンなのか事前に把握しておくと良いです。ちなみに、私の会社では“ラマダンルール”という規定を設けました。ラマダン中はお昼の休憩時間にも昼食をとれないので、休憩をとらない代わりに出勤を一時間遅らせる、もしくは退勤を一時間早めることができるというフレックス勤務制度です。

参照:朝日新聞デジタル

ヒジャブ

イスラム教の聖典コーランの「美しい部分は人に見せぬように」という趣旨の教えに基づき、公の場で女性が頭髪を隠す布。

頭髪だけでなく、肌を極力見せないために夏でも長袖長ズボンを着ている人もいます。その度合いも出身国や個人により異なるので柔軟に対応しましょう。服装については、既存の会社の決まりを押し付けるのではなく、宗教を理解し優先しましょう。

参照:コトバンク

パスポート事情を把握すべし

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日本人の皆さんは自国のパスポートがいかに強力なものかご存じでしょうか。なんと全世界196か国のうち、190か国への渡航が可能なパスポートなのです。イギリスのコンサルティング会社「ヘンリー&パートナーズ」が国際航空運送協会(IATA)のデータを元に調査し、ビザなしで最も多くの国へ渡航できる国として堂々の一位を獲得しました。

ここからは私の会社で実際にあった失敗談です。

グアムへの社員旅行の際に一緒に行けなかった社員が数名いました。アメリカへの入国に必要なESTA(エスタ、短期の旅行などでアメリカへ入国する際に必須となる「渡航認証」)の申請が下りなかったためです。想定外でした。結局、数名の外国人社員は日本に残ることになってしまいました。

海外展開を見越した採用活動の際に、その人の国籍で展開先の国に駐在できるかあらかじめ確認しておくべきです。せっかく採用しても目的の業務に就いてもらえないなんていう事態になりかねません。

参照

外務省ホームページ

ESTA online centerホームページ

在日外国人労働者数ランキング(パスポートランキング・渡航可能国数)

1位:中国(71位・74か国)

2位:ベトナム(90位・51か国)

3位:フィリピン(75位・66か国)

4位:ブラジル(16位・171か国)

5位:ネパール(101位・40か国)

参照

厚生労働省ホームページ

ESTA online centerホームページ

ビザ申請を見越した採用活動をすべし

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外国人採用を始め無事に内定を出すと、今度はビザ申請が待っています。長期滞在(配偶者、就業、就学等)目的で日本に来る場合には、ビザ申請は必須です。最寄りの地方入国管理局に「在留資格認定証明書」の交付申請をし、所定の手続きを進めていくことになります。

この手続きを進めるにあたり、学歴や職歴を証明する書類が必要になりますが母国から持ってきてもらう(取り寄せてもらう)必要が生じる場合があります。

せっかく内定を出しすぐにでも一緒に働いてほしいのに、書類を集めるのに時間がかかり、予定より入社が遅れてしまったなんていうこともしばしば…。そこで、あらかじめビザ申請までイメージして採用活動をすすめるのがおススメです。私の会社では最長で約3カ月かかってしまったことがありました。面接の時点で必要書類として提示しておくと良いでしょう。

参照

外務省ホームページ

言語の壁を見越して研修を組むべし

私の会社での失敗談です。いつも通りの研修資料を用意して入社後の受け入れ研修をおこなったら、いつもの倍の時間がかかってしまいました。単純に漢字が読めなかったり、日本語の表現が難しかったりしたためです。Google翻訳にコピペして出てきた英語を読んでもらうのを試みましたが、本来のニュアンスが伝わりませんでした。

特に入社後に説明が必要になる就業規則や社則には難しい単語が多いです。その都度「これはどういう意味ですか?」と質問があるので、一つひとつ丁寧に説明することになります。事前に要点を整理し、かみ砕いたシンプルな言葉で説明できるよう準備しておくべきでした。また、日本語を勉強している外国人社員に対しては、彼らにもわかりやすい日本語で説明できるようにしておきましょう。研修担当者のスキルアップにもつながります。

多言語対応しておいたほうがいいものリスト

・就業規則

・社則

・会社のミッションやビジョン、ブランドスローガンなど

・社内の掲示物(掃除当番表、緊急避難経路など)

・グループウェアなどのイントラネット

まとめ

今回は「宗教」、「パスポート事情」、「ビザ申請」、「言語の壁」の四つにまつわるエピソードをご紹介しました。以下に要点をまとめておきます。

【宗教】

・入社してくる社員の宗教について事前に調べておく

・服装、食事、お祈りなどの決まりは優先し、必要があれば制度を整える

【パスポート】

・採用した外国人社員のパスポートで予定の駐在先に渡航できるか事前にチェックしておく

・出張や社員旅行で国外に行く際は渡航できるか事前にチェックしておく

【ビザ申請】

・必要書類は面接時に持参してもらうと採用後のビザ申請がスムーズ

・予期せず申請に時間がかかることがあるので採用活動は余裕をもっておこなう

【言語の壁】

・入社後に不便がないよう、研修資料やイントラネットの多言語対応を進めておく

・研修などはあらかじめ長めに時間をとっておく

外国人社員が入社してくることで制度の整備などの作業が生じますが、異文化の流入で社内の活気は増し、社員も視野が広がります。トラブルが発生しても焦らずおおらかに対応していきましょう。

著者 ビザマネメディア編集部

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