インバウンドとしてのワーキングホリデー制度、つまり日本にワーキングホリデー制度を活用して来られる外国籍の就労にフォーカスを当てたいと思います。
外国人にとっての日本のワーキングホリデービザとは?
外務省のホームページより、
ワーキング・ホリデー制度とは,二国・地域間の取決め等に基づき,各々が,相手国・地域の青少年に対し,休暇目的の入国及び滞在期間中における旅行・滞在資金を補うための付随的な就労を認める制度です。各々の国・地域が,その文化や一般的な生活様式を理解する機会を相手国・地域の青少年に対して提供し,二国・地域間の相互理解を深めることを趣旨とします。
とありますので、外国籍の方が日本にワーホリビザで来られる際にも同様に、日本と外国間の異文化などの相互理解を目的として、滞在期間1年間という期限付きで遊び・休暇・旅行・学業、そして就労をすることができる制度でありビザになります。
2019年4月1日現在においての日本とのワーホリ協定を結んでいる国が、
オーストラリア、ニュージーランド、カナダ、韓国、フランス、ドイツ、英国(イングランド)、アイルランド、デンマーク、台湾、香港、ノルウェー、ポルトガル、ポーランド、スロバキア、オーストリア、ハンガリー、スペイン、アルゼンチン、チリ、アイスランド、チェコ、リトアニア
の23か国になりますので、この23か国ご出身の外国籍の方が、日本へのワーホリビザでの渡航の権限を得ていることになります。
そして、外国籍の方が日本へのワーキングホリデービザを取得するための主な要件は以下の項目になります。
・日本とワーホリ協定を結んでいる国に居住する国民であること
・ワーホリ申請時に年齢が18歳以上30歳以下であること(国により違いあり)
・ワーホリの目的が主として日本で休暇を過ごす意図を有すること
・ワーホリに子又は被扶養者を同伴しないこと
・過去に日本へワーホリビザの取得をしていないこと(生涯、日本へのワーホリビザは一回きりであるということ)
・日本に渡航する上で、有効なパスポートを持っており、帰りの航空券、または航空券を購入するための資金を所持していること
・日本に滞在する当初の期間に生計を維持できる必要な資金を持っていること
・健康であること
外国籍人財の日本のワーキングホリデービザの在留資格に関して
さて、ここからがアウトバウンドのワーホリとインバウンドのワーホリの違いになるのですが、外国籍の方が日本にワーホリビザで来られるということは、日本に1年間在留することになりますので、在留資格を得ることになります。
外国籍の方が日本でのワーキングホリデー制度で取得する在留資格のステータスは「特定活動」になります。
「特定活動」という在留資格ステータスは、「法務大臣が個々の外国人について特に指定する活動」と定義しており、活動内容は、「外交官、企業の経営者などの家事使用人(家政婦など)、卒業後に日本での就職活動を行う留学生、ワーキングホリデー、インターンシップ、アマチュアスポーツ選手、EPA協定に基づく看護師、介護福祉候補生」などになります。
在留期間は、5年、4年、3年、2年、1年、6ヶ月、3ヶ月、または5年を超えない範囲で法務大臣が個々の外国人について決定する期間とされています。
ただし、ワーキングホリデー制度は1年間と定めがありますので、在留期間は1年間の発行です。
外国籍の方がワーキングホリデービザで日本に来ているのかを確認する方法は、
①在留資格のステータスが「特定活動」という記載になっているか?
②パスポートに添付されている指定書に「ワーキングホリデーで来日している」旨の記載があるか?
の2つです。在留資格には「特定活動」と記載があるだけですので、ワーキングホリデービザなのかがこれだけだとわかりません。パスポートに添付されている指定書でその旨を必ず確認することが必要です。
外国籍人財の日本のワーキングホリデービザの就労制限に関して
続いて就労に関しての制限ですが、外務省のホームページには以下のように定めています。
我が国において風俗営業等に従事することはできません。これら業種への従事は、人身取引等の被害を受けた場合を除き、退去強制事由に該当します。また、これら業種へ従事させた者については不法就労助長罪、人身売買罪等に問われることもあります。
(注)風俗営業等とは、「風俗営業等の規制及び業務の適正化等に関する法律」第2条第1項に規定されるもの等を言います。
(注)当該相手国・地域の方には、法務大臣が個々に指定した活動等が記載された「指定書」が旅券に添付されますので、労働制限については当該指定書を確認してください。
つまり、外国籍の日本へのワーキングホリデービザは、風営法関連の就業(ナイトクラブのホスト・ホステス、キャバクラ、パチンコ、性風俗など)を除いて就業が可能ということになりますので、事実上のオープンワークパーミットになります。
在留資格のステータスが「留学」の方の場合は、労働時間制限が週に28時間と定めがありますが、ワーホリビザは特に定めがありませんので、雇用主としても労働時間の制限を気にせずに雇用が可能です。
ですので、実際の実例としては少ないかと思いますがワーキングホリデービザを保持している外国籍人財の正社員雇用も可能です。ただ、一般的にはアルバイト雇用が多いかと思います。
もし、雇用主がワーキングホリデービザで日本に来ている外国籍の方をアルバイトで雇用し、1年間仕事をしてみたのち、雇用を延長したい!正式に正社員雇用で雇いたい!という場合には、在留資格を「特定活動」から例えば「技術・人文知識・国際業務」のようなステータスへの変更が必要になります。その際には入国管理庁への在留資格の申請の手配となりますので、その外国籍の方の学歴・専攻や職歴・実務経験を鑑みて、実際に従事する仕事内容との関連性の有無を確認し、新たなる在留資格を得れる可能性を判断しなくてはなりません。
ワーキングホリデービザで来日している外国籍人財をターゲットにするのは日本企業にとってはチャンスでしかない!
外国籍の方が日本にワーキングホリデービザで渡航を決意し、自国の日本大使館に申請をして、許可がおりて日本に渡航する流れになりますので、彼らの仕事探しは、基本自国にいる間ではなく、日本に来てから自力で探すことになります。日本にワーキングホリデーで来る前に自国にある日本語学校などで、ある程度日本語能力を持った状態で日本に来れば、仕事探しもある程度は可能になるかと思いますが、一方で日本語能力がほとんど無い状態で日本に来る方も多いです。
ですので、彼らの仕事探しはやはり英語や中国語などの自国の言葉が使える仕事だったり、お客様が日本人ではなく外国籍向けの仕事に就く傾向があります。例えば、京都などの観光都市にあるゲストハウスや観光産業、ニセコなどのスキーリゾート、都心部などの飲食業などが彼らの候補となるでしょう。これらの産業で仕事をしたくて職に就く方々は良いのですが、中には生きるために致し方なくこれらの職を選択せざる得ない方々もいます。
ここに、日本企業としてチャンスがあるわけです!
日本へワーキングホリデービザで来る外国籍の方々は、どうしたら日本企業と接点を持てるのか?全く情報がなく、困っているわけですし、日本にワーキングホリデービザで来られる外国籍人財の中には、かなりユニークで即戦力になりそうなバックグラウンドをお持ちの方もいます。日本企業は労働力人口の激減により労働力不足。そして、ワーキングホリデービザの外国籍の方々は、既に就労できるビザを保持しており、オープンワークパーミットである。
これらのギャップが埋まれば、外国籍人財と日本企業と双方にとって良いマッチングになる可能性は十分にあります。特に、彼らは日本に始めて来られる方も多いので、一番最初に留まる場所が日本のすべての印象になります。そう言った意味では、このワーキングホリデービザで来られる外国籍人財が、地方企業や地方創生の起爆剤にある可能性もあるのです。地方で留まった外国籍の方が、地方都市の面白さや人の暖かさに触れ、その土地が大好きになれば、自国に戻って間違いなくその土地のことを宣伝してくれるでしょう。
また、2019年4月より新たな在留資格「特定技能」が施行されたことにより、日本に初めて来た外国籍人財がワーキングホリデービザ(在留資格「特定活動」)で、1年間アルバイトで日本で就労し、その後、在留資格「特定技能」に変更をするという選択も浮上しました。
2019年4月時点における特定技能に定められている特定産業分野は、介護、ビルクリーニング、素形材産業、産業機械製造業、電気・電子情報関連産業、建設、造船・船用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の14分野ですので、特に人手不足と言われている上記の産業において、外国籍人財と日本企業の双方における試用期間的な位置付けで、アルバイトで1年間外国籍人財を雇用し、そのまま戦力になる、かつ外国籍ご本人がその仕事を望むようであれば、2年目以降を在留資格「特定技能」に切り替えるというのも1つの手段かと思います。
「特定技能」の場合は、学歴職歴要件がありませんので、ますます日本へのワーキングホリデービザは、フレキシブルに日本企業と外国籍人財との双方でマッチング度合いを確かめる使い勝手の良い就労ビザになるかと思います。
どうしても外国籍人財の受け入れに対して、一歩踏み切れず躊躇している日本企業も多いかと思います。いきなり正社員で雇用をせずとも、まずはこのワーキングホリデービザで来られる外国籍人財をアルバイトなどの期限付きの雇用を行い、受け入れに慣れてみるというのを実際に試してみるというのはいかがでしょうか?
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