育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク

執筆者 1月 15, 2026在留資格コメント0件

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育成就労とは

育成就労とは、日本の人手不足分野における外国人材の「育成」と「確保」を目的とした新たな在留資格制度です。2024年6月に「外国人の育成就労の適正な実施及び育成就労外国人の保護に関する法律」(育成就労法)が成立し、2027年4月1日に施行されることが正式に決定しています。

この制度は、従来の技能実習制度を発展的に解消し、新たに創設されるものです。育成就労外国人は、原則3年以内の就労を通じて特定技能1号水準の技能を修得することを目指します。在留資格は「育成就労」となり、技能実習制度と異なり、制度の目的が「国際貢献」から「人材確保・人材育成」へと明確に変更されています。

育成就労制度の大きな特徴は、特定技能制度との連続性にあります。3年間の育成就労を経て技能試験と日本語試験に合格すれば、特定技能1号に移行できます。さらに特定技能2号へと進むことで、日本での長期的なキャリア形成が可能となります。

(参考)出入国在留管理庁:育成就労制度(制度全体)

育成就労制度が創設された背景

技能実習制度の課題

技能実習制度は1993年に創設され、「開発途上国への技能移転による国際貢献」を目的としていました。しかし、実態としては日本企業の人手不足を補う労働力として機能しており、制度の目的と実態に大きな乖離が生じていました。

また、技能実習制度においては以下のような課題が長年指摘されてきました。

・制度目的と実態の乖離(国際貢献vs人手不足対策)

・転籍(職場の移動)が原則認められないことによる人権侵害のリスク

・失踪・行方不明者の増加

・悪質な送出機関による高額な手数料徴収

・特定技能制度との接続が不十分

これらの課題を解消するため、政府の有識者会議で検討が重ねられ、技能実習制度を抜本的に見直した育成就労制度の創設が決定されました。

人手不足への対応と特定技能との連続性

育成就労制度は、人手不足が深刻な産業分野における外国人材の育成と確保を正面から目的として掲げています。これにより、制度の目的と実態の整合性が図られることになります。

また、育成就労産業分野は特定産業分野(特定技能の受入れ分野)と原則一致するよう設計されています。これにより、育成就労から特定技能への円滑な移行が可能となり、外国人が日本で長期的に働きながらキャリアアップできる一貫した制度が構築されます。

育成就労制度の主な特徴と仕組み

在留期間と育成就労計画

育成就労の在留期間は原則3年以内です。育成就労外国人を受け入れる際には、外国人ごとに「育成就労計画」を作成し、外国人育成就労機構による認定を受ける必要があります。

育成就労計画には以下の内容が記載されます。

・育成就労の期間(3年以内)

・育成就労の目標(業務内容、修得すべき技能、日本語能力等)

・育成就労の具体的内容

・育成就労外国人の待遇

日本語能力要件

育成就労制度では、日本語能力の向上を制度上の重要要素として位置付け、就労開始前および期間中の学習機会を確保する仕組みが整理されています。主な考え方は次のとおりです。

・就労開始前までに、日本語教育参照枠A1相当以上(日本語能力試験N5等)の試験合格、またはA1相当講習の受講

・育成就労期間中に、A2到達を目標とした日本語講習の受講機会を確保(分野の特性に応じた運用)

・特定技能1号へ移行する際は、日本語教育参照枠A2相当以上(日本語能力試験N4等)の試験合格が求められる整理

日本語要件は、現場の安全確保やコミュニケーション品質の向上だけでなく、育成就労から特定技能への円滑な移行を支える要件として機能します。

転籍(受入れ機関の変更)の条件

技能実習制度では原則として認められなかった「本人意向による転籍」が、育成就労制度では一定の条件下で認められます。これは外国人の労働者としての権利保護を適切に図るための重要な変更点です。

本人意向による転籍の主な要件は次のとおりです。

・同一の受入れ機関での就労期間が、分野ごとに定められた期間(1年〜2年)を超えていること

・技能検定試験3級等または特定技能1号評価試験などの技能試験への合格

・日本語教育参照枠A2相当以上(日本語能力試験N4等)の日本語試験への合格(分野の特性により上乗せされる場合あり)

また、やむを得ない事情がある場合の転籍については、従来よりも要件が明確化され、手続きが柔軟化されます。転籍に際しては、外国人育成就労機構、監理支援機関、ハローワークが職業紹介を支援することになります。

特定技能への移行

育成就労から特定技能1号への移行には、次の要件を満たす必要があります。

・技能検定3級等または特定技能1号評価試験への合格

・日本語能力A2相当以上の試験への合格

育成就労産業分野と特定産業分野が原則として整合するよう設計されるため、育成就労で培った技能を活かして特定技能へ移行しやすい点が制度上の特徴です。

育成就労と技能実習の違い(比較表)

育成就労制度と技能実習制度の主な違いを以下の表にまとめました(2026年1月9日時点の公表資料に基づく整理)。

項目育成就労制度技能実習制度
制度の目的人材育成・人材確保国際貢献(技能移転)
施行時期2027年4月1日制度移行により廃止予定(経過措置あり)
在留期間原則3年以内最長5年(1号〜3号)
対象分野特定産業分野と原則一致(17分野見込み)91職種168作業
日本語要件入国時にA1相当(N5)以上必須要件なし
転籍一定条件下で本人意向による転籍可能原則不可
監理機関監理支援機関(許可制・独立性強化)監理団体
前職要件撤廃あり(一部職種)
特定技能への移行円滑に移行可能(分野が一致)分野によっては移行不可

育成就労の受入れ対象分野

育成就労産業分野は、特定技能制度の「特定産業分野」をベースに、就労を通じて技能を修得させることが相当な分野として整理される予定です。政府資料では、特定技能の既存16分野に加え、リネンサプライ・物流倉庫・資源循環の3分野を追加検討する資料が示されています。育成就労についても、特定技能に分野を揃えるのが原則とされつつ、自動車運送業・航空を除いた分野で整理する案が示されています。最終的な対象分野は、基本方針・分野別運用方針および関係省令等の確定内容で確認してください。

特定技能の特定産業分野の例は以下のとおりです。

・介護

・ビルクリーニング

・工業製品製造業(素形材・産業機械・電気電子情報関連製造業)

・建設

・造船・舶用工業

・自動車整備

・航空

・宿泊

・農業

・漁業

・飲食料品製造業

・外食業

・自動車運送業

・鉄道

・林業

・木材産業

なお、技能実習で受入れ可能だった職種でも、育成就労では対象外となる場合があります。

【重要】不法就労助長罪の厳罰化と企業の法的リスク

育成就労制度の創設・外国人雇用の拡大に伴い、企業側のコンプライアンス強化が求められています。特に不法就労助長罪は、入社時の確認不足や更新漏れなど、実務運用の隙から発生しやすいリスクです。

不法就労助長罪の罰則(現行と引上げ方針)

不法就労助長罪の現行の罰則は「3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)」と整理されています。政府資料では、上限を「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)」へ引き上げる方針が示されていますが、施行日は政令で定める日となるため、最新の施行状況を必ず確認してください。

項目改正前改正後(施行日:政令で定める日)
拘禁刑3年以下5年以下
罰金刑300万円以下500万円以下
併科可能可能

懲役刑と罰金刑の両方が同時に科される可能性があり、企業経営に与える影響は甚大です。ブランドイメージの毀損や取引先からの信頼喪失など、罰則以上の損失が発生するリスクもあります。

「知らなかった」では済まされない過失責任

不法就労助長罪は、故意でなくても成立する可能性があります。入管法では、外国人が不法就労者であることを知らなかったとしても、在留カードの確認を怠るなどの過失があった場合には処罰の対象となり得ると規定されています。

不法就労助長罪が適用される主なケースは以下のとおりです。

・不法滞在者(オーバーステイ等)を就労させた場合

・就労が認められていない在留資格の外国人を働かせた場合

・在留資格で許可された範囲を超えて就労させた場合(資格外活動違反)

・偽造在留カードを持つ外国人を雇用した場合

留学生のアルバイトで週28時間を超えて働かせるケースや、在留期限切れに気づかず雇用を継続するケースなど、意図せず不法就労を助長してしまう事例は少なくありません。

企業が講じるべき対策

不法就労助長罪のリスクを回避するために、企業は以下の対策を講じる必要があります。

・採用時の在留カード確認の徹底(表面・裏面の両方を確認)

・出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」の活用

・ICチップによる偽造チェックの実施

・在留期限の管理と更新時期の把握

・就労可否・就労制限の確認(資格外活動許可の有無、週28時間制限等)

・ハローワークへの届出義務の履行

特に、偽造在留カードの増加が社会問題となっており、目視だけでなくICチップの読み取りによる確認が重要です。外国人労働者の数が多い企業では、管理システムの導入も検討すべきでしょう。

育成就労制度で企業が準備すべきこと

2027年4月の制度施行に向けて、企業が今から準備すべきことを整理します。

・自社の業種が育成就労産業分野に該当するかの確認

・現在受け入れている技能実習生の在留期限と今後の対応方針の整理

・監理支援機関(許可制)に関する要件・手続きの最新情報を確認し、受入体制を整備

・育成就労計画の作成に向けた育成目標・カリキュラムの策定

・日本語教育支援体制の整備

・転籍を見据えた労働環境・待遇の見直し

・外国人雇用管理システムの導入検討

特に、技能実習制度では対象だった職種が育成就労では対象外となる場合、早急に他制度(特定技能等)への切り替えを検討する必要があります。省庁からの最新情報を定期的に確認することが重要です。

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まとめ:育成就労制度で変わる外国人雇用

育成就労制度は、技能実習制度の課題を解消し、外国人材の育成と確保を目的とした新たな制度です。2027年4月1日の施行に向けて、企業は以下のポイントを押さえておく必要があります。

・育成就労は「人材育成・人材確保」を目的とし、技能実習とは制度の位置づけが異なる

・特定技能との連続性により、外国人の長期的なキャリア形成が可能に

・一定条件下での転籍が認められ、外国人の権利保護が強化される

・不法就労助長罪が厳罰化され、企業の法的リスクが増大

・在留カードの適正管理と期限管理がこれまで以上に重要に

外国人雇用を適正に行うためには、在留資格や在留期限の管理を徹底することが不可欠です。特に不法就労助長罪は「知らなかった」では済まされないため、システムを活用した確実な管理体制の構築を検討しましょう。

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著者 ビザマネコラム編集部

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