日本で働く韓国人労働者の最新動向
厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況」の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)によると、日本で働く外国人労働者の総数は約257万人に達し、過去最高を更新しました。韓国人労働者は国籍別で8位に位置し、「技術・人文知識・国際業務」(技人国)の在留資格(いわゆる就労ビザ。外国人が日本で専門的な業務に従事するために必要な法的資格)を持つ高度人材が多い点が特徴です。
背景には韓国国内の厳しい雇用環境があります。2026年2月時点の韓国の若年失業率は7.7%で、就業を望みながら求職を断念した20~30代は73万人を超えるとの統計もあります。大企業と中小企業の年収格差も大きく、優秀な若者が日本企業への就職を選ぶケースが増えています。
韓国人の特徴・文化・兵役制度の基礎知識
韓国は日本以上の学歴社会です。大学入試(修能試験)は国家的行事とされ、幼少期から受験教育が行われています。こうした環境で育った韓国人は計画性と粘り強さを持つ人材が多いとされています。また、自分の意見をはっきりと述べる傾向があり、感情表現も豊かです。
言語面では、韓国語と日本語は語順が同じで文法構造が非常に似ています。歴史的に日本語由来の単語も多く、他の言語圏の人材と比較して日本語の習得が早い傾向にあります。国際交流基金の調査(2021年度)では、韓国の日本語学習者数は約47万人で世界第3位です。
文化面では、韓国は儒教の影響が強く、特に家族や人間関係を大切にする「仁」の精神が重視されます。日本では組織への忠誠(「義」)が重視される傾向と比較すると、家族と仕事の優先順位に違いが現れやすい点は理解しておくべきです。宗教は仏教・キリスト教が中心で、食事や服装への特別な配慮が必要になるケースは比較的少なく、受け入れ企業の負担は軽い傾向にあります。
兵役について、韓国では満18歳以上の男性に兵役義務があります。2026年4月時点の入隊期間は陸軍・海兵隊が18か月、海軍20か月、空軍21か月です。多くは大学在学中に兵役を済ませるため、日本での就職時点では完了しているケースがほとんどですが、採用時に確認しておくと安心です。除隊後も予備軍(8年間・年数回の訓練)や民防衛(満40歳まで・年1回)の義務があり、韓国への一時帰国が必要になる場合があります。
韓国人を採用する3つのメリット
日本語能力が高い人材が多い
韓国は日本語能力試験(JLPT)の最上位N1において、受験者数が2025年12月試験時点で14,349人と、中国に次ぐ上位国です。中学・高校で日本語を第二外国語として学べる環境があり、基礎的な日本語力を持つ人材の層が厚いことが背景にあります。文法構造の類似性から日本語の上達も早く、入社時点で日常会話以上のレベルに達している人材が多いため、言語面での教育コストを抑えやすい利点があります。
日本の企業文化への理解度が高い
韓国と日本は儒教の影響で年長者を敬う文化が共通しており、韓国人は年功序列の仕組みに比較的抵抗感が少ないとされています。地理的・文化的にも近く、日本のポップカルチャーや社会事情に詳しい人も多いため、他国籍の外国人材と比べて入社後の適応がスムーズに進みやすい点はメリットです。
若くて優秀な即戦力を確保しやすい
韓国国内の厳しい就職競争の結果、名門大学を卒業しながら国内の大企業に就職できなかった優秀な人材が日本に流入しています。兵役を終えた男性は精神的なタフさや責任感も備えており、即戦力としての期待ができます。また、英語や中国語など複数言語を扱える人材も多く、グローバル展開を目指す企業にとっては多言語人材としての価値も高いでしょう。
韓国人を採用する際のデメリット・注意点
価値観の違いによるトラブルの可能性
韓国人は正義感が強く、間違っていると感じたことには上司にも率直に意見をぶつける傾向があります。「和を重んじる」日本の職場文化とは摩擦が生じることがあります。ただし、この率直さは改善提案の源泉にもなり得ます。異文化理解の社内研修を事前に実施し、建設的な議論ができる環境を整えることが有効な対策です。
また、韓国では会社への帰属意識よりも個人のキャリアアップを重視する傾向があり、転職への心理的ハードルが低い場合もあります。定着率を高めるには、キャリアパスの明確化やスキルアップ機会の提供が重要です。
家族観・兵役に関する休暇対応
韓国では家族を最優先する文化があり、親の急病時には繁忙期でも帰国を当然と考えます。企業側がこれを認めない対応を取ると、モチベーション低下や離職につながるリスクがあります。
兵役関連では、前述の予備軍・民防衛訓練のための帰国休暇が必要です。国防上の義務であるため企業が制止することはできません。有給休暇とするか特別休暇とするかを就業規則であらかじめ定めておきましょう。なお、在外国民として登録している場合は免除されるケースもあるため、個別に本人へ確認することをお勧めします。
韓国人の採用手続きと在留資格のポイント
韓国人を正社員として雇用する場合、最も一般的な在留資格は「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)です。大学卒業以上の学歴または10年以上の実務経験が原則として必要です。このほか、「特定技能」(とくていぎのう。人手不足が深刻な16分野で即戦力として働くための在留資格、2026年4月時点)や「経営・管理」「高度専門職」なども韓国人が取得可能です。
採用手続きの流れは、韓国から呼び寄せる場合と日本国内にいる韓国人を採用する場合で異なります。韓国から呼び寄せる場合は、企業が「在留資格認定証明書(COE)交付申請」を出入国在留管理官署に提出し、交付されたCOEを本人に送付、本人が在韓日本大使館で査証を取得する流れとなります。日本国内の韓国人を採用する場合は、在留カードで在留資格と期限を確認し、必要に応じて在留資格変更許可申請を行います。いずれの場合もハローワークへの「外国人雇用状況の届出」は法律上の義務です。
「技人国」の申請では、大学での専攻と業務内容の関連性が厳しく審査されます。提出書類は企業規模(カテゴリ1~4)によって異なるため、不安がある場合は入管業務に精通した行政書士への相談を検討してください。
不法就労助長罪の罰則強化と企業のリスク管理
2025年6月の改正入管法施行により、不法就労助長罪(入管法第73条の2)の罰則が大幅に強化されました。従来の「3年以下の懲役または300万円以下の罰金」から「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科あり)」に引き上げられています。
企業が処罰されないためには、以下の対策が不可欠です。
- 採用時に在留カード原本で在留資格と期限を必ず確認する
- 出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」で偽造チェックを行う
- 在留期間の更新期限を管理し、オーバーステイを防止する
外国人を100人以上雇用する企業では管理が煩雑になるため、在留カード管理クラウドサービス「ビザマネ」の活用が有効です。在留カード情報の一元管理や更新期限のアラート通知により、不法就労リスクの低減と業務効率化を支援します。
外国人採用全般の注意点を解説した以下の記事もご参照ください。
外国人採用注意点のまとめ|企業が知るべきリスクと対策を徹底解説
まとめ
韓国人材の採用は、日本語能力の高さ・企業文化への適応力・優秀な即戦力の確保など多くのメリットがある一方、文化や価値観の違い・兵役関連の対応・在留資格の手続きなど、事前に把握しておくべきポイントもあります。2025年6月の入管法改正で不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されたことを踏まえ、在留カードの確認や在留期間の管理はこれまで以上に重要です。韓国人材の特性を正しく理解し、適切な受け入れ体制を整えることで、企業の成長に貢献する人材として長く活躍してもらえるでしょう。


