外国人研修生とは?基本的な定義と制度の概要
「外国人研修生」という言葉を耳にしたことがある方は多いかもしれません。しかし、その正確な定義や制度上の位置づけを理解している方は意外と少ないのではないでしょうか。
外国人研修生とは、開発途上国の人材が日本の企業や公的機関で技能・技術・知識を修得するために来日する外国人のことを指します。日本の技術を学び、帰国後に母国の経済発展に貢献することが制度の目的です。
一般的に「外国人研修生」という言葉は、技能実習生(在留資格「技能実習」を持つ外国人)を含む広い意味で使われることが多くなっています。2026年3月時点で参照できる最新の厚生労働省統計(令和7年10月末時点)によると、日本で働く外国人労働者数は2,571,037人で、そのうち在留資格「技能実習」の外国人は499,394人です。
在留資格「研修」の位置づけ
日本の入管法上、「研修」は29種類ある在留資格のひとつです。在留資格「研修」は、日本の公私の機関に受け入れられて技能等を修得する活動を行う外国人に付与されます。
在留資格「研修」の大きな特徴は、雇用契約を結ばない点にあります。研修生は労働者ではなく、あくまで「学ぶ立場」として日本に滞在します。そのため、賃金ではなく「研修手当」として生活費相当額が支給されます。在留期間は1年、6月または3月です。
また、一般企業が実務を伴う研修(実務研修)を行いたい場合は、在留資格「研修」ではなく「技能実習」を利用する必要があります。在留資格「研修」で実務研修が認められるのは、国や地方公共団体が関与する場合など限定的なケースに限られます。
外国人研修生と技能実習生の違い
「外国人研修生」と「技能実習生」は混同されがちですが、制度上は明確に異なります。主な違いを以下に整理します。
| 項目 | 在留資格「研修」 | 在留資格「技能実習」 |
| 目的 | 技能・知識の修得 | 技能の修得・習熟・熟達 |
| 雇用契約 | なし | あり |
| 報酬 | 研修手当(生活費相当) | 賃金(最低賃金法適用) |
| 在留期間 | 1年、6月または3月 | 最長5年(1号→2号→3号) |
| 実務研修 | 原則不可(公的機関等のみ) | 可能 |
| 労働関係法令 | 原則適用されない | 適用される |
このように、在留資格「研修」は非就労の資格であるのに対し、「技能実習」は雇用契約に基づく就労が認められる在留資格です。現在、日本で外国人を受け入れて実務的な技能を習得させる場合は、技能実習制度が主に利用されています。
なお、2027年4月1日には技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」が施行される予定です。詳しくは後述します。
外国人研修生(技能実習生)が日本に来るまでの流れ
外国人が研修生や技能実習生として日本で働くためには、複数のステップを経る必要があります。ここでは、現在主流である技能実習制度における来日までの流れを解説します。
送り出し機関と監理団体の役割
技能実習制度では、母国の「送り出し機関」と日本の「監理団体」という2つの組織が重要な役割を果たします。
送り出し機関とは、技能実習生を募集・選抜し、日本への派遣手続きを行う母国側の機関です。日本政府は各国政府との間で二国間取決めを結んでおり、認定を受けた送り出し機関のみが技能実習生を日本に送ることができます。
一方、監理団体は日本側で技能実習生の受入れを支援する非営利の団体です。受入企業に対する監査や指導、技能実習生へのサポートを行います。監理団体は外国人技能実習機構(OTIT)の許可を受ける必要があります。
入国から研修開始までのステップ
技能実習生が日本に来るまでの一般的な流れは以下のとおりです。
母国の送り出し機関に応募し、選考を経て候補者として選ばれる
母国で日本語や日本の文化・マナーに関する事前研修を受ける(通常3〜6か月程度)
日本の監理団体を通じて受入企業とのマッチングが行われる
技能実習計画の認定を外国人技能実習機構から受ける
在留資格認定証明書の交付を受け、ビザを取得して来日する
来日後、監理団体による入国後講習(日本語、生活マナー、法令等)を約1か月間受講する
入国後講習の修了後、受入企業での技能実習を開始する
このプロセスには通常6か月〜1年程度の期間がかかります。入国後の講習は、外国人研修センターなどの施設で実施されることもあります。
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外国人が日本で研修・就労するメリット
外国人が日本で研修や就労を行うことには、外国人本人にとっても受入企業にとってもさまざまなメリットがあります。
外国人にとってのメリット
外国人にとっての最大のメリットは、日本の高い技術力を直接学べる点です。製造業をはじめ、建設、介護、農業など幅広い分野で、現場に即した実践的な技能を身につけることができます。
経済的なメリットも大きなポイントです。技能実習生の出身国は、ベトナム、インドネシア、フィリピン、中国などが中心で、これらの国々は日本と比較して物価が低い傾向にあります。2025年10月末時点の外国人労働者数の統計では、ベトナムが約60万人で最も多く、全体の23.6%を占めています。
日本で得た収入から母国の家族に仕送りを行うことで、家族の生活水準の向上にも貢献できます。日本での就労経験は、帰国後のキャリアにおいても大きなアドバンテージとなります。
受入企業にとってのメリット
日本では少子高齢化に伴い、生産年齢人口の減少が続いています。外国人材の受入れは、人手不足の解消に大きく貢献します。
特に製造業、建設業、農業、介護などの分野では慢性的な人材不足が深刻であり、外国人材の受入れは欠かせないものとなっています。
また、外国人を受け入れることで社内の国際化が進み、多様な価値観や発想が生まれるというメリットもあります。将来的に海外展開を考えている企業にとっては、外国人材との協働経験は大きな財産となるでしょう。
技能実習生が直面するデメリットと課題
メリットがある一方で、技能実習生が日本で暮らし、働くうえでは多くの課題も存在します。
言語・文化の壁と孤独
日本で生活するうえで最初の大きな壁となるのが、日本語の問題です。日本語は世界的に見ても習得が難しい言語のひとつとされており、母国で事前研修を受けたとしても、日常会話や業務上のコミュニケーションに苦労するケースは少なくありません。
また、文化や生活習慣の違いもストレスの原因となります。食事、宗教、休日の過ごし方など、あらゆる場面で母国との違いに直面します。
さらに、家族や友人から離れた異国での生活は孤独を伴います。帰国には高額な費用と長い移動時間がかかるため、気軽に帰省することが難しく、精神的な負担が蓄積しやすい環境にあります。
転籍の制限と労働環境の問題
現行の技能実習制度では、原則として受入企業の変更(転籍)が認められていません。技能実習生は来日前に決まった企業でのみ実習を行うことが前提とされているためです。
この制限があることで、仮に受入企業の労働環境に問題があったとしても、日本人のように自由に転職することができません。やむを得ない事情がある場合には転籍が認められますが、その範囲が不明確であったため、問題が長年指摘されてきました。
日本人であれば退職してから再就職先を探すことができますが、技能実習生の場合、受入企業を離れると在留資格を失い、日本に滞在できなくなるリスクがあります。このような構造的な問題が、後述する失踪問題の一因にもなっています。
技能実習生の実態|失踪問題と労働環境
技能実習生をめぐる最大の社会問題のひとつが、失踪問題です。ここでは最新の統計データを交えて実態を解説します。
失踪者数の推移と背景
出入国在留管理庁の統計によると、2024年(令和6年)の技能実習生の失踪者数は6,510人でした。これは過去最多を記録した2023年(令和5年)の9,753人から約33%減少した数字です。
失踪者数の推移を見ると、新型コロナウイルスの影響で一時減少した2020年を除き、長年にわたり増加傾向が続いていました。2024年に減少へ転じた背景としては、受入れ管理の厳格化や送り出し機関への対応強化などが影響した可能性が指摘されています。
国籍別ではベトナム人の失踪が最も多く、全体の半数以上を占めています。また、職種別では建設関係が最多で、全体の約半数に上ります。
なお、出入国在留管理庁の年次公表データによると、2025年1月1日現在の日本の不法残留者数は約7万4,863人で、そのうち技能実習生は約1万1,504人と報告されています。不法残留者に占める技能実習の割合は約15%で、「短期滞在」に次ぐ多さとなっています。
低賃金・賃金未払いの問題
技能実習生が失踪する最大の原因のひとつが、低賃金や賃金未払いの問題です。技能実習生にも日本の労働基準法や最低賃金法が適用されますが、一部の受入企業ではこれらの法令が守られていないケースが報告されています。
具体的には、残業代の未払い、最低賃金以下での雇用、長時間労働の強制といった問題があります。技能実習生は、転籍が困難なため、劣悪な環境から抜け出せないまま追い詰められ、最終的に失踪という手段に出てしまうケースが少なくありません。
また、パワーハラスメントや暴力など、人権侵害に当たる行為も問題視されています。こうした問題は国際社会からも批判を受けており、制度の抜本的な見直しが求められてきました。
送り出し機関への多額の費用負担
技能実習生が日本に来るためには、多額の費用がかかることも大きな問題です。送出機関への費用負担は国や機関によって差があり、出入国在留管理庁の調査では来日前に送出機関へ費用を支払った技能実習生の平均支払額は約52万円という結果が出ています。一方、法令を遵守した送出機関でも25万~60万円程度、悪質なケースでは80万~100万円以上の負担が生じることがあるとされています。渡航費や日本語学校の費用などを含めると、総額はさらに増加します。
母国の物価水準を考えると、この金額は決して小さくありません。多くの技能実習生は借金をして来日資金を工面します。送り出し機関から「日本は物価が高いので、借金はすぐに返済できる」と説明されて来日するものの、実際には低賃金や予想外の出費により、なかなか借金を返済できない状況に陥ることがあります。
この多額の借金が、失踪の大きな要因にもなっています。借金を抱えたまま帰国することが難しいため、在留資格を失っても日本に残り、不法就労に走ってしまうケースが後を絶ちません。
技能実習制度から育成就労制度へ|2027年施行の新制度を解説
上記のような技能実習制度の課題を根本的に解決するため、日本政府は新たな制度「育成就労制度」を創設しました。ここでは新制度の概要と、企業が準備すべきことを解説します。
育成就労制度の目的と特徴
育成就労制度は、2024年6月に改正入管法が成立し、2027年4月1日に施行されることが正式に決定しています。
従来の技能実習制度は「国際貢献としての人材育成」を目的としていましたが、実態は人手不足対策として利用されており、制度の目的と実態に大きな乖離がありました。育成就労制度はこの矛盾を解消し、「人材確保と人材育成」を正面から目的として掲げています。
育成就労制度の主な特徴は以下のとおりです。
目的: 人手不足分野における外国人材の育成と確保
在留期間: 原則3年以内
育成目標: 特定技能1号の水準の人材に育成すること
特定技能制度との連続性: 育成就労から特定技能1号への円滑な移行が可能
日本語要件: 就労開始前に日本語能力A1相当以上(JLPT N5等)の試験合格、またはそれに相当する日本語講習の受講が必要
技能実習制度との主な変更点
育成就労制度と技能実習制度の最も大きな違いは、本人の意向による転籍(職場変更)が一定の条件下で認められるようになる点です。
技能実習制度では原則転籍が認められなかったため、劣悪な労働環境からの離脱が困難でした。育成就労制度では、同一機関での就労が分野ごとに定められた期間(1年〜2年)を超えている場合、技能試験や日本語試験への合格などの条件を満たせば、本人の意向で転籍が可能になります。
その他の主な変更点としては、外国人技能実習機構が「外国人育成就労機構」に改組されること、監理団体が「監理支援機関」に名称変更されること、受入企業(育成就労実施者)の要件が見直されることなどがあります。
なお、2026年4月15日から監理支援機関の許可申請、同年9月1日から育成就労計画の認定に関する施行日前申請の受付が開始される予定です。
関連記事: 育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク
企業が今から準備すべきこと
2027年4月の施行まで約1年となった2026年3月現在、受入企業は以下の準備を進めておくことが重要です。
育成就労制度の詳細な要件や手続きに関する最新情報の収集
現在受入中の技能実習生に関する経過措置の確認(施行後も一定期間は技能実習としての在留が認められる)
監理支援機関(現・監理団体)との連携体制の確認
育成就労計画の作成に向けた社内体制の整備
外国人材のキャリアパス(育成就労→特定技能1号→特定技能2号)を見据えた人材戦略の策定
外国人材の受入企業が注意すべきポイント
外国人を雇用する企業にとって、法令遵守(コンプライアンス)は最も重要な課題のひとつです。ここでは、特に注意すべきリスクについて解説します。
不法就労助長罪のリスク
不法就労助長罪とは、事業主が不法就労にあたる外国人を雇用した場合に問われる罪です。現行法上、不法就労助長罪の罰則は3年以下の拘禁刑または300万円以下の罰金(併科可)です。
これに対し、改正法では5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金(併科可)への引上げが予定されています。施行日は政令で定めることとされているため、最新の情報を確認する必要があります。
「知らなかった」では済まされないのがこの罪の特徴です。在留資格の確認不足や在留期限の管理漏れから不法就労が発生するケースも少なくないため、採用時および雇用中の継続的な管理が不可欠です。
在留カード管理と期限管理の重要性
外国人を雇用する企業は、雇入れ時に在留カードを確認し、就労可否を判断する必要があります。在留カードには、在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。
しかし近年、偽造在留カードが増加しており、目視だけでは真偽の判別が困難なケースが増えています。出入国在留管理庁が提供する「在留カード読み取りアプリ」を活用し、ICチップの有無やデータの整合性を確認することが推奨されています。
また、在留期限の管理は極めて重要です。在留期限が切れた状態で就労させると不法就労に該当し、企業も不法就労助長罪に問われる可能性があります。外国人従業員が多い企業では、手動管理ではなくシステムを活用した一元管理が有効です。
ビザマネでは、在留カードのICチップ読取による偽造チェック、就労可否の自動判定、在留期限の自動アラート通知など、外国人雇用管理に必要な機能をワンストップで提供しています。専門知識がなくても簡単に操作できるため、人事・総務担当者の負担を大幅に軽減できます。
まとめ
外国人研修生とは、日本の技能を習得するために来日する外国人のことで、在留資格「研修」や「技能実習」によって制度が運用されてきました。技能実習制度は1993年の開始以来、建前上は国際貢献としての技能移転を目的としていましたが、実態としては人手不足分野で広く活用されてきた一方、失踪問題や労働環境の課題が長年にわたり指摘されてきました。
2024年の技能実習生の失踪者数は6,510人と前年から大幅に減少したものの、依然として深刻な数字です。低賃金、賃金未払い、転籍制限といった構造的な問題が背景にあります。
こうした課題を解決するため、2027年4月1日に新たな「育成就労制度」が施行されます。育成就労制度では、転籍の柔軟化や特定技能制度との連続性の確保など、外国人材の権利保護と人材確保・育成の両立が図られています。
外国人を雇用する企業にとっては、制度変更への対応に加え、在留カード管理の徹底や不法就労防止対策がこれまで以上に重要となります。ビザマネのような外国人雇用管理システムを活用し、コンプライアンスを確保しつつ、外国人材との共生を進めていきましょう。


