在留カードには、名前や住所、就業内容、滞在期限などが書かれているのですが、住所変更があった場合は、何をどのようにすればいいのでしょうか。手続きの方法や手続きをするべき場所をご紹介します。
在留カードの住所変更で企業が押さえるべき基本ルール
住所変更の届出期限は14日以内
中長期在留者が住居地を変更した場合、新住居地に移転した日から14日以内に、新住居地の市区町村で出入国在留管理庁長官に対する住居地の届出を行う必要があります。これは出入国管理及び難民認定法(入管法)第19条の9第1項に基づく義務です。
新規に入国して住居地を定めた場合も同様に、住居地を定めた日から14日以内に届け出る必要があります。14日という期限は、入管法と住民基本台帳法のいずれにおいても共通しています。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00023.html) 2026年4月確認
届出義務者と代理人の範囲
住所変更の届出は原則として届出人本人が行いますが、16歳未満である場合や、疾病その他の事由により本人が自ら出頭できない場合には、同居する16歳以上の親族などが代理で届け出ることができます。
具体的には、出入国在留管理庁が示す届出義務者は以下のとおりです。
・届出人本人(16歳未満を除く)
・届出人本人が16歳未満、または疾病等で出頭できない場合、同居する16歳以上の親族
・届出人本人の依頼による同居の16歳以上の親族
・上記の者から依頼を受けた者、または届出人の法定代理人
疾病を理由とする代理届出では診断書等の疎明資料、依頼による代理届出では委任状が求められます。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00023.html) 2026年4月確認
届出先と手数料
住居地に関する届出は、新住居地の市区町村の窓口で行います。地方出入国在留管理局では住居地の届出を受け付けていない点に注意が必要です。手数料は無料です。
在留カードを市区町村の窓口に持参して、住民基本台帳法に基づく転入届・転居届・国外転入届を行った場合には、入管法上の住居地の変更届出を行ったものとみなされます。つまり、住民票の手続きと一体で処理される仕組みです。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00023.html) 2026年4月確認
ケース別:在留カード住所変更の手続き方法
住所のみを変更する場合(市区町村で完結するケース)
在留資格や就労内容に変更がなく、住所だけが変わる場合は、新住居地の市区町村の窓口で手続きを行います。用意するものは以下のとおりです。
・在留カード
・前住所地の市区町村が発行した転出証明書(他市区町村から転入する場合)
・本人確認書類(パスポート等)
・国民健康保険証(加入している場合)
窓口で転入届または転居届を提出すると、在留カードの裏面に新住居地が記載されます。公式には、在留カードを市区町村の窓口に持参して転入届・転居届等を行った場合に住居地の変更届出を行ったものとみなされる、とされています。このみなし規定が働くのは在留カードを持参した場合であるため、持参漏れがあった場合の取扱いについては、自治体窓口で確認するよう従業員に案内することが重要です。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(中長期在留者)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00023.html) 2026年4月確認
在留資格の変更や更新に伴って住所も変わる場合
在留資格変更許可・在留期間更新許可・在留資格取得許可などを受けて新たに中長期在留者となった場合は、住居地を定めた日から14日以内に、新住居地の市区町村で住居地の届出を行います。手続きの流れは住所のみを変更する場合と同様です。
なお、対象となる在留資格で勤務先(所属機関)が変わった場合は、住居地の届出とは別に、所属機関等に関する届出を変更が生じた日から14日以内に地方出入国在留管理局に行う必要があります。「技術・人文知識・国際業務」「留学」など所属機関の存在が在留資格の基礎となっている在留資格が対象で、「日本人の配偶者等」など身分・地位に基づく在留資格では所属機関の変更届出は不要です。対象の有無は在留資格ごとに異なるため、公式案内で確認してください。
出典:出入国在留管理庁「所属機関等に関する届出」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00014.html) 2026年4月確認
特別永住者が住所を変更する場合
特別永住者は中長期在留者とは異なる法的地位ですが、住所変更の基本的な流れは類似しています。新住居地が決まってから14日以内に、新住居地の市区町村窓口で特別永住者証明書を提示して転入届等を行うことで、住居地の届出を行ったものとみなされます。
出典:出入国在留管理庁「住居地の変更届出(特別永住者)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00028.html) 2026年4月確認
市区町村窓口と出入国在留管理局の役割分担
在留カード関係の届出は、市区町村窓口で行うものと地方出入国在留管理局で行うものに分かれています。窓口を間違えると二度手間になるため、実務では最初に整理しておくことが重要です。
市区町村窓口で行う手続きは、住居地に関する届出です。具体的には、新規上陸後に住居地を定めた場合、住居地を変更した場合などが該当します。
地方出入国在留管理局で行う手続きは、住居地以外の在留カード記載事項の変更届出です。氏名、国籍・地域、生年月日、性別に変更があった場合が該当します。この届出は、変更があった日から14日以内に、旅券・在留カード・写真1枚(16歳未満を除く)・変更を証する資料を持参して行います。在留申請オンラインシステムの対象外の手続きとなっているため、具体的な提出方法(窓口・郵送の可否など)は、出入国在留管理庁の最新の公式案内を確認してください。
また、所属機関(勤務先・学校等)に関する届出は地方出入国在留管理局への窓口持参・郵送・電子届出システムのいずれかで行えるとされています。
出典:出入国在留管理庁「住居地以外の在留カード記載事項の変更届出」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/nyuukokukanri10_00009.html) 2026年4月確認
住所変更届出を怠った場合の罰則・リスク
14日以内に届け出なかった場合の罰則
正当な理由なく14日以内に住居地の届出をしなかった場合、入管法により20万円以下の罰金に処せられることがあります。虚偽の届出を行った場合はさらに重く、1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金の対象となります。
出典:出入国在留管理庁「新しい在留管理制度 Q&A」 (https://www.moj.go.jp/isa/publications/faq/newimmiact_4_q-and-a_page3.html) 2026年4月確認
90日を超えると在留資格取消しの対象に
届出遅延のリスクは罰金だけではありません。入管法第22条の4には在留資格取消事由が定められており、住居地の届出に関しては以下のケースが取消対象とされています。
・新規上陸後、正当な理由なく90日以内に住居地の届出をしない場合
・届出済みの住居地から退去した日から、正当な理由なく90日以内に新住居地の届出をしない場合
・虚偽の住居地を届け出た場合
在留資格が取り消されると、原則として30日以内に日本から出国しなければならず、一定期間の上陸拒否措置も科される場合があります。企業にとっては、従業員の就労継続に直結する重大なリスクです。
出典:出入国在留管理庁「在留資格の取消し(入管法第22条の4)」 (https://www.moj.go.jp/isa/applications/procedures/torikeshi_00002.html) 2026年4月確認
在留期間更新・永住許可への影響
住居地の届出を怠った事実は、直ちに在留資格取消しに至らない場合でも、在留期間更新許可申請や永住許可申請の審査上マイナス要素となる可能性があります。永住許可のガイドラインでは「素行が善良であること」が要件とされ、入管法上の義務の遵守状況も考慮されるためです。届出義務の遵守は、長期的な在留の安定に関わる要素といえます。
入院等やむを得ない事情で期限内の届出が難しかった場合は、事情を説明できる書類(診断書等)を準備しておくと、更新審査時の説明がしやすくなると一般的に案内されています。
出典:出入国在留管理庁「永住許可制度の適正化Q&A」 (https://www.moj.go.jp/isa/immigration/faq/kanri_qa_00003.html) 2026年4月確認
住所変更手続き時の実務上の注意点
必要書類と持参物
市区町村窓口で住居地の届出(転入届・転居届等)を行う際に、一般的に求められる持参物は次のとおりです。自治体により追加書類が必要な場合もあるため、事前に確認することが推奨されます。
・在留カード(必ず持参)
・前住所地の市区町村が発行した転出証明書(他市区町村から転入する場合)
・本人確認書類(パスポート、運転免許証等)
・国民健康保険証(加入している場合)
・マイナンバーカードまたは通知カード(ある場合)
市区町村によるルールの違い
住所変更手続きの基本ルールは全国共通ですが、受付窓口の名称、必要書類の細部、受付時間などは市区町村により異なります。特に複数拠点に外国人従業員がいる企業では、拠点ごとに管轄の市区町村窓口を確認しておくことが実務上有効と考えられます。
代理人が手続きする場合のポイント
本人が窓口に出頭できず代理人が手続きする場合は、代理人が在留カード原本を窓口に持参することになります。本人の手元に記録を残すため、事前に在留カードの表裏両面のコピーを取っておくことが一般的に推奨されています。また、依頼による代理届出では委任状の持参が求められます。
【2026年6月14日施行予定】特定在留カード制度と住所変更手続きの変化
2024年成立の出入国管理及び難民認定法等の一部を改正する法律(令和6年法律第59号)により、2026年6月14日から「特定在留カード」制度の運用が開始される予定です。特定在留カードは、在留カードとマイナンバーカードの機能を一体化したカードで、住民基本台帳に記録されている中長期在留者・特別永住者が交付を申請できます。
制度開始後も、住居地の届出は市区町村の窓口、在留に係る申請や在留カードに係る届出は地方出入国在留管理局で行うという原則は維持されます。一方で、特定在留カードを所持している中長期在留者については、地方出入国在留管理局で在留に係る届出を行った後に、別途市区町村窓口でマイナンバーカード情報を更新する手続きが不要になるとされています。
特定在留カードの取得は任意で、従来どおり在留カードとマイナンバーカードを別々に所持する運用も引き続き可能とされています。企業としては、自社の外国人従業員がどちらの運用を選ぶかによって住所変更時の手続きフローが変わり得る点を把握しておく必要があります。
なお、本制度は2026年4月時点では運用開始前の情報であり、詳細な様式や運用は今後変更される可能性があります。実務に適用する段階では、出入国在留管理庁の最新の公表内容を必ず確認してください。
出典:出入国在留管理庁「特定在留カード等交付申請について」 (https://www.moj.go.jp/isa/tokutei.html) 2026年4月確認
企業の人事・総務担当者が知っておくべき在留カード管理のポイント
従業員の住所変更を会社として把握する仕組み
住所変更の届出義務を負うのは在留カード所持者本人ですが、企業側でも、従業員の住所変更を早期に把握する仕組みを整えておくことが、不法就労助長リスクや行政指導リスクの回避につながります。
具体的には、住所変更があった場合に人事部門へ速やかに申告するルールを就業規則や入社時オリエンテーションに盛り込む、在留カードの裏面記載が更新されているかを定期的に確認する、といった運用が考えられます。
届出漏れがもたらす企業側のリスク
外国人従業員の住居地届出漏れが積み重なり、最終的に在留資格取消しに至った場合、企業は予定していた人員配置が突然できなくなるという運用上の打撃を受けます。特に飲食・物流・人材派遣など、多数の外国人従業員を雇用する業界では、一人の取消事例が現場運営全体に影響するリスクを抱えます。
また、在留期間の管理が不十分なまま不法滞在状態の外国人を就労させてしまった場合は、入管法第73条の2に基づく不法就労助長罪の対象となり得ます。住居地届出の管理は、不法就労防止の間接的な防波堤としても位置付けられます。
在留カード管理を効率化する方法
多数の外国人従業員を抱える企業では、在留カード情報や住所変更履歴、在留期限を紙やExcelで管理していると、更新漏れや確認漏れが発生しやすくなります。特に複数拠点・複数派遣先を持つ企業では、拠点長ごとに運用がばらつくことも課題として指摘されています。
こうした課題に対しては、在留カード管理をクラウドで一元化できるサービスの活用が有効です。「ビザマネ」は、在留カードのICチップ読み取りによる偽造チェック、就労可否の自動判定、在留期限のアラート通知、拠点別の管理ダッシュボードなどを備えた外国人就労管理システムです。本社・店舗・派遣元の間でリアルタイムに情報共有できるため、住所変更や在留期限の把握漏れを防ぎながら、人事部門の管理工数を削減できます。
在留カードの届出義務や基本制度については、以下のビザマネメディアの関連記事もあわせてご参照ください。
在留カードとは?在留カードの目的や取得方法とは? – ビザマネ
まとめ
在留カードの住所変更は、新住居地に移ってから14日以内に新住居地の市区町村窓口で届け出ることが、入管法に基づく義務です。正当な理由なく90日以内に届け出ない場合は、20万円以下の罰金だけでなく、在留資格取消しの対象にもなり得ます。
2026年6月14日には特定在留カード制度が始まる予定であり、マイナンバーカードとの一体化により一部の手続きは簡素化される見込みです。制度改正と実務運用は今後も変化するため、出入国在留管理庁の最新情報を定期的に確認することが重要です。
外国人従業員の住所変更を含む在留情報管理を確実に行うためには、クラウド型の在留カード管理システムの導入が有効な選択肢となります。自社の管理体制を見直す際の参考にしてください。


