【2026年最新】技能実習制度の問題とは?現状をご紹介

執筆者 10月 26, 2019ニュースコメント0件

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日本は長年発展途上国への国際協力として、技能実習制度を行っています。日本で母国では得られないような技術や知識を覚えて、母国での発展に活かしてもらおうというものです。

 

しかし、技能実習制度には問題を多く抱えております。それではどのような問題があるのでしょうか。またその問題を解決するにはどのようにすればよいのでしょうか。それぞれを詳しくご説明します。

技能実習制度とは?制度の目的と仕組みを確認

技能実習制度の問題点を理解するためには、まず制度そのものの目的と仕組みを正確に把握しておくことが重要です。ここでは、制度の基本的な内容を整理します。

技能実習制度の目的と概要

技能実習制度とは、開発途上国の外国人を日本の企業で受け入れ、OJT(実務を通じた職業訓練)を通じて技能・技術・知識を習得させ、母国の経済発展に役立ててもらうことを目的とした制度です。正式には「外国人の技能実習の適正な実施及び技能実習生の保護に関する法律」(技能実習法)に基づいて運用されています。

1993年に創設され、在留資格は技能実習1号(1年目)、2号(2〜3年目)、3号(4〜5年目)の3段階に分かれています。各段階への移行には技能検定試験への合格が必要であり、最長5年間の在留が認められます。

技能実習制度の基本的な仕組みについて詳しくは、以下の記事もあわせてご覧ください。

技能実習生の受け入れ方式(企業単独型・団体監理型)

技能実習生の受け入れ方式には「企業単独型」と「団体監理型」の2種類があります。

企業単独型は、日本企業が海外の現地法人や取引先企業の職員を直接受け入れて技能実習を実施する方式です。一方、団体監理型は、事業協同組合や商工会などの非営利の監理団体が技能実習生を受け入れ、傘下の企業で実習を行う方式です。

実態としては、団体監理型が全体の約98%を占めています。中小企業にとっては、監理団体を通じた受け入れが主流となっており、監理団体の質が技能実習の運用に大きく影響する構造になっています。

技能実習制度の現状と在留者数

出入国在留管理庁の統計によると、2024年末時点で在留資格「技能実習」の在留外国人数は456,595人です。2019年に過去最高の約41万人を記録した後、新型コロナウイルスの影響で一時的に減少しましたが、その後は回復し、コロナ前の水準を上回っています。

国籍別ではベトナムが最多を占めています。次いでインドネシア、フィリピン、中国の順です。業種別では、建設業、食品製造業、機械・金属関係、農業などで多くの技能実習生が就労しています。

技能実習制度の主な問題点5つ

技能実習制度をめぐっては、さまざまな問題が社会的に指摘されています。ここでは、特に企業の人事・総務担当者が把握しておくべき代表的な問題点を5つ取り上げます。

低賃金・賃金未払い

技能実習制度において最も頻繁に報告されている問題のひとつが、低賃金や賃金未払いです。技能実習生であっても、日本人と同様に最低賃金法が適用され、同じ企業で同様の業務に従事する日本人と同等以上の報酬を支払う義務があります。

しかし、実際には最低賃金を下回る報酬しか支払われていないケースや、残業代が適正に計算されていないケース、さらには給与から不当な控除が行われているケースも報告されています。厚生労働省が令和6年に実施した監督指導では、技能実習生を使用する事業所11,355件のうち73.2%にあたる8,310件で労働基準関係法令違反が認められました。

長時間労働と過重な業務

低賃金と並んで深刻なのが、長時間労働の問題です。技能実習制度では時間外労働を原則として想定していませんが、やむを得ない事情がある場合には、36協定(さぶろくきょうてい。労働基準法第36条に基づく労使協定)の範囲内で時間外労働が認められています。

ところが、月80時間を超える時間外労働を恒常的に行わせている事業所や、36協定で定めた上限時間を超えた時間外労働をさせているケースが確認されています。長時間労働は技能実習生の健康を損なうだけでなく、失踪や労働災害の原因にもなります。

技能実習生の失踪

技能実習生の失踪は、制度が抱える問題の深刻さを象徴するものです。出入国在留管理庁の統計によると、技能実習生の失踪者数は2024年に6,510人で、2023年の9,753人から減少しました。ただし依然として高い水準であり、制度運用上の課題として認識されています。

失踪の背景には、低賃金や長時間労働に加え、転職の自由がないために劣悪な環境から逃れる手段が限られていることがあります。失踪した技能実習生は不法滞在の状態に陥り、より劣悪な条件での不法就労や犯罪に巻き込まれるリスクが高まります。受け入れ企業にとっても、失踪は実習計画の中断や行政指導の対象となる深刻な問題です。

人権侵害・ハラスメント

技能実習の現場では、暴力や暴言、パスポートの取り上げ、外出制限といった人権侵害事案も報告されています。これらの行為は技能実習法で明確に禁止されており、違反した場合には罰則の対象となります。

また、言語や文化の違いから生じるコミュニケーション上の問題が、ハラスメントにつながるケースもあります。技能実習生は立場上、不当な扱いに対して声を上げにくい状況に置かれやすいため、企業側が積極的に相談しやすい環境を整備することが求められます。

労働災害と安全管理の不備

技能実習生の労働災害も看過できない問題です。安全教育が日本語のみで行われているために内容を十分に理解できなかったり、慣れない作業環境で注意が行き届かなかったりするケースが発生しています。

特に建設業や製造業、農業など、身体的リスクの高い業種で労災事故の報告が多くなっています。安全に関する指導を多言語で実施し、技能実習生が確実に理解できる体制を整えることが重要です。

問題が発生する構造的な原因

上記の問題は、個別の企業の違反行為だけでなく、技能実習制度の構造そのものに起因する部分が少なくありません。ここでは、問題が繰り返される根本的な原因を整理します。

制度の理念と実態の乖離

技能実習制度の最大の構造的問題は、制度の目的と運用実態のあいだに大きなギャップがあることです。法律上は「技能移転による国際貢献」が目的とされていますが、多くの受け入れ企業にとっての実質的な目的は、国内の人手不足を補うための労働力確保です。

この「建前」と「本音」の乖離が、制度運用のあらゆる場面で歪みを生み出しています。国際社会からも、日本の技能実習制度は外国人労働者の権利を十分に保護できていないとの批判を受けてきました。

転職(転籍)の自由が認められない仕組み

技能実習制度では、原則として実習先の変更(転籍)が認められていません。受け入れ企業に問題があっても、技能実習生は自らの意思で他の企業に移ることが事実上困難です。

この制約は、技能実習生を受け入れ企業に対して弱い立場に置く要因となっています。低賃金や長時間労働、ハラスメントがあっても我慢を続けるか、あるいは失踪という手段に訴えるかという選択を迫られる状況が生まれています。

悪質な仲介業者と借金問題

技能実習生が来日するまでの過程で、送出国側の仲介業者(ブローカー)が介在することがあります。高額な手数料や渡航費用を請求され、来日前に多額の借金を抱える技能実習生も少なくありません。

借金の返済が重くのしかかることで、劣悪な労働環境でも辞めることができず、問題がさらに深刻化する悪循環が生じています。日本政府は送出国との二国間取決め(MOC)を通じて仲介手数料の適正化を図っていますが、完全な解消には至っていないのが現状です。

監理団体の監督機能の不十分さ

団体監理型で受け入れを行う場合、監理団体は技能実習生の保護と受け入れ企業への監督指導を担う重要な存在です。しかし、一部の監理団体は形式的な監査にとどまり、実効性のある監督が行われていないケースが指摘されています。

技能実習生が監理団体に労働環境の問題を訴えても、適切に対応されなかった事例も報告されており、監理団体の質のばらつきが制度全体の信頼性を損なう一因となっています。

技能実習生の問題で企業が負うリスク

技能実習制度に関する問題は、技能実習生だけでなく受け入れ企業にも重大なリスクをもたらします。人事・総務担当者は、以下のリスクを正確に理解しておく必要があります。

労働基準関係法令違反と行政処分

技能実習生に対しても、労働基準法、最低賃金法、労働安全衛生法などの労働関係法令がすべて適用されます。これらの法令に違反した場合、労働基準監督署による是正勧告や送検の対象となります。

厚生労働省が公表した令和6年の監督指導結果では、技能実習生を使用する事業所11,355件のうち73.2%にあたる8,310件で法令違反が確認されています。違反の内容としては、安全基準に関する違反(25.0%)が最も多く、次いで割増賃金の不払い(15.6%)、健康診断結果についての医師等からの意見聴取(14.9%)が報告されています。

不法就労助長罪の厳罰化(2025年6月施行)

2025年6月の出入国管理及び難民認定法(入管法)改正により、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。改正後の罰則は「5年以下の拘禁刑(懲役・禁錮)もしくは500万円以下の罰金、またはこれらの併科」となっています。

重要なのは、企業側が「知らなかった」としても、在留カードの確認不足があれば罰則の対象になり得る点です。技能実習生を含む外国人労働者を雇用する際は、在留カードの確認を確実に行い、就労資格を適正に管理することが不可欠です。

不法就労助長罪の詳細と在留カードの確認方法については、以下の記事で解説しています。

技能実習計画の認定取消し

技能実習計画は、外国人技能実習機構(OTIT)の認定を受けて実施されます。認定を受けた計画に沿った運用が行われていない場合や、法令違反が確認された場合には、計画の認定が取り消される可能性があります。

認定が取り消されると、当該企業での技能実習の継続ができなくなるだけでなく、一定期間にわたって新たな技能実習生の受け入れが認められなくなります。企業の事業運営に直接的な影響を与えるため、法令遵守の体制構築は経営上の重要課題です。

外国人技能実習機構の役割や企業との関係について詳しくは、以下の記事をご覧ください。

受け入れ企業が取るべき対策

技能実習制度の問題を未然に防ぎ、技能実習生と企業の双方にとって良好な関係を築くためには、受け入れ企業が主体的に対策を講じることが重要です。ここでは、実務で取り組むべき具体的な対策を4つ紹介します。

適正な労働条件の整備と賃金管理

最も基本的な対策は、技能実習生に対して適正な労働条件を整備し、賃金を正確に管理することです。具体的には、以下の点を確認してください。

・最低賃金は毎年10月に改定されるため、現在の賃金が最新の最低賃金を下回っていないか定期的に確認する

・同一企業で同様の業務を行う日本人と同等以上の報酬を設定する

・時間外労働に対して法定の割増賃金(25%以上)を正確に計算・支払う

・給与明細を技能実習生が理解できる言語で発行する

・36協定の上限時間を遵守し、労働時間を正確に記録する

多言語対応の相談窓口の設置

技能実習生が安心して相談できる環境を整えることは、問題の早期発見と解決につながります。社内に多言語対応の相談窓口を設置するか、外部の相談窓口(外国人技能実習機構の母国語相談など)の情報を周知しておくことが望ましいです。

相談があった場合には迅速に対応し、相談したことを理由に不利益な取り扱いをしないことを明示することで、技能実習生が安心して声を上げられる体制を構築できます。

在留カード・在留期限の適切な管理

技能実習生の在留カードと在留期限の管理は、不法就労を防止するうえで欠かせない業務です。在留期限の更新漏れは、技能実習生本人が不法滞在となるだけでなく、企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

在留カードの偽造が増加している現状を踏まえると、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を活用し、ICチップの情報を確認することが推奨されます。多くの外国人従業員を抱える企業では、在留資格管理システムの導入も有効な手段です。

ビザマネは、在留カードの偽造チェックから在留期限のアラート通知まで、外国人雇用管理をクラウドで一元化できるサービスです。

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日本語教育と安全研修の実施

言語の壁は、業務上のミスや労働災害、コミュニケーション不全の原因となります。技能実習生に対して、業務で必要な日本語を継続的に学べる機会を提供することが重要です。

また、安全研修は多言語の資料や動画を活用し、技能実習生が内容を確実に理解できるよう工夫してください。「わかったつもり」で作業を進めることが事故につながるため、理解度の確認も欠かさずに行いましょう。

技能実習制度の廃止と育成就労制度への移行

技能実習制度が抱えるさまざまな問題を受けて、日本政府は制度の抜本的な見直しに踏み切りました。2024年6月に改正法が成立し、技能実習制度は廃止され、新たに「育成就労制度」が創設されることが正式に決定しています。

育成就労制度の概要(2027年4月施行)

育成就労制度は、2027年4月1日に施行される新たな外国人材受け入れ制度です。従来の技能実習制度が「国際貢献としての技能移転」を目的としていたのに対し、育成就労制度は「人材確保と人材育成」を明確な目的として掲げています。

新制度では、原則3年間の就労を通じて特定技能1号の水準まで人材を育成することを目指します。育成就労から特定技能1号、さらに特定技能2号へとステップアップするキャリアパスが制度として設計されており、外国人材が日本で長期的に活躍できる仕組みとなっています。

育成就労制度の詳しい内容については、以下の記事で解説しています。

技能実習制度との主な変更点

育成就労制度と技能実習制度の主な違いは以下の通りです。

項目技能実習制度育成就労制度
目的国際貢献(技能移転)人材確保と人材育成
在留期間最長5年(1号〜3号)原則3年
転籍(転職)原則不可一定条件で本人意向による転籍が可能
日本語要件なし(制度上)就労開始前にN5相当以上が必要
特定技能への移行2号修了後に移行可能制度として接続(3年後に特定技能1号へ)
監督機関外国人技能実習機構外国人育成就労機構(新設)

【上記表のHTML形式】

<table border=”1″ cellpadding=”5″ cellspacing=”0″><thead><tr><th>項目</th><th>技能実習制度</th><th>育成就労制度</th></tr></thead><tbody><tr><td>目的</td><td>国際貢献(技能移転)</td><td>人材確保と人材育成</td></tr><tr><td>在留期間</td><td>最長5年(1号〜3号)</td><td>原則3年</td></tr><tr><td>転籍(転職)</td><td>原則不可</td><td>一定条件で本人意向による転籍が可能</td></tr><tr><td>日本語要件</td><td>なし(制度上)</td><td>就労開始前にN5相当以上が必要</td></tr><tr><td>特定技能への移行</td><td>2号修了後に移行可能</td><td>制度として接続(3年後に特定技能1号へ)</td></tr><tr><td>監督機関</td><td>外国人技能実習機構</td><td>外国人育成就労機構(新設)</td></tr></tbody></table>

特に大きな変更点は、転籍の自由が一定条件のもとで認められるようになることです。本人意向による転籍は、分野ごとに定められる転籍制限期間の経過や、一定の技能試験・日本語能力試験への合格などを条件に認められる方向です。

企業が今から準備すべきこと

育成就労制度の施行は2027年4月です。2027年4月1日の施行時点で技能実習中の外国人には、一定の経過措置が設けられています。企業としては、以下の準備を早期に進めておくことが望ましいです。

・育成就労制度の対象分野に自社の業種が含まれるか確認する

・現在受け入れている技能実習生の在留資格と残りの在留期間を整理する

・監理団体(将来的には監理支援機関)と連携して新制度への対応方針を協議する

・転籍の自由化に備え、技能実習生が定着しやすい職場環境の改善に取り組む

・在留カードや在留期限の管理体制を見直し、デジタル化を検討する

まとめ

技能実習制度は、低賃金・長時間労働・失踪・人権侵害・労働災害など、多くの問題が指摘されてきました。これらの問題の背景には、制度の目的と実態の乖離、転職の自由がない構造、悪質な仲介業者の存在といった構造的な原因があります。

受け入れ企業にとっては、法令違反による行政処分や不法就労助長罪の適用、技能実習計画の認定取消しなど、深刻なリスクが伴います。2025年6月の入管法改正による厳罰化も踏まえ、適正な労働条件の整備、在留カードの確認体制の強化、多言語対応の相談環境の構築といった対策が不可欠です。

2027年4月には技能実習制度が廃止され、育成就労制度に移行します。新制度では転籍の自由が一定程度認められるなど、外国人材の権利保護が強化される方向です。企業としては、新制度への準備を早期に進めるとともに、外国人材が安心して働ける職場づくりに取り組むことが求められます。

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著者 ビザマネメディア編集部

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