日本に期限なく滞在するためには、永住者在留カードの取得が必要となります。また帰化をする時と違って、母国の国籍を失うこともありません。しかしそれだけ審査に通るのが難しいカードです。
それでは永住者在留カードの概要や申請方法、帰化との違い、またその他にも永住者在留カードに関する注意点をご紹介します。
永住者在留カードとは
概要
在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人(中長期在留者)に対して、法務大臣が交付するICカードです。在留カードには、氏名・生年月日・国籍・在留資格(外国人が日本に滞在・活動するために必要な法的な許可の種類)・在留期間・就労の可否などが記載されています。永住者もこの在留カードを常時携帯する義務があります。
ただし、以下に該当する外国人は在留カードの交付対象外となります。
・3か月以下の在留期間が決定された方
・短期滞在の在留資格を持っている方
・外交または公用の在留資格を持っている方
・特別永住者
永住者のほか、留学や就労で日本に滞在する外国人にも在留カードが交付されています。通常の在留カードにはそれぞれの在留資格に応じた在留期間が記載されていますが、永住者在留カードの場合は在留期間が「無期限」とされている点が大きな特徴です。
入管法による永住許可の要件
永住許可については、出入国管理及び難民認定法(入管法)第22条に規定されています。永住許可を受けるための法律上の要件は、大きく分けて「素行善良要件」「独立生計要件」「国益要件」の3つです。各要件の詳細は後述します。
在留カードと特別永住者証明書の違い
永住者と特別永住者は、いずれも在留期間に制限がないという共通点がありますが、制度上の根拠や権利義務が大きく異なります。
永住者は「出入国管理及び難民認定法」に基づく在留資格であり、在留カードが交付されます。一方、特別永住者は「日本国との平和条約に基づき日本の国籍を離脱した者等の出入国管理に関する特例法(入管特例法)」に基づいており、特別永住者証明書が交付されます。
特別永住者とは、1991年に施行された入管特例法に定められた資格です。第二次世界大戦前から日本に在住していた韓国人・朝鮮人・台湾人およびその子孫に対して認められています。特別永住者は証明書の常時携帯義務がなく、通常の永住者とは扱いが異なります。特別永住者の資格は対象が限定されており、新たに取得することは原則としてできません。
出入国管理に関する特例法第7条では、出入国在留管理庁長官が特別永住者に対して特別永住者証明書を交付すると定められています。
参照:出入国管理に関する特例法
永住者在留カードの取得と帰化との違い
永住許可と帰化は、いずれも日本に期限なく滞在できる点では共通していますが、以下の点で大きく異なります。
帰化とは、外国人が日本国籍を取得して日本人になることです。帰化が許可されると、日本人として戸籍が作成され、選挙権・被選挙権が付与されます。ただし、日本は二重国籍を認めていないため、帰化すると母国の国籍を喪失します。
一方、永住許可は外国籍のまま日本に無期限で在留できる在留資格です。母国の国籍を維持できるため、母国のパスポートをそのまま使用でき、母国の選挙権なども保持できます。ただし、日本の選挙権は持てず、在留カードの携帯義務や出国時の再入国許可なども引き続き必要です。
また、帰化の住所条件は法務省の案内上、原則として「引き続き5年以上日本に住所を有すること」とされています。一方、永住許可は原則として10年以上継続して日本に在留していることが求められ、永住許可の方が在留年数の条件は厳しい傾向にあります。なお、2026年4月時点で、帰化の一般的な住所条件が一律に10年へ変更されたと断定するのは適切ではありません。
参照:法務省「永住許可に関するガイドライン」
永住許可の3つの要件
法務省が公表する「永住許可に関するガイドライン」では、永住許可を得るための要件として以下の3つが定められています。2026年4月現在の最新ガイドラインに基づいて解説します。
素行善良要件
法律や社会のルールを守り、善良な生活を送っていることが求められます。具体的には、罰金刑や懲役刑を受けていないこと、交通違反を繰り返していないこと、そして公的義務を適正に履行していることが条件です。
特に2026年4月現在では、納税(所得税・住民税)、公的年金の保険料、公的医療保険(国民健康保険など)の保険料の納付状況が厳しく審査されます。申請時点で完納していても、本来の納付期限内に支払っていなかった場合は「消極的に評価される」とガイドラインに明記されています。
独立生計要件
日本で自立した生活を送れるだけの安定した収入または資産があることが必要です。生活保護を受給している状態では、永住許可を取得することは困難です。
明確な年収基準は公表されていませんが、一般的な目安として年収300万円以上(扶養家族1名につき約50~70万円を加算)が求められるとされています。就労系の在留資格からの申請では、直近5年分の年収が安定していることが審査のポイントとなります。
国益要件
日本の利益に合致すると認められる必要があります。具体的には以下の条件を満たすことが求められます。
・原則として10年以上継続して日本に在留していること
・そのうち5年以上は就労資格(技能実習・特定技能1号を除く)または居住資格で在留していること
・罰金刑や懲役刑を受けておらず、公的義務を適正に履行していること
・現在保有している在留資格の最長の在留期間をもって在留していること
なお、最後の要件について重要な変更がありました。2026年2月24日の永住許可ガイドライン改訂により、在留期間「3年」を最長の在留期間と同様に扱う運用が廃止されました。ただし、2027年3月31日までは経過措置として、在留期間「3年」でも要件を満たすものとして取り扱われます。
また、日本人・永住者・特別永住者の配偶者や実子については、素行善良要件と国益要件のみが適用され、独立生計要件は免除されます。高度専門職のポイント制を活用している場合は、70点以上で3年、80点以上で1年の在留で永住申請が可能です。
参照:法務省「永住許可に関するガイドライン」(令和8年2月24日改訂)
日本への貢献によるガイドライン
法務省では「我が国への貢献があると認められる者」に対して、在留期間の条件を10年から5年に短縮する特例を設けています。具体的には以下のようなケースが該当します。
・国際的な賞の受賞など、国際的に権威があると評価されている場合
・日本と諸外国との友好親善に貢献し、文化交流の面で実績がある場合
・日本の経済・産業の発展に貢献した場合
・日本の経済・産業、文化・芸術・教育・研究・スポーツ等の分野で、我が国への貢献があると認められる場合
・日本の企業に勤務した経験があり、1億円以上の投資を行った実績がある場合
・日本の文化・芸術・教育の向上に貢献した場合
・研究活動により大きな成果があったと認められた場合
・スポーツ等の分野で国際的な活躍により日本に貢献した場合
ただし、これらに該当するケースは限定的であり、一般的な申請者が適用されることは少ないのが実情です。
参照:法務省「我が国への貢献があると認められる者への永住許可のガイドライン」(平成29年4月26日改定)
永住者在留カードの取得方法
必要書類
永住許可申請に必要な主な書類は以下のとおりです。
・永住許可申請書
・写真(縦4cm×横3cm)1葉 ※16歳未満は不要
・在留カード(提示)
・資格外活動許可書(交付を受けている場合)
・旅券または在留資格証明書(提示できない場合は理由書)
・立証資料(在留資格の種類により異なる)
・身元保証に関する書類
・手数料 10,000円(2026年4月現在。今後引き上げの可能性あり)
立証資料は、在留資格の種類によって必要書類が異なります。就労系の場合は直近5年分の住民税の課税証明書・納税証明書、年金の納付記録なども求められます。最新の必要書類は出入国在留管理庁のホームページで確認してください。
申請方法
永住許可申請は、必要書類を整えたうえで、住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に行います。申請者は本人のほか、法定代理人や申請取次者(地方出入国在留管理局長から承認を受けた行政書士・弁護士、雇用先の職員など)も申請可能です。なお、永住許可の審査中に現在の在留期間が満了する場合は、別途、在留期間更新許可申請が必要です。
申請書は出入国在留管理庁のホームページからダウンロードできます。また、在留申請オンラインシステムを利用してオンラインで申請することも可能です。
審査期間は標準で4か月とされていますが、実際には6か月~1年以上かかるケースも珍しくありません。
申請場所
住居地を管轄する地方出入国在留管理官署に申請します。不明な点がある場合は、外国人在留総合インフォメーションセンター(0570-013904)に問い合わせることができます。
参照:出入国在留管理庁「永住許可申請」
永住者在留カード取得時の注意点
永住者在留カードを申請・取得する際には、以下の点に注意が必要です。
【母国への帰国にビザが必要になるケースがある】
永住許可を取得しても日本国籍を取得するわけではないため、外国籍のままです。出身国によっては、永住権取得後に母国へ一時帰国する際にビザが必要になるケースがあります。帰化とは異なり、母国の国籍は維持されますが、出入国の手続きには注意してください。
【出国時の再入国許可が必要】
永住者が日本を出国する際は、再入国許可またはみなし再入国許可を取得する必要があります。再入国許可の有効期限は最長5年、みなし再入国許可は1年です。これらを取得せずに出国すると、永住の在留資格を失うことになります。
【申請理由書の重要性】
永住許可申請の際は、なぜ日本で永住したいのか、その理由を書類にまとめて提出します。この理由書の内容が審査結果に影響することもありますので、十分に準備して作成してください。不安な場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談することをおすすめします。
永住者在留カード取得後の注意点
永住許可を取得した後も、以下の義務や注意点があります。場合によっては永住の在留資格を失う可能性があるため、十分に気をつけてください。
再入国許可に関する注意
日本から出国する際に再入国許可を取得していないと、永住の在留資格を失います。また、再入国許可を取得していても、有効期限内に日本に帰国しなければ同様に在留資格が消滅します。再入国許可の有効期限は最長5年、みなし再入国許可は1年です。海外への渡航予定がある場合は、必ず事前に確認しておきましょう。
在留カードの更新が必要
永住者であっても、在留カードには有効期限があります。2026年4月現在、永住者の在留カードの有効期限は交付の日から7年間です。有効期限の満了日の2か月前から更新手続きが可能ですので、早めに手続きを行ってください。
更新手続きには、在留カード有効期間更新申請書、写真、パスポート、在留カードが必要です。手続きは住居地を管轄する地方出入国在留管理官署で行います。更新を忘れると在留カードが失効し、さまざまな不利益が生じますので十分にご注意ください。
なお、2026年6月14日から開始予定の新制度(特定在留カード)導入に伴い、永住者・高度専門職2号の在留カードの有効期間は、交付日から10回目の誕生日(18歳未満は5回目の誕生日)までに変更される予定です。
犯罪をした場合のリスク
日本の法律に違反し、1年以上の実刑判決(懲役・禁錮)を受けた場合、退去強制処分により強制的に出国を命じられることがあります。永住者であっても外国人である以上、退去強制の対象となりうる点に注意が必要です。
【2024年法改正】永住許可の取り消し制度の新設
2024年6月14日に成立した入管法改正(2027年4月施行予定)により、永住許可の取り消し制度が新設されました。これは永住者に大きな影響を及ぼす改正です。
改正法では、以下のようなケースで永住許可が取り消される可能性があります。
・故意に税金(所得税、住民税など)を納付しない場合
・故意に社会保険料(国民健康保険料、国民年金保険料など)を納付しない場合
・入管法に定める届出義務に違反した場合
・虚偽の申告や不正な手段により永住許可を受けていたことが判明した場合
永住許可が取り消された場合でも、直ちに退去強制となるわけではなく、他の在留資格への変更が認められる場合があるとされています。しかし、永住者として日本に長期滞在する以上、税金や社会保険料の納付義務を適正に履行し続けることがこれまで以上に重要になります。
この取り消し規定の具体的な運用については、出入国在留管理庁が2026年夏にガイドライン案をまとめ、秋頃に最終決定する見通しと報道されています。
参照:出入国在留管理庁「入管法改正について」
【2026年最新】永住許可に関する制度変更の動向
2026年4月現在、永住許可に関連して複数の重要な制度変更が進行しています。外国人を雇用する企業の人事・総務担当者は、これらの動向を把握しておくことが重要です。
永住許可ガイドラインの改訂(在留期間「5年」要件化)
2026年2月24日に永住許可に関するガイドラインが改訂されました。主な変更点は、永住許可申請に必要な「最長の在留期間」の運用見直しです。
これまでは経過措置として、在留期間「3年」を保有している場合でも「最長の在留期間」要件を満たすものとして扱われていました。しかし、改訂後はこの運用が廃止され、原則として在留期間「5年」の在留カードを保有していることが必要になりました。
ただし、2027年3月31日までは経過措置期間として、在留期間「3年」でも申請は可能です。現在3年の在留期間で永住申請を検討している方は、経過措置期間内の申請を検討されることをおすすめします。
手数料の大幅引き上げ
2026年3月10日に、政府は入管法改正案を閣議決定しました。この改正案には、在留資格の変更・更新手数料の法定上限を10万円に、永住許可申請手数料の法定上限を30万円に引き上げる内容が含まれています。
2026年4月現在の手数料は、変更・更新が6,000円(オンライン申請5,500円)、永住許可が10,000円です。法定上限は「実際に支払う金額」ではなく「上限額」であり、具体的な手数料額は法案成立後に政令で決定されます。2026年3月10日には、在留資格の変更・更新手数料の法定上限を10万円、永住許可申請手数料の法定上限を30万円に引き上げる内容を含む改正案が閣議決定されていますが、2026年4月時点で実際の手数料額が確定したわけではありません。
企業においては、今後の手数料増を見込んだ予算設計と、外国人社員への丁寧な説明が求められます。
特定在留カード(マイナンバーカード一体化)の導入
2026年6月14日から、在留カードとマイナンバーカードを一体化した「特定在留カード」の運用が開始される予定です。これは、従来別々に管理されていた2枚のカードの機能を1枚にまとめることで、外国人本人の利便性向上と行政手続きの効率化を目的とした制度です。
特定在留カードの取得は任意であり、従来どおり在留カードとマイナンバーカードを2枚持ちすることも可能です。特定在留カードを取得すると、入管での在留手続きとマイナンバーカードの情報更新を一元的に処理でき、市区町村窓口での別途手続きが不要になります。
企業の人事・総務担当者にとっては、在留カード確認とマイナンバー確認が一体化される点が実務上の変更点となります。特定在留カードの裏面にはマイナンバーが記載されるため、カードの取り扱いには個人番号の管理ルールにも注意が必要です。
参照:出入国在留管理庁「特定在留カード等交付申請について」
企業が永住者を雇用する際のポイント
永住者は在留活動に制限がなく、どのような業種・職種でも就労できるため、企業にとっては雇用しやすい人材です。しかし、以下の点に留意する必要があります。
・在留カードの有効期限を確認し、更新忘れがないよう管理を行うこと
・偽造在留カードの確認のため、出入国在留管理庁提供の「在留カード等読取アプリケーション」を活用すること
・2026年6月以降は特定在留カードの存在も踏まえた本人確認フローを整備すること
・永住許可の取り消し制度の新設(2027年4月施行予定)を踏まえ、従業員の納税・社会保険料納付状況にも注意を払うこと
在留カードの確認方法や偽造カードの見分け方について詳しくは、以下の記事もご参照ください。
▶ 在留カード読み取りアプリの使い方を徹底解説|導入手順・失効照会・企業の実務ポイント(ビザマネ)
また、永住者の在留カード管理をはじめ、外国人従業員の在留資格・在留期限の一元管理には、在留資格管理サービスビザマネの活用が効果的です。在留期限のアラート機能や在留カードの真正性確認機能を備えており、不法就労助長罪のリスク回避に役立ちます。
ご興味ある方は一度お問い合わせください。
永住者の雇用や在留カードに関するお役立ち記事もあわせてご確認ください。


