オーバーステイとは?不法残留の定義・罰則・発覚パターン・企業が取るべき対策を徹底解説

執筆者 11月 15, 2019ニュースコメント0件

  1. Home
  2. /
  3. ニュース
  4. /
  5. オーバーステイとは?不法残留の定義・罰則・発覚パターン・企業が取るべき対策を徹底解説

オーバーステイ(不法残留)とは何か、2026年4月現在の最新データと罰則、発覚のパターンを解説。令和5年改正入管法(2024年6月施行)の影響や、企業が不法就労助長罪を避けるための対策もわかりやすくまとめました。

 

オーバーステイ(不法残留)とは

不法残留(オーバーステイ)の定義

オーバーステイとは、在留資格(いわゆるビザ)を取得して日本に入国した外国人が、許可された在留期間を過ぎた後も日本に滞在し続けている状態を指します。法律上は「不法残留」と呼ばれ、出入国管理及び難民認定法(入管法)に違反する行為です。

日本に在留する外国人には、在留資格ごとに在留期間が定められています。たとえば、「技術・人文知識・国際業務」であれば3か月・1年・3年・5年、「短期滞在」であれば15日・30日・90日といった期間が設定されます。在留カードの表面には在留期間の満了日が記載されており、この日までに在留期間の更新手続きを行うか、日本を出国する必要があります。

在留期間の満了日を1日でも超過して日本に滞在し続けた場合、その時点でオーバーステイとなります。たとえうっかり更新手続きを忘れた場合であっても、故意に滞在を延長した場合であっても、法律上は同じ「不法残留」として扱われます。

なお、在留期間の満了日前に在留期間更新許可申請または在留資格変更許可申請を行った場合は、処分がなされる日または在留期間の満了日から2か月を経過する日のいずれか早い日までは「特例期間」として適法に在留することができます(入管法第20条第6項、第21条第6項)。この特例期間中はオーバーステイには該当しません。ただし、特例期間には上限があるため、申請さえすれば無期限に在留できるわけではない点に注意が必要です。

不法入国・不法在留との違い

オーバーステイと混同されやすい概念として、「不法入国」と「不法在留」があります。これらは法律上、異なる違反類型に分類されます。

不法入国とは、偽造パスポートの使用や密入国など、正規の手続きを経ずに日本に入国することです。不法在留とは、不法入国した後に引き続き日本に滞在し続けている状態を指します。

一方、オーバーステイ(不法残留)は、入国自体は正規の手続きで行われたものの、許可された在留期間を超過して滞在し続けている状態を指します。つまり、最初の入国が合法であったかどうかが、オーバーステイと不法入国・不法在留の決定的な違いです。

いずれの場合も、退去強制手続の対象となる点は共通しています。また、入管法第70条により、罰則が科される可能性がある点も同様です(罰則の詳細は後述します)。

オーバーステイの現状【2026年4月現在】

不法残留者数は約7万1,000人に減少

出入国在留管理庁の公表データによると、令和7年(2025年)7月1日現在の不法残留者数は7万1,229人であり、令和7年1月1日現在の7万4,863人から3,634人(4.9%)減少しました。不法残留者数の推移を長期的に見ると、平成5年(1993年)の約29万8,000人をピークに大幅な減少が進み、平成26年(2014年)には約5万9,000人まで減少しました。

しかし、2015年以降は再び増加に転じ、令和6年(2024年)1月には約7万9,000人に達しました。その後、令和5年改正入管法の主要部分が2024年6月10日に施行された時期以降、不法残留者数は減少傾向がみられます。令和7年1月1日現在の7万4,863人は、前年同時期の7万9,113人から4,250人(5.4%)の減少となっています。

国籍別・在留資格別の傾向

令和7年7月1日現在の国籍・地域別の不法残留者数を見ると、上位は以下のとおりです。

  • ベトナム:最多(全体の約19%)
  • タイ:第2位
  • 韓国:第3位
  • 中国:第4位
  • フィリピン:第5位
  • インドネシア:第6位

 

令和7年1月1日時点と比べ、上位10か国・地域の全てで減少が見られました。かつてはタイや韓国、中国が上位を占めていましたが、近年はベトナムが1位を維持しています。

在留資格別では、「短期滞在」が最も多く全体の約6割を占めています。次いで「技能実習」、「特定活動」、「留学」の順です。短期滞在ビザで入国した後にそのまま残留するケースが最も多い一方、技能実習先からの失踪を経てオーバーステイに至るケースも依然として少なくありません。

オーバーステイの罰則

外国人本人に対する罰則

オーバーステイは入管法第70条に規定される犯罪行為です。2025年6月1日施行の改正刑法により懲役刑と禁錮刑が「拘禁刑」に一本化されたことを踏まえ、現行法上の罰則は以下のとおりです(2026年4月現在)。

  • 3年以下の拘禁刑
  • 300万円以下の罰金
  • 拘禁刑と罰金の併科

 

なお、2004年の法改正以前は罰金の上限が30万円でしたが、不法滞在者対策の一環として10倍に引き上げられた経緯があります。

刑事罰に加えて、オーバーステイの外国人は退去強制手続の対象となります。退去強制された場合、日本への再入国が一定期間禁止されます。退去強制処分を受けた場合は5年間(2回目以降は10年間)の上陸拒否期間が設定されます。なお、上陸拒否期間を経過しても、過去のオーバーステイの事実は在留資格の審査において考慮されるため、再入国が保証されるわけではありません。

雇用主に対する罰則(不法就労助長罪)

オーバーステイの外国人を雇用していた場合、雇用主には「不法就労助長罪」が適用される可能性があります。不法就労助長罪は入管法第73条の2に規定されており、現行法上の罰則は以下のとおりです。

  • 3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金、またはその併科

 

重要なのは、雇用主がオーバーステイの事実を知らなかった場合でも、在留カードの確認を怠るなどの過失があれば処罰の対象となり得る点です。「知らなかった」という弁解が通用しないケースが多いため、外国人を雇用する企業は在留カードの確認を必ず行う必要があります。

 

外国人の不法就労防止について詳しくは、以下のビザマネメディアの記事もあわせてご参照ください。

 

外国人労働者の不法就労・不法滞在はこうして防げ!(ビザマネメディア)

オーバーステイはどのようにして発覚するのか

オーバーステイ状態が永久に発覚しないことはほぼあり得ません。以下のようなパターンでオーバーステイが判明するケースが一般的です。

在留カードの提示を求められた際に発覚する

日本に中長期在留する外国人には、在留カードの常時携帯義務があります。入国審査官、入国警備官、警察官から在留カードの提示を求められた際、在留カードを持っていない場合や、在留期間の満了日が過ぎている場合にオーバーステイが発覚します。

在留カードの提示を拒否した場合は、提示義務違反として1年以下の拘禁刑または20万円以下の罰金が科されます。これはオーバーステイの罰則とは別に適用されるため、オーバーステイの外国人が提示を拒否すると、二重の罰則を受ける可能性があります。

就職・転職時の在留カード確認で発覚する

外国人が就職や転職をする際、企業の人事担当者は在留カードを確認して在留資格や在留期限を確認します。この確認の過程で在留期間が超過していることが判明するケースがあります。

企業が不法就労助長罪に問われるリスクを避けるために、入管に通報するケースもあります。入管法には不法残留者に関する通報制度や報償金制度が規定されており、出入国在留管理庁も企業に対して通報への協力を呼びかけています。ただし、通報は企業の義務ではなく、対応は雇用主の判断に委ねられています。

自ら出頭して発覚する

オーバーステイの外国人が自ら出入国在留管理局や警察に出頭し、不法残留の事実を申告するケースもあります。自主的な出頭は、後述する「出国命令制度」を利用できる条件の一つとなっており、退去強制処分に比べて上陸拒否期間が大幅に短縮されるメリットがあります。

オーバーステイが発覚した場合の手続き

退去強制手続

退去強制手続とは、入管法に違反した外国人を日本国外に強制的に退去させる手続きです。入国警備官による調査・収容の後、入国審査官による審査を経て退去強制令書が発付されると、外国人は本国へ送還されます。

退去強制処分を受けた場合の上陸拒否期間は、1回目で5年間、2回目以降で10年間です。ただし、1年以上の拘禁刑を受けた場合は、期間の定めなく上陸を拒否される可能性もあります。

出国命令制度

出国命令制度は、不法残留者が帰国の意思を示した場合に、収容されずに日本を出国できる制度です。出国命令によって出国した場合の上陸拒否期間は1年間と、退去強制処分の5年間に比べて大幅に短縮されます。

従来、出国命令制度は自ら出入国在留管理官署に出頭した場合のみが対象でしたが、令和5年改正入管法(2024年6月10日施行)により、違反調査の開始後であっても早期に出国意思を表明した場合には上陸拒否期間が1年に短縮される措置が設けられました(ただし、短期滞在で再入国する場合は5年間)。

出国命令制度の利用には以下のような条件を満たす必要があります。

  • 速やかに日本から出国する意思があること
  • 不法残留以外の退去強制事由に該当しないこと
  • 一定の罪による拘禁刑(旧懲役・禁錮)を受けていないこと
  • 過去に退去強制を受けたこと、または出国命令により出国したことがないこと
  • 速やかに出国することが確実と見込まれること

 

出頭から出国命令の発付まではおおむね2週間程度を要します。

在留特別許可

在留特別許可(ざいりゅうとくべつきょか)とは、退去強制事由に該当する外国人に対して、法務大臣が特別に日本での在留を許可する制度です。許可された場合は、新たな在留資格と在留期間が付与されます。

在留特別許可が認められる可能性がある積極要素としては、日本人または永住者との婚姻関係がある場合、日本で生まれ育った子どもがいる場合、重篤な病気を抱えている場合などが挙げられます。ただし、あくまで「特別」な許可であり、認められる可能性は決して高くありません。在留特別許可を希望する場合は、行政書士や弁護士などの専門家に相談することが重要です。

なお、令和5年改正入管法(2024年6月10日施行)により、在留特別許可の申請手続きが新たに整備されました。従来は退去強制手続の中で法務大臣の裁量により判断されていましたが、改正後は外国人自らが在留特別許可を申請できる制度が創設されています。

令和5年改正入管法(2024年6月施行)による変更点

2023年6月に成立した改正入管法(令和5年法律第56号)は、送還停止効の例外規定の創設、監理措置制度の導入などを含む主要部分が2024年6月10日に施行されました。なお、2024年6月には別途「令和6年法律第59号」(育成就労制度の創設等)も成立・公布されていますが、ここでは令和5年改正入管法のうちオーバーステイや退去強制手続に関連する変更点を解説します。

送還停止効の例外規定の創設

従来の入管法では、難民認定申請中の外国人は申請回数や理由を問わず一律に送還が停止されていました。これを利用して、難民認定申請を繰り返すことで退去を回避しようとするケースが問題視されていました。

令和5年改正入管法では、3回目以降の難民認定申請者については、難民または補完的保護対象者と認定すべき「相当の理由がある資料」を提出しない限り、送還が可能となりました。この変更により、不法残留者の送還手続が以前よりもスムーズに進むようになっています。

監理措置制度の導入

令和5年改正入管法では、退去強制手続における収容に代わる選択肢として「監理措置制度」が新設されました。監理措置とは、親族や知人など「監理人」となる者の下で、社会内での生活を許容しながら退去強制手続を進める制度です。

従来の入管法は「全件収容主義」と批判されることもありましたが、改正により、個別の事案ごとに逃亡のおそれの程度や収容による不利益の程度を考慮して、収容か監理措置かを選択する仕組みに変わりました。また、3か月ごとに収容の要否を見直す仕組みも導入されています。

上陸拒否期間の短縮措置

令和5年改正入管法では、自発的な帰国を促すための措置として、上陸拒否期間の短縮制度が拡充されました。従来は自ら出頭して出国命令を受けた場合のみ上陸拒否期間が1年に短縮されていましたが、改正後は、摘発された場合であっても早期に出国意思を表明した場合には上陸拒否期間が1年に短縮されるようになりました(ただし、短期滞在で再入国する場合は5年間)。

こうした制度改正が施行された時期以降、不法残留者数には減少傾向がみられます。

企業がオーバーステイを防ぐための対策

外国人を雇用する企業にとって、従業員のオーバーステイを防止することは法令遵守の観点から極めて重要です。従業員がオーバーステイ状態で就労していた場合、企業側も不法就労助長罪に問われるリスクがあるためです。以下に、企業が取るべき具体的な対策を解説します。

在留カードの確認を徹底する

外国人を採用する際には、在留カードの原本を必ず確認してください。確認すべきポイントは以下のとおりです。

  • 在留資格の種類(就労が認められているか)
  • 在留期限(期限が切れていないか)
  • 就労制限の有無(在留カード表面に記載)
  • 偽造在留カードではないか(出入国在留管理庁の「在留カード等読取アプリケーション」で確認可能)

 

在留カードのコピーではなく、必ず原本で確認することが重要です。偽造在留カードが流通しているケースもあるため、ICチップの読み取りや出入国在留管理庁のウェブサイトでの在留カード番号の失効確認も併せて行うことをおすすめします。

在留期限の管理体制を整備する

在留資格の期間は最長でも5年であり、定期的な更新が必要です。外国人従業員が多い企業では、一人ひとりの在留期限を手作業で管理するのは困難です。期限管理を忘れた結果、従業員がオーバーステイ状態で就労し続ける事態を招きかねません。

在留期限の管理漏れを防ぐためには、管理システムの導入が有効です。たとえば、在留期限が近づいた際に自動でアラートを送信する仕組みを整備すれば、更新手続きの遅れを未然に防ぐことができます。

外国人雇用状況の届出を確実に行う

事業主は、外国人を雇い入れた場合および離職した場合に、ハローワーク(公共職業安定所)に「外国人雇用状況の届出」を行う義務があります(雇用対策法第28条)。届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合は、30万円以下の罰金の対象となります。

この届出は、正社員・アルバイト・派遣社員など雇用形態を問わず義務づけられています。届出はハローワークの窓口またはインターネットを通じて行うことができます。

在留資格の管理にはビザマネの活用がおすすめ

多くの外国人従業員を雇用する企業にとって、在留カードの期限管理や偽造確認を人手で行うことは大きな業務負担となります。特に、外国人従業員数が100人以上の企業では、一人ひとりの在留期限を管理表で追うだけでも相当な工数がかかり、管理漏れによるオーバーステイの見落としリスクも高まります。

「ビザマネ」は、外国人雇用に特有の管理業務を一元化できるクラウドサービスです。在留カードの期限が近づくと本社・事業所・従業員本人に自動でアラートが送信されるため、期限管理漏れによる不法就労リスクを防止できます。また、在留カードの偽造チェックや就労可否判定もシステム上で簡単に行えるため、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。

オーバーステイのリスク管理に不安を感じている企業様は、ぜひビザマネの導入をご検討ください。

 

外国人雇用管理システム「ビザマネ」公式サイト

著者 ビザマネメディア編集部

その他の興味深い記事

通名は日本だけの制度?海外との違いと存在する歴史的理由を徹底解説

通名は日本だけの制度?海外との違いと存在する歴史的理由を徹底解説

通名は日本だけの制度なのか?その理由を歴史と海外比較から解説。1940年の創氏改名を起点とする経緯、住民基本台帳法による法的根拠、海外との制度比較、企業の人事・総務担当者が押さえるべき実務ポイントまで網羅的に紹介します。 通名とは|本名以外で法的効力を持つ「もう一つの名前」 通名の定義と読み方...

続きを読む