訪日外国人の消費動向とは?調査からインバウンドに効果的な動向を考察します

執筆者 1月 29, 2020ニュースコメント0件

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この記事は、訪日外国人の消費動向調査について、2019年の全体的な傾向と、国別、費目別、個人支出の観点からの考察を行い、まとめた記事になります。

 

訪日外国人の消費動向調査の考察(全体傾向)

 

観光庁の2019年7-9月の訪日外国人の消費者動向調査(1次速報)によると、訪日外国人旅行消費額は以下の通りです。

参考:観光庁 訪日外国人消費動向調査 2019年7-9月期

 

全国籍・地域 1兆2000億円 前年比+0.9%

 

主要国(上位5か国)

中国 5051億円 割合42.1% 前年比+22.3%

台湾 1386億円 割合11.6% 前年比-0.3%

韓国 915億円 割合7.6% 前年比-32.4%

香港 855億円 割合7.1% 前年比+1.3%

米国 788億円 割合6.6% 前年比+11.6%

 

前年比の高い国

タイ 290億円 割合2.4% 前年比+44.3%

ベトナム 234億円 割合2.0% 前年比+34.4%

ロシア 49億円 割合0.4% 前年比+42.4%

やはり目を見張るのは中国のあまりにも大きな影響です。訪日外国人消費のなんと4割以上が中国が占め、前年比も+22.3%と急速に消費が拡大しています。一方、韓国は、日韓の政治情勢悪化に伴い、韓国の訪日客数が激減した影響で、韓国訪日客の消費も前年比-32.4%と大きく落ち込みましたが、それ以上に中国訪日客の消費が韓国のマイナスを飲み込み、全体としては0.9%のプラスの伸びを見せています。

 

中国の訪日客急増の起爆剤になったのは、2014年の消費税免税制度の拡充と円安元高が重なったことが考えられますが、そこから現在まで続く持続的な伸びは、SNSによる拡散、個人のブログ、口コミサイト、動画サイトなどの影響が考えられ、特に女性の20代の訪日客の割合が増加しているようです。

 

個人的な実感としても、国内で様々な観光地で中国人に高い確率ですれ違うようになりましたし、トイレや観光案内看板に中国語の説明が増えたと感じます。一方で、観光地でのマナーの悪さや、爆買いへの対応、宿泊施設、交通機関の混雑等、国内の受け入れ先も急激な中国観光客の増加に対応が迫られている状況です。

 

また、前年から44.3%の大きな伸びを見せた国が、タイになります。タイは元々が親日国であり、日本への関心も高い国です。2013年に15日以内の滞在であればビザが免除になり、日本へ旅行しやすくなったことが背景に挙げられます。訪れる時期としては、タイの旧正月にあたるソンクランのある4月になります。

 

同様に大きな伸び率を示したのがベトナムです。タイと同様、親日国であり、日本人に対する好感度も高いです。この伸び率の背景となった要因として、2013年に行われたベトナム国民への短期滞在ビザの発給です。このビザを利用して日本へ訪れた人が増加したと考えられます。

訪日外国人の消費動向調査の考察(2019年国・費目別消費)

 

次に国別、品目別に見た消費動向について考察していきます。

 

まず全体の費目別の割合です。

 

買物費が最も高く33%、次いで宿泊費が30.1%、飲食費が22.1%、交通費が10.8%、娯楽等サービス費が4.0%となっており、前年2018年と比較しても割合に大きな変化はありませんでした。買物費は国ごとで大きく傾向が異なる場合があり、特に中国、ベトナムは買物費に予算を当てる傾向が強いです。

 

国別で費目を見ていくと、全体を牽引しているのは、中国が独走、次いで台湾、韓国、香港、米国となります。韓国は政治情勢の悪化により大幅減少、台湾、香港は前年とほぼ変化はありません。中国は22.3%の大幅の伸び、米国は11.6%の伸びであり、順調に消費が増加しています。

 

やはり中国が特徴的な傾向を示します。全体として最も高い買物費ですが、それはひとえに買物費の全体の約半分の割合を占めるが中国であり、2397億円に達し、他の国と比較して1,2桁多いという圧倒的な買物費になります。他の国では、買物費よりも宿泊費の方が高いか、同等の傾向です。一方、中国の訪日客は宿泊費の約2倍の買物費を消費しており、「爆買い」が明らかに特徴的な数字となって表れています。

 

また、中国訪日客は、滞在期間が8日以上となることが多く、他の東アジアの訪日客の7日程度に対して滞在期間が若干長くなっていることも要因として挙げられます。これは、韓国や香港、台湾などの東アジアの国がビザ免除国であるのに対し、中国はビザの申請が必要であることが影響しています。ビザ不要であれば、気軽な海外旅行として短期間の滞在が容易ですが、ビザ取得が必要となると、申請に時間や手間がかかるため、短期間ではもったいないという考えになります。その結果滞在期間が長くなり、宿泊費も他の東アジアの国よりも大きくなっています。

訪日外国人の消費動向調査の考察(2019年個人支出)

 

次に、訪日外国人一人当たりの支出について考察していきます。ここで意外なのが、一人当たりの支出単価で考えると中国が前年比で4.9%マイナスだということです。つまり、中国観光客は大幅に増加していますが、一人当たりの支出額は減少しているという現象が起きています。一部では、「爆買いの終了」が噂されていますが、この個人支出減少の要因は3つあると考えられます。

 

一つ目が、円高元安です。先に爆買いの要因として円安元高を挙げましたが、2015~2016年にかけて1元20円→15円台に円高が進みました。これにより中国元での予算が減ったと考えることができます。

 

二つ目の理由は、越境ECと呼ばれる、海外でのオンライン売買が普及したことです。この越境EC通販サイトが発達したことで、中国国内にいながら、日本製品を取り寄せることができるようになったため、わざわざ旅行先で買う必要もなくなったということです。

 

三つ目の理由は、中国政府が関税を強化したたためです。酒類、化粧品、衣類は+10%、高級時計は+30%、食品は+5%の関税強化がなされ、「安いから日本で買う」という動機が薄まってしまったということになります。以上の理由から、中国訪日客の消費単価は減少傾向であり、今後もその傾向は続くと考えられます。

 

また、平均泊数という項目に着目すると、ベトナムの滞在日数36.7日が異様に長いことがわかります。この理由として、ベトナム人は、日本の外国人労働者全体の約2割を占め、中国に次ぐ第2位の数になります。それにより滞在日数が底上げされているとされています。

 

また、滞在日数の割に宿泊費が低く抑えられているのは、既に在日の知り合いに泊めてもらっているケースが多いからなようです。従ってこの滞在日数を示す高い数字は、旅行者の傾向とは直接消費に結びつくものではないと考えられます。また、ベトナム人の特徴として、買物費に多く支出しているという点も挙げられます。

 

前年比の伸びは、やはりタイが最も高く、37.6%プラスになっています。ここは中国とは大きく異なる点であり、タイは個人の支出としても大きく伸びているため、今後最も国内消費を期待できるターゲット国と言えるのではないでしょうか。親日国であり、日本の自動車製品やアニメの文化が浸透したタイでは、より親密な関係になっていくことと思います。

 

また、前年比の伸びでは、ロシアも13.6%の高い伸び率を示しています。ロシアは全体としても40%を超える伸び率であり、その背景として、2017年に訪日に対するビザが緩和されたことが挙げられます。その他にも、航空便の増加と運賃の値下がりも重なり、追い風となった模様。まだ全体の規模としては大きくは在りませんが、タイと同様、ロシアの訪日客の客数と消費はこれから大きく伸びていく気配を感じさせます。

 

訪日外国人の消費動向調査の考察のまとめ

 

訪日外国人の消費全体の4割を占める中国ですが、中国訪日客全体としては消費は大きく増加し続けていますが、為替の影響、ネット通販取引の増加などで、一人当たりの単価としては減少傾向、爆買いも下火になってくる予兆がみられます。東京オリンピックという大きな消費の波の後、消費が鈍ってくる可能性があります。また、中国人のマナーの悪さといった課題があり、それに対する有効な対応についても今後しっかり考える必要があります。

 

伸び率の高いタイ、ロシアは今後消費が伸びてくる可能性が高いです。ベトナムも一見伸び率が高く見えますが、個人消費額としてはあまり伸びておらず、期待値としてはタイ程大きくはありません。欧州では、フランスの消費の伸びが比較的高い傾向にあります。米国も安定して11%台の消費の伸びを見せています。

 

韓国は消費を牽引する重要な国ですが、日韓の政治情勢により振れ幅がかなり大きく増減するされるため、リスクの高い顧客であるといえます。最近では韓国側の慰安婦問題、徴用工賠償請求問題を皮切りに、日本側も半導体輸出規制強化、ホワイト国リストからの除外の措置を行い、それに対抗するような形で韓国はアメリカを含む保護協定である、日韓軍事情報包括保護協定(GSOMIA)破棄を一方的に通告してきました。まさに応酬の様相を呈してきた日韓情勢ですが、先日、GSOMIA撤廃を凍結するとのことで、韓国側の譲歩が見られたため、今後一定の回復は見込めるかと思います。

 

台湾、香港はパイの大きい国ではありますが、前年比で横這いの消費であり、これからも安定的な消費をもたらしてくれると考えられます。

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著者 アドミン

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