特定技能「漁業」とは?職種から受け入れ方法まで詳しく解説

執筆者 4月 30, 2020ニュースコメント0件

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日本は現在、あらゆる業種で人手不足が深刻化されています。

 

漁業も人手不足が深刻な産業の一つであり、2023年には20,000人が不足すると予想されています。そんな中日本政府は人手不足の解決策として特定技能「漁業」を施行しました。

 

今回dnusでは、特定技能「漁業」について職種から取得方法まで徹底解説します。

漁業分野の現状について

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(農林水産省「漁業労働力に関する統計」よりdnusが作成)

 

 

まず、漁業分野における現状について説明します。

 

現在日本では漁業分野における就業者が年々減少しています。

 

農林水産省「漁業労働力に関する統計」によると、過去10年における漁業就業者数は減少しており、農林水産省「漁業センサス」では、漁業就業者数が平成10年には27万7000人だったものが、平成30年で15万人とおよそ半数に減少していることが分かります。

 

また、漁業分野の雇われの就業者も3年間で約1割減少しており、その雇われ就業者の約2割を占める65歳以上の高齢労働者が今後職を離れることが予想されます。

 

そのため漁業就業者の減少はさらに深刻になることが予想されます。

 

詳しく見ていきましょう。

 

有効求人倍率

 

平成29年度の漁業に関連する有効求人倍率は、漁船員が船員職業安定年報によると2.52倍、水産養殖作業員が職業安定業務統計によると2.08倍となっています。

 

全業種の有効求人倍率が1.54倍の状況を考えると、漁業に関連する有効求人倍率は全業種の有効求人倍率と比べて人手不足が深刻であることが分かります。

 

日本政府は、漁業の人手不足の解消に向けて、生産性の向上や国内人材の確保に取り組んできました。

 

そのための施策として、作業効率向上に向けた自動給餌機や自動カキ剥き機の導入、新たな揚網システムやフィッシュポンプの導入、生産性の高い漁船の導入による作業工数の削減などを行ってきました。

 

しかし、漁業専門学校への入学者数の定員割れが常態化していたり整備士が高齢化等で多く退職していたりなど、人手不足が完全に解消されるのはますます難しい状況となっています。

 

農林水産省によると漁業における人手不足の見込み数は、2023年までに2万人程度となっています。

特定技能1号「漁業」について

 

そもそも特定技能とは?

 

そもそも特定技能とは何でしょうか?

 

特定技能は一言で言うと、「一定の知識や経験を持った即戦力となる外国人が持つ在留資格」のことです。

 

dnusでは特定技能に関する情報をひとつひとつ分かりやすく解説しています。

 

合わせてこちらの記事をご覧下さい。

 

【253 番の記事が挿入されます】

特定技能は全部で14業種あり、特定技能1号と特定技能2号の2つに区分されます。

 

14業種ある特定技能のうち、特定技能2号に指定されている業種は現在(2020年4月20日時点)で建築業造船・船用工業の2業種です。特定技能「漁業」は現時点ではその特定技能2号の2業種の1つに指定されていません。

特定技能「漁業」の受入れ見込数

 

特定技能「漁業」分野において、2023年までの受入れ見込数は最大9,000人とされています。

 

特定技能「漁業」を取得した外国人を受け入れると共に、毎年約1%の生産性向上と、国内人材の確保による労働効率化(2023年までに4000人程度)、また国内人材を2023年までに7000人確保しても、なお不足すると見込まれています。

特定技能「漁業」の対象となる業務は?

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次に、特定技能「漁業」で行われる業務について説明します。

 

特定技能「漁業」の対象となる業務は、「漁業」と「養殖業」の2種類があります。

 

それぞれ解説します。

特定技能「漁業」の業種|①漁業

 

まず、特定技能「漁業」の外国人材が従事する業務の1つに「漁業」があります。

 

漁業での具体的な業務内容は以下のとおりです。

1.漁具の製作・補修

 

2.水産動植物の探索

 

3.漁具・漁労機械の操作

 

4.水産動植物の採捕

 

5.魚獲物の処理・保蔵

 

6.安全衛生の確保

また、漁業に従事する日本人が普段従事する関連業務に、特定技能の外国人労働者は付随的に従事することが可能です。

 

関連業務の例は以下のとおりです。

 

1.漁具・漁労機械の点検換装

 

2.船体の補修・清掃

 

3.⿂倉、漁具保管庫、番屋の清掃

 

4.漁船への餌、氷、燃油、⾷材、⽇⽤品その他の操業・⽣活資材の仕込・積込

 

5.出漁に係る炊事・賄い

 

6.採捕した⽔産動植物の⽣簀における蓄養その他付随的な養殖

 

7.⾃家⽣産物の運搬・陳列・販売

 

8.⾃家⽣産物⼜は当該⽣産に伴う副産物を原料⼜は材料の⼀部として使⽤する製造・加工及び当該製造物・加⼯物の運搬・陳列・販売

 

9.⿂市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け

 

10.体験型漁業の際に乗客が⾏う⽔産動植物の採捕の補助

 

11.社内外における研修 など

特定技能「漁業」の業種|②養殖業

 

また、特定技能「漁業」の外国人材が従事するもう1つの業務として「養殖業」があります。

 

養殖業では、以下の業務を行います。

1.養殖資材の制作・補修・管理

 

2.養殖業水産動植物の育成管理

 

3.養殖業水産動植物の収獲(収穫)・処理

 

4.安全衛生の確保

また、上記に当てはまる業務に従事する日本人が普段従事する関連業務に、特定技能の外国人労働者は付随的に従事することが可能です。

 

例えば、関連業務として、以下のものが予想されます。

1.漁具・漁労機械の点検換装

 

2.船体の補修・清掃

 

3.⿂倉、漁具保管庫、番屋の清掃

 

4.漁船への餌、氷、燃油、⾷材、⽇⽤品その他の操業・⽣活資材の仕込・積込

 

5.養殖⽤の機械・設備・器⼯具等の清掃・消毒・管理・保守

 

6.⿃獣に対する駆除、追払、防護ネット・テグス張り等の養殖場における⾷害防⽌

 

7.養殖⽔産動植物の餌となる⽔産動植物や養殖⽤稚⿂の採捕その他付随的な漁業

 

8.⾃家⽣産物の運搬・陳列・販売

 

9.⾃家⽣産物⼜は当該⽣産に伴う副産物を原料⼜は材料の⼀部として使⽤する製造・加⼯及び当該製造物・加⼯物の運搬・陳列・販売

 

10.⿂市場・陸揚港での漁獲物の選別・仕分け

 

11.体験型漁業の際に乗客が⾏う⽔産動植物の採捕の補助

 

12.社内外における研修

漁業で求められる人材は?

特定技能「漁業」の外国人材に求められるものは、漁業業務における漁業及び養殖業に関する一定の専門性や技能を有する外国人です。

 

これらの知識や技能を持つ外国人材が、漁業分野で働く外国人材に求められています。

 

 雇用形態は?

 

直接雇用に加え、派遣が認められています。

 

漁業では、同じ地域でも魚種や漁法等によって繁忙期と閑散期の時期が異なり、労働力の融通や漁業現場のニーズに対応するためにも、労働者派遣形態で特定技能「漁業」を取得した外国人労働者を受入れることが認められています。

外国人が特定技能「漁業」を取得するには?

では特定技能1号「漁業」を取得するにはどうすればいいのでしょうか?

 

通常、在留資格「特定技能」を取得するには、2つの方法があります。

 

1つは、技能試験である「特定技能評価試験」と日本語試験である「国際交流基金日本語基礎テスト」に合格することで在留資格「特定技能」を取得する方法です。

もう1つは、技能実習2号を修了して、無試験で在留資格「特定技能」を取得する方法です。

 

ではそれぞれの方法について詳しく説明します。

特定技能「漁業」の取得方法|①「特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する

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特定技能評価試験について

 

まず、特定技能1号「漁業」を取得する手段の1つ目として、特定技能評価試験」と「日本語評価試験」に合格する方法があります。

 

特定技能評価試験は、特定技能全14業種それぞれ異なる試験となっており、特定技能「漁業」では農林水産省の定める「漁業技能測定試験(漁業または養殖業)」を受けなければいけません。

 

特定技能14業種それぞれの試験について知りたい方は、こちらをご覧ください。

 

【特定技能 試験の記事】

「漁業技能測定試験」について

 

漁業技能測定試験は、外国人が就労のため来日する前に、漁業分野における技能や知識を確認・評価するための試験です。

 

漁業技能測定試験は、2019年4月に在留資格「特定技能」が施行されてから、農林水産省が選定した機関である大日本水産会が実施している試験です。

 

漁業技能測定試験は、「漁業」「養殖業」の2種類があり、それぞれ漁業と養殖業に関する専門性や技能を持っているか確認します。

 

漁業分野における特定技能評価試験は、筆記試験と実技試験があります。学科試験と実技試験では、それぞれ正答率が65%以上で合格となります。

「漁業技能測定試験(漁業)」について

 

それではまず、漁業分野における特定技能の「漁業」の試験の詳細について説明します。

 

「漁業分野(漁業)」では、漁業分野(漁業)における一定程度の業務について、監督者の指示を理解し的確に遂行できる又は自らの判断により遂行できる技能・スキルを持っている必要があります。

 

試験科目については以下のとおりです。

 

筆記試験の試験科目

 

「漁業」の筆記試験では、漁業全般の知識や安全衛生に係る知識、及び業務上必要となる日本語能力を測ります。

 

実技試験の試験科目

 

「漁業」実技試験では、図やイラスト等から漁具・漁労設備の適切な取扱いや漁獲物の選別に係る技能を判断する試験により業務上必要となる実務能力を測ります。

詳細は「漁業技能測定試験(漁業)」試験実施要領をご覧ください。

 

「漁業技能測定試験(養殖業)」について

 

次に、漁業分野における特定技能の「養殖業」の試験の詳細について説明します。

 

「養殖業」では、漁業分野(養殖業)における一定程度の業務について、監督者の指示を理解し的確に遂行できる又は自らの判断により遂行できる技能・スキルを持っている必要があります。

 

試験科目については以下のとおりです。

 

筆記試験の試験科目

 

「養殖業」の筆記試験では、養殖業全般及び安全衛生に係る知識及び業務上必要となる日本語能力を測ります。

 

実技試験の試験科目

 

「養殖業」実技試験では、図やイラスト等から養殖水産動植物の育成管理や養殖生産物の適切な取扱いに係る技能を判断する試験により、業務上必要となる実務能力を備えているか測ります。

 

詳細は「漁業技能測定試験(養殖業)」試験実施要領をご覧ください。

 

また、特定技能「漁業技能測定試験」を取得する際に、国内で受験する場合と国外で受験する場合の2種類の受験方法があります。

 

日本国内で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。

 

・在留資格を有し、試験日において満17歳以上であること

 

・退去強制令書の円滑な執行に協力するとして法務大臣が告示で定める外国政府または地域の権限ある機関の発行した旅券を所持すること

日本国外で受験する際は、以下の条件を満たす必要があります。

 

・試験日において満17歳以上であること

※試験に関する詳細は大日本水産会「在留資格「特定技能」について」をご覧下さい。

 

日本語試験について

 

次にもう一つ、日本語試験として「国際交流基金日本語基礎テスト」または「日本語能力試験のN4以上」に合格する必要があります。

 

この試験では、日常会話や生活に支障がない程度の日本語能力を外国人が有しているのか、基本的な日本語能力を試験するものです。

特定技能「漁業」の取得方法|②技能実習2号から特定技能「漁業」へ移行する

特定技能「漁業」を取得する2つ目の方法として、技能実習2号を修了して無試験で在留資格「特定技能」へ移行する方法があります。

 

技能実習2号を修了した外国人は、試験を受けることなく在留資格「特定技能」へ移行することが可能です。これにより、これまで日本に滞在していた技能実習生は、特定技能を得ることで追加で最長5年日本に滞在できるため、在留期間を伸ばすことができます。

 

技能実習生に関する詳細はこちらの記事をご覧ください。

 

関連記事

【79 番の記事が挿入されます】

特定技能「漁業」の外国人を受け入れるために

前章では、外国人労働者が特定技能「漁業」を取得する方法について詳しく紹介しました。

 

次に、特定技能「漁業」資格を持った外国人労働者の雇用(受入れ)を検討している企業の方が、どうすれば特定技能「漁業」の外国人労働者を受入れることができるか説明します。

 

特定技能「漁業」の外国人を受け入れるために、以下の基準を満たす必要があります。

 

①労働、社会保険及び租税に関する法令を遵守していること

②1年以内に特定技能外国人材と同種の業務に従事する労働者を非自発的に離職させて

いないこと

③1年以内に受入れ機関の責めに帰すべき事由により、外国人の行方不明者を発生させ

ていないこと

④欠格事由(5年以内に出入国・労働法令違反がないこと等)に該当しないこと

⑤特定技能外国人材の活動内容に係る文書を作成し、雇用契約終了日から1年以上備え

て置くこと

⑥特定技能外国人材等が保証金の徴収等をされていることを受入れ機関が認識して雇用

契約を締結していないこと

⑦受入れ機関が違約金を定める契約等を締結していないこと

⑧支援に要する費用を直接又は間接に特定技能外国人材に負担させないこと

⑨労働者派遣の場合は、派遣先が①~④の基準に適合すること

⑩労災保険関係の成立の届出等の措置を講じていること

⑪雇用契約を継続して履行する体制が適切に整備されていること

⑫報酬を預貯金口座へ振込等により支払うこと

さらに、もう一つ、特定技能「漁業」を取得した外国人労働者を雇う際、外国人の受け入れ事業者である特定技能所属機関は、「漁業分野特定技能協議会」に入会しなければいけません。

漁業分野特定技能協議会について

「漁業分野特定技能協議会」は、漁業分野における特定技能制度の適切な運用を図るために、水産庁が設置した協議会です。

 

「漁業分野特定技能協議会」は、農林水産省、学識者、登録支援機関、漁業事業者及び団体、その他の関係者で構成されており、受け入れ事業者は、漁業分野特定技能協議会に対して、必要な協力を行う必要があります。

 

「漁業分野特定技能協議会」では、以下の要件に従う必要があります。

 

①特定技能外国人材を受け入れた日から4ヶ月以内に協議会の構成員になること

②協議会(分科会を含む)において協議が調った措置を講じること

③協議会及びその構成員に対し、必要な協力を行うこと

漁業分野特定技能協議会に関する詳しい情報は、水産庁「特定技能外国人材の受入れ制度について(漁業分野)」をご覧ください。

特定技能「漁業」のまとめ

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この記事では、在留資格「特定技能」の14業種の中の1つ「漁業」について詳しく紹介しました。

 

漁業は、人手不足が今後も深刻化することが予想されます。しかし、技能実習生の受け入れ増加とともに、特定技能「漁業」の外国人労働者の受け入れが増えていくことで、外国人労働者が増え、人手不足の状況が少しでもよくなればと思います。

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著者 アドミン

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