海外からの日本の就労者数・留学者数ともに日本で一番多いのが中国人です。今回は、日本で中国人を採用する際の注意点や宗教、日本語能力や活躍・定着に欠かせないマネジメント上の注意点を解説していきます。
中国の基本情報~人口と日本在住の中国人~
まずは、中国の基本情報を見ていきましょう。中国人の採用を検討する企業にとって、中国の社会・経済状況と日本在住の中国人の現状を理解することは重要な第一歩です。
中国の人口・経済の概要
中国の正式名称は中華人民共和国です。中国国家統計局が2026年1月に公表した統計によると、2025年末時点の人口は約14億489万人で、前年末から約339万人減少しました。中国では2022年以降、人口が4年連続で減少しており、少子高齢化が急速に進行しています。2025年の出生数は約792万人と過去最少を更新し、60歳以上の人口が全体の23.0%を占める状況です。
経済面では、2025年の国内総生産(GDP)は約140兆1,879億元(約19.5兆ドル相当)で、実質成長率は前年比5.0%でした。中国は世界第2位の経済大国であり、日本にとって最大級の貿易相手国の一つです。
- 正式名称:中華人民共和国
- 人口:約14億489万人(2025年末、中国国家統計局)
- GDP:約140兆1,879億元/実質成長率5.0%(2025年、中国国家統計局)
日本における中国人の最新データ【2026年3月現在】
日本における中国人は、労働者・留学生・観光客のいずれにおいても大きな存在感を持っています。以下に最新の主要統計をまとめます。
【日本での中国人労働者数】
厚生労働省が2026年1月に公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、日本国内の中国人労働者数は431,949人(全体の16.8%)で、ベトナムに次ぐ第2位です。2019年までは中国人が国籍別で最多でしたが、2020年にベトナムに抜かれて以降は第2位が続いています。
出典:厚生労働省「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」
なお、中国人労働者の在留資格別の特徴として、技術・人文知識・国際業務(技人国)の取得者が多い点が挙げられます。これは中国の教育水準の高さや、日本語・日本文化への関心が高いことを反映していると考えられます。また、身分に基づく在留資格(永住者、日本人の配偶者等)で就労する中国人も多く、多様な雇用形態で日本経済に貢献しています。
産業別では、かつては製造業が最多でしたが、近年は卸売業・小売業や宿泊業・飲食サービス業、情報通信業など幅広い分野で中国人が活躍しています。
【日本での中国人留学生数】
独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)が公表した「2024年度外国人留学生在籍状況調査」によると、2024年5月1日時点で日本に在籍する中国人留学生は123,485人(前年度比6.9%増)であり、国籍別で最多です。日本の外国人留学生全体(336,708人)の約36.7%を中国人が占めています。
出典:独立行政法人日本学生支援機構(JASSO)「2024年度外国人留学生在籍状況調査」
【日本への中国人観光客数】
日本政府観光局(JNTO)の統計によると、2024年の訪日中国人数は約698万1,200人でした。コロナ禍前の2019年(約959万人)には届いていないものの、2023年比で約187.9%増と急激に回復しています。2025年に入ってからはさらに回復が進んでおり、コロナ禍前の水準に近づきつつあるとみられます。
出典:日本政府観光局(JNTO)訪日外客統計
このように、中国人は労働者・留学生・観光客のすべてにおいて日本との関わりが深く、特に就労分野では技人国ビザでの高度人材から、身分に基づく在留資格での就労まで幅広い層が活躍しています。中国人採用を検討する企業にとっては、こうした背景を把握しておくことが重要です。
中国人の採用に関するメリットや注意点について、以下のビザマネメディアの記事もあわせてご参照ください。
中国人を採用することのメリットや注意点についてご紹介!!(ビザマネメディア)
中国の基本情報~中国人の民族と宗教~
中国人を採用する際には、宗教や文化的背景への理解も大切です。中国では、漢民族(全人口の約92%)と55の少数民族(約8%)が暮らしています。中国政府が公認している宗教は、キリスト教(カトリック・プロテスタント)・イスラム教・仏教・道教の4つです。ただし、実際には特定の宗教に属さない民間信仰や無宗教の人も多く、宗教事情は多様です。
以下は、中国における主な宗教・信仰の割合とされる目安です。なお、中国の宗教統計は調査方法や定義によって数値が異なるため、あくまで参考値としてお考えください。
民間信仰(約56%とされる)
中国では、宗教として公式に認められていないものの、民間信仰を持つ人が最も多いとされています。小規模な地域社会で代々受け継がれてきた儀礼や祭式、行事による信仰であり、民衆道教やシャーマニズム的信仰、アニミズム的信仰などを含みます。
仏教(約14%とされる)
仏教は紀元1世紀前後にインドから中国に伝わり、その後「漢民族仏教」「チベット仏教(ラマ教)」「南仏教」の3種に分かれました。漢民族の中で宗教を信仰している人の多くは「漢民族仏教」を信仰しているとされ、「チベット仏教」はチベット族やモンゴル族など、「南仏教」はタイ族などの少数民族の間で信仰されています。
道教(約14%とされる)
道教は中国で生まれた漢民族の宗教で、自然の神々への信仰を集大成し、老子の道家思想を中心に据えています。現在も漢民族の精神文化に大きな影響を与えているとされます。
無宗教(約13%とされる)
特定の宗教を信仰しない、あるいは信仰そのものを持たないという立場です。中国では共産党の唯物論的な思想の影響もあり、無宗教を自認する人も一定数いるとされています。
キリスト教(約2~3%とされる)
中国では、キリスト教には天主教(カトリック)と基督教(プロテスタント)の2つの教派があります。カトリックは新中国成立後に欧米からの自立が課題となり、聖職者の任命を独自に行う体制が続いています。プロテスタントは「自治、自養、自伝」を目的とする「三自愛国運動委員会」のもとで活動しています。
イスラム教(約2%とされる)
紀元7世紀に中国に伝来し、回族、ウイグル族、カザフ族など主に少数民族の間で信仰されています。中国のイスラム教徒は主にスンニ派に属しているとされます。
中国人を採用する際には、こうした宗教的多様性を理解しつつも、個人の信仰を尊重する姿勢が大切です。食事に関する禁忌(イスラム教徒の豚肉禁止など)がある場合もありますので、社員食堂や会食の際に配慮することをおすすめします。ただし、中国人の多くは特定の宗教に対して厳格ではない傾向があるとされるため、過度に構える必要はないでしょう。
中国人の仕事の考え方(仕事観)
中国人の仕事観を理解する上でのキーワードは、「合理的」「率直」「結果重視」「プライベート優先」「自己主張」の5つです。もちろん個人差は大きいですが、日本人との一般的な傾向の違いを知っておくことで、マネジメントや採用面接の際に役立ちます。
キャリア志向(日本人と比較して、高い傾向)
中国人は一般的にキャリア志向が高い傾向があるとされています。昇進によるキャリアのステップアップを重視し、会社に「属している」というよりも、自分の能力を会社に「提供している」という感覚を持つ人が多いとされます。そのため、今の会社でキャリアパスが描けなかったり、年功序列的に昇進まで時間がかかったりする場合は、転職を検討する傾向があります。
日本企業が中国人を採用する際には、平等で客観的な評価基準を設け、能力主義・成果主義に基づいた昇進(キャリアパス)の基準を明確にしておくことが特に重要です。
給与の優先順位(日本人と比較して、高い傾向)
中国人は一般的に、給与の優先順位が高い傾向があるとされています。給与を上げるということに対するこだわりが、日本人よりも強い場合が多いとされます。キャリア志向の高さと連動して、昇進・昇給のために転職の機会を探すことも珍しくありません。
具体的には、同僚同士で給与を見せ合い、他社と比較することがあるとされます。給与を見せ合うことへの抵抗感が少なく、納得がいかない場合は上司や会社に合理的な説明を求める傾向があります。また、中国と日本の社会保険制度や所得税の制度は異なるため、給与の内訳や税金の仕組みについて丁寧に説明することがとても大切です。
仕事とプライベートの優先順位(日本人と比較して、プライベート優先の傾向)
中国人はプライベートを優先する傾向が比較的強いとされています。与えられた仕事や評価に直結する業務以外のことを行うのは「損」と捉える人が多いとされます。たとえば、日本人が習慣的に行う職場の清掃や身の回りの片付けなど、評価に直接結びつかない業務を率先して行うことは少ない傾向があります。
直接的に評価に結びつかないことで残業が増えるよりも、自分の時間を大切にしたいという考え方が一般的とされるため、業務範囲を明確にし、期待する役割を具体的に伝えることが効果的です。
異文化理解力の8つの指標~日本人から見た中国人~
異文化理解力を身につけることは、グローバル化が進む現代のビジネスにおいてますます重要です。ここでは、エリン・メイヤー氏の「カルチャーマップ」などの異文化研究の知見を参考に、日本人から見た中国人のコミュニケーションやビジネスにおける一般的な傾向を8つの指標で解説します。あくまで傾向であり、個人差があることにご留意ください。
コミュニケーション(ハイコンテクストの傾向)
日本人も中国人も共にハイコンテクスト(文脈に依存する間接的なコミュニケーション)な文化に分類されます。ただし、全く同じ文化背景ではないため、ビジネス上の会話では意図がずれる場合もあり、曖昧な表現を避け、重要な点は明確に伝える工夫が求められます。
評価(やや直接的なネガティブフィードバックを好む傾向)
日本人も中国人も世界的には間接的なフィードバックを好む傾向がありますが、日本人から見ると、中国人はやや直接的にフィードバックを行う傾向があるとされます。ネガティブなフィードバックをする際は、人前ではなく1対1で、合理的かつ具体的に伝えることが効果的です。
説得(応用優先の傾向)
中国人は日本と同様に、人を説得する際には応用優先(結論や事実を先に述べてから説明する)を好む傾向があるとされます。長い理論的な前提よりも、具体的な事実やデータに基づいた説明が効果的です。
リード(階層主義の傾向)
中国人は、日本と同様に組織として階層主義(ピラミッド型)を好む傾向があります。ただし、年功序列に基づいてではなく、成果や実力のある人、権力のある人に対して敬意を示す傾向が強いとされます。また、立場に関係なく、上司や経営者に対しても意見を述べることがあるため、それ自体を「反抗」と受け取らないことが大切です。
決断(トップダウン式を好む傾向)
日本の多くの企業では合意形成(コンセンサス)を重視しますが、中国人は一貫した強力なリーダーによるトップダウン式の意思決定を好む傾向があるとされます。優柔不断に映るような合意プロセスよりも、明確にリードするタイプの上司のもとで力を発揮しやすいと考えられます。
信頼(関係ベースの傾向)
中国人の仕事上の信頼構築は、タスク(仕事の成果)だけでなく、人間関係に大きく依存する傾向があります。日本も同様ですが、中国ではとりわけ「関係(グアンシー)」と呼ばれる人脈・人間関係を重視する文化があります。中国人社員と仕事をする際は、業務外でも良好な関係を築くことが信頼獲得につながるとされます。
見解の相違(やや対立型の傾向)
中国人は意見の相違に対して、日本人よりもやや対立型の傾向があるとされます。反対意見を述べることが人間関係を損なうとは考えにくい文化であるため、中国人社員の率直な意見表明を「対立」と受け取らず、建設的な議論として活用する姿勢が重要です。
スケジューリング(柔軟な時間の傾向)
中国人はスケジューリングや時間に対して、比較的柔軟な感覚を持つ傾向があるとされます。日本人が1週間前や1か月前に予定を入れてスケジュールを埋めることが多いのに対し、中国人はビジネスチャンスを逃さないためにスケジュールをなるべく空けておくことがあるとされます。また、出勤時間の感覚についても、開店時間=出勤時間と考える人もいるとされるため、就業規則やルールについては入社時に明確に説明することが大切です。
中国人社員が抱えやすい悩みと企業の対策
中国人社員が抱える悩みには様々なものがありますが、特に多い傾向があるのは、自己評価と実際の評価の乖離、キャリアアップの見通しの不透明さ、給与への不満などです。これらの悩みを放置すると離職につながる可能性があるため、企業として対策を講じることが重要です。
自分の能力評価がされない・自己評価よりも低い
日本人と比べて、自分の時間と能力を会社に提供しているという感覚が強い中国人にとっては、公正公平な成果に基づく評価がなされないと、大きな不満につながりやすいとされます。また、自己主張をしっかりとする傾向があるため、評価に対して納得できる説明を求めてくることも多いとされます。
<企業ができる対策>
人事評価の評価項目を見直し、成果・結果にフォーカスされた評価制度を整えることである程度は対策できます。年功序列的な制度を維持する場合は、その理由と仕組みを採用前に丁寧に説明しておくことが、入社後のミスマッチを防ぐうえで大切です。
キャリアアップが思い描けない
昇進志向の強い中国人にとって、「どんな成果や結果を出せば、どのようなキャリアステップが描けるのか」が不明確な場合、不満を抱えやすいとされます。日本企業では「何年くらいしたらリーダーになる」と時間軸だけで曖昧に説明しがちですが、こうした説明では中国人が納得しにくい傾向があります。
具体的には「リーダーになるにはどのような能力やスキルが必要で、どんなことができればなれるのか」「課長になるには何が必要か」といった、ポジションごとの具体的な条件やスキル要件を明示することが求められます。
<企業ができる対策>
人事制度として、明瞭なキャリアステップを設計し、それに伴う条件をしっかりと提示する必要があります。
給与が上がらない・給与が少ない
中国人にとって給与は仕事をする上で非常に重要な要素です。中国では目覚ましい経済成長が続いてきた結果、国内ではすでに日本と同等かそれ以上の給与が得られる仕事も増えています。中国人は母国の友人などと給与を比較することもあるとされ、自分の給与が低いと感じた場合に不満を抱えやすい傾向があります。さらに、自分よりも能力が低いと感じている同僚がより高い給与を得ている場合にも不満が生じやすいとされます。
<企業ができる対策>
中国人を採用する際は、給与設計も見直し、明確で合理的な制度を整えることが重要です。人事評価に連動した給与体系を設け、適切な説明ができる体制を整えることが望まれます。また、「どうなったら給与が上がるのか」を具体的に説明することで、不満の軽減が期待できます。さらに、中国企業と日本企業では税制や社会保険の仕組みが異なるため、額面と手取りの違いについても丁寧に説明することが大事です。
中国人採用における在留資格と手続きのポイント
中国人を採用する際には、在留資格(いわゆる就労ビザ)の確認が不可欠です。在留資格の種類によって従事できる業務が異なるため、採用前に在留カードの確認を必ず行いましょう。
中国人の就労者に多い在留資格には以下のようなものがあります。
- 技術・人文知識・国際業務(技人国):ITエンジニア、通訳、翻訳、経理、マーケティングなどの専門業務に従事する在留資格。中国人労働者に最も多い在留資格の一つです。
- 特定技能(1号・2号):人手不足が深刻な産業分野で、一定の技能と日本語能力を持つ外国人が就労できる在留資格です。
- 身分に基づく在留資格(永住者、日本人の配偶者等、定住者など):就労制限がなく、どのような職種にも従事可能です。
外国人を雇い入れた場合や離職した場合には、事業主はハローワークに「外国人雇用状況の届出」を提出する義務があります。届出を怠った場合や虚偽の届出を行った場合は、30万円以下の罰金の対象となります。
また、2027年4月には現行の技能実習制度に代わり「育成就労制度」が施行される予定です。この新制度では、従来の技能実習制度に比べて外国人の転籍(転職)の余地が広がるため、中国人を含む外国人材の流動性が高まることが予想されます。企業としては、働きやすい環境の整備や待遇改善を通じて人材の定着を図ることが一層重要になるでしょう。
在留資格の管理にはビザマネの活用がおすすめ
多くの中国人従業員を含む外国人を雇用する企業にとって、在留カードの期限管理や偽造確認、各種届出の管理は大きな業務負担となります。とくに中国人は在留資格の種類が多様であるため、一人ひとりの在留資格に応じた管理が求められます。
「ビザマネ」は、外国人雇用に特有の管理業務を一元化できるクラウドサービスです。在留カードの期限が近づくと本社・事業所・従業員本人に自動でアラートが送信されるため、期限管理漏れによる不法就労リスクを防止できます。また、在留カードの偽造チェックや就労可否判定もシステム上で簡単に行えるため、人事担当者の負担を大幅に軽減できます。
中国人採用を拡大する企業にとって、在留資格管理のシステム化はコンプライアンスの確保と業務効率化の両方に大きく寄与します。外国人雇用の管理にお悩みの企業様は、ぜひビザマネの導入をご検討ください。


