外国人採用におけるベトナム人を採用する際の注意点や宗教、採用から定着と活躍までを徹底解説!

執筆者 5月 8, 2020ニュースコメント0件

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ベトナムの基本情報

ベトナム人材の採用を検討する際には、まずベトナムという国の基本的な情報を理解しておくことが重要です。ベトナムの民族構成や宗教、経済状況を把握することで、採用後のコミュニケーションやマネジメントに役立てることができます。

ベトナムの民族・宗教

ベトナムは54の民族で構成される多民族国家です。そのうち多数派を占めるのがキン族(越族)で、人口の約86%以上を占めるとされています。

宗教に関しては、外務省の基礎データによると、ベトナムの主な宗教は仏教、カトリック、カオダイ教などとされています。2019年の国勢調査では、特定の宗教を持つと回答した人は全体の約13.7%にとどまり、そのうちカトリックが約6.1%、仏教が約4.8%を占めています。ただし、特定の宗教団体に所属していなくても、日常生活では仏教や儒教、道教の影響を受けた慣習を大切にしている方が多いとされています。

フランス統治時代に広まったカトリックは、現在でもベトナム各地に教会が残っています。そのほかカオダイ教、ホアハオ教、プロテスタント、イスラム教なども存在します。日本と同様に、クリスマスや旧正月(テト)など多宗教のイベントを楽しむ文化があり、宗教観は比較的柔軟です。

採用の現場においては、一部のカトリック信者や仏教徒の中に食事制限を持つ方がいる可能性があるため、事前に確認しておくとよいでしょう。ただし、厳格な食事制限を日常的に守っている方は少数とされています。

ベトナムの経済と人口

ベトナムの人口は2026年時点で約1億217万人と推計されており、東南アジアでも有数の人口規模を誇ります。2025年通年のGDP成長率は8.02%を記録し、2011年以来の高い成長率となりました。ベトナム国会は2026年のGDP成長率目標を10%以上に設定しており、経済成長への意欲は非常に高い状況です。

一方で、ベトナム国内の平均賃金は日本と比較すると依然として低く、より高い収入を求めて海外で働くことを選ぶベトナム人が多いのが現状です。こうした経済的背景が、日本で働くベトナム人労働者の増加を支える要因の一つとなっています。

日本で働くベトナム人労働者の最新動向

日本における外国人労働者数は年々増加しており、ベトナム人は国籍別で最多を維持しています。ここでは、2026年4月時点で公表されている最新の統計データをもとに、ベトナム人労働者の現状を解説します。

ベトナム人労働者数と在留資格別の内訳

厚生労働省が2026年1月30日に公表した「外国人雇用状況の届出状況まとめ(令和7年10月末時点)」によると、日本で働く外国人労働者の総数は約257万1,037人で、過去最高を更新しました。そのうちベトナム人は605,906人(全体の23.6%)で、国籍別では引き続き最多です。

在留資格別に見ると、かつてはベトナム人労働者の多くが技能実習の在留資格で日本に滞在していましたが、近年は「専門的・技術的分野の在留資格」(特定技能を含む)での就労者が大幅に増加しています。この傾向は、特定技能制度の活用拡大や、技能実習修了後に特定技能へ移行するケースが増えていることを反映しています。

業界別のベトナム人労働者の特徴

ベトナム人労働者が多く活躍している業界は、製造業が最も多く、次いで宿泊業・飲食サービス業、建設業となっています。いわゆるブルーカラー系の業種に従事する方が多い傾向にあります。

ただし、近年はIT分野やエンジニア職など、専門的・技術的分野で活躍するベトナム人も増加しています。ベトナム政府が理系人材の育成に力を入れていることもあり、プログラミングや設計などのスキルを持つ人材が日本企業に採用されるケースも見られます。

ベトナム人を採用できる主な在留資格と制度変更

ベトナム人を日本で雇用するためには、適切な在留資格(いわゆる「就労ビザ」)を取得する必要があります。在留資格とは、外国人が日本に在留するために入管法上認められた資格のことで、資格ごとに就労の可否や従事できる業務が異なります。ここでは、ベトナム人の採用に関連する主な在留資格と、2027年に予定されている制度変更について解説します。

技能実習から育成就労制度への移行

技能実習制度は、これまでベトナム人労働者を日本に受け入れる最も大きな経路の一つでした。しかし、2024年6月に成立した改正法により、技能実習制度は廃止され、2027年4月1日から新たに「育成就労制度」が施行されることが決定しています。

育成就労制度は、従来の技能実習制度が「国際貢献」を目的としていたのに対し、「人材の確保と育成」を明確な目的として掲げる新しい制度です。主な変更点としては、一定の条件下で労働者本人の意思による「転籍」(勤務先の変更)が可能になること、日本語能力の習得が義務化されること、特定技能制度へのスムーズな移行が制度設計に組み込まれていることなどが挙げられます。

なお、施行後3年間は移行期間として技能実習制度と育成就労制度が併存するため、2030年頃までに段階的に移行が完了する見込みです。現在技能実習生を受け入れている企業は、早めに新制度への対応準備を進めることが重要です。

特定技能

特定技能は、2019年4月に新設された在留資格で、日本国内の人手不足が深刻な特定の産業分野で即戦力となる外国人を受け入れることを目的としています。1号と2号の2種類があり、1号は在留期間が通算5年まで、2号は更新に上限がなく、家族の帯同も認められています。

ベトナム人の特定技能在留者は増加傾向にあり、技能実習を修了した後に特定技能1号へ移行するケースが多く見られます。なお、ベトナム国籍の方を特定技能で受け入れる場合は、ベトナムとの二国間取決めに基づく手続きが必要です。「推薦者表」の要否は、海外から新たに受け入れる場合と、日本国内で在留資格を変更する場合とで異なります。手続きの詳細や最新の要件は出入国在留管理庁の案内を確認してください。

技術・人文知識・国際業務

「技術・人文知識・国際業務」(通称「技人国」)は、大学や専門学校で学んだ専門知識や技術を活かして日本で働くための在留資格です。ITエンジニア、翻訳・通訳、貿易事務、マーケティングなどの業務が対象となります。

留学生として日本に滞在しているベトナム人を卒業後に正社員として採用する場合には、この在留資格への変更手続きが必要です。申請の際には、従事する業務内容と本人の学歴・専攻との関連性が審査されるため、採用予定の業務内容を明確にしておくことが重要です。

資格外活動(留学生アルバイト)

「留学」の在留資格を持つベトナム人留学生は、資格外活動の許可を得ることで、週28時間以内(長期休業期間中は1日8時間以内)のアルバイトが可能です。

ただし、この時間制限を超えて働かせた場合、雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。留学生をアルバイトとして雇用する際は、在留カードの裏面に記載されている資格外活動許可の有無を必ず確認し、勤務時間の管理を徹底してください。

ベトナム人の仕事観と採用時に知っておくべき特徴

ベトナム人材を採用・定着させるうえで、ベトナム人の仕事に対する考え方を理解しておくことは非常に重要です。ここでは「キャリア志向」「給与の優先順位」「仕事とプライベートのバランス」の3つの観点から解説します。

キャリア志向

ベトナム人は、日本人と比較するとキャリア志向がそれほど高くないとされています。長期的な計画に基づいてキャリアステップを踏んでいくという意識よりも、「今の仕事でどのようなスキルを身につけられるか」というスキルアップへの関心のほうが高い傾向があります。

採用面接や入社後の面談では、「この仕事でどのような技術が習得できるか」「将来どのようなスキルが身につくか」を具体的に伝えることが、応募者・社員のモチベーション向上につながるとされています。

給与の優先順位

ベトナム人にとって、給与は仕事を選ぶ際の最も重要な要素の一つです。長期的なキャリアビジョンよりも、「今すぐにどれくらいの収入が得られるか」を重視する傾向があるとされています。

日本企業の採用活動では「理念」「ビジョン」「ミッション」を強調することが一般的ですが、ベトナム人にとっては、それよりも具体的な給与額、昇給の条件や時期、賞与の有無といった情報のほうが重要視される傾向にあります。採用時には、同業他社や同地域の給与水準も踏まえて、明確な給与体系を提示することが効果的です。

仕事とプライベートのバランス

ベトナム人は家族をとても大切にする文化があります。仕事に対しては勤勉に取り組みますが、残業や会社の飲み会への参加よりも、家族やパートナーとの時間を優先する傾向があります。

また、「家族のように接してくれる職場」を好む方が多いとされています。上司や同僚との人間関係が良好であることが、ベトナム人社員の定着率向上に大きく寄与します。

ベトナム人社員のマネジメントに活かす異文化理解の8つの指標

ベトナム人社員を効果的にマネジメントするためには、日本とベトナムの文化的な違いを理解しておくことが欠かせません。以下の8つの指標をもとに、日本人との違いを解説します。

コミュニケーション

日本人もベトナム人も、世界的に見るとハイコンテクスト(文脈依存型)なコミュニケーションをする国に分類されます。しかし、日本人から見ると、ベトナム人はよりローコンテクスト(直接的)なコミュニケーションをとる傾向があります。指示や業務内容は曖昧にせず、具体的かつ明確に伝えることが重要です。

評価(ネガティブフィードバック)

ベトナム人にネガティブなフィードバックをする際は、日本人に対するよりも直接的に伝えたほうが効果的とされています。ただし、「合理的」「論理的」に伝えることが大切です。ベトナム人は感情的になりやすい面があるとされているため、感情的にならず冷静に、具体的な改善点を提示するようにしましょう。

説得

ベトナム人を説得する際は、原理優先のアプローチが有効とされています。まず理論や背景にある原理原則を説明したうえで、事実や意見を提示する順序が望ましいです。これは日本人に対する説得方法とは異なるため、注意が必要です。

リード(組織のあり方)

ベトナム人は、組織として平等主義(フラット型)を好む傾向があるとされています。ベトナムは社会主義国家であり、平等で公正な社会を目指す思想が根底にあることが影響していると考えられます。組織運営においても、過度な上下関係や権威主義的なマネジメントは避けたほうがよいでしょう。

決断

決断に関しても、ベトナム人は合意志向を好む傾向にあるとされています。重要な決定をトップダウンで行うよりも、関係者の意見を踏まえたうえで合意形成を図るプロセスが受け入れられやすいと言えます。

信頼

ベトナム人の仕事上の信頼は、タスクの成果よりも人間関係に基づく部分が大きいとされています。日本人も同様の傾向がありますが、ベトナム人の場合は特に、日常的なコミュニケーションや個人的な関係構築が信頼醸成に重要な役割を果たします。

見解の相違

ベトナム人は、意見の相違がある場合に対立型のアプローチを取る傾向があるとされています。欧米ほどではありませんが、日本人と比較すると、異なる意見や考えを積極的に主張する姿勢が見られます。意見の対立を否定的に捉えるのではなく、建設的な議論の機会として活用する姿勢が大切です。

スケジューリング

ベトナム人は、時間やスケジュールに対して柔軟な感覚を持つ傾向があるとされています。日本では当たり前とされる「5分前行動」のような時間感覚は、ベトナムでは一般的ではありません。

特に技能実習や特定技能で来日したベトナム人の中には、ビジネスマナーとしての時間管理に慣れていない方もいます。入社時のオリエンテーションや研修で、日本のビジネスにおける時間厳守の重要性を丁寧に説明することが効果的です。

ベトナム人社員が抱えやすい悩みと企業ができる対策

ベトナム人社員を採用した企業では、文化や言語の違いからさまざまな問題が生じることがあります。ここでは、ベトナム人社員が抱えやすい代表的な悩みと、それに対する企業側の対策を解説します。

日本人上司に感情的に怒られる

ベトナム人社員が最も不満を感じやすい場面の一つが、日本人上司から感情的に叱責されるケースです。上司が怒っていることは伝わるものの、「なぜ怒っているのか」が理解できず、恐怖や不満を抱くことが多いとされています。

【企業ができる対策】

ベトナム人社員を叱る際は、感情的にならず、論理的に原因と改善点を伝えることを徹底しましょう。異なる文化的背景を持つ方に対して、外国語で感情的に怒ることは、相手に大きな恐怖を与える可能性があります。「何が問題だったのか」「次にどうすればよいのか」を具体的に示すことが重要です。

自分の意見を聞いてもらえない

ベトナム人社員は、自分の意見が聞き入れられているかどうかをとても気にする傾向があります。日本人従業員が多数を占める職場で、少数派であるベトナム人社員が「自分のことを気にかけてもらえていない」と感じると、不満が蓄積しやすくなります。

【企業ができる対策】

外国人社員の意見を積極的に取り入れる仕組みづくりが大切です。定期的な1on1ミーティングの実施や、母国語で相談できる窓口の設置など、意見を表明しやすい環境を整えましょう。「外国人を日本人のやり方に合わせさせること」は多様性とは言えません。多様な価値観を受け入れる組織文化を醸成することが、外国人社員の活躍の場を広げることにつながります。

給与が低い・昇給が不明確

前述のとおり、ベトナム人にとって給与は非常に重要な要素です。同じ仕事内容であっても、少しでも給与が高い仕事があればそちらを選択する傾向があります。給与がなかなか上がらない、昇給の基準が不明確な場合には、大きな不満の原因となります。

【企業ができる対策】

ベトナム人を採用する際は、まず競合他社の給与水準を把握することから始めましょう。そのうえで、「入社時の給与はいくらか」「どのような条件を満たせば昇給するのか」「賞与の支給基準はどうなっているのか」を、採用面接の段階で具体的に説明することが重要です。

ベトナム人を採用する際の法的注意点

ベトナム人に限らず、外国人を雇用する企業は、入管法をはじめとする法令を遵守する必要があります。ここでは、特に注意すべき2つのポイントを解説します。

在留カードの確認と偽造対策

外国人を雇用する際は、必ず在留カードの原本を確認してください。在留カードには、氏名、在留資格、在留期間、就労制限の有無などが記載されています。コピーではなく現物を確認することが重要です。

近年、精巧な偽造在留カードが出回っているケースが報告されています。出入国在留管理庁が提供している「在留カード等読取アプリケーション」を活用し、ICチップの情報と券面の情報が一致しているかを確認することが推奨されています。

不法就労助長罪の厳罰化

2024年6月に成立した改正入管法により、不法就労助長罪の罰則が大幅に引き上げられることが決定しています。2026年4月時点の現行法では「3年以下の拘禁刑もしくは300万円以下の罰金」ですが、2026年6月14日の施行予定日以降は「5年以下の拘禁刑または500万円以下の罰金」に引き上げられ、拘禁刑と罰金刑の併科も可能となります。

「知らなかった」では済まされないのが不法就労助長罪の特徴です。在留カードの確認を怠った場合や、留学生の労働時間制限を超えて就労させた場合なども処罰の対象となり得ます。施行日を前に、外国人を雇用する企業は在留資格や在留期間の管理体制を今一度見直すことが強く求められます。

ベトナム人の採用・定着を成功させるためのポイント

ここまで解説してきた内容を踏まえ、ベトナム人の採用・定着を成功させるためのポイントを整理します。

  • 在留資格の種類と要件を正しく理解し、適切な手続きを行う
  • 給与体系や昇給条件を明確に提示し、入社前に具体的な説明を行う
  • 感情的な叱責を避け、論理的・具体的なフィードバックを心がける
  • 少数派である外国人社員の意見を積極的に取り入れる仕組みを作る
  • 時間管理やビジネスマナーについて、入社時に丁寧なオリエンテーションを実施する
  • 在留カードの原本確認とICチップ読取を採用時のルールとして定着させる
  • 2027年4月施行の育成就労制度への対応準備を早めに進める

外国人を100人以上雇用している企業では、在留カード情報や更新期限の管理を手作業で行うことは現実的ではありません。在留資格管理を効率化・自動化するサービスの導入を検討することも有効な選択肢です。

在留カード管理・期限アラートの自動化なら、「ビザマネ」がおすすめです。

ビザマネ サービスサイト

まとめ

ベトナム人は、日本で働く外国人労働者のなかで最も多い国籍であり、2025年10月末時点で約60万6千人が日本で就労しています。勤勉で協調性があり、日本語の習得にも積極的なベトナム人は、多くの日本企業にとって貴重な戦力となっています。

一方で、採用・マネジメントにおいては、ベトナム特有の仕事観や文化的背景への理解が不可欠です。給与を重視する傾向、家族を大切にする価値観、直接的なコミュニケーションを好む姿勢などを理解し、適切な環境を整えることが定着率の向上につながります。

また、2026年6月14日に施行予定の不法就労助長罪の厳罰化や、2027年4月に施行予定の育成就労制度への移行など、制度面でも大きな変化が控えています。法令遵守と在留資格の適切な管理は、企業の信頼性を守るうえで欠かせない取り組みです。2026年4月時点の最新情報を踏まえて、自社の受入体制を再点検してみてはいかがでしょうか。

著者 ビザマネメディア編集部

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