ミャンマー人を採用する上で知っておくべき、特徴・言語

2021年の軍事クーデター以降、政情不安が続くミャンマー。しかし、その影響もあり、日本で働くことを希望するミャンマー人は急増しています。2025年6月末時点で在日ミャンマー人は約16万人に達し、わずか2年で2倍以上に増加しました。
政府開発援助(ODA)による日本からの経済的な援助や、東京の高田馬場エリアが「リトル・ヤンゴン」(ミャンマー最大の都市に由来)と呼ばれるようになるなど、ミャンマーと日本との接点は以前よりも格段に増えています。
日本にある日本語学校においてもミャンマー人の生徒が増え、日本の四年制大学にもミャンマー出身の学生を普通に見るようになりました。技能実習生や特定技能として日本企業で働いているミャンマー人も多くいます。
そんなミャンマー人を日本企業が受け入れる上で、どのようなことを知っておく必要があるのか、2026年1月現在の最新情報を交えてまとめます。
ミャンマーという国について
ミャンマーは東南アジアに位置し、南東から北に向かってタイ、ラオス、中国に隣接し、西側はバングラデシュ、インドに隣接しています。1948年に独立し、それから1989年までは通称ビルマと呼ばれていた国です。
首都はネピドー、最大の都市はヤンゴンです。 2006年に首都がヤンゴンからネピドーに移りました。ミャンマーについて日本でよく知られていることとして、タナカ(Thanaka)が挙げられます。ミャンマーの現地の多くの女性が頬につけている白いペイントのことで、日焼け止め、ニキビ防止、美肌効果があると言われる一種の化粧品のようなものです。
ミャンマーの人口は、2025年現在で約5,485万人です。 国際的な統計機関の推計では、年齢の中央値は約30.1歳となっており、人口の半分以上が30歳以下という若い国です。
ネパールやインドと同じように、20歳代の若い方が全体人口の半分以上を占める、未来の可能性を大きく秘めた国といえます。
ミャンマーは多民族国家であり、人口の約7割はビルマ族で、ミャンマーの公用語はビルマ語(ミャンマー語)です。
ミャンマー国内には135種類の民族が存在し、独自の文化を形成している多民族国家です。 中国系やマレー系のミャンマー人も存在します。ちなみに、ビルマ語は文字の形が非常に可愛らしく、世界一可愛い言語とも言われています。
ミャンマー人の英語力は比較的高く、ASEAN諸国の中でも高い水準にあると言われています。
1948年まではイギリス領だったこともあり、英語を学ぶ環境が充実しています。イギリスの教育システムを参考にしているため、義務教育のスタートである幼稚園時から英語を学んでいるそうです。
ただ、長らく鎖国状態だった時期もあり、試験や授業などでは英語を使ってきていますが、実践での英語コミュニケーションはまだまだ発展途上という面もあります。そういった意味では日本人と近しいバックグラウンドなのかもしれません。
また、経済格差が激しいため、十分な教育を受けられない方もまだまだ多く、英語力もその格差によって個人差があります。
ミャンマー人の言語と日本語学習
ミャンマーでの日本語学習熱は非常に高く、2024年度の国際交流基金の調査では、日本語学習者数で世界第9位にランクインしました。 これは前回調査から順位を上げての結果です。
特筆すべきは、ミャンマーでの日本語教育機関数が世界第8位に入ったことです。2021年のクーデター以降、国内経済の悪化や通貨チャットの暴落を背景に、日本での就労を目指して日本語を学ぶ若者が急増しています。
日本語能力試験(JLPT)の受験者数も東南アジアで突出して多く、特定技能や技能実習への関心の高さを示しています。
ミャンマー語(ビルマ語)と日本語は文法構造が似ており、ミャンマー人にとって日本語は比較的習得しやすい言語とされています。 主語・目的語・動詞の語順が同じであることが、学習のしやすさにつながっています。
ミャンマー人を採用する上で知っておくべき、宗教・文化・歴史

続いて、ミャンマーの宗教や文化、歴史について紹介します。
ミャンマーの宗教
ミャンマーの人口の約87.9%が仏教徒で、その他にキリスト教やイスラム教、ヒンドゥー教、ミャンマー独自の宗教が数%という、人口の大部分が仏教徒である国です。
しかし、日本人や中国人などが信仰している仏教とは少し異なります。日本や中国は大乗仏教ですが、ミャンマーでは上座部仏教(小乗仏教)と言われています。
大乗と小乗は、乗り物の大きさを表しています。
大乗は大きな乗り物を意味し、「自分だけではなく全ての人のために!」という思想で、小乗は小さな乗り物を意味し、「仏の教えに従って、修行を行ったものだけが成仏できる」という思想です。
つまり、「全ての人のために!」という大乗とは対照的に、小乗は「自分の修行を通じて悟りを開く」という仏教といえます。
仏教が人々の倫理観に深く根付いているミャンマーでは、「1秒でも先に生まれた年長者には敬意を持って、また年下の者には優しく接する」という年功序列の文化があります。
いずれにしても、仏教徒であるため、先生や上司などの人生における先輩に対して敬意を払うことを大切にしており、その指示には素直に従う姿勢を持っています。
ミャンマーの歴史と現状
ミャンマーの歴史について触れると、1962年以降、長く軍事政権が続いてきましたが、2011年に民政移管が実施され、2015年にはアウンサンスーチー氏率いる国民民主連盟(NLD)が総選挙で圧勝し、約半世紀ぶりに民主的な政権が発足しました。
民主化に舵を切ってから経済成長は年を増すごとに進み、ヤンゴンでは道路が整備され、公共交通機関も改善されました。「アジア最後のフロンティア」として世界の注目を集めていました。
しかし、2021年2月1日、国軍がクーデターを起こし、アウンサンスーチー氏を含む民主派の指導者が拘束されました。 それ以降、国軍と民主派勢力、少数民族武装組織との間で三つ巴の争いが続いており、政情不安が継続しています。
2026年1月現在も、アウンサンスーチー氏を含む多くの人々が拘束されたままで、一部地域では武力衝突が続いています。2025年12月から2026年1月にかけて国軍主導の総選挙が実施されましたが、国際社会からは自由で公正な選挙ではないとの批判が出ています。ただし、首都ネピドーや最大都市ヤンゴンでは平穏が保たれており、日常生活は維持されています。
このような政治的に不安定な状況の中、家族を支えなければならない若者たちは日本をはじめとした海外に働き口を求めています。日本政府もミャンマーの情勢を鑑み、緊急避難措置として在日ミャンマー人に対して在留や就労を認める特例措置を実施しています。
「ミャンマー人を採用すべき」と言える彼らの特徴とは
外国人の中でもミャンマー人は日本人との相性が最も良い国籍のひとつといわれています。
その理由は、ミャンマー人が「親切」「素直」「温和」な性格で、「貢献意識」が強く、上司や先輩を「尊敬」する傾向が高いからです。
世界一親切な国民「ミャンマー人」
ミャンマー人は世界一親切であると言われています。
困っている人がいると自然と声をかけて助けようとする姿勢があり、「空気を読むこと」をミャンマー人の方は自然とできるのです。 これは日本人にとっても非常に共感できる特性ではないでしょうか。
とにかく困った人がいると助けたいというマインドを持っているのがミャンマー人の特徴です。
仏教徒であることも影響してか、大きく感情を表に出すことはなく、基本的に穏やかです。 常に落ち着いており、とにかく優しいという印象があります。
コミュニケーションを取っていても常にニコニコ笑顔でいることが多く、その温厚さは多くの日本企業から評価されています。
そして、素直に先輩や上司などの目上の方を尊敬し、指示に従ってきちんと実行します。これらの点は、日本人の気質とかなりマッチするといえます。
ミャンマー人の性格・文化について
ミャンマー人は親日家でもあります。アニメや漫画の影響もありますが、その親日家である背景には歴史的な関係も影響しています。
戦時中、日本軍とビルマ軍は協力関係にあり、このような歴史的背景が日本とミャンマーとの信頼関係の原点になっているという見方もあります。
当時から信頼関係が構築されており、それが現在においても引き継がれていることは非常に価値のあることです。
さらに、ミャンマーは女性が社会で活躍する文化があります。男性よりも女性の方が仕事に対して積極的という傾向も見られます。
人気のある日本の職種として、介護職を挙げるミャンマー人が多いです。
日本人があまり希望しない介護の仕事も、ミャンマー人の「困っている人を助けたい」という気質とマッチしていることから、希望する方が多くいます。
それ以外にも、ホテルや旅館などのサービス業、ホスピタリティ系の仕事、食品製造、建設、農業などがミャンマー人に人気があります。
2019年から特定技能の在留資格が施行され、現在では多くのミャンマー人が特定技能として日本で活躍しています。2024年6月末時点で、特定技能を持つミャンマー人は約19,000人以上に達し、前年から約2倍に増加しています。
特定技能の詳細については、以下の記事もご参照ください。
日本企業がミャンマー人を採用するメリットは?
1.言語スキル
ミャンマー人の英語スキルは比較的高く、ASEAN地域の中でも英語が堪能な方が多いです。これにより、英語を使用する日本企業であれば、コミュニケーションがスムーズに行えるため、ビジネスの円滑な進行が期待できます。
また、日本語学習意欲が非常に高く、日本語能力試験の受験者数は東南アジアでトップクラスです。ミャンマー語と日本語の文法構造が似ていることもあり、日本語の習得が比較的早いという特徴があります。
2.文化的な適応性
ミャンマーは多民族・多文化国家であり、ミャンマー人は異文化に対する適応性が高いです。日本企業の文化やビジネススタイルに対する理解や適応が比較的早く、円滑な人間関係の構築が可能です。
特に、年功序列を重んじる文化や目上の人を敬う姿勢は、日本の企業文化と非常に親和性が高いといえます。
3.若い労働力の確保
ミャンマーの年齢の中央値は約30歳と非常に若く、若年層の労働力が豊富です。少子高齢化が進む日本にとって、若くて意欲的な労働力を確保できることは大きなメリットです。
4.ダイバーシティの促進
ミャンマー人の採用により、企業内の多様性を促進することができます。異なる背景や文化を持つ社員を受け入れることで、創造性やイノベーション力を高め、組織のパフォーマンスを向上させる可能性があります。
5.高い就労意欲
2021年のクーデター以降、ミャンマー国内の経済状況が悪化し、日本で働きたいという意欲を持つミャンマー人が急増しています。母国の通貨チャットの暴落により、日本での就労による収入は非常に魅力的なものとなっており、真剣に日本語を学び、長期的に日本で働きたいと考える人材が多くいます。
ミャンマー人を採用した後に気をつけるポイントは?
クーデター以降、国内情勢が不安定な中でも、ミャンマー人の日本で働くメリットとして、安定した収入を得られることは大きな魅力です。
ミャンマー国内での平均月収は経済状況の悪化により大きく下がっており、日本の給与水準はミャンマー人にとって非常に魅力的です。
そのため、日本で働きたい意欲は非常に高いです。特定技能や技能実習制度を利用して日本で働くために「日本語を習得したい」と日本語学校に通うミャンマー人も増加傾向にあります。
ただし、素直な気質であるがゆえに、やりたくないことを我慢して行い、上司や先輩になかなか言えず、最終的にストレスが溜まってしまうケースもあります。
雇用側はこのような性格を考慮し、一方的に上から押し付けないようにすることが大切です。指導する際にも、伝え方には配慮が必要です。定期的な面談を設け、本人の気持ちを聞く機会を作ることをお勧めします。
また、ミャンマー人にとって家族は非常に大切な存在であり、親の言うことを重視する傾向があります。
大家族の家庭が多く、子どもが日本などに出稼ぎに行き、一家の経済を支えているようなケースも珍しくありません。本人の意志だけでなく、ご家族の意向もあることを理解しておくことが大事です。
加えて、家族と過ごす時間を設けてあげることなどの配慮も必要です。これはミャンマー人に限らず多くの外国人の方に当てはまりますが、家族を大事にする文化を尊重することは、外国人材の定着率向上にとってとても大切です。
技能実習生や特定技能の制度についてより詳しく知りたい方は、以下の記事もご参照ください。
まとめ
ミャンマー人は、親切で素直、温和な性格を持ち、目上の人を敬う文化があるため、日本企業との相性が非常に良い人材です。2026年1月現在、在日ミャンマー人は約16万人に達し、技能実習生や特定技能として働く方も急増しています。
日本語学習意欲も高く、国際交流基金の調査では日本語学習者数で世界第9位にランクインしています。ミャンマー語と日本語の文法構造が似ていることから、日本語の習得も比較的スムーズです。
採用にあたっては、彼らの素直な性格を理解し、一方的な指示ではなく対話を重視したコミュニケーションを心がけることが重要です。また、家族を大切にする文化を尊重し、働きやすい環境を整えることで、長期的な定着が期待できます。
外国人材の採用・管理に関するお悩みがございましたら、ぜひビザマネにご相談ください。


