外国人を雇用することにより受け取ることのできる助成金の種類
日本で働く外国人が増えるにあたり、外国人を積極的に雇用する企業が増えています。外国人を雇用すると助成金を受け取ることができるのですが、ここでは2026年最新の助成金の種類や受け取る条件などをご紹介します。
1-1. 雇用調整助成金
目的
雇用調整助成金は、経済的な困難に直面して事業活動の縮小を余儀なくされた事業主が、労働者の雇用を維持するために一時的に休業や教育訓練、出向を行った際に、その費用の一部を支援する制度です。 Hojyokin Portal休業を実施した場合の休業手当や教育訓練を実施した場合の賃金に相当する額の一部を助成します。
この助成金は全ての外国人労働者にも適用されます。
受給するための条件
雇用調整助成金を活用するには、事業主が一定の支給要件を満たしている必要があります。 RISK EYES以下のような条件を満たした事業主が対象となります。
① 雇用保険の適用事業所の事業主であること
② 売上高または生産量などの事業活動を示す指標の最近3か月間の月平均値が、前年同期に比べ10%以上減少していること(生産量要件) Activation-service
③ 雇用保険被保険者数や派遣労働者の最近3か月間の人数が、前年同期と比べて「大企業の場合は5%を超えてかつ6人以上」「中小企業の場合は10%を超えてかつ4人以上」増加していないこと(雇用量要件) Activation-service
④ 労使間の協定により、休業等または出向を行うこと
⑤ 事前に管轄都道府県労働局またはハローワークに計画届を提出すること
助成額
2024年度に制度改正が行われ、教育訓練の実施割合に応じて助成率や加算額が変わる仕組みが導入されました。 Hojyokin PortalMinistry of Health, Labour and Welfare
休業・教育訓練の場合:
- 中小企業: 基本助成率2/3
- 大企業: 基本助成率1/2 Ministry of Health, Labour and Welfare
ただし、1人1日当たり雇用保険基本手当日額の最高額(令和7年8月1日時点で8,870円)が上限です。 Ministry of Health, Labour and Welfare
教育訓練加算: 教育訓練の実施割合が1/5以上行われた場合は、加算額が1,800円に引き上げられます。 Hojyokin Portal
支給限度日数:
- 休業・教育訓練の場合、その初日から1年の間に最大100日分、3年の間に最大150日分受給できます。 Ministry of Health, Labour and Welfare
- 出向の場合は最長1年の出向期間中受給できます。
申請の仕方
休業もしくは教育訓練の場合は、以下の書類を管轄の労働局またはハローワークに提出する必要があります。
- 休業等実施計画届
- 休業協定書の写し
- 教育訓練協定書の写し
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申出書
- 支給申請書
出向の場合は、以下の書類を提出します。
- 出向実施計画届
- 出向協定書の写し
- 雇用調整実施事業所の事業活動の状況に関する申請書
- 支給申請書
上記の書類はハローワークにとりにいくか、厚生労働省のホームページからダウンロードすることもできます。
1-2. 人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)
目的
言語の違いや労働法規や雇用慣行の知識不足などの外国人特有の事情に配慮した就労環境の整備を行い、雇用保険被保険者となる外国人労働者の職場定着に取り組む事業主に対して助成するものです。 MoneyForward
受給するための条件
雇用保険の被保険者となる外国人労働者(特別永住者および在留資格「外交」「公用」を除く)を雇用する事業主が対象です。 MoneyForward
主な要件は以下の通りです:
① 認定を受けた「就労環境整備計画」に基づき、就労環境整備措置を実施すること
② 過去に助成金を受給した事業主が計画を提出する場合、最終支給決定日から3年以上経過していること
③ 倒産・解雇などの理由による離職者の割合が6%以下であること MoneyForward
④ 計画期間初日の前日から起算して6ヶ月前の日からの計画期間中に、事業主都合の解雇を行っていないこと
⑤ 計画期間終了後の一定期間経過後における外国人労働者の離職率が10%以下であること
助成額
支給額は、賃金要件を満たす場合は支給対象経費の2/3(上限72万円)、満たさない場合は支給対象経費の1/2(上限57万円)と定められています。 MoneyForward
対象となる経費は以下の通りです:
- 通訳費
- 翻訳機器導入費(上限10万円)
- 翻訳料
- 弁護士・社会保険労務士への委託料
- 多言語の社内標識類の設置・改修費
申請の仕方
- 就労環境整備計画を作成し、本社所在地を管轄する都道府県労働局またはハローワークへ提出する
- 認定を受けた計画に基づき、外国人労働者の就労環境整備措置を導入する
- 措置の完了後、必要な申請書類をそろえて、期日内に労働局へ提出する
1-3. 人材開発支援助成金
目的
人材開発支援助成金は、事業主等が雇用する労働者に対して、職務に関連した専門的な知識及び技能を習得させるための職業訓練等を計画に沿って実施した場合等に、訓練経費や訓練期間中の賃金の一部等を助成する制度です。 Ministry of Health, Labour and Welfare
2026年度は533億円の予算が概算要求されており、リスキリング支援コース受講企業への設備投資助成の新設が注目されています。 Atsuo-srJyoseikin-jyohoukyoku
コースの種類
人材開発支援助成金には、以下の6つのコースがあります:
- 人材育成支援コース
- 教育訓練休暇等付与コース
- 人への投資促進コース
- 事業展開等リスキリング支援コース
- 建設労働者認定訓練コース
- 建設労働者技能実習コース
このいずれのコースにも外国人雇用の場合があてはまります。
助成額
人材育成支援コースの場合:
賃金助成: 1人1時間あたり基本800円(令和7年4月から増額) Minatoitonami 賃上げ等をすれば: 1人1時間あたり1,000円にアップ
経費助成: 訓練時間数に応じて、中小企業の場合
- 100時間未満: 15万円
- 100時間以上200時間未満: 30万円
- 200時間以上: 50万円
人への投資促進コースの場合:
高度デジタル人材訓練については1人1時間当たり1,000円(中小企業以外は500円)、成長分野等人材訓練は1,000円、情報技術分野認定実習併用職業訓練については800円(中小企業以外は400円)に改正されました。 Amano
2026年度からは、訓練で得た知識や技能を活用し生産性向上に繋がる機器・設備を購入した場合に、購入費用の50%、上限は最大150万円が助成される予定です。 Jyoseikin-jyohoukyoku
申請の仕方
- 訓練開始の1か月前まで(原則6か月前から1か月前の間)に、職業訓練実施計画届を労働局へ提出
- 計画通りに訓練を実施
- 訓練終了日の翌日から2か月以内に支給申請書を提出
※令和6年10月1日~令和7年3月31日までに電子申請により計画届の提出を行った場合は、事前に厚生労働省のホームページで確認してください。 Ministry of Health, Labour and Welfare
1-4. キャリアアップ助成金
目的
キャリアアップ助成金とは、厚生労働省が提供する助成金制度です。有期雇用労働者、短時間労働者、派遣労働者などの非正規雇用労働者を対象に、彼らの労働意欲や能力の向上を支援し、企業における優秀な人材の確保を促進することを目的としています。 Hojyokin Portal
2026年度の予算概算要求では、企業の透明性向上と「年収の壁」対策が重点化されています。 Sogyotecho
コースの種類
2025年11月時点でキャリアアップ助成金には、以下の7つのコースがあります: Ministry of Health, Labour and Welfare
- 正社員化コース
- 障害者正社員化コース
- 賃金規定等改定コース
- 賃金規定等共通化コース
- 賞与・退職金制度導入コース
- 社会保険適用時処遇改善コース
- 短時間労働者労働時間延長支援コース
このいずれのコースも外国人労働者の雇用に対応しています。
助成額
正社員化コース:
令和7年度(2025年4月以降)の改正により、支給額が変更されました: Taxlabor
- 雇入れから3年以上の有期雇用労働者→正規: 1期あたり40万円×2期(合計80万円)
- 雇入れから3年未満の有期雇用労働者→正規: 40万円(1期のみ)
- 無期→正規: 20万円(1期のみ)
2026年度には「非正規雇用労働者情報開示加算」が5万円から20万円(中小企業)に増額される案が示されており、正社員化コースでは活用次第で最大115万円を超える受給も可能になる予定です。 Sogyotecho
賃金規定等改定コース:
基本給を2%以上増額した場合に助成されます。
全ての有期契約労働者を対象にした場合:
- 1人~3人: 95,000円
- 4人~6人: 190,000円
- 7人~10人: 285,000円
- 11人~100人: 1人当たり28,500円
一部の有期契約労働者を対象にした場合:
- 1人~3人: 47,500円
- 4人~6人: 95,000円
- 7人~10人: 142,500円
- 11人~100人: 1人当たり14,250円
短時間労働者労働時間延長支援コース:
2025年7月1日に新設され、2026年3月31日までの暫定措置です。 Ministry of Health, Labour and WelfareSogyotecho小規模企業への支援が手厚く、最大75万円(1年目50万円+2年目25万円)の受給が可能です。 Sogyotecho
受給するための条件
キャリアアップ助成金を申請するには、非正規雇用労働者を正社員に転換する前日までに、対象者や目標、期間などを記載した「キャリアアップ計画書」を作成し、労働局に提出する必要があります。 HRプロ
2025年度から簡素化され、計画書は認定ではなく届出だけでよくなっています。 HRプロ
主な条件は以下の通りです:
① 雇用保険適用事業所の事業主であること
② キャリアアップ管理者を設置していること
③ キャリアアップ計画書を労働局に届け出ていること HRプロ
④ 賃金を記載した書類を準備していること
⑤ 決められた期間内にキャリアアップに取り組んでいること
申請の仕方
- キャリアアップ計画書を作成し、労働局に届け出る
- 計画に基づき、正社員化や処遇改善を実施する
- 転換後6か月の賃金を支給した日の翌日から2か月以内に支給申請書を提出
1-5. トライアル雇用助成金
目的
職業経験、技能、知識などから安定的な就職が困難な求職者を一定期間試行的に雇用し、適性や業務遂行可能性を見極め、その後の常用雇用への移行を図ることを目的とします。
受給するための条件
① 雇用保険適用事業所であること
② 原則3カ月間の試行雇用(トライアル雇用)を行うこと
③ ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介により雇い入れること
④ 試行雇用期間中の労働時間が週30時間以上であること
助成額
対象者1人につき、月額最大4万円(最長3か月間)が支給されます。
申請の仕方
- ハローワークまたは職業紹介事業者等の紹介により対象者を雇い入れる
- トライアル雇用を実施
- トライアル雇用終了後2か月以内に支給申請書を提出
自治体独自の外国人雇用支援制度
自治体の制度は毎年改定が続き、業種・地域ごとに柔軟な支援が展開されています。 Mit-law都道府県や市町村によって、外国人労働者の受け入れに対する独自の補助金制度が設けられている場合があります。
主な自治体の支援内容:
東京都: 日本語研修やマニュアル翻訳の助成、2025年度に要件と予算を強化予定 Mit-law
秋田県: 外国人材定着支援事業費補助金(受入れにかかる費用の一部を助成)
岩手県: 外国人介護人材受入施設等環境整備事業費補助金
各自治体の特徴: 介護、建設、農業など人手不足が深刻な分野で手厚い支援が行われています。
詳細については、各都道府県や市町村の労働局、商工会議所などに問い合わせることをおすすめします。
助成金申請時の注意点
2-1. 事前計画の重要性
多くの助成金は、実施前に計画届の提出が必要です。事後申請はできないため、必ず事前に労働局やハローワークに相談してください。
2-2. 要件の確認
「外国人を雇うだけで自動的にもらえる助成金」は存在しません。雇用の維持や定着、能力開発などに取り組むなど一定の条件を満たした場合に、結果として助成金が支給される仕組みです。 MoneyForwardHojyokin-concierge
2-3. 書類の整備と保管
申請には多数の書類が必要です。賃金台帳、出勤簿、雇用契約書、領収書などを適切に保管してください。
2-4. 不正受給の厳禁
助成金の不正受給には厳しい罰則があります。全額返金、延滞金、さらに不正受給額の2割相当額の納付、5年間の受給停止、企業名の公表、悪質な場合は逮捕される可能性もあります。
2-5. 最新情報の確認
助成金制度は毎年改正されます。制度は通年で利用できますが、毎年4月に内容が変更され、コース追加や適用範囲の拡充などが行われることが多くあります。 Hojyokin Portal必ず最新の情報を厚生労働省のホームページや労働局で確認してください。
まとめ
外国人を雇用する際に活用できる助成金は、2026年も引き続き充実しています。2026年度の助成金制度は、「賃上げ」と「リスキリング」を二本柱として、多くの助成金で拡充が予定されています。 Atsuo-sr
主要な助成金としては、雇用調整助成金、人材確保等支援助成金(外国人労働者就労環境整備助成コース)、人材開発支援助成金、キャリアアップ助成金、トライアル雇用助成金などがあり、それぞれ目的や受給要件が異なります。
2025〜2026年は、在留資格審査の拡張・転職支援・家族帯同への補助金や、AI自動審査・行政DXによる効率化も進んでいます。 Mit-lawこれらの助成金を適切に活用することで、外国人労働者の雇用にかかるコストを軽減し、職場環境の整備や人材の定着を図ることができます。
助成金の申請を検討する際には、最新の情報を確認し、求められる要件をしっかりと理解することが重要です。不明な点は労働局やハローワーク、または社会保険労務士などの専門家に相談することをおすすめします。
※本記事の内容は2026年2月時点の情報に基づいています。最新の情報は厚生労働省のホームページや管轄の労働局でご確認ください。


