家族滞在ビザとは
日本で就労する外国人の数は年々増加しており、それに伴い家族を日本に呼び寄せたいというニーズも高まっています。ここでは、外国人の家族が日本で生活するために必要な「家族滞在ビザ」(在留資格「家族滞在」)について、基本的な制度内容から詳しくご紹介します。
家族滞在ビザの概要
家族滞在ビザとは、入管法別表第一の四に定められた在留資格で、日本に中長期で在留する外国人に扶養される配偶者または子が取得できるものです。「扶養を受けること」を活動内容とする在留資格であり、就労を目的としたビザではありません。
ここで重要なのは、家族滞在ビザで日本に呼び寄せることができるのは「配偶者と子」に限定されている点です。外国人本人の両親や兄弟姉妹は対象外となります。両親を日本に呼びたい場合は、短期滞在ビザ(90日以内)の利用が一般的で、長期的な滞在には「高度専門職」の在留資格を持つ場合や、告示外の特定活動(老親扶養ビザ)といった別の方法を検討する必要があります。
家族滞在ビザの対象となる在留資格一覧
家族滞在ビザを申請するためには、扶養者(日本で在留する外国人本人)が以下のいずれかの在留資格を持っている必要があります。2026年4月現在の対象在留資格は次のとおりです。
- 教授
- 芸術
- 宗教
- 報道
- 高度専門職
- 経営・管理
- 法律・会計業務
- 医療
- 研究
- 教育
- 技術・人文知識・国際業務
- 企業内転勤
- 介護
- 興行
- 技能
- 特定技能2号
- 文化活動
- 留学(大学・短大・大学院に限る)
特に注意すべき点として、特定技能1号では原則として家族帯同が認められていません。また、技能実習の在留資格でも家族滞在ビザの対象外となります。留学の在留資格については、大学・短期大学・大学院の留学生が対象となり、日本語学校や専門学校の学生は原則として家族滞在ビザの申請が認められていません。
対象となる「家族」の範囲と注意点
家族滞在ビザで呼び寄せることができる「家族」の範囲は、法律上明確に限定されています。
配偶者については、法律上有効に婚姻関係が存続している者に限られます。事実婚(内縁関係)や婚約者は対象外です。また、外国で有効に成立した同性婚についても、2026年4月現在の入管実務では家族滞在の「配偶者」としては認められていません。ただし、本国で有効に成立した同性婚の場合は、在留資格「特定活動」(告示外)により在留が認められるケースがあります。
子については、実子だけでなく養子や認知された子も対象に含まれます。年齢制限は原則としてありませんが、成人した子の場合は扶養を受ける必要性を個別に立証しなければなりません。例えば、大学に通っている場合は留学ビザの方が適切なケースもあるため、状況に応じた在留資格の選択が重要です。
家族滞在ビザの在留期間
家族滞在ビザの在留期間は、入管法施行規則により法務大臣が個々の状況に応じて5年を超えない範囲で指定します。具体的な期間は「5年」「4年3ヶ月」「4年」「3年3ヶ月」「3年」「2年3ヶ月」「2年」「1年3ヶ月」「1年」「6ヶ月」「3ヶ月」の11種類とされています。
実務上は、扶養者の在留期間に連動するケースが多く、扶養者が3年の在留期間を付与されていれば、家族滞在も3年が付与されることが一般的です。在留期間が満了する前に在留期間更新許可申請を行う必要があり、更新手続きでも扶養者との関係や経済状況が再確認されます。
家族滞在ビザでの就労ルール
家族滞在ビザは「扶養を受けること」を前提とする在留資格であるため、原則として就労は認められていません。ただし、一定の手続きを行うことで、限定的な就労が可能になります。
資格外活動許可とは
家族滞在ビザで在留中の外国人が日本で就労するためには、出入国在留管理庁に対して「資格外活動許可」を申請し、許可を得る必要があります。資格外活動許可には「包括許可」と「個別許可」の2種類があります。
包括許可は、特定の勤務先や業務内容を定めずに許可されるもので、家族滞在ビザの所持者が就労を希望する場合は、通常この包括許可が適用されます。許可を得ると、1週間につき28時間以内の就労が可能となります。ただし、風俗営業等に係る業務に従事することはできません。
個別許可は、包括許可の条件に該当しない場合に、特定の勤務先や業務内容に対して個別に許可されるものです。
資格外活動許可を得ずに就労した場合は不法就労に該当し、外国人本人だけでなく雇用主も不法就労助長罪に問われる可能性があります。
就労時間の制限と企業側の注意点
資格外活動許可を得た家族滞在ビザ保持者の就労時間は、1週間につき28時間以内に制限されています。この制限を超えて働かせた場合、不法就労助長罪(入管法第73条の2)に問われる可能性があり、3年以下の懲役もしくは300万円以下の罰金、またはその両方が科されます。
企業が家族滞在ビザの外国人を雇用する際は、以下の点を必ず確認してください。
- 在留カードの「在留資格」欄が「家族滞在」であること
- 在留カードの有効期限が切れていないこと
- 在留カード裏面の「資格外活動許可欄」に許可の記載があること
- 週28時間以内の勤務シフトを遵守すること
不法就労助長罪のリスクについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もご参照ください。
関連記事:日本人でも不法就労に関係ある?不法就労助長罪とは(ビザマネ)
家族滞在ビザの申請に必要な書類
家族滞在ビザの申請に必要な書類は、申請の種類(新規呼び寄せ・更新・変更)によって異なります。以下に、主なケースごとの必要書類を解説します。
在留資格認定証明書交付申請(海外から呼び寄せる場合)
配偶者や子が海外にいる場合、日本にいる扶養者が最寄りの地方出入国在留管理局で「在留資格認定証明書交付申請」を行います。標準的な審査期間は1ヶ月〜3ヶ月です。主な必要書類は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請書
- 証明写真(縦4cm×横3cm、申請前3ヶ月以内に撮影したもの)
- 返信用封筒(簡易書留用の切手を貼付)
- 申請人と扶養者の身分関係を証する書類(戸籍謄本、婚姻届受理証明書、結婚証明書の写し、出生証明書の写し等のいずれか1通)
- 扶養者のパスポートおよび在留カードの写し
- 扶養者の在職証明書または営業許可書の写し
- 扶養者の住民税の課税(又は非課税)証明書および納税証明書(1年間の総所得及び納税状況が記載されたもの)
なお、外国語で作成された書類には日本語訳の添付が必要です。翻訳ミスや不備があると審査が大幅に遅れる場合がありますのでご注意ください。
在留資格認定証明書が交付されたら、本国の日本大使館・総領事館でビザ(査証)の申請を行い、入国する流れとなります。なお、2023年3月より在留資格認定証明書の電子メールでの受領が可能となっています。
在留期間更新許可申請(すでに日本にいる場合)
すでに家族滞在ビザで日本に在留している方が在留期間を延長する場合は、在留期間更新許可申請を行います。在留期間の満了する3ヶ月前から申請が可能です。もし在留期間が3ヶ月以下の場合は、在留期間の半分を超えた時点から申請できます。
更新申請の主な必要書類は次のとおりです。
- 在留期間更新許可申請書
- 証明写真(縦4cm×横3cm)
- パスポートおよび在留カードの提示
- 申請人と扶養者の身分関係を証する書類
- 扶養者の職業および収入を証する書類
更新審査では、扶養者との関係が継続していること、扶養者に十分な経済力があることが改めて確認されます。審査期間は通常2週間〜1ヶ月程度です。
共通して必要な書類
申請の種類を問わず、以下の書類は共通して必要となるケースが多いです。
- パスポートおよび在留カード(本人のもの)
- 扶養者のパスポートおよび在留カード
- 身分関係を証する書類(結婚証明書、出生証明書等)
- 扶養者の職業を証する書類(在職証明書等)
- 扶養者の収入を証する書類(課税証明書・納税証明書等)
書類が母国語で作成されている場合は、日本語訳の添付が必須です。翻訳には時間がかかることもあるため、早めの準備をおすすめします。
一度提出した書類は原則として返却されません。申請後も書類が必要な場合は、コピーを取っておくか、申請時に返却希望の旨を伝えてください。
家族滞在ビザを取得する際の注意点
配偶者・子の範囲に関する注意
配偶者や子であれば必ず家族滞在ビザの対象になるとは限りません。家族滞在ビザの取得には、扶養者が配偶者や子を実際に扶養していることの証明が必要です。
留学生で、アルバイトが主な収入源となっている場合は、扶養能力が不十分と判断され不許可となるケースがあります。また、すでに在留資格を持っている方が家族滞在ビザへ変更する場合は、在留資格変更許可申請が必要となります。
これまで離れて暮らしていた子を日本に呼び寄せる場合は、なぜこのタイミングで日本で一緒に暮らすのか、合理的な理由を説明する必要があります。子の年齢や別居していた理由によっても審査のポイントが異なるため、事前に専門家へ相談することをおすすめします。
扶養能力の証明が重要
家族滞在ビザの審査では、「扶養者に家族を養える十分な経済力があるか」が重視されます。法律上、明確な年収基準は定められていませんが、家族構成に対して生活が成り立たないと判断される場合は不許可となるリスクがあります。
審査では、扶養者の月々の安定収入が重視される傾向にあり、預金だけでなく継続的な収入があることが望ましいとされています。また、住居の広さや間取りが家族での生活に適しているかどうかもポイントになります。
申請から許可までの期間
家族滞在ビザの申請から許可が出るまでの期間は、申請の種類によって異なります。2026年4月現在の目安は以下のとおりです。
- 在留資格認定証明書交付申請:1ヶ月〜約3ヶ月
- 在留資格変更許可申請:2週間〜約1ヶ月
- 在留期間更新許可申請:2週間〜約1ヶ月
追加書類の提出を求められた場合は、3ヶ月以上かかることもあります。在留期限の3ヶ月前から申請が可能なため、余裕を持った手続きが重要です。
離婚・死別した場合の届出義務
家族滞在ビザで在留中に配偶者と離婚または死別した場合は、その日から14日以内に出入国在留管理庁長官に届け出る義務があります。離婚後は「扶養を受ける」という要件を満たさなくなるため、家族滞在ビザでの在留は認められなくなります。
引き続き日本に在留したい場合は、就労可能な在留資格への変更を検討する必要があります。これまでの在留状況に問題がなければ、「定住者」や「特定活動」の在留資格で在留が認められるケースもあります。
特定技能と家族滞在ビザの関係
外国人を多く雇用する企業にとって、特定技能の在留資格と家族滞在ビザの関係は特に重要なポイントです。
特定技能1号は原則として家族帯同不可
特定技能1号の在留資格では、原則として家族の帯同は認められていません。特定技能1号の通算在留期間は最長5年とされており、この期間中は配偶者や子を家族滞在ビザで呼び寄せることはできません。
ただし、例外的に家族の帯同が認められるケースがあります。具体的には、特定技能1号に変更する前からすでに日本に在留していた配偶者や子、特定技能1号の外国人同士の間に日本国内で生まれた子などの場合に、人道上の配慮から「特定活動」の在留資格で在留が認められる可能性があります。
特定技能2号なら家族滞在ビザの取得が可能
特定技能2号は、特定産業分野における熟練した技能を持つ外国人向けの在留資格です。特定技能2号の外国人には、配偶者・子の帯同が正式に認められており、家族に付与される在留資格は「家族滞在」です。
特定技能2号は在留期間の更新回数に上限がないため、更新を続ける限り長期にわたって日本で就労できます。さらに、条件を満たせば永住権の取得も可能であるため、外国人材の長期的な確保を目指す企業にとっては重要な在留資格です。
なお、2023年に特定技能2号の対象分野が大幅に拡大され、2026年4月現在ではビルクリーニング、工業製品製造業、建設、造船・舶用工業、自動車整備、航空、宿泊、農業、漁業、飲食料品製造業、外食業の11分野が対象となっています(介護分野は別途「介護」の在留資格があるため対象外)。
2026年の入管法改正と家族滞在ビザへの影響
2026年は入管制度にとって大きな転換期となっています。家族滞在ビザにも間接的に影響する可能性のある制度改正について解説します。
在留手数料の引き上げ
2026年3月10日、政府は入管法改正案を閣議決定しました。この改正案では、在留資格の変更・更新許可に関する手数料の法定上限を現行の1万円から10万円に、永住許可申請の手数料の法定上限を30万円に引き上げる内容が盛り込まれています。
2025年4月1日の改定では、窓口申請の在留資格変更・更新許可申請の手数料は6,000円、永住許可申請は10,000円に設定されています。今後の法改正成立後、実際の手数料額は政令で定められる見込みです。
家族滞在ビザの更新も手数料引き上げの対象となるため、扶養する家族が多い場合は負担が大きくなる可能性があります。企業は外国人社員の在留手続きにかかるコストを見直しておく必要があるでしょう。
JESTA(電子渡航認証制度)の創設
同じ入管法改正案において、デジタル渡航認証制度「JESTA」(Japan Electronic System for Travel Authorization)の創設が盛り込まれています。2028年度からの導入を目指しており、査証免除対象の短期滞在者等に対して、渡航前にオンラインで認証を得ることを求める制度です。
JESTAは主に短期滞在者を対象とする制度ですが、入管体制全体の厳格化の流れの中で、在留資格全般の審査にも影響が及ぶ可能性があります。
育成就労制度(2027年4月施行)との関係
2027年4月1日から、技能実習制度に代わる新制度「育成就労制度」が施行されます。育成就労制度では、原則3年間の就労を通じて特定技能1号水準の人材を育成することを目的としています。
育成就労制度においても、特定技能1号と同様に家族の帯同は原則として認められていません。ただし、育成就労から特定技能1号を経て特定技能2号に移行すれば、家族滞在ビザによる家族帯同が可能となります。外国人材の長期的なキャリアパスを考える上で、この制度間の連続性は重要なポイントです。
育成就労制度について詳しく知りたい方は、以下の記事もあわせてご覧ください。
関連記事:育成就労とは?技能実習に代わる新制度の概要と企業が知るべき法的リスク(ビザマネ)
企業が家族滞在ビザの外国人を雇用する際のポイント
家族滞在ビザの外国人を雇用する場合、企業は不法就労に該当しないよう十分な注意が必要です。以下のポイントを押さえておきましょう。
まず、雇用前に在留カードの確認を徹底してください。在留カードの表面で「在留資格」「在留期間」「就労制限の有無」を確認し、裏面で「資格外活動許可」の記載を確認します。資格外活動許可がなければ、就労させることはできません。
次に、出入国在留管理庁が提供する「在留カード等読取アプリケーション」を活用して、ICチップの情報を読み取り、偽造カードでないことを確認することが望ましいです。近年、偽造在留カードが社会問題化しており、目視確認だけでは不十分なケースがあります。
また、週28時間以内の就労時間を厳守するためのシフト管理も重要です。ダブルワーク(複数の職場での掛け持ち)をしている場合、全ての勤務先の就労時間を合算して28時間以内に収める必要があります。
外国人雇用に伴うハローワークへの届出や、在留期限の管理など、煩雑な業務を効率化するためには、在留資格管理システムの導入も有効な選択肢です。
ビザマネでは、在留カードのICチップ読み取りによる偽造チェックや、在留期限のアラート通知など、外国人雇用管理に必要な機能を提供しています。100人以上の外国人を雇用する企業の管理業務を大幅に効率化できます。
家族滞在ビザのまとめ
家族滞在ビザは、日本で就労・留学する外国人の配偶者と子が日本で一緒に暮らすための在留資格です。対象は配偶者と子に限定されており、両親や兄弟姉妹を呼び寄せることはできません。
2026年4月現在の主なポイントを整理すると、次のとおりです。
- 対象者は、一定の在留資格を持つ外国人に扶養される配偶者と子に限定される
- 法律上の婚姻関係にある配偶者のみが対象であり、内縁の妻(夫)や同性婚のパートナーは対象外
- 家族滞在ビザでは原則就労不可だが、資格外活動許可を得れば週28時間以内の就労が可能
- 特定技能1号では原則として家族帯同不可、特定技能2号では家族滞在ビザの取得が可能
- 2026年3月に閣議決定された入管法改正案により、在留手数料の引き上げが見込まれる
- 2027年4月から育成就労制度が施行され、外国人材のキャリアパスが「育成就労→特定技能1号→特定技能2号」と連続性を持つ設計に変更される
外国人を100人以上雇用している企業では、家族滞在ビザを持つ外国人を雇用する機会も多くなります。不法就労助長罪のリスクを回避するためにも、在留カードの確認や就労時間の管理を徹底し、必要に応じて在留資格管理システムを活用することが重要です。
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