不法滞在の見分け方とは?企業が知るべき在留カード確認方法と実務対策を解説

執筆者 4月 13, 2026在留資格コメント0件

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ディスクリプション: 不法滞在の見分け方を企業の人事・総務担当者向けに解説。在留カードの確認ポイント、偽造カードの判別方法、不法就労助長罪の罰則(2025年6月改正後)、採用時の実務対策まで網羅的に紹介します。2026年4月現在の最新情報に基づいています。

不法滞在とは?定義と種類を正しく理解する

不法滞在の定義と法的根拠

不法滞在とは、外国人が有効な在留資格を持たずに日本に滞在している状態を指します。出入国管理及び難民認定法(以下「入管法」)では、外国人が日本に在留するためには有効な在留資格を保持していることが求められます。この要件を満たさないまま日本に滞在し続ける行為は、入管法に違反する不法滞在として取り扱われます。

不法滞在は大きく分けて「不法入国」と「不法残留(オーバーステイ)」の2つに分類されます。いずれの場合も、本人は退去強制の対象となるほか、その外国人を雇用した企業も不法就労助長罪に問われる可能性があるため、企業側の正確な理解と対策が不可欠です。

不法入国と不法残留(オーバーステイ)の違い

不法入国とは、有効なパスポートや査証(ビザ)を持たずに日本に入国する行為、または偽造パスポートなど不正な手段で入国する行為を指します。密航や偽変造旅券の使用がこれに該当し、入管法第70条により3年以下の懲役もしくは禁錮、または300万円以下の罰金が科されます。

一方、不法残留(オーバーステイ)とは、正規の在留資格で合法的に入国したものの、許可された在留期間を超えて日本に滞在し続ける状態です。在留期間の更新手続きを怠った場合や、更新が不許可となったにもかかわらず出国しなかった場合に該当します。たとえ1日でも在留期限を過ぎれば不法残留となるため、注意が必要です。

区分内容主なケース
不法入国有効な在留資格を持たずに入国密航、偽造パスポートの使用、審査窓口の不正通過
不法残留(オーバーステイ)在留期間を超えて滞在を続ける在留期限の更新忘れ、更新不許可後の滞在継続、短期滞在からの居座り

日本における不法残留者数の最新データ(2025年7月時点)

出入国在留管理庁が公表したデータによると、2025年7月1日時点の日本における不法残留者数は約71,229人で、2025年1月1日時点の74,863人に比べて3,634人(4.9%)減少しました。

国籍別の構成比を見ると、ベトナム(18.3%)、タイ(15.3%)、韓国(14.4%)が上位3か国を占め、これらだけで全体の約50%に達しています。不法残留となった時点の在留資格別では、「短期滞在」が60.7%と最も多く、次いで「技能実習」が14.7%、「特定活動」が10.0%と続いています。

こうした状況を受け、政府は2025年5月に「国民の安全・安心のための不法滞在者ゼロプラン」を公表し、2030年末までに不法滞在者数を半減させる目標を掲げています。企業にとっても、不法滞在者の雇用を未然に防ぐための体制整備がこれまで以上に求められています。

不法滞在者の見分け方①:在留カードの記載内容を確認する

不法滞在者を見分けるうえで最も基本的かつ重要な手段が、在留カードの確認です。在留カードとは、日本に中長期間在留する外国人に対して出入国在留管理庁長官が交付する身分証明書で、在留資格や在留期間など重要な情報が記載されています。90日以内の短期滞在者や不法滞在者には交付されないため、在留カードを所持していること自体が合法的な在留の証明になります。

在留カードで確認すべき4つの項目

外国人を採用する際は、在留カードの原本を提示してもらい、以下の4つの項目を必ず確認してください。

確認項目確認内容注意点
①氏名・顔写真カードの記載と本人が一致しているか他人の在留カードを使用するなりすましに注意
②在留資格就労が認められた在留資格か「短期滞在」「留学」「家族滞在」は原則就労不可
③在留期間満了日在留期限が切れていないか1日でも超過すると不法残留に該当
④就労制限の有無「就労制限なし」「就労不可」などの記載内容「就労不可」でも資格外活動許可があれば一定範囲で就労可能

在留期間満了日の確認と「更新申請中」の扱い

在留カードの表面下部には「在留期間満了日」が記載されています。この日付を過ぎている場合、原則として不法残留に該当します。

ただし、外国人が在留期間満了日までに在留期間更新許可申請や在留資格変更許可申請を行い、その結果が出ていない場合は、在留カード裏面の「在留期間更新等許可申請」欄に申請中である旨が記載されます。この場合、在留期間満了日から2か月間は適法に在留しているものとして扱われます(特例期間)。裏面を確認せずに不法滞在と誤って判断しないよう注意しましょう。

就労制限の有無と資格外活動許可の確認

在留カードの表面中段には「就労制限の有無」が記載されています。ここに「就労制限なし」と書かれている場合は、職種を問わず就労が可能です。「在留資格に基づく就労活動のみ可」の場合は、その在留資格で認められた範囲内でのみ就労できます。

「就労不可」と記載されている場合でも、在留カード裏面の「資格外活動許可欄」を確認してください。ここに許可の記載がある場合、原則として週28時間以内のアルバイト等が認められています。資格外活動許可の有無を確認せずに雇用すると、企業側が不法就労助長罪に問われるリスクがあります。

不法滞在者の見分け方②:偽造在留カードを見抜く方法

近年、偽造在留カードが深刻な社会問題となっています。偽造在留カードの検挙数は7年間で7倍以上に増加しており、SNSを通じて1枚数千円で取引される事例も報告されています。正規の在留カード番号を悪用した精巧な偽造カードも存在するため、企業は複数の方法を組み合わせて真偽を確認する必要があります。

目視で確認できる偽造防止対策のポイント

在留カードには、法務省が施した偽造防止対策が複数組み込まれています。以下のポイントを目視で確認することで、偽造カードをある程度見分けることが可能です。

確認ポイント正規カードの特徴
ホログラム(顔写真下の銀色部分)カードを90度傾けるとホログラムの文字の白黒が反転する
「MOJ」の透かし文字カードを強い光にかざすと「MOJ」の文字が浮かび上がる
カード左端のカラーバーカードを傾けるとピンクからグリーンに色が変化する
顔写真のレーザー加工写真がカード本体にレーザーで刻印されており、剥がれない

ただし、これらの目視確認だけでは精巧な偽造カードを見抜けない場合があります。後述するアプリやオンライン照会と組み合わせて確認することが重要です。

在留カード等読取アプリケーションによるICチップ確認

出入国在留管理庁が無料で提供している「在留カード等読取アプリケーション」を使用すると、在留カードに内蔵されたICチップの情報を読み取り、券面の記載内容と照合することができます。NFC対応のスマートフォンやパソコンで利用可能です。

使い方は、アプリを起動して在留カード番号を入力したのち、在留カードを端末にかざすだけです。読み取ったICチップのデータと在留カードの券面の記載が一致しない場合、偽造の可能性が高いと判断できます。偽造カードにはICチップが内蔵されていなかったり、チップに記録された情報が券面と異なっていたりするケースがあるため、このアプリの活用は偽造カード対策として非常に有効です。

在留カード等番号失効情報照会の活用方法

出入国在留管理庁のWebサイトでは、「在留カード等番号失効情報照会」ページが公開されています。在留カード番号と有効期間を入力することで、そのカード番号が失効していないかどうかを確認できます。

ただし、この照会の結果は在留カードの有効性を証明するものではありません。正規のカード番号を流用した偽造カードも存在するため、番号照会だけで安心するのではなく、目視確認やICチップの読み取りと併用することが大切です。

在留カードの照会方法について詳しくは、以下の記事でも解説しています。

▶ 関連記事:在留カードの照会方法とは?照会に必要な流れを1からわかりやすく解説

不法滞在者を雇用した場合の企業リスク

不法滞在者を雇用した場合、外国人本人だけでなく雇用した企業にも重大な法的リスクが生じます。「知らなかった」では済まされない厳しいルールが定められているため、経営者や人事担当者は正確に理解しておく必要があります。

不法就労助長罪の罰則内容(2025年6月改正後)

不法就労助長罪とは、不法滞在者や就労資格のない外国人を雇用したり、不法就労をあっせんしたりした場合に事業主に適用される罰則です。入管法第73条の2に規定されています。

2025年6月に施行された改正入管法により、不法就労助長罪の罰則が大幅に強化されました。

項目改正前改正後(2025年6月施行)
懲役刑3年以下の懲役5年以下の拘禁刑(懲役・禁錮)
罰金300万円以下500万円以下
併科可能可能

さらに、2026年6月14日には在留カードとマイナンバーカードの機能一体化の運用が開始される予定であり、今後も制度面での変化が見込まれます。企業は常に最新の法令情報を把握しておくことが重要です。

「知らなかった」では免責されない理由

不法就労助長罪の重要なポイントは、雇用した外国人が不法就労者であることを企業側が知らなかった場合でも、在留カードの確認を怠るなどの過失があれば処罰の対象となる点です。つまり、「本人が正規の在留資格を持っていると言っていた」「見た目では判断できなかった」といった主張は通用しません。

入管法上、外国人を雇用する際には在留カードを確認する義務が事業主に課されています。この確認を適切に行ったことを証明できなければ、企業側に過失があったとみなされます。

企業の信用・事業活動への影響

不法就労助長罪で摘発された場合、刑事罰にとどまらず、企業活動に広範な影響が及びます。報道による社会的な信用失墜はもちろん、取引先からの信頼低下や行政機関からの指導・処分の対象となる場合もあります。

また、人材派遣業や職業紹介業を営む企業が不法就労助長罪で有罪となった場合、事業許可の欠格事由に該当し、許可が取り消される可能性もあります。外国人雇用に関するコンプライアンスは、企業経営そのものに直結する重大事項であることを認識しておきましょう。

不法就労助長罪の詳しい内容については、以下の記事をご参照ください。

▶ 関連記事:日本人でも不法就労に関係ある?不法就労助長罪とは。罰則・対象や在留カードの確認方法を解説

不法滞在者の雇用を防ぐために企業がとるべき対策

不法滞在者の雇用リスクを最小限に抑えるためには、採用プロセスと雇用後の管理の両方において、体系的な対策を講じることが不可欠です。ここでは、企業が実務で取り組むべき具体的な対策を紹介します。

採用時の在留カード確認フローを標準化する

外国人を採用する際の在留カード確認は、属人的な運用にせず、社内の標準フローとして確立することが重要です。具体的には、以下の手順をマニュアル化し、採用担当者だけでなく現場の管理者にも周知します。

・在留カードの原本を提示してもらい、氏名・顔写真・在留資格・在留期間満了日・就労制限の有無を確認する

・在留カード等読取アプリケーションでICチップの情報を読み取り、券面の記載と一致しているか照合する

・在留カード等番号失効情報照会で、カード番号が失効していないか確認する

・確認結果を記録として残し、在留カードのコピーを保管する

これらの手順を社内ルールとして定着させることで、不法滞在者の雇用リスクを大幅に低減できます。

在留期限の一元管理体制を構築する

外国人を採用した後も、在留期限の管理は継続的に行う必要があります。在留カードの有効期限は在留期間の満了日と原則同一であり、期限切れの状態で就労を続けた場合は不法就労に該当します。

特に外国人を100人以上雇用している企業では、手動による期限管理には限界があります。在留期限が近づいた際にアラートを自動送信する仕組みを導入し、本人への更新手続きの促進と、企業側の管理漏れ防止を徹底しましょう。在留期間の更新申請は満了日の3か月前から可能なため、早めの対応を促すことが大切です。

在留カードのコピー保管とパスポートの併用確認

外国人を雇用する際は、在留カードの原本確認後にコピーを取得して保管してください。在留カードのコピーは、在留期限の管理に活用できるほか、後日トラブルが発生した際の確認証拠としても機能します。

加えて、パスポートのコピーも併せて保管しておくことを推奨します。パスポートの偽造は在留カードに比べて技術的に困難であるため、両方を照合することで本人確認の精度が高まります。

不法滞在が判明した場合の対処手順

万が一、雇用している外国人が不法滞在者であることが判明した場合は、速やかに以下の対応を行ってください。

・当該外国人の就労を直ちに停止する

・出入国在留管理庁への情報提供または通報を検討する

・行政書士や弁護士などの専門家に相談し、適切な対応方針を確認する

・社内の管理体制を見直し、再発防止策を講じる

通報が遅れると、企業側が不法就労者を引き続き雇用しているとして法的責任を問われる可能性があるため、発覚後は早急に対応することが重要です。

不法就労・不法滞在の防止策について、さらに詳しくは以下の記事をご確認ください。

▶ 関連記事:外国人労働者の不法就労・不法滞在はこうして防げ!

在留カード管理を効率化するならビザマネ

外国人を多数雇用する企業にとって、在留カードの確認や在留期限の管理は大きな業務負担となります。特に飲食業、物流業、人材派遣業など、複数拠点で外国人を雇用している企業では、現場ごとの管理にばらつきが生じやすく、不法就労リスクの温床となりかねません。

ビザマネは、在留カード管理を一元化できる外国人雇用管理サービスです。主な機能として、以下のような特長があります。

・在留カードのICチップを読み取り、偽造チェックをその場で実施できる

・在留資格や在留期限に基づく就労可否判定を、専門知識がなくてもアプリ上で簡単に行える

・在留期限の3か月前から本社・事業所・従業員本人へアラートメールを自動送信し、更新漏れを防止する

・複数拠点の外国人従業員情報をリアルタイムで共有・管理できる

不法就労助長罪が厳罰化された現在、在留カードの確認体制の強化は企業にとって急務です。管理業務の効率化とコンプライアンスの強化を同時に実現したい企業は、ビザマネの導入をぜひご検討ください。

https://visamane.jp

まとめ

本記事では、不法滞在の見分け方について、在留カードの記載内容の確認方法から偽造カードの判別手段、不法就労助長罪の罰則内容、企業がとるべき実務対策まで幅広く解説しました。

2025年7月時点で日本には約71,229人の不法残留者が存在しており、偽造在留カードの流通も増加傾向にあります。2025年6月の入管法改正により不法就労助長罪の罰則が「5年以下の拘禁刑もしくは500万円以下の罰金」へと引き上げられたこともあり、企業の在留カード確認義務の重要性はこれまで以上に高まっています。

外国人を雇用する企業においては、採用時の在留カード確認フローの標準化、偽造カードの判別手段(目視確認・ICチップ読み取り・番号照会)の併用、在留期限の一元管理体制の構築が必要不可欠です。2026年4月現在、在留カードとマイナンバーカードの一体化(2026年6月14日施行予定)をはじめ制度変更も予定されているため、引き続き最新情報を把握しておきましょう。

不法滞在に関連する制度や手続きについて、さらに詳しく知りたい方は以下の記事もあわせてご覧ください。

▶ 関連記事:取り締まりは年々強化!不法滞在とは何かをわかりやすく解説します。

▶ 関連記事:不法滞在の通報方法と報奨金(5万円)の仕組み|入管への届出手順を解説

▶ 関連記事:外国人採用注意点のまとめ|企業が知るべきリスクと対策を徹底解説

著者 ビザマネコラム編集部

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