テレビでは、日本に憧れを持ち、日本のことが大好きな外国人を取り上げる番組がいくつも放送されています。日本で帰化申請を行い、日本国籍を取得し、晴れて日本人として第2の人生を歩む外国人の方もいらっしゃるでしょう。でも、在留資格を得て日本に暮らすこともできるなか、母国の国籍をなくしてまで日本国籍を得る理由、メリットはあるのか、また、デメリットに何があるのか、まとめました。
韓国や中国以外からの帰化申請を行う人が増えている!
法務省がまとめている帰化許可申請者数や帰化許可者数の推移のページを見ると、様々なことが分かります。例えば昭和27年から昭和41年度までに帰化が許可されたのは4万7000人ほどですが、そのうちの8割強、4万1000人が韓国籍、朝鮮人の方々でした。中国籍の方も4000人以上いるなど、この2つのエリアで9割以上を占めています。ページではこの2つのエリア以外をその他に分類し、数%としかありません。この傾向は平成に入ってからも続きます。
しかし、平成15年以降、韓国や中国以外の国籍を持つ人たちの許可数が増え、一方で韓国や中国の人たちの許可数は減っていきます。現在ではそれまで8割程度の比率を占めていた韓国朝鮮エリアの人たちの許可数のシェアは過半数を割るギリギリとなり、その他の比率が2割に迫ろうとしています。韓国や中国以外の人たちが帰化申請を行うケースが増えており、以前と比べて帰化を巡る環境は変わってきたと言えそうです。
(参照:http://www.moj.go.jp/content/001180510.pdf)
帰化をすることで得られるメリットは?
在留資格でも長く日本に滞在できる中、あえて帰化の道を選ぶのはなぜか。そこには日本国籍を取得するメリットがあるからですが、どのようなメリットがあるのか、まとめました。
日本のパスポートが得られて、ビザなしで海外に行ける
日本のパスポートは最強である、そのようにネット上では言われています。理由はビザなしで入国できる国の数が世界一であること、現在190もの国と地域にビザなしで行くことが出来ます。他の国ではそう簡単にはいかないケースもある中、日本のパスポートを持つだけでビザなしで行けるのは大きいでしょう。しかも、万が一海外で事件に巻き込まれたら、日本政府が日本人として守ってくれるのもプラスです。例えば日本で長く住み、母国の言葉が話せないという外国籍の方が多くいらっしゃいます。その方が海外で事件に巻き込まれれば、母国に守られる形となりますが、その母国の言葉が分かりません。もし帰化をしていれば日本人として守られ慣れ親しんだ日本語で窮状を伝えればOKです。
また、パスポート自体が自分の身を守る身分証明書になります。日本人であることの証明であり、在留カードを携帯し続けるようなこともしなくて大丈夫です。ビザを得るのは面倒な作業ですが、その必要がなくなるのはとても大きく、海外への渡航が多い人からすれば、かなりのメリットと言えそうです。また、日本国籍を取得すれば入出国は自由に行え、永住権を持つ外国人のように、再入国許可申請などをする必要がありません。自由度が一気に増すことを体感できるでしょう。
住民票を取得でき、一緒の戸籍に入れる
日本国籍を得るということは、日本の戸籍が持て、日本人としての名前がつけられるということでもあります。もし夫婦で帰化した場合、一緒の戸籍に入れて、そこから子供が生まれれば子供の名前が追加されていく形です。これが永住権の獲得でとどまると、外国籍のままなので結婚をしても戸籍には入れません。その他雑記の部分に結婚をした事実が書かれるだけになります。戸籍を得て一緒に入るのと相手の戸籍の中に雑多な事実の中の1つとして掲載されるのは雲泥の差です。
日本人と全く同じ社会保障が受けられる
日本国籍を得るということは日本国の一員になったということです。つまり、年金や保険といった日本人なら受けられる社会保障が受けられます。年金や保険に関しては外国籍がある時でも、日本人同様に支払うものは支払う必要がありましたが、健康保険に加入できない外国人がいるなど、外国籍であることでマイナスになる部分もあります。それが日本国籍を得れば日本人と全く同じ社会保障が受けられるので、安心度が違います。
日本でローンを組むことができる
ローンを活用し、住宅や不動産を購入するケースは今も昔も変わりません。外国籍を持つ人がローンを活用して住宅などを購入しようとした場合、障害になりそうなのが金融機関の対応です。外国籍の人にお金を貸すことに抵抗があり、ローンを組むにしてもいくつか条件を設けるところがあります。メガバンクなどでは、外国籍を持つ人物に永住権があるか、配偶者が日本人であることが1つの条件として存在します。つまり、永住権がなかったり、奥さんも外国籍を持つ人だったりすると、ローンを組ませてもらえません。
それが日本国籍を得てしまえば、日本人と同じ形でローンを組むことができます。奥さんがたとえ外国籍のままだったとしても関係ありません。あとは日本人に対するローン審査と同じ流れで進行します。高い金利でわざわざ借りる必要もなくなるため、これだけでかなりのメリットとなりそうです。
在留資格の更新などをせずに済む
在留資格を取得して日本で生活する外国人は、在留期限の3か月前から在留資格の更新ができ、それを怠ればオーバーステイとして国外退去を迫られることになります。そのため、在留資格の更新は必ずしなければなりません。一般的な人は、更新すればするほど在留期間が延びるものですが、不許可になったり、在留期間が延びなかったりするケースもあるので、注意が必要です。いちいちそのような作業をしたくない人で、日本に長く住みたいと思っている人は、日本国籍を得た方が合理的、かつ効率的に滞在できます。
もちろん、在留期間がなかなか延びない人物が日本国籍を得られる可能性はさほど高くないかもしれません。それでも、日本国籍が欲しいという場合に、何をすればいいかが明確になります。更新をしに行くのがいちいち面倒、永住権を取得しても自由度がさほど高くない、そのように感じた人はいち早く帰化を目指していくことをおすすめします。
帰化することで生じるデメリットとは?
一見すると日本への帰化を行うことはメリットだらけという印象ですが、実際のところ、デメリットは全くないものなのか。ここでは日本へ帰化を行う事で発生するであろうデメリットについてまとめてあります。
母国へ帰国する際には日本人として扱われてしまう
日本では二重国籍を認めていません。ですので、母国の国籍は必ず失わなくてはならず、日本人として暮らしていくことになります。ところが、日本国籍は得たものの、家族に不幸があり、母国でしばらく暮らす事になった場合、あくまでも日本人なので、今まで通りの生活は送れない可能性が出てきます。その部分が色濃く出るのが韓国で、以前は在日韓国人は韓国人ではないと、韓国に住む人たちが言うほどでした。
同じ民族でありながら、帰化をすることで母国を捨てたと捉えられることもあり、帰化をしてから母国へ帰るのは日本人として扱われる以上に、厳しい一面も出てきます。日本に住み続けるのであれば、帰化をしても問題はないものの、母国へ帰らざるを得ない場合には何かしらの制約があると思ってよさそうです。
日本と母国で法律に違いが生まれ、思わぬ不利益を被ることがある
母国に自分の両親や兄弟姉妹を残し、自らは日本国籍を取得したという方がいたとします。父親が亡くなったら、相続を行う事になりますが、このルールが日本と母国で違う可能性が高いです。例えば、韓国人が日本に帰化した場合、生まれた時から帰化するまでの戸籍謄本が必要になります。他の資料がどれだけ揃っていても帰化までの戸籍がないと相続人が定められないという問題があるためです。
韓国での相続は胎児にも相続権があるなどルールが異なります。それぞれの国に相続に関するルールがあり、法律も異なります。そのため、帰化をすることで思わぬ不利益が発生することが考えられます。生前にそのあたりをクリアさせておくことが一番ですが、相続が発生する事案があれば専門家に任せることをおすすめします。
差別されたくないからと帰化をしても、思ったような成果が得られない
帰化の理由に、日本国籍を得ることで差別を受けないようにしたいというものがあります。特に在日韓国人などは何かとターゲットにされやすく、日本国籍を得ることで回避しようとする人が珍しくなく、昭和の時代には多くの在日韓国人、朝鮮人が帰化をしています。しかし、思ったような成果を得られないのが現状で、日本国籍を得たからターゲットから外れるわけではありません。
もし日本人と思われたいなどの理由で帰化をする場合、期待しているほどの成果は得られない可能性があるため、細心の注意を払うようにしましょう。
日本で帰化申請を出す前に慎重な判断を
日本で帰化をすることはそれ相応のメリットがある一方、もう後には戻れない部分もあります。一度国籍を変えると、前の国籍には戻せない可能性が高く、慎重な判断が必要です。特に母国に家族がいて、自分1人で帰化した場合には予期せぬことで帰国せざるを得ない状態になってしまうことも考慮しなければなりません。十分に検討を重ね、覚悟を決めた上で申請を行うようにしましょう。
まとめ
単に日本が好きで長く暮らしたいという場合には永住権があり、更新の手間などどうでもいいという方は在留資格で十分暮らしていけます。帰化するということはそれよりも踏み込んでおり、その分、審査も細かく行われ、1年近く審査が続くことも珍しくありません。帰化をする意味はとても重いですが、その意味を知った上で日本国籍を得ることで、日本での新たな人生を切りやすくなることもまた事実です。日本人としてやってみたかったことをやるためにも、乗り越えるべき壁を乗り越えていきましょう。
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